アパレル輸入ビジネスを始めるなら東南アジアがお勧めな理由

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ひと昔前、中国アパレル輸入全盛の時代がありました。あれもこれもと「Made in China」が氾濫していました。しかし、何年か前から少しずつ「Made in Vietnam」や「Made in Bangladesh」など、他のアジア諸国を原産とする製品を目にすることが多くなりました。一体、アパレルはどのような流れになっているのでしょうか。中国輸入ビジネスは終わったのでしょうか?

アパレル業界は脱中国化の流れが加速

「アパレルの輸入販売をしている」と語る人は、間違いなく中国輸入ビジネスを行っています。しかも「某仕入れサイト」で格安で購入して、日本で販売する方法です。彼らの販売先は、日本のオークションやフリマアプリ、楽天やアマゾンなどで人それぞれです。中には「B TO B」のようにしっかりとした輸入ビジネスを行っている人もいますが、それは稀な方です。

このようなビジネスは、低資本で誰でもすぐに開業ができるものであるため、どうしても値段だけの「不毛な争い」になりがちです。つまり競合だけが多いビジネスモデルです。

例えば、アマゾンで販売されている売価3000円程のワンピースがあります。このような商品は、中国仕入れサイトで100円ほどで販売されています。私が少し調べただけでも、このような「価格差がある商品」を見つけることができるので、中国輸入ビジネスを行う人は、さらに「価格差がある商品」を見つける力が必要になると予想できます。

これでは貿易というより「ただの価格差見つけゲーム」です。中国でのアパレル仕入れ先は出尽くした感があり、商品が売れてもすぐに他社が参入してきてしまう。だから、また次の「価格差がある商品」を探して販売することが繰り返されているだけのように感じます。

これでは安定的な輸入ビジネスを続けることは難しいです。特にこれから輸入ビジネスを始める人は、このような市場へ飛び込むべきではありません。もっと魅力がある東南アジアという市場を目指すべきです。

中国とアセアン諸国との輸出入額の推移

下の図をご覧ください。これは財務省統計局(税関で取り扱った情報を資料にまとめたりする所)が発表している「輸出入額の推移」、特に衣類・繊維製品分野における中国とアセアンの年代別の推移をグラフ化した物です。

緑色のグラフは、アセアンの衣類分野のデータを表します。2010年を起点として急激に伸びていることが分かります。この理由はいくつか考えられますが、一つとして日本とアセアン諸国との経済連携が考えられます。(2008年12月ごろから順次発効)

中国アセアンシフト-HUNADE

経済連携は、特定の国や地域と経済的な協定を結んで、お互いの関税を「撤廃または低率」にすることを約束するものです。つまり、今まで10%や20%などという関税がかかっていた製品が「一気に」または「ある一定年数をかけて」関税がゼロです。

例えば、一回の輸入につき100万円相当を取引しているとします。仮に10%の関税がかかっているのなら、関税だけで10万円を支払わなければなりません。この関税部分がゼロになったとしたら、大きなインパクトがあります。輸入は、数パーセントの関税率の違いが大きな違いになるビジネスです。このような中で関税がなくなることの魅力を決して無視すべきではありません。

2010年ごろから急激にアセアン諸国からの輸入が増えているのも、このEPAの影響だと考えられます。逆に中国からの衣類の輸入は2013年度ごろを境に下降傾向にあることがわかります。

通関の取扱件数からも東南アジアへのシフトを感じる

中国から東南アジアへシフトしている動きは、取り扱う通関件数からも感じ取ることができます。ここ最近、とにかく中国からのアパレル輸入が減る一方、東南アジア・他のアジア諸国からのアパレル輸入が伸びています。

特にベトナムやインドネシア、バングラデシュからの品物が急速に伸びています。私の知っている会社も中国で10年以上も取引をしていたのに、全面的にベトナムへ移動しました。中国からアセアン諸国へ移動している理由は、次の二つが考えられます。

1.アセアン諸国の割安な人件費

2.EPAを活用した関税が優遇された輸入ビジネスができる。

理由1:アセアン諸国の割安の人件費

以下の資料は、第23回アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2013年5月)の記事で紹介されているジェトロさんの資料です。この資料はアジア・オセアニア地域での人件費をグラフにしたものです。グラフの下部を見ると、青色の線と赤色の線があります。青色の線は主に中国の各都市を指していて、赤色の線はアセアンの各都市です。

hunadeのサービス

このグラフからも中国の人件費がアセアン諸国と比べて決して安くないことがわかります。いえ、むしろ全体的に高いといえます。安い人件費が魅力の中国でしたから、もはや人件費的な旨みはあまりないことが客観的なデーターにより明らかです。

アセアン賃金表

理由2:EPAによる関税が優遇された輸入ビジネスが可能

先も述べた通り、日本は特定の国や地域と経済的な連携を行う「経済連携協定(EPA)」を締結しています。この協定は「相互に存在する関税などを撤廃または限りなく低率」にして、お互いの経済成長を促すことを目的としています。

日本は、2008年にアセアン諸国とEPAを結んだことにより、今まで関税が高い分野、例えば繊維製品などの関税が大幅に引き下げられたり、無税になったりしています。先に述べた中国における人件費の上昇という側面とともに、EPA発給による関税メリットによって、中国からアセアン諸国へと移動しているといえます。

では、現在の中国とはどのような関税ルールがあるのでしょうか。以下の画像は「ハンカチ」に適用される関税表です。

関税-hunade

赤枠は、WTO協定と呼ばれる関税区分で、青枠は経済連携協定(EPA)を結んでいる国々の関税区分です。

中国からの製品は赤枠のWTO協定の区分が適用されます。ハンカチは、中国以外の国からの産品であれば、特恵関税を適用できます。しかし、中国からのハンカチには特恵関税から除外されるリスト」に入っていため、WTO税率が適用されます。一方、東南アジア諸国からの製品は、青枠の経済連携協定税率(EPA)の経済連携協定の「無税」が適用されます。

ハンカチを輸入するときであれば、中国商品は、6%~9%ほどの関税がかかります。一方、経済連携協定(EPA)=アセアン諸国の商品は、無税で輸入ができます。このようにEPAを結んでいるかどうかだけで、輸入品にかかる関税率が大きくかわります。2018年現在、日本と中国はEPAを結んでいませんので、中国製品については一般の特恵関税制度が適用されるのみです。

EPAは、他の関税制度より、かなり優遇されています。しかし、EPAはさまざまな事情を考慮して結ばれる物であるため、日本と中国という巨大な経済体同士が簡単に経済連携できるとは思えません。また、経済以外の国民的感情の分野でも、その実現はかなり困難であると推測ができます。この事実をふまえると、中国製品から東南アジア諸国に移行しても不思議ではないです。

これからのアパレル輸入ビジネス

先ほど述べた通り、中国のアパレルを輸入して販売するビジネスは、終わりの方向へ向かっています。それは、財務省統計局のデーターを見ても明らかです。

これらの事実をふまえて考えると、これからのアパレル輸入ビジネスは、東南アジアから仕入れることが主流になると考えます。これは中国の人件費の上昇やEPAによる関税優遇政策から判断することができます。また、逆に日本の「型落ちした新着アパレル」を東南アジアの有望な市場に売り込むこともできるはずです。日本と東南アジアの気候差からヒントを得るような製品なども開発ができます。

これから中国のアパレルを輸入するビジネスを始める人は、中国ではなく、アセアンで始めるようにしましょう!

まとめ

人件費が安い中国で生産をして外国へ輸出するビジネスは、少しずつ崩壊していきます。これは、経済的な分野だけではなく、やはり国民的感情も深く関係しています。今まで国民的感情のぶつかり合いがあったとしても「安い人件費」のメリットがそれ以上にあり、盛んに中国に進出しました。

しかし、この記事でも述べた通り、中国国内の人件費の上昇、EPA制度確立による中国製品の関税的な魅力の低減によって、もはや全く魅力がない国になったように感じます。日本企業はつかず、離れず一定の距離を保ちながら、アセアン諸国へアパレルビジネスをシフトするべきだと考えます。

基幹記事:東南アジアのトビラ

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