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航空輸送の出荷手順|MAWB/HAWB・重量計算・通関・危険物・輸入側まで実務で必要な内容を整理する
航空輸送を担当するときに必ず理解しておくべき項目は、出荷フロー・書類・重量計算・通関・危険物・カットタイム・輸入側の流れです。どれか一つでも抜けると、費用のズレ、搭載不可、遅延、現地追加費用などのトラブルにつながります。
ここでは、初心者が迷いやすい部分を避けながら、実務で使う判断材料まで含めて整理します。
航空輸送の全体フロー(出荷〜到着まで)
航空輸送は次の流れで進みます。この記事では、出荷側(輸出)+到着側(輸入)まで一連で理解できるようにしています。
- 予約(ブッキング)
- 集荷または持ち込み
- 貨物の搬入(カットタイムの遵守)
- 輸出通関(NACCS申告)
- 航空会社エリアでの積み付け(ULD搭載)
- フライト(出発)
- 到着後の輸入通関
- D/O(Delivery Order)の受領
- 現地の保税倉庫から引き取り、納品
航空輸送を正しく理解するには、出発だけで終わりではなく、到着側の費用・手続きまで知ることが重要です。
一連の流れを把握したところで、次は航空輸送を支える基本書類について見てみましょう。これらを理解しておくと、責任範囲やトラブル発生時の対応判断がスムーズになります。
MAWBとHAWBの役割(責任範囲を理解する入口)
航空輸送の書類は2種類です。
MAWB(Master Air Waybill)
航空会社が発行。フォワーダーとの契約に使用します。
- 航空会社の責任範囲の起点
- ULD単位でのまとめ書類
HAWB(House Air Waybill)
フォワーダーが荷主へ発行。
- 荷主が持つ書類
- 貨物の明細と責任範囲の判断材料
複数のHAWB → 1枚のMAWBへ集約されます。この構造を理解しておくと、遅延・破損時に「どこまでが誰の責任か」が判断できます。
次に運賃の基礎となる「重量の考え方」に進みましょう。ここで誤ると費用トラブルにつながるため、実務では特に注意が必要です。
重量の考え方(課金重量の誤りはトラブルの原因)
航空運賃は、課金重量(Chargeable Weight) で決まります。以下のうち大きい方を採用します。
実重量(Actual Weight)
計量した重さ。
容積重量(Volumetric Weight)
縦×横×高さ(cm) ÷ 6000 で計算します。
例:
- 実重量:120kg
- 容積重量:185kg → 課金重量は185kg。
正しく申告しないと、現地で追加費用が発生します。
次は現場で最も重要とされる“搬入タイミング(カットタイム)”について確認しましょう。ここが遅れると輸送全体が止まってしまいます。
貨物搬入とカットタイム(実務で最も重要な項目)
航空輸送には「搬入締切(カットタイム)」があります。つまり、出荷する貨物をいつ、いつまでにここに搬入~などの基準とする時間です。
- 便ごとに異なる
- 航空会社・フォワーダーごとに異なる
- 2〜4時間前ということもあれば、前日締切もある

カットタイムまでに貨物の搬入+輸出許可が必要です。
確認方法:
- フォワーダーからのブッキングシート
- 各航空会社のカットタイム案内
遅れた場合の影響:
- その便に載らない(翌便へ回される)
- 保税倉庫費用(1日数千円〜)が発生
- 展示会・工事などの納期に間に合わなくなる
カットタイムを守ることは航空輸送の“最重要”ポイントです。
輸出通関の実務(NACCS申告と書類の内容)
輸出通関では、NACCS(通関システム) により税関へ申告します。必要書類は次の通りです。
インボイス
- 品名
- 単価
- 合計金額
- 取引条件(インコタームズ)
パッキングリスト
- 梱包の内容
- 外装の数量
- 大きさ
- 重さ
原産地証明書(必要な場合)
EPAや特定国向け輸出時に必要です。
該非判定書(非該当証明)
輸出管理上、特定品目が規制対象かどうかを証明します。
書類の誤りは、通関遅延・内容訂正・貨物ストップにつながるため注意が必要です。
危険物の申告(IATA DGRの理解が必須)
航空輸送は危険物管理が最も厳しい輸送手段です。
危険物の分類(例)
- クラス1:火薬類
- クラス3:引火性液体
- クラス8:腐食性物質
- クラス9:その他危険物(バッテリーなど)
必要書類:Dangerous Goods Declaration
正式名称:Shipper’s Declaration for Dangerous Goods
- 荷主(Shipper)が作成
- 品名、UN番号、梱包方法、量、危険区分を明記
- フォワーダーは書類がない貨物を受託できない
申告漏れ=100%搭載不可 です。追加費用(再梱包料・保管料)も発生します。
危険物以外でも、航空機への積み付けにはさまざまな制限があります。次に、実際にどのように貨物が積み込まれるのかを確認しましょう。
ULDへの積み付け(出荷可否の実務判断)
航空会社は貨物をULDに積み付けて機体へ搭載します。
代表的なULD
- AKE(コンテナ型):約 L155×W153×H163cm
- PMC(パレット型):大きな貨物に使用
判断ポイント
- このサイズに入るか
- 重量が制限以内か(約1,500kg前後が目安)
ULDに入らない貨物は、航空便自体が使えません。
出荷側の手続きが完了すると、次は到着地での処理に移ります。ここを理解しておくことで、全体の費用構造や納期リスクを正確に把握できます。
到着後の流れ(輸入側の手続きと費用)
航空輸送は、到着後の手続きまで理解して初めて全体が把握できます。
到着後は次の通りです。
- フライト到着
- 航空会社が貨物を保税倉庫へ移動
- 貨物到着通知(Arrival Notice)
- D/O(Delivery Order)の受領
- 輸入通関(書類審査・税額計算)
- 現地費用の支払い(THC・D/O料など)
- 貨物引取・納品
現地費用は「航空輸入の見積りに含まれない」ことが多いため注意が必要です。
初担当がミスしやすいポイント
- 課金重量の理解不足
- 危険物申告の漏れ
- カットタイムの誤認
- ULDに入らない大きさの見落とし
- NACCS申告の書類不備
- 到着側のD/Oや現地費用を見積りに入れ忘れる
航空輸送の出荷可否を判断する3つの情報
最低限、次の3つがわかれば出荷可否を判断できます。
- 大きさ(縦×横×高さ)
- 重量(実重量)
- 品目(危険物か、温度管理品か)

出荷可否の最終判断はフォワーダーが行います。
航空輸送代はどのように決まるのか?
次の記事では、航空輸送費の基準となるIATAレートと課金重量について説明していきます。
→ 航空運賃の仕組み|IATAレートと課金重量を初心者向けにわかりやすく解説
見積りを取りたい方へ(共通フォーム)
航空輸送の費用は「大きさ・重さ・品目・出発地と到着地」で変わります。
4項目だけで最適ルートの提案が可能です。
要点まとめ
- 航空輸送は出荷〜到着まで一連の流れを理解することが重要
- MAWB/HAWBは責任範囲の判断材料
- NACCS申告と書類内容を正確に準備する
- 危険物はIATA DGRに基づき申告が必須
- カットタイム遅延は即・翌便送りと費用増につながる
- 到着後のD/O・現地費用も実務上重要な要素

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