ヨーロッパとの間に自由貿易(日欧EPA)が結ばれると、ヨーロッパのチーズの関税が削減されます。削減される関税のペースは、チーズの種類ごとに異なり、発効後、数年に渡り、徐々に削減されていく物が多いです。きっと、このタイミングで、ヨーロッパからチーズの輸入ビジネスを考えられている方も多いかと思います。
そこで、この記事では、ヨーロッパにおけるチーズの種類をご紹介していきます。
ヨーロッパのチーズの種類
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正直なところ、チーズの種類といっても、その違いを正しく知っている方は少ないと思います。もちろん、私自身も「世界のおいしいチーズ厳選53種」の本を読むまでは、チーズの「チ」の字も知りませんでした。この記事では、上記の本を参考にした上で、ヨーロッパにおけるチーズの種類をご紹介していきます。
チーズを大きく分類すると2種類
チェダーチーズやゴーダチーズ、プロセスチーズなど、チーズには、さまざまな名称があります。一体、どのような違いがあるのでしょうか? 実は、チーズには、大きく分けると、次の2つしかありません。
- ナチュラルチーズ
- プロセスチーズ
ナチュラルとは「自然」という意味がありますね。牛乳や山羊などのミルクに酵素を入れて固めた後、発効させたものです。アルプスの少女○○○などに登場する「牛から乳を搾り、それを固めて~」など、私たちのイメージするチーズと考えればいいです。
一方、プロセスチーズとは、上記のナチュラルチーズを二以上合成したものを指します。つまり、単体のチーズか複合のチーズであるのかの違いです。そして、ナチュラルチーズには、さらにフレッシュ、セミハード、ハードなど、合計で7つの種類があります。それらの種類を示した表が以下です。
ナチュラルチーズ | 牛乳や山羊などに酵素をいれて凝固、その後、発酵させたもの | フレッシュチーズ |
セミハードチーズ | ||
ハードチーズ | ||
白カビ | ||
青かび | ||
ウォッシュチーズ | ||
シェーブルチーズ | ||
プロセスチーズ | 一つ以上のナチュラルチーズを合成した物 | ゴーダチーズなど |
ナチュラルは、自然に近い形であるため、独特な風味やコクがあるのが特徴です。しかし、発効が進むため、あまり日持ちしないのが特徴です。一方、プロセスチーズは、複数のナチュラルチーズを組み合わせているため、さまざま味を出せるのが特徴です。また、発酵をとめているため、日持ちする特徴があります。
輸入ビジネスでは、「日持ちの良さ」が重要になるため、チーズを選ぶ上でしっかりと確認しておきたいポイントです。
ヨーロッパの代表的なチーズまとめ
それでは、ヨーロッパにおける代表的なチーズをご紹介していきます。以下のリストは「世界のおいしいチーズ53種 出版社: メディアパル (2013/10/1)」の本を参考にさせていただいております。チーズ初心者の私でも理解しやすいように構成されています。ぜひ、ご一読ください。
名称 | 原産国 | 食べ方(基本はそのままok。あえてお勧めする食べ方) | 特徴 |
モッツァレラチーズ | イタリア/カンパニア | ピザ | 水牛の乳で作ったものがベスト |
マスカルポーネ | イタリア/ロンバルディア州 | ティラミス | 甘みが強いためケーキなどに使える。 |
リコッタ | イタリア | はちみつ、ジャム | ホエイを使用する脂肪のチーズ。製菓材料など、広く活用できる。 |
カッテージチーズ | イギリス、オランダ | パンやベーグル、チーズケーキの材料 | 低脂肪・低カロリーが特徴 |
フェタチーズ | ギリシャ | フルーツ | 少し塩味がきつい。 |
ゴーダチーズ | オランダ | サンドイッチ、グラタン、ピザ | 癖がない味わい。alteと呼ばれる一年以上熟成させたチーズは、うま身が強い。 |
カンタル | フランス/オーヴェルニュ地方 | ホットサンド | ナッツの香りがする。熟成期間により名称が変化します。 |
アズィアーゴ | イタリア/ヴィチェンツァ | グラタン | 柔らかく、弾力があり、ほのかな酸味があるのが特徴。熟成期間が短い物が主流 |
チェダーチーズ | イギリス | ピザ | オレンジ色が特徴。熟成期間により味わいが異なる。万人向けのチーズ。 |
プロヴァローネ・ヴァルパダーナ | イタリア/ロンバルディア州 | パスタ、グラタン | もちもちとした食感とミルク風味が特徴 ひょうたんのような形が特徴。 |
テティージャ | スペイン | パイなど | 酸味と塩分が控えめでマイルド=万人受け |
パルミジャーノ・レッジャーノ | イタリア/パルマ、モデナ地方 | パスタ、サラダ | 世界中に広く知られている。 |
エメンタール | スイス | サラダ | グラタン、チーズフォンデュなどに活用 |
エダムチーズ | オランダ | パスタ | 保存性や輸送性などの特徴から盛んに海外輸出されている。通称「赤玉」 |
カマンベールチーズ | フランス/ノルマンディ地方 | バゲット | チーズの女王表面が白いカビで覆われているチーズ |
ブリー・ド・モー | フランス/ブリー地方 | バゲットサンド | チーズの王様 香り高く、深いコクが特徴 |
ブリア・サヴァラン | フランス/ノルマンディ地方 | フルーツ | 生クリームを加えているため、濃厚でバターのような味わいがある。 |
以上、ヨーロッパのチーズの種類でした。最後に余談ではありますが、チーズの消費国が多い国と、チーズを輸入するときの関税率や関係法令などをご紹介します。
- チーズの消費が多い国
- チーズを輸入するときの関税率と法令
余談1.チーズの消費が多い国
ヨーロッパ各国では、チーズが盛んに消費されています。その中でも突出しているのがフランスです。つまり、フランスでは、非常に大きなチーズ市場があるため、輸入ビジネスで扱えるチーズが存在する可能性が高いです。フランス大使館、EEN、その他の方法を使い、フランスのチーズをリサーチされることをお勧めします。
- フランス
- ルクセンブルク
- アイスランド
- ギリシャ
- ドイツ
- フィンランド
- スイス
- イタリア
- オーストリア
- オランダ
情報元:日本輸入チーズ普及協会
余談2:チーズを輸入するときの関税と関係法令?
日本にチーズを輸入するときは、どのような関税や法令が関係するのでしょうか?
チーズの関税
日本に輸入される関税率を調べられる「ウェブタリフ」によると、チーズを輸入するときの関税率は、およそ30%前後です。チーズの種類により異なりますが、平均すると、100円のチーズを購入すると、およそ30円の税金がかかると考えればいいです。非常に高い関税です。
チーズのHSコード:0406.10~0406.90
仮のお話として日欧EPAが発効すると、16年目、13年目、11年目の4月1日付けで、関税がゼロになるチーズが多いです。詳しくは「日欧EPAでチーズの関税率はどうなる?」の記事をご覧ください。
関係法令
チーズを輸入するときに関係する法令は、食品衛生法と家畜伝染予防法の2つです。食品衛生法は、食べ物の中に、日本で禁止になっている食品添加物が含まれていないのか?を審査する法律です。また、家畜伝染病予防法は、家畜の肉または、家畜から生成される産品により、伝染病が日本に侵入することを防ぐ法律です。詳しい内容は、次の2つの機関に問い合わせをお願いします。
食品衛生法:各地の食品検疫所
家畜伝染病予防法:各地の動物検疫所
まとめ
- チーズの種類はナチュラルとプロセスの2種類
- ナチュラルとプロセスは、合成の有無の違い。
- ナチュラルは、大きくわけると7種類ある。
- チーズを輸入するときは、高い関税率に気を付けましょう。

