スーパーフード「昆虫食」 加工製品で輸入チャンスを掴む

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    世界人口は2050年までに約100億人に拡大すると予想されている。それに伴い、食糧危機や環境問題が大きな課題となっている。人口増加で食糧の供給が追いつかなくなる事が問題視されると同時に、現在もすでに生産プロセスが地球環境にストレスとなり、気候変動の一因となっている。

    そこで大きく注目されているのが、昆虫、海藻、藻類などの持続可能なタンパク資源を利用した次世代の代替食品だ。なかでも昆虫食は、その衝撃的な見た目のために日本のテレビ番組でも取り上げられるようになり、国内でも徐々に認知度があがってきている。

    実は、昆虫は古来人間が食べてきたタンパク源だ。昆虫の飼育に必要なスペース、水、飼料は、家畜よりはるかに少なくすむため、環境への負荷が少ないと言われている。アジアでも特にタイでは現在も日常的な素材として広く流通しており、飼育ノウハウも発達している。

    昆虫食の課題は、見た目が気持ち悪いという印象を払拭するための製品化、美味しさの確保、そして安全性の法的整備だ。現在は、昆虫をそのままの形で食べるのではなく、顆粒状または粉末状にしてひき肉や小麦粉の代わりに使えるパッケージ商品など、使いやすい製品が販売されるようになっている。東南アジアでもそうした代替食品を手がける企業が急成長を遂げており、今後大きく成長する新興市場として期待されているのだ。

    2020年9月30日の記事では、タイの食用コオロギの輸出量が2019年に前年に比べて23%も増加した話題をお伝えしたが、今回はタイを含めた各国の動向、製品、サービスを紹介したい。

    アジアと欧米で異なる「食用昆虫」観

    タイ:10年後は昆虫食が当たり前の時代に

    タイは、食用昆虫の農業において、商業性を確立したパイオニアであり世界的リーダーだと自負している。2013年には、タイの飼育技術と国内流通のノウハウをまとめた書籍が国連食糧農業機関(FAO)から出版され、昆虫農業のバイブルと言われている。

    しかしタイでも、国内では市場で箱に積まれた昆虫を計り売りするのが一般的で、バンコクなどの都市部では昆虫そのものが流通することはあまりない。そこで、昆虫スナックメーカーの「Smile Bull Marketing」は、タイ都市部だけではなく世界市場を視野に、小さな幼虫を乾燥してバーベキュー、海苔、トムヤムクン味などのフレーバーをつけた「ヒソスナック」の袋菓子パックを販売した。

    同社は同時に、コオロギを粉末化したコオロギ粉も製造しているが、これは一般的に嫌われる昆虫の見た目を隠した製品だ。同社によると、ビジネスは安定しているが、大きな上向きとはいかないと言う。その理由は、昆虫が高タンパクな栄養価があり、将来的な食糧危機を救う存在だというメッセージを人々に伝えるのは難しいため、製品の浸透が遅いようだ。しかし同社代表は、「今後10年で昆虫ベースの食品は人々に受け入れられ、当たり前になる時代が来ると信じている」という。

    2018年に設立された「Cricket Lab Farm」も、コオロギ粉を販売する新興企業だ。実は、小麦粉として使用するコオロギ粉の開発はアメリカで始まり、ナッツのような味がするといわれ、プロテインバーなどで使用されている。そのため、同社のコオロギ粉の主要な輸出先はヨーロッパやアメリカだが、日本や韓国でも昆虫タンパク質への関心が高まっていることから、今後、輸出展開を予定していると言う。

    韓国:官民あげての昆虫食事業 「低炭素・高タンパク質」がキーワード

    韓国政府は、2016年から食用昆虫の飼育と消費における規制を解除しており、7種類の昆虫(コガネムシの幼虫、バッタ、ミールワーム、フタホシコオロギ、カブトムシの幼虫、蚕)の消費が可能になっている。市場の成長は当初の予想を大きくはずれ小さな動きで終わっているにもかかわらず、政府は諦めずに、さらに2021年に昆虫産業の振興支援プロジェクトを立ち上げ、国内の食用昆虫セクターの開発を目指している。このプロジェクトでは、昆虫飼育から加工、流通販売までの事業発展を支援する。

    昆虫は、タンパク質、カルシウム、鉄分の含有量が牛肉を上回るという報告があり、韓国では病院食に昆虫の粉を使ったプリンを提供して、患者の治癒が早まったとの報告もある。このように政府だけでなく、民間でも積極的な動きが始まっている。

    韓国の昆虫食業界を牽引するのは、昆虫レストラン「パピヨンズキッチン」だ。同社が提供する食事は、一見虫が入っているようには見えない見た目だ。ミールワーム(一般的にゴミムシダマシの幼虫)の粉を利用したパスタやスープ、揚げおにぎり、マカロンなど、見栄えがよいプレートで、「虫を食べている感じがしない」とSNSでも若者の間で話題になっており、アメリカ進出も予定している。同社は、昆虫の栄養価を説明する努力を惜しまない。昆虫そのものに焦点を当てるのではなく「低炭素、高タンパク質」とシンプルに宣伝している点が、消費者に受け入れられる秘訣だろう。

    ベトナム:日本市場に大きな期待

    ベトナムのコオロギ粉メーカー「Cricket One」は、日本市場を狙っている。同社は無印良品が販売した「コオロギせんべい」が日本国内でベストセラーであることや、他の日本企業がさまざまな革新的な昆虫食製品を販売していることに目をつけ、日本市場が大きな転換期にあると主張している。同社のハンバーガー・パテは、本物のパテと遜色のない食感と味を備えているため、日本の消費者の生活の一部になりうると自信を持っている。

    同社製品はすでにアジアと西洋諸国など15カ国以上に輸出されているが、代表は東洋と西洋の違いについても言及する。「アジア諸国では虫を食べる豊かな文化が存在していたため、アジア市場で躍進するためには、伝統的な昆虫食のイメージを払拭する食品の開発が必要不可欠だ。一方で、西洋では昆虫食は珍しく規制も強いが、将来の食料危機に対する意識の高い消費者によって支えられているため、メーカーはあらゆる食品に昆虫を利用するための開発を惜しまない姿勢があり、一旦規制が解かれれば大きな市場として期待できる」という。

    EU:規制緩和の動き メーカー続々登場で輸入チャンス

    EUでは、昆虫食品を「ノベルフード(新規食品)」として認可する動きが加速している。ノベルフードとは、人間が消費してこなかった食品を指す。認可が下りることで、EU以外の昆虫食品メーカーがEU市場にアクセスできる可能性が格段に広がることを意味する。EUの昆虫食品メーカー協会である「食品飼料のための昆虫国際プラットフォーム(IPIFF)」によれば、早くても2021年半ばには認可されるだろうと述べている。




    このように未だ規制の残るEUだが、続々と昆虫食メーカーが生まれている。スイスのメーカー「Essento」は昆虫スナックやプロテインバーを販売している。同社のミールワームを使用したハンバーガーパテは、現地スーパーマーケットの店頭にもならんでいる。

    また、フィンランドのスナックメーカー「Party Bugs」は、”おいしくてスパイシーなスナックコオロギ”という宣伝で、コオロギの丸ごとスナックを販売。スパイシーメキシカンバーベキュー、アジアンフュージョン、北欧の伝統的な飴サルミアッキ(リコリスの一種)の3種類のフレーバーがある。地元の人々に愛される味付けにすることは、市場で受け入れられるための企業努力だ。また同社製品は、パッケージデザインも美しく映える見た目で、若い世代の心を掴んでいる。

    アメリカ:トレンドと言われるも小さな動き ペットフードに広がり

    アメリカではEUと同様に昆虫は食品規制の対象となっており、米国食品医薬品局(FDA)が、昆虫食に対して未だ積極的な姿勢を見せていないことが、業界の法的な壁となっている。しかしながら、昆虫食を提供するレストランや、プロテインバーやパスタなどの加工食品の製造メーカーが実績を出し始め、2019年には食用昆虫「USAトゥデイ」の食品トレンドリストに掲載されている。

    タイの項でも述べたが、アスリート向けのプロテインバーにコオロギ粉を使用するようになったのは、アメリカやカナダのスタートアップが先駆けだ。アメリカ国内では現在も、ミレニアル世代が経営するスタートアップ、家族経営の農場などがメーカーとして食用昆虫栽培に乗り出している。

    しかしアメリカの消費者の意識はその動きに追いついているとは言えない。比較的若い世代は昆虫食に対してオープンマインドだと言われるが、消費者の大半は拒否反応を起こしている。業界関係者は、まずは理解のある消費者から広げていくことが必要だと言う。

    そんななか、犬や猫向けのペットフードに食用昆虫の使用は広がっている。大手企業ネスレのペットフード「ピュリナペットケア」は昆虫タンパクを混入したペットフードの販売を開始した。また、昆虫タンパクから作られるドッグフードのメーカー「Jiminy」は、カリフォルニア州を拠点とするスタートアップだ。

    アメリカでは、昆虫食が一般消費者に届くにはまだ時期尚早だが、市場拡大の未来はそう遠くないようだ。

    まとめ

    昆虫食は、近い将来にやってくると言われる食糧危機や環境汚染といった社会的意義の高い分野であるイメージが強いかもしれない。しかし近年その栄養価が徐々に明らかにされ、ヨーロッパでは次世代の「スーパーフード」とも言われており、健康やウェルネスに意識の高い消費者層の興味を惹き始めているという。

    また、昆虫食の文化や伝統は西洋と東洋で大きく違うが、見た目のインパクトに対する反応は似ている。虫の形をそのまま留めた製品は話題性があり、強いメッセージを放つ。一方で、パウダー加工された昆虫を利用した食品であれば、見た目も味も受け入れられやすくなる。

    昆虫食は、世界的にもニッチな新興市場だが、各分野から大きな期待がかかっているのは間違いない。日本にも多くのスタートアップのメーカーが登場しており、輸出、輸入ともに無限大のチャンスが広がっているのではないだろうか。

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    この記事の参考サイト
    • Bankok Post, Alternative foods take the next step
    • The Nation Thailand, Thailand launches the ‘bible’ on insect farming
    • Channel News Asia, Food of the future? Five-star edible insects served up as Thailand gets creative with bug business
    • Food Navigator-Asia, Insect start-up raises US$2.1 million to automate Thai farm and develop new cricket products
    • Retail News Asia, Insect restaurant educating Korean palates
    • Food Navigator-Asia, Insect industrialisation: South Korea looks to renew edible bug industry efforts with new development projects
    • Food Navigator-Asia, Cricket ‘hot bed’: Vietnamese edible insect firm sets sights on Japan and meat alternative development
    • The Nation Thailand, Thailand’s edible insects make leap into global market
    • Food ingredients, European insect sector applauds new policy shift in anticipation of first “novel food” authorizations
    • Trend Hunter, Party Bugs are Made with Whole, Roasted & Seasoned Crickets
    • Food Safety News, Grubbing bugs: Can we get over the ‘ick’ factor?
    • CNN, Nestlé thinks your cat (or dog) will eat insects and fava beans
    • USA Today, 2019 food trends: Cricket powder, edible insect start-ups spark love for bugs
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