「貿易保険」輸出代金の回収リスクを小さくする方法

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輸出ビジネスは、代金の回収に大きな不安があります。取引相手が倒産したり、代金の支払いを拒否したりすれば、売り上げの拡大どころか損失です。このリスクを小さくするのが「貿易保険」です。貿易保険は「取引自体」を補償する保険です。具体的には、相手先の倒産による代金回収の不能、相手先の国が戦争状態なることによる代金回収リスクなどに対応しています。そこで、この記事では、貿易保険の仕組みと概要、NEXIの貿易保険をご紹介します。

貿易保険を活用して取引のリスクを下げましょう!

貿易には、様々な保険があります。貨物自体にかける「海上輸送保険」、輸入した貨物による事故に対応する「PL保険」などです。貿易保険は、これらの保険の総称だと思いがちですが、全く別物です。貿易保険は「貿易取引自体」のリスクを軽減するための物です。

一体、貿易取引自体のリスクとは、どのような物なのでしょうか? 順番に確認していきましょう。

貿易における危険(意味)とは?(リスクの種類)

貿易取引をする上では、次の2つのリスクがあります。

  1. 非常危険
  2. 信用危険

1.非常危険とは?

非常危険には、輸出者や輸入者の責任外の所で発生するリスクです。

例えば、戦争や政変、大災害に加えて、輸出相手国の禁輸措置、急激な関税の引き上げ、為替取引の停止などがあります。これらの影響により貿易取引できなくなる。もちろん、代金の回収も難しいです。いわゆる「不可抗力:ふかこうりょく」の部分も補償してくれます。

2.信用危険とは?

相手が倒産や代金を支払えないリスクです。貿易保険を使う上での一番の理由です。

貿易保険の目的は、この「非常危険」と「信用危険」のリスクを小さくすることです。では、海上保険とは、何が違うのでしょうか?

海上保険と貿易保険の違いとは?

貿易保険の補償対象は「決済(代金のやりとり)に関する部分」です。一方、海上保険は「貨物そのものに関する補償」です。

それでは、一例を見ていきましょう。輸出者Aさんと輸入者Bさんが取引をしています。A国からB国へは、コンテナ船を使って輸送する計画を立てています。無事に契約もまとまり海上保険と貿易保険のどちらもかけています。

1.船積み前に自然災害により事故発生

コンテナ船に船積みをする前に、コンテナヤードごと自然災害に遭ってしまった。もちろん、輸出貨物も全滅してしまい、輸出自体が不能になってしまった。このような場合は「貿易保険」が対応します。

2.海上輸送中に事故発生

コンテナ船は、A国を出港してB国へ向けて進んでいます。ところが台風の影響によって船が沈没してしまいました。この状況の場合、補償されるのは「海上保険」です。沈没した貨物そのものへの補償であるからです。

3.取引後の代金回収時に事故発生

コンテナ船は、A国を出港して無事にB国へと到着しました。しかし、相手先の企業が倒産したことにより、代金を受け取れなくなってしまいました。このままでは、輸出取引がすべて損失です。これは、「貿易保険」が補償です。

4.投資先の国でカントリーリスクが発生した。

例えば、ある国で投資をした。しかし、突然、現地政府の方針が変更されたことで、投資した物の資産価値がなくなってしまった。このような場合も「貿易保険」が対応します。

■貿易保険の主なカバーエリア

  • 船積み前のリスク
  • 貨物代金のリスク
  • 現地の投資のリスク

次に貿易保険には、どのような種類があるのかを確認します。

貿易保険の種類とカバー範囲

貿易保険には、カバーする範囲によって、いくつかの種類があります。一般的には「貿易一般保険」を選ばれる方が多いです。一般的に懸念されるリスクをすべてカバーしているため安心です。この一般保険には、個別保険と包括保険の2種類があります。

個別は、取引ごとに加入する保険です。包括は、頻繁に海外取引をする企業が、一定期間内に行う全ての輸出契約をカバーする物です。どのような保険を選ぶにしても、自社の輸出状況と希望するカバーエリアから検討することをお勧めします。以下は、貿易保険の一覧です。種類ごとにカバー範囲が細かく異なっています。

種類カバー範囲
貿易一般保険船積み不能、運賃や保険の増加、代金の回収不能など
限定設定型保険 特定のバイヤーと繰り返し取引するときに利用する保険 代金回収不能
輸出手形保険船積み後の為替手形不渡りの損失
中小企業輸出代金保険中小企業の定義に当てはまる輸出取引の船積み後の代金回収
前払い輸入保険前払いした料金の回収不要(輸出者倒産など)
海外投資保険外国政府の政策変更や戦争などによる損失
海外事業資金貸付保険海外への貸付の償還不能

参考:NEXIホームページ

貿易保険を取り扱っている機関

貿易保険を販売している機関は、政府系と民間系の2つです。基本的には、政府系の「日本貿易保険」を使えばいいです。しかし、海外におけるバイヤーの審査などが厳しい傾向にあります。その場合は、民間が販売している貿易保険を検討します。この記事では、日本貿易保険について詳しくご紹介していきます。

政府系貿易保険:株式会社 日本貿易保険

民間系貿易保険:AIU保険

日本貿易保険とは?

日本貿易保険は、日本政府の資金で運営されている所です。日本政府が資金面でのバッグアップをしているため、万が一のときでも安心です。日本貿易保険のサービスを受けられる人は、次の2つの条件を全て満たす方です。逆にいうと、この2つの条件を満たせば、日本法人でも外国法人でも利用できます。

  1. 日本国内に居住していること
  2. 活動の基盤が日本にあること

日本貿易保険を利用するには?

日本貿易保険を利用するには、商品の売り手が買い手の情報を日本貿易保険へ登録しなければなりません。これを「海外商社登録」と言います。売り手によって、商社情報が登録されると、直近二年間におけるバイヤーの財務諸表が調べられます。この結果によって格付けが行われて、支払う貿易代金が決まる仕組です。

日本貿易保険利用するときの3つの確認ポイント

実際に日本貿易保険の検討を考えるときは、次の3つの手順で順番に検討していきます。

1.カントリーリスクを確認

まずはカントリーリスクを確認します。カントリーリスクとは、相手が所属する国レベルで危険であるのか?ということです。残念ながら、カントリーリスクがある国と取引をする場合、貿易保険を適用できません。貨物がなくなる可能性が高いこと、代金の回収が非常に難しいからです。

2.保険を引き受けてくれる地域を確認

カントリーリスクで問題がなければ「地域レベル」で確認します。以下の画像のように、国ごとに引き受け可能かどうか細かく決められています。

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3.相手の信用情報を確認

カントリーリスクもなし、地域レベルでもOKであれば、初めて相手の信用がどうなのかを確認します。確認方法は、次の通りです。

  1. 利用者登録
  2. 海外商社登録

1.利用者登録

輸出者が貿易保険を利用するために利用者登録をします。日本貿易保険に「貿易保険の利用者名登録依頼書」を提出します。登録が完了すると、保険利用者コード(シッパーコード)が発行されます。これで登録は完了です。次は、バイヤーを登録します。

2.海外商社登録手続き

輸出者として利用者登録が完了したら、次にバイヤーを登録します。輸出する先のバイヤーが「海外商社名簿」に登録されていない場合は、新しく登録します。保険利用者登録書に、1で取得したシッパーコードを記入した上で、相手の信用調査書と一緒に提出します。

信用情報の結果、相手先の企業は、次の四つのいずれのランクに判定されます。

ランク意味
EEその国を代表とする一流企業
EA
EFその他の一般企業(最も多いゾーン)
EC保険を掛けられないリスク企業

基本的にバイヤーに関する信用調査書は、自社で用意します。もし、NEXIに信用調査をお願いするときは「一件6千円~1万円前後」の費用を支払うことで可能です。ただし、中小零細企業の場合、この調査費用は、月8件まで無料です。

貿易保険の補償割合と保険代金は?

最後に貿易保険をかけることで、有事の際、補償される額と、貿易保険代金自体の掛け金を説明しておきます。貿易保険を掛けた上で、相手先が倒産した場合は、次の割合で補償されます。

  • 船積み前のカントリーリスク=60%~95%
  • 相手方の倒産リスク=60%~80%
  • 船積み後の代金回収リスク=97.5%

貿易保険の掛け金の目安

貿易保険の掛け金は、輸出先の国や相手先もよりますが、契約金額代金の「1%~1.5%ほど」です。(包括契約にすると、掛け金はもっと安い)例:契約金100万→掛け金1万

保険金請求から支払いまでの期間

貿易保険の支払いは、保険金請求書を受け付けてからおよそ1か月~2か月で支払われます。

情報元:NEXI作成の資料

以上、貿易保険の説明でした。詳細は、日本貿易保険のサイトをご確認ください。

まとめ

貿易保険とは、輸出をするときに発生するリスクをカバーする物です。このリスクには、代金の回収ができないこと、戦争、政情不安、外国政府の政策転換による代金回収不能な場合があります。これらのリスクを小さくするために貿易保険があります。貿易保険には、いくつかの種類があります。自社の状況に合わせて適切な保険に加入すると良いです。一般的には「貿易一般保険」に加入することが多いです。

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