外国税関の事前教示制度(Advance Ruling System)対応状況

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    「自社の商品を相手国へ輸出すると、いくらの関税がかかるのか?」この疑問に答えてくれる仕組みが事前教示制度(Advance Ruling System)です。事前教示制度には、日本税関による事前教示示度と、外国税関による事前教示があります。

    • 日本税関による事前教示制度は、日本へ輸入するときの関税率(輸入するとき)
    • 外国税関による事前教示制度は、外国に輸入されるときの関税率(輸出するとき)

    この記事では、2つめの外国税関による事前教示制度について説明していきます。なお、日本税関の事前教示制度について知りたいときは「事前教示制度とは?」をご覧下さい。

    外国税関の事前教示制度(Advance Ruling System)

    外国へ商品を輸出するときは、相手国で「どれだけの関税がかかるのか?」を知ることが重要です。一つ100円相当の物を輸出したときに、それが130円になるのか? それとも150円になるのかは、価格競争上、大きな影響があるからです。

    事前教示制度とは?

    事前教示制度とは、ある国に商品を輸入(輸出)するときに「対象の商品の関税率は、どれだけになるのか?」を輸入する国の税関に判断してもらうことです。もし、あなたが輸出者であるときは、多くの場合、あなたの相手(輸入者)が現地の税関に関税率を聞くときに活用します。

    例えば、あなたは、輸出者だとします。製品Aを製造後、それをB国へ輸出しようとしています。あなたの製品AがB国へ輸入されるときは、多くの場合、関税がかかります。関税は、品目ごとに細かく決まっています。そのため、商品Bがどこに分類されるのかによって、支払うべき関税が大きく変わります。

    仮のお話として、現地の税関が….

    製品Aに該当する物は、関税率を5%

    製品Aではなく、Bに該当する物は関税率を10%にする

    と決めていたとしたら、いかがでしょうか?  輸出の計画をしているときは、関税率が5%だと計算していたのに、輸入時に「この商品はBである」と判断を下されてしまうと、コスト計算が合わなくなってしまいますね。そこで、このようなことを防ぐために、事前教示制度を使います。

    事前教示制度を使えば、輸入する前に、現地の税関による商品分類の見解を書面で聞くことができます。また、この事前教示に対する回答は、現地の税関を拘束する力を持っているため、輸入するときに税率が変わることはありません。輸入時に事前教示制度の回答書を一緒に提出すれば、実際に輸入するときに担当する税関職員の見解によらず、予定通りの税率で輸入ができます。

    事前教示制度は、輸入国における「商品分類」に関する見解のブレを防ぐ制度です。また、事前教示の回答書は、現地税関職員を拘束する力を持っています。

    どのようなときに使うの?

    事前教示制度は、現地の税関による見解のブレを防ぐために重要です、特に、以下の2つのケースでは、この事前教示制度を必ず活用したほうが良いです。

    1. 貨物を輸出するとき
    2. EPA輸出をするとき

    1.貨物を輸出するとき

    ご存知の通り、関税は、輸出する商品の全体価格に対してかかります。

    例えば、インボイス価格が10万円の物を輸出するとして、関税率が10%であれば、納めるべき関税は、1万円です。一方、インボイス価格が1000万円のとき、関税率が5%であれば、いかがでしょうか? 納めるべき関税は、50万円にも及びます。要は、インボイスの価格が高くなればなるほど、わずかな関税率の差が大きな関税額の違いになります。

    もし、輸出する商品が高単価の物であれば、間違いなく事前教示制度を活用することをお勧めします。

    2.EPA輸出をするとき

    EPA(自由貿易)を活用して輸出するときは、相手国における商品分類が重要です。具体的には「あなたが輸出する商品のHSコードは、現地税関において何番に当たるのか?」を事前教示制度で確認します。輸入者側の税関でHSコードを調べることにより、EPAを活用するときに必要になる特定原産地証明書正しく取得できるようになります。

    事前教示制度は、1と2どちらの場合も輸入者側が行います。もし、輸入者に事前教示を伝えるときは「Advance Ruling System」と言いましょう。

    事前教示できる内容

    事前教示により得られる内容は、以下の4つです。

    1. 関税分類
    2. 関税評価基準
    3. 原産性の判定(協定における原産品の条件を満たすのか?)
    4. EPAの締約国が決定するその他の事項

    外国税関と事前教示制度

    それでは、外国における事前教示制度は、どのような状況であるのかをご紹介していきます。実は、2017年2月22日にWTO協定の一部に「貿易円滑化協定(通称・TFA)」が追加されました。貿易円滑化法案とは、諸外国税関における様々な障害を取り除き、スムーズな通関を実現することにより、世界の成長と無駄の排除を目指すものです。この貿易の無駄をなくす具体例に「Advance Ruling」が規定されています。

    貿易円滑化協定によて「○○国の税関には、Advance Rulingはあるの?」という不明な部分がクリアになりました。そこで、この記事では、2018年8月現在、Advance Rulingに対応している国をご紹介させていただきます。なお、この表に掲載されていない国(=先進国)は「Advance Ruling」に対応していると考えればいいです。

    EUアメリカインドインドネシア
    オーストラリアオーストラリア税関カナダカンボジアシンガポール、シンガポール税関
    タイ、タイ税関中国チリニュージーランド
    バングラデシュフィリピンブルネイ、ブルネイ税関ベトナム
    ペルー、ペルー税関マカオマレーシアミャンマー
    メキシコモンゴルモンゴル税関ラオス香港
    台湾大韓民国インド税関スイス税関

    TPP加盟国の事前教示制度

    以下、TPPにおける事前教示制度の仕組みは、次の通りです。

    回答にかかる所要時間

    事前教示制度は、可能な限り迅速にして、最長でも150日以内に回答しなければならないと決められています。ただし、この期限は、下記の注意点でも示す通り「輸入国税関が必要とするすべての資料を整えたとき」からカウントされます。判断するための資料が整っていなければ、判断ができないからです。

    有効期間と効果

    事前教示制度は、輸入国側の税関が書面などで対象のHSコードや原産性などを正式に回答するものです。したがって、事前教示制度で回答を得られたら、実際の輸入時は、回答通りのHSコードで輸入ができます。事前教示制度の有効期間は、最低でも3年間です。

    事前教示制度の注意点

    実際に事前教示制度を活用するときは、次の2つの注意点があります。

    1. 輸入国が要求するすべての資料を提出する
    2. 教示内容は、第三者が確認できる場に公開される可能性がある。

    先ほど述べた通り、輸入国側の税関は、事前教示制度の回答をできるだけ迅速に行うと規定されています。しかし、この規定は「判断するべき資料がすべてそろっていること」が前提条件です。判断するべき資料は、現物、現物の原材料を示す原材料リスト、製造工程を示す書類など様々です。輸入国側の税関から何かしらの要求があったら、なるべく早く資料を提出しましょう。

    また、事前教示制度の回答内容は、重複した回答をさけるため、広く一般に公開される可能性があることも留意します。日本でも「事前教示回答事例」で広く公開されています。

    国名TPP情報関税率とHSコードの案内事前教示情報
    オーストラリアTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    ニュージランドTPP情報関税率HSコードの検索事前教示制度
    チリTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    カナダTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    シンガポールTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    ベトナム関税率/HSコードの検索事前教示制度
    メキシコTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    ペルーTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    マレーシアTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度
    ブルネイTPP情報関税率/HSコードの検索事前教示制度

    まとめ

    • 外国の税関が事前教示制度に対応しているのかは「貿易円滑化法案(TFA)の中で決められています。
    • 日本と関係が深い国には、多くの国ですでに事前教示制度に対応しています。
    • 事前教示制度は、高単価の物を輸出するとき、またはEPAを活用するときに重要な仕組みです。
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    この記事の執筆者
    HUNADE

    貿易サイト「HUNADE」の代表。通関業者で勤務した経験をもとにして「もっと貿易を身近に。」をミッションに活動中!難しい貿易をできるだけわかりやすく解説し、貿易の一助になることが目標。基本的には、東海地方に住みながら国内各地、海外などでも活動し、できるだけ柔軟な発想を維持できるように努力しています!

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