東南アジアのマーケットで必ずある物が「ネクタイ」です。日本では高価で販売されているシルク製ネクタイが、アジア諸国では、手頃な価格で販売されています。
今から数年前、ラオスの首都ピエンチャンで開かれていたナイトマーケットでのことです。メコン川沿いに開かれていたマーケットには、絹関連の製品がたくさん並んでいました。日本と比べてとても安い価格と、キレイなデザインが特徴であると感じました。きっと、女性であれば、これらの商品を購入される方も多いはずです。
私が興味を持ったのは、絹製品の中でも特に「ネクタイ」です。もし、日本へ絹製ネクタイを輸入するとなると、どのような関税がかかるのでしょうか。今回は、ネクタイの輸入関税について説明をしていきます。
ネクタイの輸入は、約13%前後の関税が発生します。しかし、EPA(経済的な約束)を結んでいる国の商品であれば「無税」で輸入できます。そのため、ネクタイ関連を輸入するのであれば、必ずEPA締結国内で良質なネクタイがないかを探すべきです。
ネクタイの輸入関税
日本へネクタイを輸入するさいは、以下に示すポイントによって、関税率の根拠になるHSコードを特定していきます。これにより、ネクタイの輸入関税率がわかります。
最初に考えるべきポイントは「編物製」であるのか、それとも「織物製」であるかです。まずは、この二つのうち、どちらに属するかを考えます。ネクタイについているタグなどを参考にしながら分類をしていきます。ここから編物製と織物製に分けて説明をします。
編物製(あみものせい)の場合
編物製は、さらに二つに分類されます。1つめが「ししゅう」や「レースを使用した」いわゆる「豪華な作りのネクタイ」を指します。対する二つ目が「普通の作りのネクタイ」です。一つ目と2つ目は、さらにそれぞれの「材質ごと」に分類されます。
例えば、レースを使用した人造繊維製のネクタイであれば、HSコードが「6117.80.113」となります。
1.ししゅうしたもの、レースを使用したもの及び模様編みの組織を有するもの
-絹製の物 HSコード:6117.80.111
-羊毛製又は繊獣毛製のもの HSコード:6117.80.112
-人造繊維製のもの HSコード:6117.80.113
-その他のもの
2.その他のもの
-絹
-その他のもの
織物製(おりものせい)の場合
織物製のネクタイは、HSコード「6215」に該当します。6215の続きのHSコードは、以下の三つの素材を基準として行います。
例えば、絹製+表地が「絹のみ」で作られている物であれば「6215.10.010」がHSコードになります。また、「人造繊維製のもの」であるなら「6215.20.000」がHSコードになります。ちなみに、このHSコードは、関税率表の中に商品の属性情報とそれらに対応するコードとして記載されています。
1番 絹製のもの
-表地が絹のみからなるもの HSコード:6215.10.010
-その他のもの HSコード:6215.10.090
2番 人造繊維製のもの HSコード:6215.20.000
人造繊維は、いわゆる人が作り出した繊維のことです。「ポリエステル、 ポリウレタン」などが代表的な素材となります。
3番 その他の紡織用繊維製のもの HSコード:6215.90.000
「紡織用繊維」は天然系の繊維、人造繊維などを合わせた総称をいいます。3番の「その他の紡織繊維製のもの」の「その他」には、1番の絹、そして2番の人造繊維が含まれます。つまり、3番の「その他の紡織用繊維製」とは、絹と人造繊維を除いた、その他すべての紡織用繊維が含まれていることになります。
このようにして、ネクタイの属性情報をもとにして、たった一つのHSコードを確定していきます。このコードが確定すると、あなたが支払うべき関税率が判明します。
以下の関税情報は記事執筆時点での関税率となります。
ネクタイ(編)の関税率 | |||||
基本税率 | 暫定税率 | WTO協定 | 特恵関税 | 特別特恵 | 経済連携(EPA) |
11.2%~ | 8.4 % | 無税 | 無税 |
ネクタイ(織)の関税率 | |||||
基本税率 | 暫定税率 | WTO協定税率 | 特恵関税 | 特別特恵 | EPA |
13.4 | 8.4 | 一部無税 | 無税 |
まとめ・ネクタイは、EPAを活用して輸入するべき
上記の関税率表をご覧になるとわかる通り、WTO協定税率で8.4%もの関税が発生します。これは、日本の国内消費税と同程度の率が設定されていることになります。しかし、表の右側をみると、EPA欄が無税になっていることがわかります。ネクタイの輸入関税は、EPA締約国を原産国とする商品には関税が「無税」となります。
2016年々現在、日本は、オーストラリアを含めて16の国と地域でEPAを締結しています。これらの国を原産国とするネクタイであれば、有利な条件で輸入ができます。特にタイ、ラオスなどでは、絹製のネクタイをよく見かけました。この二か国で日本人ビジネスマンが好みそうなネクタイを探してみてはいかがでしょうか。特にラオスは、絹製品がとても有名です。