ジェトロやインターネット上のサービスから相手を見つけることができました。しかし、一つだけ気になることが…..「相手をどこまで信用してもいいのか?」です。
日本では、新しい取引先の信用調査をするときは、東京商工リサーチなどへお願いすることが一般的です。ただ、今回、信用調査をしたい会社は、外国の企業です。
どのような方法があるのでしょうか?
この記事では、外国企業の信用調査の方法、便利な4つのサービスをご紹介します。
外国企業の信用調査をする4つの方法
新しく海外との取引が始まるのは、とても嬉しいです。日本の総人口が一億数千万足らずの所、海外では70億人にも上る巨大な人口があります。もちろん、この70億人の全てが、あなたの製品の顧客に向くわけではありません。
しかし、少なくても「日本市場だけ」をターゲットにするより、可能性が高いことは確かです。そんな魅力がある海外市場ですが、やはり詐欺や倒産などによって取引が台無しになることもあります。
例えば、相手の企業が倒産をすれば、輸出した商品がすべて損失です。また、倒産ではなく、相手が不払いをする可能性も十分に考えられます。このようなことを考えると、新しく取引を始めるときは、相手のことを調べること=信用調査が大切です。
外国企業の信用調査をするサービスは、いくつか存在します。有名な所は、ダンレポートです。しかし、一件当たりの調査料金が高い為、なかなか手を出せない企業も多いです。そこで、この記事ではできるだけ費用をかけることなく、外国企業の信用を調査する方法をご紹介していきます。主な方法は次の4つです。
- NEXI 日本貿易保険
- ジェトロ信用調査サービス
- 銀行を活用する方法
- コノサー
1.日本貿易保険(NEXI)の信用調査サービス
貿易取引上、代金の受け取りは大切です。しかし、場合によっては、相手先の倒産によって、代金が回収ができなくなることがあります。これを防ぐために「貿易保険」があります。
貿易保険は「NEXI(日本貿易保険)」という政府系の会社が運営しています。ここで保険を申し込むときに、あわせて相手の信用調査を行えます。
しかし、このサービスによる信用調査は、自社で情報を所有できるわけではありません。日本貿易保険を申し込むときに必要になる「海外企業登録」の信用調査として利用されます。自社に対して信用調査の内容がレポートなどで報告されるわけではないため、ご注意ください。
NEXIの信用調査サービスは、8000円~の有料サービスです。しかし、中小企業庁が定める「中小企業」に該当する場合は、無料利用できます。
では、輸出者としては、NEXIをどのように活用すればいいのでしょうか? 一つの方法としては、まずは日本貿易保険の申し込みを行います。このとき、買い手企業の登録&信用調査をします。格付け上、問題がなければ、そのまま手続きを進めていきます。
国単位のリスクならカントリーリスクマップも参考になる。
NEXI(日本貿易保険)のサイトには「カントリーリスクマップ」が掲載されています。輸出代金を回収できないリスクを色で表しています。
例えば、モンゴルは赤、中国は黄色、韓国は緑です。他方、アメリカ、オーストラリア、EU(一部地域)は、リスクが低い国であることがわかります。ご存じの通り、2020年は、世界的な大変革が起きており、このリスクも常に変化しているため注意が必要です。(引き受け停止など)

画像元:株式会社 日本貿易保険(https://www.nexi.go.jp/cover/img/rskmap.pdf)
2.ジェトロの信用調査サービスを使う方法
ジェトロ(日本貿易振興機構)では、信用調査サービスを提供しています。ジェトロが窓口となり、コファスサービスジャパン株式会社が提供しています。サービス料金は、下記の表の通りです。 ジェトロメンバーは、通常価格の半額で信用調査をお願いできます。
ジェトロメンバーとは? 年会費70,000円の有料サービスです。海外展示会への出展サービスの割引、ミニ調査サービスの無料化、海外ビジネス情報の受け取り、セミナーなどへの参加などができます。このジェトロメンバーの特典の中に、信用調査サービスの半額化があります。
地域 | 会員料金 | 一般料金 |
北米・欧州 | 15000 | 29700 |
東欧 | 20000 | 35100 |
アジア・中南米・中近東 | 20000 | 35100 |
アフリカ | 20000 | 40500 |
3.銀行を活用する方法(バンクリファレンス)
貿易取引で何かとお世話になるのは銀行です。事業資金の調達はもちろんのこと、L/C決済、「L/G(銀行信用状)」などを発行してもらいます。実は、この銀行をうまく活用することによって、海外企業の信用をある程度、調べられます。
銀行と銀行には、ネットワークがあります。これは、国内銀行同士にとどまらず、海外間でもあります。そのため、このネットワークを通して、海外にある企業の与信情報を調べてくれます。当然、このようなことをしてもらには、日ごろから銀行との付き合い方が重要です。
4.CONOCER(コノサー)
コノサーは、三井物産クレジットコンサルティングが格付けを行う信用調査サービスです。クラウド型(インターネット活用した方法)で提供しているため、単なる信用調査に限らず。それを「社内で共有する」ための仕組みが整えられています。具体的には、以下の5つの点がコノサーを使うメリットです。
コノサーを使う5つのメリット
- 海外輸出経験が豊富な三井物産系が運営
- 調査料金も安い
- 短納期を実現
- クラウド型で、いつでも、どこでも確認できる。
- 過去データの保管も簡単
1.海外輸出経験が豊富な三井物産系が運営
三井物産系の会社が運営しています。
2.調査料金も安い
調査料金も一件あたり13500円~とリーズナブルです。(原則英文納品)もし、英語が苦手であれば、+10000円を支払えば翻訳してくれます。
3.短納期を実現
一般的な信用調査は、2週間ほどの時間がかかる所が多いです。しかし、コノサーは、これを5営業日に短縮して納品可能です。
4.クラウド型で、いつでも、どこでも確認できる。
調査した信用調査情報を特定の人だけが所有していては意味がありません。また、調査レポートを見たいときに「会社のパソコンに入っている」では話になりません。コノサーは、ログイン情報があれば、いつでも、どこでも調査レポートを見られます。
5.過去データの保管も簡単
会社は、生き物と似ています。過去、信用調査をした結果、合格だった企業であっても、数年後も合格するとは限りません。コノサーは、調査レポートを保存できるため、過去と今を比較して、その推移を確かめることができます。
コノサーの料金表
エントリー | ベーシック | プロフェッショナル | |
初期 | ¥30,000 | 無料 | 無料 |
基本料金 | ¥19,800 | ¥29,800 | ¥59,800 |
まとめ
これから貿易取引を始めるときは、何らかの方法で相手の信用調査をすることが望ましいです。ただし、実際の所、信用調査の結果には、載ってこない会社も多いです。そのため、すべての判断を信用調査に任せると、自らの商売範囲を狭めてしまう可能性もあります。
料金的には、どこも似たり寄ったりです。それぞれの特徴を考えて、適切なところを利用しましょう、結局は、自分の足で入手した現地情報が参考になる場合が多いです。やはり、海外の現地企業を訪ねることが大切です。

