日欧EPA(JEEPA)はどのように分析されている?

TPP/日欧/日米協定
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日本とヨーロッパの間で結ばれるEPA(経済的な協定)は、海外のニュースサイトでどのように報道されているのでしょうか? 今回は、ニュースサイトの傾向(情報筋)を完全に無視して、英語で検索をしたときにぱっと出てきた2サイトの記事をご紹介します。

JEEPA HUNADE 海外報道

海外では、日欧EPA(JEEPA)は、どのように報道されている?

日本とヨーロッパの間で結ばれる自由貿易協定は、日本以外のメディアではどのように伝えられているのでしょうか? 基本的にメディアは「作り上げたい世の中」の方へ、世論を誘導しようとします。そのため、ある一つの物事を分析するときは、複数国のメディアを見なければならないと「クレムリンメソッド」の中で紹介されています。

クレムリンメソッドは、世界における「情報操作の方法」を細かく解説しています。この本の中で、世界の情報は数本の機関に牛耳られており、日本の報道機関は、欧米系に属するとされています。したがって、基本的には欧米に不都合な情報は流されにくいと言われています。その他、ロシア系情報筋、中華系情報筋などもあり、同じ物事であっても真逆のとらえ方をして報道することが普通とのことです。

今回の海外ニュースサイトの確認は、情報操作を疑うというより「海外では、日欧EPAは、どんなとらえ方をされているのか?」を調べてみます。上記で述べたような「情報筋の違い」を意識してニュースサイトを選択しているわけではないため、あらかじめご理解ください。

日欧EPA(JEEPA)でヨーロッパ側が求めているポイント

今回、選んだ海外のサイトは「BBC」と「The Economist」という2つのサイトです。最初に2つの原文をご紹介した後、私見をまじえて説明をしていきます。原文の記事では、特に気になる部分のみを抜粋して説明します。

BBCの報道内容

The EU’s dairy farmers are struggling with falling demand in its home nations and an ultra-competitive buying climate, which farmers say means they are paid less than the cost of production.

引用元:BBC

和訳:EUの酪農家は、自国(圏内)での需要の落ち込みに苦しんでいます。

The Economistの報道内容

以下にご紹介する6つの原文は、すべて「The Economist」より引用しています。

Exporters from the EU pay €1bn (1300億円) in export duties to Japan each year, and on agricultural products face average tariffs of 21%.

和訳:EUからの輸出業者は、毎年日本への輸出関税で1300億円支払っている。農産物は、平均21%もの関税を支払っている。

→この部分については、合っているのかは不明です。そもそも関税は、輸入者が支払う物です。ここでいうEXPORTERが日本側の輸入者を指すなら、意味はわかります。

JEEPA will slash Japanese tariffs on beef, pork and wine, eliminating 85% of the tariffs on agricultural food products going into Japan.

和訳:JEEPA(日欧EPA)は牛肉、豚肉、ワインの関税を引き下げれる。日本に入る農産物の85%の関税を廃止する。

It found the deal could raise the EU’s exports to Japan by 34%, and Japan’s to the EU by 29%.

和訳:この協定は、EUの輸出を34%、日本の輸出を29%引き上げる可能性がある

Tariffs on European exports of textiles and clothing will also be cut.
When the deal enters into force, Japanese tariffs on shoes will drop from 30% to 21%, and then to zero after ten years.

和訳:ヨーロッパの衣料品の関税も削減される。この協定が発効すると、日本における靴の関税率は30%から21%に下がり、10年後にはゼロになる。

But they found the Europeans were much more interested in lowering tariffs on cheese, chocolate and wine than on basic agricultural crops such as rice that were sticking-points in TPP.

和訳:ヨーロッパの人は、チーズ、チョコレート、ワインの関税引き下げにとても大きな興味があることがわかるはすです。(TPPのポイントであったコメなどの農産物よりもはるかに高い関心)←前文と続いています。

Described in these terms, as a deal easing the flow of cheese in one direction and cars in the other, JEEPA sounds like an old-style trade haggle prey to national vested interests.

和訳:一方向ではチーズについて、他方では車の関税をというように、JEEPAは、昔の貿易交渉(固有の既得権益)のようにも聞こえる。

2サイトの記事をみた感想

1.日本もEUの酪農家も需要減に困っている。

日本の酪農家は、国内による需要の低迷から経営状況が悪くなっていると言われています。しかし、これは決して日本だけのことではなさそうです。EUときくと、酪農の先進的な国であり、ハイテクな機器を使った合理的な経営をしているイメージがあります。しかし、実際は日本の酪農家と同じように、国内需要の低迷により苦しんでいることがわかります。EUの酪農家にとって、JEEPAは市場が広がるという意味で期待がありそうです。

2.ヨーロッパ側の関心は、ワイン、チーズ、チョコレート

JEEPA(日欧EPA)のヨーロッパ側の関心は、ワイン、チーズ、チョコレートの三点に集中していることがわかります。その中でも特にチーズについては、大きな関心があります。

2016年の日本へ輸入されたチーズのデータを見ると、世界38か国から輸入されています。そのうち、20か国がEU圏内に属する国から輸出されています。EUに加盟する国が28か国ですから、そのうちの7割以上の国が日本へチーズを輸出しています。このような輸出状況を考えると、チーズに対して高い関心があることがわかります。いえ、むしろ関心があって当然だといえます。詳しくは「日欧EPAでチーズはどうなる?」をご覧ください。

EU側が絶対譲れない商品は、ワイン、チョコレート、チーズの三品目です。何が何でも関税撤廃の方向へ交渉するはずです。

3.EU商品を研究する必要があります。

2017年7月現在、EUとのEPAは、最終合意手前です。この後、各国の国会で「JEEPA(日欧EPA)」を認めるかどうかの審議がなされます。これは、EU側の国、日本側の双方で行われます、この国会での審議を経て承認されると「批准(ひじゅん)」です。無事に批准が終ると、いよいよEPAが発効です。つまり、スタートします!

では、現在、ビジネスをされている方は、今後、どのようなことをすればいいのでしょうか? 特にワイン、チーズ、チョコレートに関係する業界の人は、何らかの対策を立てておく必要があります。もし、私が酪農家やワインの醸造所を経営しているのなら「EU側の研究」、つまりライバルとなる人の研究をします。

例えば、EUで現在販売されている乳製品は、どのような味であるのか? 脂肪分はどうなのか? 形状は? ラベルやパッケージはどうなのか? また、スーパーだけではなく、できれば現地の酪農家を訪ねてみます。すると、どのような設備で酪農をしているのかも見えてきます。このように地道な研究をしていき、日本へはどのような製品が輸出されてくるのか? 日本の消費者に好まれるのか?などを一つずつ検討していきます。

このようなライバル調査をしていくと、EUの製品が入ってきたとしても、影響を受けない「何らかの穴」が見えてくるはずです。この穴とは、日本の酪農品からもEUの酪農品からも影響が少ない分野のことです。ヒントは、何かと何かを掛け合わせることにあります。これが何であるかをEUに出向いて調査してみます。必ず何かしらのヒントがあるはずです。もしかすると、逆に自社の商品を売り込める隙間を見つけることができるかもしれません。

日欧EPAは、欧州側の関税も撤廃されます。これは、これまでよりも日本の商品が欧州市場に入りやすくなることです。もちろん、欧州は食について厳しい基準があるため「関税の削減=輸出増し」となるほど、単純ではない可能性があります。しかし、物を入れるときの関税がなくなるのは、これまでよりも輸出がしやすくなることに違いはありません。日本企業は、ぜひこのJEEPAを広く活用して、積極的にEU市場へ輸出していただきたいです。

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【日欧EPA対策】チーズの輸入はどうなる?知るべき3つのデータ

「日欧EPA対策」これだけは知っておくべき5つのポイント

まとめ

今回は、海外における日欧EPAがどのようにとらえられているのかをご紹介しました。経済連携協定は、お互いの国でメリットがあるときに結ばれるものです。日本側にメリットがあれば、EU側にも必ずメリットがあります。このEU側のメリットが何かを知ることで、EPAが結ばれたときに「何をすべき」かの方向性がわかります。

正直な所、現時点では実際に発給に至るのかは不透明です。しかし、ひとたび発給すると、両国が協定通りに進んでいきます。もし、このとき、事前に対策をしていたところ、そうでないところの差が大きくでると予想しています。この記事をご覧になっている方は、もちろん前者の方へ入っていただきたいです。

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