あなたが個人セラーなら、ありふれた戦略では勝てない。ゲリラ戦を挑んでみてはどうか
確かにタイ輸入は中国輸入とは異なり、規模の小さな個人でも十分に戦えるだけの下地があります。なにしろ少額仕入が可能ですから、仮に緒戦で躓いたとしても致命傷を負うまでには至りません。
しかしタイ輸入と聞いて、誰もが思い浮かべるエキゾチックレザーやシルバー製品を安易に仕入れようとするのは考えものです。そこには豊富な実弾(資金)と重火器(確立した販売チャネル)を揃えた既存のセラーが、すでに強い勢力圏を築いているためです。そんな中、三八式歩兵銃しか持たない貴方が市場に宣戦布告しても、作戦が成功する確率は低いです。
それよりも、既存のセラーが「面倒くさそう」等と手を出しづらく、または気付かないような分野を攻めてみてはどうでしょう。
もちろん、日本で全く需要のない分野を攻めてはいけません。ニッチながらも一定の需要がある分野の関連地帯を狙うのです。誰もが目を向けない密林の中でさえ、どこかに泉が湧く場所があるはずです。そこをいち早く占領していただきたい。
はじめに。この記事を読むにあたっての注意事項
本記事は、あくまでも皆様に「なるほど。そういう考え方、着眼点もあるのか」と気付いていただくためのヒントを提供し、貴方だけの商品、仕入先を見つけていただくことを意図しています。
したがって「この店から仕入れてみてはどうですか」とは決して勧めておりませんので、どうぞ誤解なさいませんようお願いいたします。
日本で世界で、根強いファンがいる「あるモノ」の専門店があった!
この着眼から、次の方程式が成り立つとの仮説を立てます。
この仮説を元にバンコクをパトロールしていたところ、面白い店を見つけたのでご紹介しましょう。方程式を頭に入れつつも、読み流していただける内容となっております。リラックスして、腕枕しながら読んでいただければ幸いです。早速いってみましょう。
バイク界のレジェンド、ホンダ・スーパーカブの専門店『Cub House』を突撃レポ
二輪車の歴史に燦然と輝く金字塔を打ち立てた偉大なバイク「HONDA・スーパーカブ」。生誕60周年を迎えた際の生産台数は、他車の追随を許さぬ1億台を突破していたという。2018年、タイ現地法人APホンダは、これらを記念したコンセプトモデルとなる「C125」の発売に合わせるように、バンコクに専門販売店「Cub House」をオープンさせた。
タイ国内では、このショップでしかC125を購入できないこともさることながら、お洒落なカフェまでもが併設されているというのである。タイ人がクリエイトしたカブ専門店とカフェとの複合施設とは果たしてどのようなお店であるのか? その実態を調査すべく店舗へと向かった。

▲シンプルでシックな外観は遠くからでも目を惹く存在。ドンキホーテにも近い。
ハイソなエリアに所在
雑木林に囲まれた人里離れた丘に居を構える私には、それが六本木通りか青山通りに値するのかは知らないが、Cub Houseのあるバンコクのエカマイ通り(スクンビット通りソイ63)とは地元富裕層が高級車で乗り付けるデスコが点在するハイソな通りなのだという。なるほど表参道辺りにありそうな澄ました外観を持つカフェをオープンさせるに最適なのだろう。
カブとモンキーのワンツーパンチ
遠目には波止場の倉庫群をイメージさせる外観だが、入り口には美味いコーヒーあるヨの看板が出ていて、今風カフェの店構えである。

▲入ってすぐがカフェゾーン。その奥にバイク展示ゾーンと工場がある。
店を入ってすぐにカフェカウンターがあり、その奥が展示スペースとなっている。まずはカブだ。カフェをスルーし展示場へと進むと、ピカピカに輝くカブとモンキーが店内所狭しと我々を出迎える。モンキーも、小型ながら独特のシルエットで世界中に愛好家を持つ名車である。その数、カブ2台、モンキー8台の計10台(その他、Dax1台)。Cub Houseという店名ではあるが、展示台数ではモンキー中心となっているのがいかにもタイである。

▲赤い、赤い、赤いマシンのC125。力と技の車輪が回る。

▲何十年も前に、このモンキーの美麗なるデザインが産み出されたことには全く驚かされる。

▲文句なくカッコいい。艶消しブラックとタイプRを想起させる赤が抜群にレーシー。
これぞホンダの原点! 原チャリの始祖も生息
普段、我々が一口に「バイク」と呼ぶものの中には「原動機付自転車」という正式名称をもつ種類があって、道路交通法では50cc以下、道路運送車両法では125cc以下のバイクがそれに当たる。125ccであるカブもモンキーも原チャリに分類されるのではあるが、ここに、彼らの始祖がいた。「ホンダA型」、通称 “バタバタ” である。
キキーッ! キキキキーッ!
かつて日本には、甲高いブレーキ音を響かせてヨロヨロと走行する近所のジイ様がどこの町にもいたものである。そんな昔日の一コマが思い起こされる昭和テイスト満点の自転車に空冷2サイクル単気筒ロータリーバルブを取り付けた、当時としては画期的なマシンが「ホンダA型」だ。
まったく原動機付自転車とは言い得て妙である。この原付の登場以降、戦後日本はモータリゼーションの夜明けを迎えることになるのであるが、いわば質実 “剛” 健なパイオニア戦士というべき存在だ。始祖誕生から70余年、現行カブとモンキーに目をやれば、嗚呼、隔世の感を禁じ得ないのであった。

▲当時はバタバタ、今は赤カブ。郵便屋さんとホンダとは、キッテも切り離せない関係のようだ。
シースルー型工場も完備
店内の最深部には整備工場がある。購入者に生じたマシントラブルからドレスアップの相談まで、専門店ならではの高い技術力でオーナーを満足へと導く。カブをいじり尽くした熟練工の手によって、納車整備やカスタマイズが施される劇空間スタジアムなのである。
工場はガラス張りとなっているので、さながら部活中の我が子を見守る保護者のように、熟練工によって完成へと形作られてゆくマシンを観戦することができる。ギャラリーから注がれる熱い視線を背中に感じると、どこか熟練工のパフォーマンスも快調となるようだ。

▲熱心に商談している彼らの奥が工場。見学用チェアが用意されているが、撮影はNG。
パーツもアパレルも豊富な品揃え。日本では売られていないアイテムも
カブやモンキーを日頃の足として使用中のオーナーが直面するふとしたトラブル対応に、各種パーツが取り揃えてある。「ハテ、どんな部品が入荷しているかな?」と駄菓子屋感覚で店をのぞく楽しさもある。

▲日本のパーツもあれば、日本で売られていないパーツもあるようだ。
ところでこのCub House、ホンダがコラボする先はアパレル関係企業でもあるのだという。そのため、カブにちなんだポロシャツ、ジャケット類なども豊富に展開していた。

▲機能性ではなく、ファッション性を重視したアパレルが揃う。
ざっとチェックしてみると、なるほど夜市で売られている一着100バーツ(約400円)のおつとめ品とは異なり、さすがにしっかりとした縫製だ。その分、たとえばこのポロシャツの値段は高めの1,050バーツ(約4,200円)。きちんとした身なりは好感度を高める効果もあるため、筋金入りのカブ好きなら手に入れておきたくなるだろう。

▲ワニでも月桂樹でもなくバイクが目印のポロシャツ。入手困難品ならマニア垂涎かも。
カブ・モンキーを愛でつつコーシータイム。カフェカブミーティングに最適
「ホンダ特約店 ××モータース」的なバイク屋さんなら貴方の町にもあるだろう。だが、インスタ映えするカフェ併設のバイク屋さんは異例の存在だ。ゆったりとしたカフェスペースでは、迷わず展示場に面した席を確保したい。

▲好きなモノに囲まれて飲むコーヒー。小さな幸せを感じるひとときではあるまいか。
カブとモンキーを存分に愛でながら挽きたてのコーヒーを味わう。一人でぶらりと遊びに来るのも良いが、カブ・モンキー好きが集まってのカフェカブミーティングにもモッテコイだ。バイク屋さんと言えば「汗と油の男の空間」というイメージがあるが、Cub Houseなら意識高い系の女性客でも文句はあるまい。

▲いつ何時でもバイクのことを考えていたい方には、この席がおすすめ。
ホンダのお歴々も揃って見参。そのパワーはドリーム級。
おや? 日本語らしきものが見えたので近づいてみた。
挑戦!
八郷隆弘

▲当時の社長が直々に揮毫。ダメ元で頼んでみたら「面白いから、やる」と言ったのだとか?
店内には、ホンダの八郷社長(当時)が残したサインが飾られていた。さらに、現取締役会会長である倉石誠司氏のサインも残されていた。プレジデント直々のお出ましとは、Cub Houseにかけるホンダの並々ならぬ意気込みをもうかがい知ることができる。困難に挑み、世界を獲った本田宗一郎の精神が、ここバンコクにおいても脈々と息づいているのである。

▲販売店に表敬を。かつて本田宗一郎がした全国行脚の逸話と重なり、胸が熱くなる。
アクセス
ショップへのアクセスを簡単に説明しておくと、最も安上がりなのが鉄道と徒歩である。BTSエカマイ駅で下車し、1番出口を降りたソイ63を北上すること約1.5キロ。暑い中を歩きたくないのなら、ソイの入口にバイクタクシーが待機している。多少のコストは生じてもタクシーを利用する堅実派なら、運ちゃんに「ソイ・エカマイ サーム(エカマイ通りの中のソイ3の意味)」と伝えるべし。ソイ3の入口にCub Houseが建っている。
総括「負けるもんか。逆から眺め、行動し、人とは違う強みを手に入れよう」
さて、日本の誰もが知るホンダ・スーパーカブの専門店を引き合いとして、仕入先開拓のヒントを探ってまいりました。
タイ輸入において、ロングセラー商品を同様に仕入れることは難易度が低い分、戦力のない貴方が一人で乗り込むには苦戦することが目に見えています。
しかし貴方は、人とは異なる着眼点を持って戦略をぐるりと転換すれば、たった一人で軍隊を手玉に取ったランボーにだってなることができるのです。弱者なりの兵法を用いれば、貴方の目指す勝利は近づくことでしょう。私は貴方の良き戦友であり、理解者でありたいと願っています。
トラウトマンとしての進言は、以上となります。


国際輸送の見積もり依頼例
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | アリババ | 東京 | アロマオイル | 相談希望 |
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