EPA制度の関税フリーは、どのようなインパクトがあるのか!?

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経済連携協定(EPA)を結んでいる国同士のことを「域内」と言います。域内とは国と国の国境をなくした上で、経済的な部分のつながりを強くした地域のことを言います。この地域内に属する会社で生産された商品は、原則的に関税がかかることはありません。

例えば、日本とタイはEPAを結んでいます。この場合、日本企業であれば日本とタイが「域内」の扱いになります。そのため、タイで製造された商品を日本へ輸入しても関税がかかることはありません。もちろん、この逆で日本の商品をタイへ輸出しても関税はかかりません。このように国境という枠組みを超えた「域内」という概念は、これからの貿易取引を行う上では、必須の知識といえます。

では、この域内がさらに広がっていくと、域内の国に属する会社はどのような動きになってくるのでしょうか。工業製品を輸出する会社と海外向けに農産品を輸出する農家を事例として紹介します。

EPAの域内における企業の動き

ここでEPAについて少しだけおさらいをします。まずEPAの域内の定義の確認です。EPA制度による域内とは、あるEPAに加盟する国と国が合わせた範囲のことを指します。

例えば、日本とベトナムの間で締結されている「日ベトナムEPA」でいうと、日本とベトナムが域内になります。2016年2月に署名をした「TPP(環太平洋パートナーシップ)」であれば、参加国の十二カ国がEPA域内の扱いを受けます。2016現在、日本はと国との間にEPAを締結しています。それぞれの協定ごとに「域内」が定義されていることになります。EPAの域内では、以下のような特別な恩恵を受けることができます。

1.関税の撤廃 2.投資の緩和 3.人的交流

これらは、すべてEPAの域内における経済的な交流を活発にするための恩恵です。この記事では、特に1番の域内の関税が撤廃されることにより、今後、どのような影響を受けるようになるののかを説明していきます。

EPAの活用により、域内の中から工場建設を選択する流れ

EPAの域内への輸出であれば、広い分野において商品の関税がかからなくなります。これは「域内であれば、生産地はどこでもいい」ことを意味します。一昔前まで、外国から商品を輸入する際は、人件費ができるだけ安い所へ工場を建てた上で、日本へ輸出するルートが一般的でした。しかし、少しずつEPAが浸透してきたことにより「日本ありき」の貿易である必要がなくなってきました。

例えば、2016年2月に署名をした「TPP」は、アメリカや日本を含めて合計で12の国が「域内」であることになります。

アメリカ カナダ メキシコ ペルー
チリ ニュージーランド オーストラリア シンガポール
マレーシア ベトナム ブルネイ 日本

先ほども申し上げた通り、域内であれば、どこの国で製造しても関税を無税で輸出ができます。これは、日本において賃金が高い「日本人を雇用して工場を設ける理由」がなくなることになります。

仮にTPPの参加国である「チリ」において工場を建設して、アメリカや日本に向けて輸出することもできます。もちろん、これを実行するためには、チリ国内での人員状況、日本への輸送費などを総合的に検討する必要があります。しかし、これらを一つずつ検討していけば、決して夢物語ではありません。

それだけではありません。生産に使う材料などをTPP域内で多様に調達をして、域外である第三国へ出荷する等のビジネスモデルもできます。

例えば、ニュージランド、シンガポール、ベトナムから集めた部材を「マレーシアの工場」で組み立てるとします。これらはすべて域内調達であるため、マレーシアへ輸入する際の関税は一切かかりません。そして、マレーシアの工場で製造された商品をアメリカや日本へ輸出をしたとしても、同じく域内輸出であるため「関税無税」で輸入ができることになります。(日本やアメリカ側の立場)もちろん、ヨーロッパなどの域外へ輸出することもできます。

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このような事実をふまえると、少しずつ「日本で工場を設ける意味」が薄れていくことになります。唯一、日本人が管理する所といえば、海外の工場での製造状況の把握、部材調達の状況、国際相場の状況など限定されるようになると考えます。

ある大手自動車工場では、人工知能(AI)を製造レーンに投入したことにより、一気に50人余りの人材をクビにしたということも起きているようです。急速に発達しているAIの技術とEPA制度の多用により、会社の形態が大きく変更される可能性が出てきています。

グローバル農家の誕生

EPAによるボーダレスな経済は、何も製造業だけに関係するわけではありません。一次産業の方たち、特に農家に大きなチャンスがあると考えます。日本の農業は「食料自給率が40%を切っているため、農業を守れ」と声高に主張する人がいます。しかし、それは単なる数字上のまやかしであり、実際は十分な食料が確保されている状況です。

農業を守れと主張している人は、主に農林水産省と農協関係者です。彼らの「農業を守れ」という声の裏側には「俺たちの生活を守れ」という本音が隠れています。あたかも危機的な状況であるかのようにして、彼らの利権を守る運動に必死なだけなのです。

これを裏付ける花に関する事例があります。実は「花」の分野の関税はゼロになっています。しかし、だからといって危機的な状況になっているのではなく、むしろ積極的に海外へ輸出をしています。これは関税を無税にして市場を開放したことにより、輸出によって世界へ攻めに転じるようようになった一例です。

それだけではありません。アメリカ産のオレンジやチェリーが解禁されたときも、彼らは日本の「みかん」や「さくらんぼ」が危機的な状況になると主張していました。しかし、蓋をあけてみると、やはり彼らの主張は大外れです。

2016年においてもアメリカンチェリーとさくらんぼは、しっかりと併存している状況にあります。決して、さくらんぼ農家やミカン農家がバタバタとつぶれている状況にはなっていないのです。この事実をふまえて考えると、彼らは農業を守りたいのではなく、自分たちの利権を守りたいだけだということがよくわかります。

さて、少し前置きが長くなってしまいました。EPAをしっかりと活用することにより、海外の市場へ日本の高品質な農作物を輸出するグローバル農家の誕生は十分に可能です。私は東南アジアの国々を中心としてさまざまな外国を旅してきました。その旅を通して導き出した結論が、やはり「日本の農産品がすばらしい」という点です。

例えば、南国のタイがあります。この国のホテルに泊まるとウェルカムフルーツとして「スイカやマンゴーなど」が部屋に置かれています。これらの果物を食べると、マンゴーなどについては、やはり本場の味がしておいしいです。しかし、スイカなど、日本でもおなじみのフルーツであれば、日本産の方が圧倒的な甘さがあることがわかります。

また、フィリピンのとある都市へ行ったときのことです。ここでは、日本のシイタケが驚くような値段で販売されています。周辺の中華料理屋で使用するため、毎日飛ぶように売れると言っていました。シイタケだけのお話ではありません。ある国のスーパーで購入したトマトは、酸っぱすぎて食べられる物ではありませんでした。このようなことを考えると、日本で当たり前にある農産品が、実は魅力的な力を持っている可能性が非常に高いと言えます。

もちろん、実際に農産品を輸出するには防疫知識、輸出続きなどの知識が必要になります。しかし、それらは専門の業者に任せておけば、決して農産品を輸出することは夢物語でありません。それだけの力が、日本の農産品にはあるのです。

まとめ

EPAの域内における関税無税の恩恵は、日本の会社の形体を大きく変更する可能性があるとも言えます。域内であれば、関税が全くかからないため、より安く商品を生産できる国へ工場を移転するのは自然な流れであるからです。そのため、どの国からどの国へ何を出荷すると有利になるのかなどをしっかりと把握することが大切です。

これまでの日本ありきの貿易から、外国から外国へ商品を輸出したり、輸入したりすることが普通になってくるはずです。そのときにEPAをしっかり活用できるかどうかによって、貴社の存続が大きく関わってきます。

次世代の貿易・EPAビジネスとは

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