EPA(自由貿易)を利用するときは「特定原産地証明書」が必要です。この書類を発行できるのは、日本で唯一、日本商工会議所だけです。貨物を輸出する人は、日本商工会議所へ企業登録をした後、原産品承認を受けることによって、特定原産地証明書を手にできます。つまり、企業登録 → 原産品判定 → 特定原産地証明書発行という流れです。そこで、この記事では「企業登録」と二年後の更新方法についてご紹介していきます。
日本商工会議所で特定原産地証明書を発行
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EPAを利用して輸出するときは、特定原産地証明を取得して「日本で製造された物であること」を証明する必要があります。相手先の税関では、日本で発行された特定原産地証明書を基に審査して、EPAによる免税を認めるかを決めます。つまり、特定原産地証明書は、相手先の国で必要になる証明書類です。
最近、発効されたEPAでは「自己証明制度」によって、自ら商品の原産性を証明する仕組みも整ってきました。しかし、依然として日本商工会議所における特定原産地証明書の発行(第三者証明制度)が一般的です。そのため、この記事では、日本商工会議所で取得する特定原産地証明書の発行手続きを説明していくことにします。
特定原産地証明書の発行の流れ
特定原産地証明書を受け取るまでの流れは、以下の通りです。
1.日本商工会議所へ企業登録、サイナー(署名者)登録を行います。
2.登録後、原産品証明の手続きを行います。
3.発給番号を使い特定原産地証明書を発行依頼します。
4.原本の受け取り完了
この記事では、1番のインターネット上で行う企業登録の方法までを説明していきます。
日本商工会議所への企業登録の手順
まずは、貴社の情報(個人も可能)を日本商工会議所へ登録します。登録手続きの流れは、以下の通りです。
- 企業登録ページで「法人」か「個人」かを選択します。
- 名前とメールアドレスを登録
- 届いたメールの本文に含まれている認証リンクをクリックします。
- 企業情報登録画面・上から順番に必要事項を記入します。必須項目にご注意ください。
- サイナー(署名者)登録画面
- 最終確認画面をご覧になったら、印刷します。
- その他の必要書類を揃えた上で、日本商工会議所へ郵送します。
- 正式に登録が完了すると、原産品判定依頼のための「ログイン情報」が送付されます。
1.「法人」か「個人」かを選択
企業登録ぺージを開きます。ここで法人であるか、個人であるかを選択します。
2.名前とメールアドレスを登録
名前とメールアドレスを登録します。個人の方は、一番上の欄は空白でOKです。
3.届いたメールの本文にある認証リンクをクリック
上記の画面で「送信」を押すと、以下の画面が表示されます。この画面が表示されたら、赤枠に表示されているメールアドレスに対して日本商工会議所からのメールが届いています。
もし、3分経過しても届かないときは、メールアドレスの記入ミスが考えられます。「.」が「,」になっていたり、「i」か「l」になっていたりしないかを再チェックしてください。また、迷惑メールにも含まれている可能性があります。特にGメールを指定している人は、ご注意ください。
メールの本文を開けると、以下の文面が記載されています。緑枠に有効期限が表示さている通り、期限までに赤枠のリンクを押さないと「失効」しますので、お気を付けください。
上記のリンクをクリックすると、以下の画面が表示されます。ここの画面の枠内に、最初に設定したパスワードを入力します。うまく認証ができると、企業登録画面に移動します。
4.企業情報の登録画面
このページから先で企業情報を入力していきます。記入ミスなどを防ぐために、あらかじめ「記入のお手本」を表示しておきます。以下の画面通りに操作をしてください。表示されたサンプル画面は、自分がわかりやすいようにパソコンの画面内に配置します。もし、慣れていなければ、印刷をした方が楽です。
それでは、企業情報の登録画面に移動します。今度は、下にある「登録申請書を作成するボタン」を押します。
以下の入力見本の通りに、上から必要事項を記入してきます。個人、法人などによって記入する箇所は異なります。ご自分に合わせて空欄を埋めていきます。各行の左側にある「*」は、必須入力事項です。これらの事項が一つでも抜けていると、登録を完了させることはできません。
5.サイナー(署名者)の登録
企業情報の登録が終了したら、署名者の登録をします。こちらの画面も同じく必須事項が設定されています。(緑色の矢印)最低限、これらを全て満たすように記入します。
サイナーの登録が完了すると、上記の画面の最下部に以下の部分が追加されます。
6.入力作業を終えたら印刷開始
確認画面の右上にある「登録申請書の印刷」をクリックします。
すると、以下のように入力した情報を基にしてPDFファイル(書類)が作成されています。今一度、記載事項に誤りがないかを確認してください。問題がなければ、PDFファイルを印刷します。方法はカーソルを書類の上にのせて「右クリック」をします。左ではなく右です。表示されるメニューの中に「印刷するボタン」が表示されているはずです。
7.必要書類を揃えた上で、日本商工会議所へ郵送
6で作成した書類と必要書類を一緒にして、日本商工会議所へ送付します。
■個人の場合*法人は別の書類が必要です。
1.戸籍抄本(こせきしょうほん)または住民票の写し 2.印鑑証明(いんかんしょうめい)です。
印鑑証明がない方は、その場で作成します。登録する印鑑を持って、最寄りの役所へ行きましょう!全ての書類を手に入れたら、印刷した登録用紙と合わせて日本商工会議所へ郵送します。
8.正式に登録が完了すると「ログイン情報」を取得できます。
正式に登録手続きが完了すると、日本商工会議所から発給システムを使用するためのログイン情報が送付されてきます。ログイン情報は、この先、ずっと使用する物であるため、しっかりと保管するようにして下さい。紛失等には、十分にお気を付けください。
約一週間で企業登録完了
情報を登録後、住民票などの必要書類を発送すると、約一週間で下記のような郵便物が到着します。この書類の中に、特定原産地証明書の発行を受けるためのログイン情報が記載されています。重要な書類であるため、しっかりと保存するようにしてください。ちなみにログインURLもこちらの書類の中に記載されています。
ログインURLは赤枠の中に記載されています。
企業登録の有効期間は、二年間です。更新作業の手順は「企業登録の更新方法」をご覧ください。
企業登録更新編
日本商工会議所に登録した情報は、二年間の有効期限があるため、原産地証明書の担当者は、企業登録の有効期限を確認しておく必要があります。うっかり更新し忘れると、原産地証明書に関するすべての操作(申請など)ができなくなります。自宅や会社の住所に、このようなお便りが届いたら、できるだけ早く更新手続きをしましょう!
■ポイント
- 日本商工会議所の企業登録有効期間:2年間
- 更新できる期間:1年11か月が過ぎてからです。
- 更新し忘れると? → 発給システムにログイン不可=原産地証明書に関する操作ができなくなります。
企業登録の更新手順
それでは、企業登録の更新作業の手順を説明していきます。更新作業ができるのは、企業登録してから一年11か月が過ぎた企業です。その期間よりも前の企業は、更新できません。更新作業が必要な企業には、日本商工会議所からメールが届きます。このメールを受け取ったら、できるだけ早く更新作業をしましょう。
更新で必要な書類
更新で必要な書類は、次の通りです。あなたが法人か個人なのかで異なります。この内、登録申請書とは、原産品発給システムにログインすると取得できる書類です。これら必要な書類が用意できたら、日本商工会議所/国際部に郵送します。
法人 | 登録申請書 |
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)/3か月以内 | |
個人 | 登記申請書 |
戸籍抄本(しょうほん)または住民票/3か月以内 | |
印鑑証明書/3か月以内 | |
開業届のコピー(屋号で取得している人) |
登録申請書の取得方法(発給システムの操作方法)
企業登録の更新をするときは、提出する書類に「登録申請書」があります。この書類は、日本商工会議所の発給システムにログインして取得します。以降、更新手順をご紹介していきます。まずは、原産品発給システムにログインしましょう。企業登録を終えている方だけに公開されているURLです。ログインすると、画面の左下に赤枠の項目があります。
「登録申請書を作成する」ボタンを押します。
前回、企業登録したときの情報が表示されます。変更があった点のみを修正しましょう。特に変更がなければ、何も変更せず、画面下のサイナー登録に進みます。
サイナーとは、署名者のことです。貴社における特定原産地証明書の担当者は、変更になっていませんか? もし、変更になっていると、サイナーの部分を変える必要があります。サイナーを追加するときは、下の欄に新しいサイナー情報を入力して更新ボタンを押します。(サイナーに変更がないときは、何もする必要はありません。)
すべての作業を終えたら(新しくサイナー登録をしないときも)、「登録申請書を印刷する」ボタンを押します。すると…..
入力した書類のPDFが表示されます。後は、この書類をプリントアウトして、赤丸部分に印を押して提出します。(住民票なども含めて)
日本商工会議所への企業登録は2年間のみ有効
登録から1年と11か月が経過すると更新案内がきます。
更新案内が来たら、なるべく早く手続きします。
商工会議所に提出する書類の内、登録申請書は、発給システムにログインして取得します。
まとめ
特定原産地証明書を取得するための第一ステップは、日本商工会議所への「企業登録」と「サイナー(署名者)登録」です。この登録作業はインターネット上で行い、必要な書面を日本商工会議所へ発送します。インターネット上での操作も本記事で紹介をしている手順通りに進めていけば何も問題はありません。落ち着いて入力してください。
すべての項目を入力し終えたら、書面をプリントアウトして、必要書類と合わせて日本商工会議所へ郵送してください。これ以降の記事は、「【原産品判定編】特定原産地証明書の発給にチャレンジ!企業登録後からの手順」をご覧ください。

