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FCL輸出の全体像を一度で理解するためのガイド(見積→ブッキング→VGM→通関→CY搬入→B/L発行)
FCL輸出の実務は複雑に見えますが、基本の流れを押さえれば迷うことはありません。実際にコンテナを使った輸出手続きがどのように進むのか、全体像を順を追って見ていきましょう。
輸出は大きく…..
- 見積
- ブッキング
- 書類作成
- VGM
- 輸出通関(輸出申告)
- CY搬入
- 本船確認とB/L発行
の7つの段階で進みます。
この記事では、貿易初心者けに各ステップを丁寧に整理しています。FCLは1つのコンテナを丸ごと使用するため、重量・締め切り・書類の整合性が特に重要です。
ステップ1:見積(輸送ルートと条件の確定)
最初の工程は見積取得です。ここで輸送条件が固まり、その後の全てに影響します。必要な情報は、貨物の重量・容積・危険品の有無、希望納期、発地CY、仕向け地などです。また、運賃以外の費用(THC、DOC Fee、Booking Feeなど)も必ず発生します。費用負担範囲はインコタームズにより異なるため、FOBなのかEXWなのかを明確にしておくことが重要です。曖昧なまま進めると、後で「どちらが払うのか」という混乱が起こりやすくなります。
見積内容が固まったら、次は実際に輸送スペースを確保します。
ステップ2:ブッキング(スペースの確保)
見積内容を基に、船会社またはフォワーダーへブッキングを行います。ここでは船のスケジュール、CYカット(搬入締切)、DOCカット(書類締切)などの条件が確定します。危険品の場合は追加の申請が必要で、承認がなければブッキングが成立しません。カットオフ時間を誤ると搬入できず、船に載せられないため、ここが最初の重要ポイントです。ブッキング時点で、B/L情報の大部分が確定します。
ブッキングが完了したら、次に必要なのは船積に関わる書類の準備です。
ステップ3:船積書類の作成(S/I・インボイス・パッキングリスト)
ブッキング後は、船会社またはフォワーダーへ提出するS/I(Shipping Instruction)の作成に入ります。S/IはB/L作成の基礎となるため、品名・数量・荷主名義、輸入側の連絡先であるNotify Party など、B/Lに記載されるすべての情報を正確に含める必要があります。Notify Party の記載漏れや誤りは、仕向け地での輸入通関トラブルの主要な原因となるため、特に慎重な確認が求められます。
また、インボイスとパッキングリストもS/Iや実際の積付内容と整合していることが大前提です。B/Lの誤記は輸出通関だけでなく、代金決済に必要な銀行書類にも影響するため、丁寧なチェックが欠かせません。は輸出通関だけでなく、銀行書類にも影響するため、チェックを丁寧に行うことが求められます。
書類が整ったら、次は安全面に直結する重量申告の工程に進みます。
ステップ4:VGM(重量申告)
SOLAS条約に基づき、コンテナ総重量の申告(VGM)が義務付けられています。提出方法は実測と計算の二通りがありますが、どちらの場合も正確さが重要です。VGMカットの時刻は船会社ごとに異なり、未提出の場合は船積が許可されません。重量の誤りは安全面の重大な問題につながるため、現場との連携を密にする必要があります。
重量が確定したら、次はいよいよ税関への申告手続きに進みます。
ステップ5:輸出通関
NACCSで輸出申告を行い、税関の審査を受けます。必要書類はインボイス、パッキングリスト、契約書、必要な許可書類などです。審査の後に許可が出て、貨物は搬入可能となります。ここでは、輸出者名義の一致、HSコードの整合性、輸出管理該非の確認が重要です。特定類型に該当する貨物は、追加の手続きが必要となる場合があります。
通関が終わると、実際の輸送準備としてコンテナの搬入を行います。
ステップ6:CY搬入(コンテナ搬入)
輸出許可が出たら、コンテナをCYへ搬入します。トラック(ドレー)の手配が必要で、搬入時刻や受付ルールは港ごとに異なります。Seal(封印)番号の管理も重要で、後工程の確認に使われます。CYカットに遅れると船に積めないため、この工程の時間管理は特に厳密です。搬入後、コンテナは本船に積み付けられます。

輸出実務の現場では、許可前搬入制度もあります。
搬入が終わり、貨物が本船に積み込まれたら、最後の書類確認とB/L発行段階です。
ステップ7:本船動静確認とB/Lの発行
CY搬入後、コンテナが本船に積付けられたら、実務担当者は本船の動静を確認します。出港(Sailing)が予定通りか、到着予定(ETA)に遅れがないかを把握し、関係者へ共有します。
船積完了後、S/Iを基に船会社がB/Lを作成します。B/Lは有価証券であり、紛失すると再発行には船会社への保証状(L/G)提出や時間が必要になります。輸入側でデマレージやディテンションが発生した場合、インコタームズの条件によっては輸出側に問い合わせが来ることもあるため、基本的な仕組みを理解しておくと対応がスムーズです。
これらを避けるには、カットオフの一覧表を作る、B/L名義と社名を初回で固定する、数量と重量を現場と必ず照合するなどの基本動作が効果的です。
よくあるトラブルと回避策
ここまでの流れを理解しても、実務上は思わぬ落とし穴もあります。最後に、現場でよくあるトラブルとその防止策を整理しましょう。
FCL輸出の現場で頻発するトラブルとして、S/Iの遅れ、VGMカットの誤認、CYカットの勘違い、B/L名義の誤り、重量超過、危険品申請の漏れなどがあります。これらを避けるには、B/Lの紛失や誤記にも注意が必要です。B/Lは有価証券であり、紛失すると再発行には時間と手続きがかかります。また、輸入側でデマレージやディテンションが発生した場合、インコタームズの条件によっては輸出側にも問い合わせが来るため、基本的な仕組みを理解しておくと対応がスムーズです。
これらを避けるには、カットオフの一覧表を作る、B/L名義と社名を初回で固定する、数量と重量を現場と必ず照合するなどの基本動作が効果的です。
では、これまでの流れをもう一度整理しておきましょう。
最後に:FCL輸出は7つの流れを理解すれば十分です
輸出は複雑に思えますが、見積、ブッキング、書類作成、VGM、通関、CY搬入、B/L発行の流れが分かれば実務の土台は完成します。書類の整合性、カットオフ、重量の三つを押さえることで、トラブルの大半を防ぐことができます。船会社やフォワーダーとのやり取りを重ねることで理解が深まり、実際の案件でも自信を持って対応できるようになります。

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