【図解】EPAで使うロールアップとは?付加価値基準と関係

証明自由貿易(EPA)
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輸出先の国で関税ゼロで輸出するには、EPA(自由貿易)を活用します。2018年現在、日本は、15のEPAを結んでいます。EPAを結んでいる国とは、お互いの国で関税ゼロで輸出や輸入ができるため、これまでよりも貿易ビジネスを拡大できるチャンスがあります。このEPAを活用するにあたり最も大切なことは、輸出する商品の原産性の証明です。

原産性とは、その商品が「本当に日本で作られたものであるのか?」ということです。

例えば、日本とマレーシアとのEPAを活用するのであれば、日本産またはマレーシア産が原産品です。これら二か国以外で生産された商品は、日マレーシア協定でいう「非原産品」です。輸出する商品が 原産品であるのか? それとも 非原産品であるのか? この部分が重要です。

そこで、この記事では、商品の原産性を示すときに必要になる「ロールアップ」と呼ばれる考え方をご紹介していきます。

証明

ロールアップ

EPAを活用するときは、輸出する商品について原産性の証明をします。輸出者は、原産性の証明をして、特定原産地証明書を取得。これを輸入者へ送付します。輸入者は、日本で発行された特定原産地証明書を現地税関に提出して、関税の免除や減免を受けます。これが大まかな流れです。そして、今回、ご紹介するロールアップは、輸出者が原産性を証明するときに使います。

  • 輸出者→ 特定原産地証明を取得
  • 輸入者→ 特定原産地証明書を税関に提出&関税の免除を受ける

ロールアップの定義

ロールアップとは、原産性を証明するルールの内、付加価値基準で使います。一言で説明すると…….

完成品に含まれる原材料(部品)の内、その原材料の中に非原産材料が使われているときは、ロールアップを使うことにより、その非原産部分を含めて原産部品にできる。よって、完成品全体が原産品として証明ができる ルールです。

うーん、正直、自身で書いていても、とても分かりずらいですね….汗 この説明をかみ砕いていきます。まず、ロールアップを理解するためには、次の2つを知る必要があります。

  1. 付加価値基準
  2. 原産資格割合

1.付加価値基準とは?

付加価値基準とは、輸出する完成品の中に、日本で加える部分(材料や人件費、利益など)がある一定の割合以上であると、原産品にできるルールです。この割合は、協定によっても異なりますが、平均的な数字で申し上げると、およそ40%に設定されていることが多いです。

例えば、一つ100円のおにぎりを輸出するとしましょう。このおにぎりの価格の内訳は…..

  • ごはん 中国産 60円
  • のり 韓国産 10円
  • こんぶ 日本産 10円
  • 利益 20円

です。この場合、日本産の部分は、こんぶの10円と利益の20円の合計30円です。これを「原産資格割合」といいます。そして、この原産部分が商品全体の価格に対して、何パーセント含まれているのかを計算すると、30/100=30%です。よって、この100円のおにぎりは、日本産の部分が30%であるため、日本の原産品ではないと判断ができます。(40%の場合)

このように、日本で加えている付加価値を基準に原産性を判断する方法が「付加価値基準」です。

2.原産資格割合とは

原産資格割合とは、その協定の原産品であるのかを判断するための基準です。この基準は、利用するEPAごと、さらに商品ごとに細かく決まっています。多くの場合は、40%に設定されています。自動車や一部の機械製品には、50%前後が設定されていることが多いです。日本で加える付加価値部分が、これらの数値を超えれば、日本原産品です。

ちなみに、協定ごと、輸出する商品ごとの原産資格割合は「原産地規則ポータル」で調べられます。また、この原産資格割合のことを「閾値(しきいち)」とも言い、この部分をRVCやQVCとも言います。経済産業省や日本商工会議所などの資料には、これらの用語で解説されているため、あわせて覚えられることをお勧めします。

ロールアップで証明するときのポイント

ロールアップで証明するときのポイントは、完成品を完成品全体と、その完成品に使われている原材料(部品)とに分けて考えることです。つまり….

  • 完成品全体の原産資格割合
  • 完成品に使われている原材料の原産資格割合

この2つに注目します。ロールアップは、完成品に使われている原材料が原産性を満たせば(=原産資格割合を超えるとき)その中に、非原産材料を使っていても、その部分を含めて原産部品にできる仕組みです…..

と説明してもまだ理解しずらいと思いますので、図と数字で説明していきます。

ロールアップの実例(図解)

今回は、日本で生産されたテレビをマレーシアに輸出するとします。完成品の原産資格割合、そして、完成品に使われている原材料(部品)の原産資格割合は、それぞれ40%です。なお、図中で説明する協定名、原産資格割合(閾値)等は、すべて仮です。その点は、十分にご注意ください。

 

EPA ロールアップ

テレビの価格(=完成品)と、そこに使われている部品との関係性です。今回は、完成品をテレビ、その中に、中国産の部品と「台湾の原材料を使っている日本の部品」の2つだけが含まれていると仮定します。この場合、ロールアップを使うときと使わないときとでは、どのような違いが出るのかに注目します。

EPA ロールアップ

まず、完成品に使われている「非原産材料」部分に注目です。完成品に使われているのは、中国産の部品と「日本産の部品(台湾の原材料を使用)」です。この場合、中国産の部品と、台湾の原材料が日マレーシアEPA上の「非原産材料」です。300$と50$の部分ですね。

EPA ロールアップ

では、この使用状況の中、ロールアップを使用しないときを考えてみましょう!完成品全体が500$、その内、中国産の材料300と台湾産の原材料50$が含まれるため、日本原産部分=原産資格割合は30%です。今回のテレビの完成品の原産資格割合は40%であるため(仮)、このままでは、このテレビは、日本原産の商品にはできません。そこで、ロールアップを適用します。

 

EPA ロールアップ

ロールアップを適用するときは、まずは「台湾の原材料を使っている日本部品の原産資格割合」を検討します。部品は、200ドル、その内、台湾の原材料が50$であるため、原産資格割合は、75%です。この部品の原産資格割合も40%であるため、75%>40%となり、この部品は、日本の原産品にできます。そして….

EPA ロールアップ

ロールアップを適用すると、日本の原産部品の中に非原産材料(台湾産の部材)が含まれていてもすべてを原産品にできます。したがって、完成品の価格500$の中に含まれる非原産部品は、中国産の300ドルのみとなり、原産資格割合は、40%です。よって、この商品は、日本原産品としての資格を満たせます。これがロールアップの仕組みです。

EPA ロールアップ

ロールアップで証明するには何が必要なの?

実際、ロールアップで原産品を証明するときは、各部品の価格を証明する書類を用意します。

例えば、自身で中国などから部品を仕入れているなら、中国から輸入したときのインボイスが価格を証明する資料です。日本の商社などを経由して購入しているのであれば、商社で発行される請求書で証明します。

まとめ

  • ロールアップは、付加価値基準で使います。
  • ロールアップのポイントは、完成品と部品を分けて考えることです。
  • 完成品と部品の原産資格割合を意識します。
  • 価格の証明は、インボイスまたは請求書で行います。
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