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輸入の実務手順を理解するための基本ガイド(D/Oレス → 通関 → CY取り → 国内配送)
輸入の仕事を始めたばかりの頃は、専門用語が多く流れも複雑に見えます。しかし実務として押さえるべき流れは、非常にシンプルです。
輸入は大きく分けて…
- D/O取得(現在はD/Oレスが主流)
- 輸入通関手続き
- CY(コンテナヤード)での引き取り
- 国内配送
という4つの段階で進みます。この4点を理解すれば全体像をつかむことができます。
ここでは、商社の新人でも迷わず読み進められるよう、丁寧に順番を整理します。最後に、自社案件の必要作業と費用を確認できる見積りフォームをご案内します。
では、輸入の流れを実際の手順に沿って見ていきましょう。最初のステップは貨物引き渡しの根拠になる「D/O(荷渡し指図書)」です。
ステップ1:D/O(荷渡し指図書)の取得と近年のD/Oレス化
以前は、船会社から紙のD/O(荷渡し指図書)を受け取ることが一般的でした。現在は業界全体でデジタル化が進み、D/Oレス(電子データによる荷渡し手続き)が主流です。紙の受け渡しが不要になったため、港での混雑が減り、手続きのスピードが向上しています。
新人として覚えておくべき重要な点は、D/OやD/Oレスの手続きは通常、通関業者が代行するということです。輸入者自身が港に行って手続きをするケースはほとんどありません。必要書類や手数料の確認は通関業者がまとめて行い、輸入者へ連絡する流れが一般的です。
D/O段階で確認すべきことは、次の3点です。
- B/L(船荷証券)の名義と自社名の一致
- アライバルノーティスに記載された手数料
- フリータイム開始日
これらは後の工程すべてに影響するため、最初に必ず押さえておく必要があります。D/Oの内容を確認・整理したら、次は貨物を国内に正式に入れるための「通関手続き」に進みます。ここでの正確さが、後の工程に直結します。
ステップ2:輸入通関
通関は、貨物を国内に入れて良いかどうかを税関が判断する段階です。必要となる書類は次の通りです。
- インボイス
- パッキングリスト
- B/L(必要に応じて)
- 商品に関連する許可・届出書類(食品・化粧品など)
この段階で特に注意すべき点は、HSコードの誤りです。誤った分類は、追徴課税や修正申告につながることがあります。また、検査が入ると貨物の引き取りが遅れるため、スケジュールに余裕を持つことが重要です。
通関手続きも多くの場合、通関業者が代行します。輸入者は必要書類をそろえ、事前に商品内容を正確に共有することが求められます。税関の許可が下りれば、いよいよ貨物の受け取り段階に入ります。ここでは、港のCY(コンテナヤード)での作業が中心となります。
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ステップ3:CY(コンテナヤード)での貨物引き取り
税関の許可が下りると、次はCYで貨物を引き取ります。ここではFCLかLCLかで流れが変わります。
- FCLの場合:コンテナまるごと引き取るため、シャーシやトラックの確保が必要です。
- LCLの場合:CFS倉庫でデバン済みの貨物をピックアップします。
CYの受付時間は港ごとに厳格で、締切時間を過ぎると当日引き取りができません。また、コンテナの返却が遅れると、デマレージ・ディテンションと呼ばれる追加費用が発生します。これらは新人が見落としやすいポイントです。
港で貨物を引き取ったあとは、国内の最終目的地まで届ける「配送手配」があります。ここでも費用や時間の管理が重要です。
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ステップ4:国内配送
最後の工程は、貨物を国内の倉庫や工場へ配送する段階です。確認すべきポイントは次の通りです。
- トラックの車両サイズ
- フォークリフトの有無
- 荷受け可能時間帯
- 立ち会いが必要かどうか
工場や倉庫は時間指定が厳格であるため、配送スケジュールの調整を正確に行う必要があります。また、荷受け不在や準備不足があると、再配や追加料金が発生するため注意が必要です。
ここまでで輸入業務の流れを理解できましたが、実務を安定して回すには“費用とリスク”の構成を押さえることも欠かせません。
実務で必ず押さえる費用とリスクの基本
輸入では、運賃以外にも多くの現地費用が発生します。新人の段階でここを理解しておくと、金額差の理由を正しく説明できます。
主な現地費用:
- THC(港での取扱い費用)
- CFSチャージ(LCLの場合)
- DOC Fee(書類発行費)
- AMS/ENSなどの事前申告費用(航路により異なる)
支払う主体はインコタームズにより変わります。FOBなら輸入者側が多くを負担し、CIFなら仕入れ価格に含まれます。
B/Lの種類とリスク:
- オリジナルB/L:紛失時は再発行に時間がかかる
- サレンダーB/L:電子で処理でき、到着後の手続きが早い
- Sea Waybill(SWB):最もD/Oレス化と相性が良く、紙の受け渡し不要
フリータイムの具体的な影響
フリータイムを超えるとデマレージやディテンションが発生します。金額は港や船会社により異なりますが、1日あたり数万円に達することもあり、放置すると大きな追加費用になります。
関税・輸入消費税の支払い方法
- 現金納付
- ダイレクト納付(口座振替)
- 包括担保での月締め合算
貨物保険の取り扱い
CIF条件なら売主側の保険が適用されますが、補償範囲は限定される場合があります。損害が疑われる場合は、到着時の写真記録とフォワーダーへの即時連絡が必要です。
各工程の費用構成と注意点を理解したら、次は実際の現場で起こりやすいミスを確認しておきましょう。
新人が特につまずきやすいポイントまとめ
輸入実務では、次の点でトラブルが起こりやすい傾向があります。
- B/L名義の不一致
- フリータイム切れ
- HSコードの誤り
- トラック手配の遅れ
- 工場の搬入ルールの確認不足
これらはすべて追加コストや納期遅延につながります。慣れるまではチェックリストに落とし込みながら進めると安心です。これらの注意点を踏まえれば、輸入手配の流れを大きく誤ることはありません。最後に、自社貨物に当てはめて必要作業と費用を整理してみましょう。
最後に:あなたの案件の必要作業と費用を簡単に確認できます
ここまでの流れを理解できれば、輸入の全体像は十分つかめます。ただし、実際の費用や必要な作業は、港・貨物の種類・FCL/LCL・納品先条件によって大きく変わります。新人の方ほど、自社案件に必要な手続きと費用を一度整理して把握することが重要です。
以下の国際輸送見積りフォームでは、基本項目を入力するだけで「必要作業のセット」と「概算費用」がすぐに確認できます。ぜひ活用してください。

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