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法人 | メルボルン | 東京 | バター瓶詰め 3トン | 海上輸送 |
法人 | 東京 | ニューヨーク | 調理器具 200kg | 相談希望 |
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貿易代金の決済方法には、次の方法があります。
- T/T決済
- L/C決済
- クレジット決済
- ペイパル決済など
T/T決済やL/C決済は、一般的な貿易取引(輸出入)をするときに使います。他方、クレジットカードやペイパル決済などは、海外通販等、比較的小さな国際決済で使われています。実は今、これらに加えて「仮想通貨」による決済が増えています。
そこで、この記事では、貿易代金の支払いを仮想通貨にした場合のメリット、デメリットと、実際の運用上で注意するべき点についてご紹介していきます。なお、この記事では、最寄り税務署の見解を含めて解説しています。
貿易代金と仮想通貨決済
最近は、海外通販サイトでも、仮想通貨で商品を購入できるところが増えています。ビットコイン、イーサリアムなど、いわゆる仮想通貨で貿易代金を決済した場合は、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか? まずは、簡単に仮想通貨の復習です。
仮想通貨とは?
「一万円札は、一万円分の価値があると日銀が認めているから、一万円として利用ができる」
これがお金に対する基本的な考え方です。逆に言うと、日銀がお金の価値を保証しなくなった瞬間、お金はただのゴミです。小学生のころ、社会科の教科書で「札束で遊ぶ子供たちの写真」を見たことがある方も多いはずです。まさに、これが保証がなくなった末路です。
実際、一万円という札を作るときの原価は22円前後と言われており、日銀が保証をすることで「10000円の価値」を持つ不思議な紙に移り変わります。まさにゴッドハンド!
ポイント:お金とは、日銀等の中央銀行が価値を保証するから価値があるだけ。
これが大原則です。他方、仮想通貨は、このような中央集権的に価値を担保する仕組みではなく(XRPなどを除く)、基本は仮想通貨を所有する者同士が「お互いに価値」を認め合っています。また、この価値は世界的に統一されており、かつデジタル形式になっていることも大きな特徴です。
近年、この仮想通貨を使い、貿易代金の決済をするところが増えています。一体、なぜ、仮想通貨の利用が進んでいるのでしょうか? この答えは、既存決済の問題点からわかります。
既存の貿易決済の問題点
貿易取引で一般的な決済方法は、米ドル建てのT/TやL/C決済等です。昔から利用されており、非常に一般的です。しかし、決済の仕組み上の問題から、様々なデメリットがあるのも事実です。
例えば、次の部分が大きなデメリットです。
- ドルの信用が揺らいでいる。
- 高い決済手数料が高い。
- 銀行の送金確認が遅い。
- L/C決済の与信枠
基本的に、旧来の送金は、その手段に関わらず「銀行」が間に入り、売り手と買い手との送金をやり取りしています。この銀行が間に入る点が諸問題を引き起こします。=デメリット部分
例えば、国際送金をする場合の送金手数料の高さとスピードの遅さです。一回、送金するごとに数千円の手数料が徴収され、さらに、相手方が送金を確認する迄には、相当な時間がかかります。
ポイント:手数料が高い割に仕事が遅い。
これが銀行を使った国際送金の実情です。また、L/C決済の与信枠の問題もあります。L/C決済とは、買い手と売り手との間に、2つの銀行が入り、書類と送金を連動させる仕組みです。これにより、代金決済の安全性を保ちながら、貿易取引ができます。
L/C決済は、輸入者側から「取引開設」の申請をし、与信枠を審査されて、合格すると取引を開始できます。単に商品の代金を安全に決済したいだけなのに、輸入者側の与信枠が小さいと、決済手段としては利用できない場合も多いです。さらに、L/C決済は、通常よりも時間がかかります。
- 輸入者の与信枠に依存する決済であること
- 銀行が間に入っている分、決済手数料が高い。
- 銀行が間に入っている分、決済時間が長い。
このように銀行が絡む決済方法は、総じてデメリットが大きいです。そして、これらのデメリットがなくす物して注目されているのが「仮想通貨/暗号化通貨」です。
仮想通貨のメリット
仮想通貨を使い、貿易代金を決済する場合は、売り手と買い手との間に銀行が入りません。これに加えて、デジタル決済がベースになっているため、次の点がメリットです。
- 送金手数料が圧倒的に安い。
- ほぼ即時送金に近い。
- 世界で平準化したレートを適用できる。
- スマホとネットさえあれば、その場で送金も可能
仮想通貨は、銀行が介在しない仕組みであるため、銀行が起因となる様々なデメリットがありません。送金手数料の安い上に、送金スピードが圧倒的に早いです。また、どこに住んでいる人とも、どこにいても、決済ができるのが大きな魅力です。
例えば、アフリカの奥地でビジネスの商談をしているとしましょう。この場合、売り手と買い手の二者が顔を見ながら、スマホを取り出し、その場で決済などもできます。送金は、ほぼ瞬時に反映されるため、現金に近い感覚で代金を支払えます。
ポイント:実際、貿易代金を仮想通貨で支払える「DiGiTRAD」というサービスも誕生している。
仮想通貨のデメリットは?
一方、仮想通貨のデメリットは、価格の変動リスクにあります。仮想通貨は、米ドルや日本円、ポンド等の法定通貨の相場とは独立しており、良い意味でも悪い意味でも独自の価格を形成しています。よって、上にも下にも値動きが大きく、この点がメリットでもあるし、デメリットになります。これが後述する仮想通貨で貿易代金を決済するときの注意点にもつながります。
ポイント:差益及び差損が発生しやすい。
仮想通貨で貿易代金を決済する場合の注意点
仮想通貨を使い貿易代金を決済する場合は、次の2つの観点を考えます。
- 税関申告上の観点
- 税務処理上の観点
1.税関申告上の観点
例えば、どこの国から○○を輸入したい場合は、貨物が到着したら、日本税関に輸入申告をして、輸入許可を取得します。輸入申告のときに、インボイスなどの必要な書類を提出して審査を受けます。
例えば、インボイスには、商品リストと価格が書かれており、輸入者は、この書類をもとにして、申告します。そして、書類上のインボイスの価格は「米ドル」等で表示されていることが多いため、この米ドルを日本円に換算します。このときに適用するレートは、次のように決められています。
「輸入申告をする日が属する週の前々週における平均レート」
関連記事:【税関レート】輸入時の為替は、いつの時点が適用される?
例えば、10月19日に輸入申告をする場合は、青枠の週における平均レートをかけて日本円を算出します。実際の適用レートは、税関の公式ページで確認できます。
では、仮想通貨の場合は、どのようになるのでしょうか? この点について、税関に問い合わせをしたところ、税関としては公式に決まっていないとのことでした。したがって、税関毎に見解が変わる可能性があるため、詳しくは、最寄りの税関に確認されることをお勧めします。
2018年現在の税関の見解→仮想通貨を認めていません。
2018年6月末現在、税関としても仮想通貨での決済をどうするのか検討しているようです。今後、仮想通貨の取り扱い方は、大きく変わる可能性があることをあらかじめご留意ください。
2018年6月末時点の税関の見解は…
- 仮想通貨は、関税法上、通貨としては認めていない。(
- 仮想通貨から日本円に換算公示レートがないため、現実支払い価格を算出できない。
- 仮に、仮想通貨で支払ったときは「同種の商品」から現実支払い価格を算出するしかない。
とのことです。
ちなみに、インボイスの価格表記が0.5BTC(ビットコインの単位)だったらどうなのか?という質問に対しては「インボイスとしては認めない」の一言だけでした汗 やはり、税関としては、仮想通貨を通貨としては認めていないという大原則から、すべてを判断しているようです。今のところは、通常の法定通貨でのやりとりをしたほうが良さそうです。
2.税務申告上の観点
次に税務署への税務申告上の観点です。税務署では、次のように扱うとのことでした。
- 日本円から仮想通貨に変更したときのレートと数量の記録
- 商品やサービスを販売(購入)したときの仮想通貨のレートと数量の記録
この2つをしっかりと記録して申告するべきとのことでした。また、この答えに対して私は、次のように質問をしました。
「相場の変動による差損や差益がでたときの取り扱いは?」
この場合は、仮想通貨を所持する目的によって扱いが変わるとのことでした。
例えば、仮想通貨を「完全に事業性の決済のみとして管理」している場合は、差益や差損等は、事業性の項目で帳簿を付ければいい。しかし、個人的な投資目的等を兼ねられている場合は、事業性はなく「雑所得」等の扱いにするとのことでした。
- 仮想通貨の口座を完全に事業性目的のみで管理しているのか?
- それとも個人的な投資目的を併せ持つのか?
この違いにより、税制上の取り扱いが変わるとのことです。詳しくは、最寄りの税務署又は、お付き合いがある税理士にご確認ください!
本日の解説は以上です。最後までお読みくださりありがとうございました。
まとめ
- 貿易決済に仮想通貨が加わろうとしている。
- 仮想通貨は、既存の決済方法と比べて様々な優位性がある。
- 但し、価格の変動リスク(リターン)がある点が注意
- 仮想通貨で決済する場合は、税関と税務署の見解に注意を払う。

