EPA違反(非違)事例! 13.6%の関税が0%になった!?

違反事例 自由貿易(EPA)
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EPA(自由貿易)の仕組みを使って、商品を輸入すると、日本の税関で支払うべき関税が免除されます。商品によっては、EPAを利用するだけで、20%以上の関税がゼロになることもあるため大きな魅力があります。EPAは、少しでも輸入コストを下げたい会社にとっては、なくてはならない存在です。

しかし、もちろん、どんな物も関税が下がるわけではありません。日本とEPA(自由貿易)を結んでいる国の原産品であることを証明することで、初めて関税の免除が受けられます。この証明をするために提出するのが、輸出国で発行される「特定原産地証明書」です。

輸入者は、日本の税関に対して、この特定原産地証明書を提出することで関税の免除を受けられます。ただし、輸入時に関税の免税を受けられたとしても、輸入後に行われる確認作業によって、その免除した関税が撤回されることもあります。この確認作業のことを輸入国政府による「検認作業」と言います。

そこで、この記事では、税関が輸入後に行った検認作業によって、どのようなEPA違反事例が発生しているのか?をご紹介してきます。

違反事例

EPAの違反事例

EPAの仕組みを使って輸入すると、本来、納めるべき関税が免除されます。しかし、関税の免除は、どのような物でも適用されるわけではなく、EPAで決められている「原産品の基準」を満たす物だけが対象になります。

仮輸入時や輸入後に行われる税関の調査によって、貨物が原産品ではないと判断されると、関税の免除は行われません。もし、すでに関税の免除を受けて輸入しているのであれば、関税免除の取り消しと合わせて、ペナルティなどが与えられる可能性があります。本来、受けるべきではない関税免除を不正に得ていたことになるからです。

輸入国側の税関は、輸入時と輸入後の2つの機会によって「本当に関税の免除を与えてもいい貨物だったのか?」を調査します。この内、輸入後におこなわれる調査が「検認作業」です。輸入後という表現からもわかる通り、輸入時に免税で引き取っていたとしても、後から行われる調査によって、すべて覆される可能性があります。

2018年5月22日、税関は、この検認作業によって発見した「EPA違反事例(非違事例)」を公開しましたので、こちらでご紹介したいと思います。

違反事例で目立つことはかなり単純

2018年5月22日、税関は「非違事例ページ」において、EPAやGSPによる関税の免除取り消しになった事例を公開しました。それが次の6つです。

ばれいしょなどなどの加工品、衣類系統などの違反が紹介されています。これらの違反事例を見ると、どの品目も極めて単純な間違いが基になっていることがわかります。その中でも、特にひどいと感じるのが一番上にある「ばれいしょの調整品」です。

HSコード 貨物
2005.20 ばれいしよの調製品
20.06 砂糖により調製した果実
2008.92 果実の調製品(混合したもの)
2710.19 潤滑油
57.02項 床用敷物
62.11項 衣類

馬鈴薯の調整品の中身を見ると….

税関のサイトによると、問題の馬鈴薯の調整品は、日マレーシアEPAを適用しています。日マレーシアEPA上、馬鈴薯の調整品(HSコード:2005.20)の原産地規則は、次の通りです。

第2005.10号又は第2005.20号の産品への他の類の材料からの変更(第7類の非原産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれが東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において収穫され、採取され、採集され、又は完全に生産される場合に限る。

この原産地規則をもう少し簡単に表現すると、次の通りです。

「2005.20の完成品を作るときに使う材料は、20類以外の物を使ってください。でも、20類以外の材料であっても、それが7類に該当する材料のときは、東南アジアに含まれる第三国で生産されたものだけしか認めません。」ということです。

それでは、この原産地規則の要約をさらに分解してみましょう!

  • 2005.20とは、馬鈴薯の調整品(例:マッシュポテトなど)
  • 20類とは、すでに何らかの調整(例:冷凍したもの、酢につけたものなど)をしている野菜などの全般を指します。
  • 7類とは、ジャガイモに限らず、トマト、玉ねぎなどの野菜全般です。

つまり、この商品の原産地規則とは、次の通りとなります。(*マッシュポテトは単なる一例です。)

マッシュポテトなどを作るとき(2005.20)は……..

すでに何らかの調整をしている野菜(20類)以外を使って下さい。

しかし、それが7類の野菜(ジャガイモなニンジンなどの野菜全般)を使うのであれば東南アジア域内で作られていることを求めます。

ということになります。上記の黄色枠の中に書かれている条件をすべて満たすことによって、初めて原産品として認められます。今回、税関のホームページによる違反事例の解説を見ると、上記の原産地規則であるにも関わらず、以下のような生産状況であったことが判明しています。

材料を確認したところ、非原産材料である第7類のばれいしよを使用していることが判明。当該第7類の非原産材料は、品目別規則に定める東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において収穫されたものではないことから、品目別規則を満たさない。したがって、日マレーシア協定上のマレーシア原産品と認められない。

引用元:税関

要は、本来、使うことができない東南アジア以外で生産された7類のジャガイモを材料として完成品を作っていたのです。きわめて単純なミスによって発生していることがわかります。いや、これは、本当にミスなのかも疑わしいレベルです。

もしかすると、原産品ルールを満たさないことを承知の上で、不正に証明書を取得したのではないのか?と疑いたくなるレベルです。真実はよくわかりませんが、こちらの商品を輸入した人は、本来、支払うべき関税であった13.6%が請求されたことはもちろんのこと、何らかのペナルティが課せられている可能性もあります。

仮に、輸入価格が100万円であれば、およそ14万円ほどを脱税したことと同じですね。金額に関わらず、脱税行為は犯罪です。やはり、EPAによる関税の減免税制度は、大きなメリットである一方、不正行為をしたときの罰は非常に厳しいことがわかります。

もし、あなたがこれからEPA輸入ビジネスを展開するのであれば、今一度、輸出者に対して「輸出する商品が原産地規則を満たしているのか?」確認するようにしましょう!

まとめ

  • 税関は、EPA違反事例を公開しています。
  • 違反事例の内容を見ると、きわめて単純な違反であることがわかります。
  • 輸入者は、輸出者に対して、輸入しようとしている商品が本当に原産地規則を満たしているのかを確認した方が良いです。

こちらで「正しく特定原産地証明書を取得する方法」を説明しています!

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