貨物船(コンテナ貨物)が地震の被害にあったらどうなる?

災害国際輸送
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コンテナターミナルに保管していたコンテナが地震などにより、何らかの被害を受けた場合、輸送責任や費用負担は、どのような取扱いになるのでしょうか? この記事では、ターミナル保管時の「リスク」について説明していきます。

災害

コンテナと地震との関係性

神戸の大震災、東日本、九州など、日本は、地震による被害が多いです。実際、神戸や東日本大震災のときは、コンテナターミナルに大きな被害が発生したと言われています。一時期、神戸と言えば、西の玄関口といわれるほど、圧倒的な貨物取扱量をほこっていましたが、大震災により、その地位は大きく低下しました。

今、こうして大震災の被害を振り返ると、貿易をする者としては、ターミナルに保管されている貨物の補償が気がかりです。つまり、誰が、どのタイミングで、どんな責任(危険負担)を負うのか?です。仮にコンテナターミナルのコンテナが流されたときは、輸出者と輸入者で、どちらの責任で対処するのでしょうか?

貨物の対処はインコタームズと関係する

震災により貨物に被害が発生するときは、次の2つのパターンが考えられます。

  1. 輸入したコンテナを一時保管しているときに被災
  2. 輸出予定のコンテナを一保管しているときに被災

もし、あなたが輸入者であり、1番の状況にあるときは、震災による被害は、貨物にかけている海上保険により、補償されます。一方、ケース2の場合は、輸入者(輸出者)と決めている「インコタームズ」と保険により変わります。

インコタームズと保険とは?

インコタームズとは、貿易をするときに、輸出者と輸入者のそれぞれにおける「危険負担」と「費用負担」の範囲を決める物です。危険負担とは、輸送中に貨物に何らかの被害(震災含む)が発生したときに、どこまでが輸出者、どこからが輸入者で対処するのか?を決める分岐点。費用負担は、同様に「費用面」における分岐点です。

詳細:インコタームズ入門

そして、貨物の保険とは、輸送上における被害が発生したときに、その費用を賠償する物です。よくある例としては、コンテナの中に海水が入り使えなくなった~や、輸送途中の崩れにより貨物が壊れたてしまった~などが当てはまります。また、地震などの自然災害に起因する物も限定的ながら補償されます。

今回のコンテナターミナルによる被災は、このインコタームズと海上保険の2つが深く関係します。

地震被害とインコタームズ、保険の関係

地震などにより貨物に損傷が発生したときは、採用するインコタームズと保険により、対処するべき人が変わります。もし、インコタームズの基礎的な部分をご存知ない方は、まずは「インコタームズ入門」をご覧ください。リンク先の記事で、危険負担、費用負担の移転などを説明しています。

以降の文章は、このインコタームズを理解している前提でお話をしていきます。インコタームズには、採用する型により、売り手側が海上保険をかけたり、買い手側が海上保険を掛けたりします。「付保義務」は、採用するインコタームズにより変わります。また、あわせて「危険負担の移転ポイント」もインコタームズによります。

では、具体的なインコタームズで考えてみましょう!

FOBやCFRの場合

貿易取引をFOB、CFRなどで契約しているときは、危険負担と費用負担の転換点は、次の通りです。

  1. 危険負担=輸出国側に停泊する船に載せるとき
  2. 費用負担=同上
  3. 付保義務=買い手側、転換点は、危険負担と同上

上記の条件の下、次の2つのケースを考えてみましょう!

  • ケース1.本船に載せたあとに被災(船積みが完了)
  • ケース2.コンテナターミナルに保管しているときに被災

ケース1.本船に載せた後に被災

この場合は、すでに本船に貨物を積みこんでいるため、買い手側に危険負担が移転しています。よって、買い手側が海上保険に入っていれば、買い手による保険で補償されます。

結論:買い手側が手配する海上保険で補償される。

ケース2.コンテナターミナルで被災

この場合は、本船の積み込み前であるため、買い手側に危険負担は移転していません。よって、買い手が手配する海上保険ではカバーできません。この場合は、売り手が付保する「輸出FOB保険」でカバーします。輸出FOB保険とは、売り手の倉庫から、買い手側に危険負担が切り替わるまでの損失を補償する保険です。

ただし、輸出貿易保険には、次の免責事項が決められています。

II.「輸出FOB保険」の概要

1.対象となる貿易条件
FOB条件あるいはCFR条件の契約が対象です(注1)。

2.保険条件と補償の範囲
基本条件は、輸送される貨物の種類、輸送の実態などに応じて「オールリスク担保」または「特定危険担保」条件を選択します。前者はすべての偶然の事故によって生じた損害を補償するもの、後者は火災・爆発、もしくは輸送用具の衝突・転覆・脱線・墜落・不時着・沈没・座礁・座州によって生じた損害または共同海損犠牲損害を補償するものです。
ただし、輸出FOB保険は内航貨物海上保険の一種で、オールリスク条件であっても、貨物が陸上および湖川にある間の地震・噴火、またはこれに関連する津波・火災による損害は、保険金の支払い対象にはなりません。

引用元:ジェトロ

赤マーカーの部分にご注目ください。貨物が陸上(コンテナターミナル含む)にある間の「地震」による損害は、保険の対象ではないとされています。よって、ケース2の場合、買い手側の海上保険も適用外、売り手側のFOB保険も適用外ということで、すべての損失を売り手が負います。

結論:FOBやCFR契約下では、船積み前の被災はカバーできない!=売り手が全損

CIFやCIPの場合は?

では、輸入者との間でCIF、CIPの契約をしているときは、いかがでしょうか?

  • 危険負担の移転時期:CIFは本船上、CIPは輸出国側のコンテナターミナル(運送人に引き渡した点)
  • 保険の付保義務:売り手側

この場合のポイントは、インコタームズ上の付保義務は、売り手側にあるため、危険負担の転換点に関わらず、輸入国側まで一貫して保険が適用されます。この場合は、CY(コンテナヤード)の被災を含めて、売り手が手配する海上保険の中で、貨物の補償を受けられます。

結論:CIFまたはCIPであれば、コンテナターミナルの被害も補償される。

まとめ

  • 過去の大震災の経験を考えると、コンテナターミナルで被災する可能性はある。
  • 万が一、被災したら、その貨物の責任は、どちらにあるのか?を考えます。
  • インコタームズと海上保険の補償範囲、免責規定などを理解する必要あり。
  • FOBやFCAで取引するときは、輸出国側の船積みまでの期間に保険の空白期間が生まれる。
  • この空白期間を埋めるために「FOB保険」がある。
  • ただし、FOB保険は、地震等の自然災害に起因するものは免責になっている。
  • 結論、貿易初心者は、CIFまたはCIPで契約した方が良い。
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