ボードゲームの輸出入チャンス 東南アジア製品も良い!?

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ゲーム市場はデジタルが席巻しているものの、近年見直されたボードゲームは、人気と需要が増加中だ。ボードゲームは、専用のボード上で駒やカードを使う対面式のゲームだが、デジタルデバイスとは違う魅力があることから大人向けの需要が増加し、静かなブームとなっている。報告では、玩具市場全体よりも成長率が高いと言われている。

2020年は供給網の混乱があったものの、自宅に籠るファミリー層の需要が世界的に増加し、特に学校の閉鎖によって、教育目的のボードゲームのオンライン販売が世界中で18%増加したという。

ボードゲームは広いターゲット層に向けて、多様なテーマのゲームが開発されている。伝統的なボードゲームから、人気ビデオゲームやドラマをテーマにした製品などのエンタテインメント系は揺るぎない人気がある。そして近年は特に、環境問題・金融・少数民族・各国料理など大人も子どもも学べるゲームなどの教育系ゲームが種類を増やしている。

もちろん、海外ゲームは翻訳の必要がある。ローカライズ版の制作は、著作権の購入、翻訳・制作費用などのハードルがあるが、その必要のないゲームも多く存在する。子ども向けだったり、イラスト中心にデザインされたものは遊び方マニュアルの翻訳だけでも遊べるし、コレクターをターゲットにできる意匠の凝ったゲームもあり、輸入チャンスを狙うことは十分にできるだろう。

欧米製ゲームはすでに世界的な輸出網を獲得していて、日本にも輸入されている製品が多い。一方、アジアでも優れたゲームは制作されているにもかかわらず、注目されているとは言い難い。アジア製品は日中韓が市場で存在感を示しているが、ここでは盲点とも言える東南アジアの製品とトレンドを中心に紹介したい。

各国の伝統がゲームに ”楽しく学べる”のがトレンド

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タイ:教育ゲームが普及、木工クラフトが欧米で人気

タイでも10年ほど前からボードゲームが見直されてきた。オンラインコミュニティが発達するとともに、2009年にバンコクで開店したボードゲームカフェの盛況ぶりがその需要を可視化させた。そして2018年には全国ボードゲーム選手権「BANPU B-SPORTS THAILAND」が開始した。この大会は、ボードゲームで競いあうコンペティション、新作デザインコンテストなど、プレイヤーや製作者ともにボードゲームの裾野を広げることに貢献している。

タイ製のボードゲームはエンタテインメント製の高い製品も数々あるが、近年、教育目的のゲームが注目されている。BANPUでは、大学生チームらが開発した、持続可能なスマートシティを設計するゲーム「CO-BLOC」や、投資家が再生可能エネルギー発電所を設立するためのシミュレーションゲーム「エネルギースタートアップ」が受賞している。また、民主主義を教える「SIM Democracy」は、タイの選挙委員会によって学校に提供されている。このような社会的課題を取り上げたゲームは、タイだけでなく各国で独自に開発が進んでいる。

一方、タイのデザイナーWaraporn Khamsukが制作した、木製ハンドクラフトのゲームが欧米で人気だ。陣地取りゲーム「Strategy Square」や推理ゲーム「Code Breaker」、「数独」など二人用ゲームのライナップが豊富で、見た目の美しさもさることながら、言語によるハードルがないことが大きいようだ。

フィリピン:神話が題材のゲーム コレクターにも高評価

フィリピンでもボードゲームカフェが盛況だ。2016年からマニラで増え始めている。人気ゲームは欧米製だが、安価なフィリピン製も多く開発されている。毎年4月に開催される「デザインウィーク・フィリピン」では地元のボードゲームデザイナーによるイベントも設けられるほどだ。フィリピン製品は、国内の神話や軍隊をテーマにしたローカル色の強いものから、子どもが遊べる製品まで多岐に渡る。

なかでも、デザイン製が高くコレクターからも評価が高いのが「Lagim」だ。フィリピンの民間伝承と神話を元にしたカードゲームで、中世ゴシックをモチーフにしたボード、カード、コインのデザインは国内外で話題となり、若者がフィリピンの神話を知るきっかけにもなっているという。このように、物としての魅力があるボードゲームは、輸入品として日本でも十分に受け入れられるだろう。

シンガポール:インスタ映えのおしゃれなデザイン

シンガポールでもボードゲームプレイヤーによるオンラインコミュニティが数々存在する。プレイヤーはオンライン上でも遊べるが、依然として、実際のボードゲームを使って音声チャット等で楽しむ人口も多いという。

多分化社会でもあるシンガポールでは、食の文化をテーマにしたゲームが数々発売されている。ビールやコーヒーなどの飲料をテーマにした「珈琲王(Kopi King)」、インスタ映えしそうなおしゃれなデザインで月餅ビジネスを学べる「月餅マスター」、最高のラーメンを調理する「Ramen Fury」など、ユニークなものが多い。

また最近話題となっているのは、渡り鳥が移動中に体験する様々な試練を体験する「Fly-A Way」だ。プレイヤーが渡り鳥となり、22カ国を通り、密猟者、山火事、窓への衝突などの脅威を体験するゲームで、ボードやカードのイラストが美しく、こちらも物としての魅力に溢れている。

ベトナム:人目を惹く伝統デザインがヒット

ボードゲーム開発会社「Ngu Hanh Games」はボードゲームコミュニティで有名な夫婦が設立した企業だ。同社を成功に導いたのは、17世紀の貿易都市ホイアンを舞台にした「ホイフォー」で、現代版の百人一首のようなカードを備えた、美しいデザインのゲームだ。これは東京ゲームマーケット2019秋でも展示された。そのほか、二人が最初に開発・販売した、料理をテーマにした「Len Mam」は子どもでも遊べるゲームで、「ホイフォー」の成功のあと復刻された。

アメリカ:スタートアップのユニーク製品

アメリカでも近年、「デジタルデトックス」を求める層の増加とともに人気が高まり、ボードゲーム専門店やボードゲームカフェが急増している。ロックダウン中には、これらの店舗が、ゲームの配達や古いゲームの回収などのオプションサービスを展開するなど、需要の多さを物語っている。

ご存知のように、アメリカ製のボードゲームの種類はテーマやターゲットが多様だ。例えば、有名老舗ゲーム「モノポリー」は、世界各国でさまざまなバージョン展開がされており、タイのプーケット島やシンガポールを舞台にしたもの、ロックミュージシャンをテーマにしたものもある。

一方で、多くのスタートアップもユニークなゲームを開発している。「Arcade 1 Up Infinity」は、かつて日本でも喫茶店にあったようなデジタルの卓上ゲーム台だ。wifiにつなげてゲームをダウンロードできるので、テーブル上のモニターで複数人で遊ぶことができる、オンラインとオフラインが融合したゲームだ。また、7歳以上の子どもがいる家族向けに開発された「Shroom Shroom」は、きのこビジネスをシュミレーションするゲームで、お金のレッスンができる教育的要素が話題となっている。

まとめ

アメリカのジャーナリストによると、ボードゲームはストレス解消や不安の緩和などメンタルヘルスに良い影響を与えることが報告されている。また、設置が簡単で、誰もが理解できるルールで、特に社会性があるという点が、大人にも見直され、ビデオゲームという巨大マーケットに負けない理由のようだ。

近年は、そういったボードゲームの特性を活かし、環境問題、金融、政治など、社会的メッセージをテーマにした教育目的のゲームが多く開発されている。内容がローカルに根付いた製品ではそのままでは輸入しづらいものもあるが、グローバルなテーマだったり、翻訳のハードルが低いものであれば、十分に需要を掘り起こせるはずだ。教育的要素の強いゲームは、家庭だけでなく、学校や地元コミュニティなど、需要の裾野が広い。

また、アジア製のゲームは地元文化を活かしたテーマとデザインが多く、すでに多くの人々を惹きつけている。ゲームを通して旅行体験を提供するという切り口や、子ども向けの教育ツールとしても、十分にビジネスチャンスを切り開くことがができるのではないだろうか。

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この記事の参考サイト/h4タグ

  • Globe News Wire, The Board Games Global Market is Expected to Grow at a CAGR of 13% Between 2021 to 2026
  •  The Nation Thailand, Excited about board games
  • BANPU, LET NEW-GEN TALK ABOUT ENERGY SUSTAINABILITY.
  • BK Asia, The board games that could shape Thailand’s future.
  • Novica, Waraporn Khamsuk
  • Philippines Tatler, Diversity of Philippine Design Takes Centre Stage In Design Week Philippines 2019
  • CNN Philippines, 8 Filipino-made board games for your next game night
  • The Straits Times, Board gaming goes online
  • Toytag, Salivate over the Multicultural food Diversity of Board Games
  • Mothership, S’pore team spends over 1 year to create board game on ‘drama’ of bird migration, good for 2-4 players
  • US News, What’s Old Is New: Board Games Can Be a Lifeline in Lockdown
  • Cool Things, Arcade1Up Infinity Game Table Is A Giant Tablet For All Your Tabletop Gaming Needs
  • Trend Humter, ‘Shroom Shroom’ Family Friendly Card Game Teaches Money Lessons
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