日本から貨物を輸出する際は「特定原産地証明書(貨物の原産地を示す書類)」が必要です。この証明書は、該当する貨物の「生産者」または「輸出者」が、日本商工会議所に原産地証明書の発行を依頼して取得します。取得するときは「特定原産地証明書の発行手順」に従いながら、進めていきます。この手続きによる取得は、第三者(日本商工会議所)が原産地証明書の発行を行うため「第三者証明制度」と呼ばれています。
一方、第三者が原産地証明書を発行するのではなく、輸入者らが自ら証明書を作成する仕組みもあります、これを「自己証明制度」または「自己申告制度」と言います。そこで、この記事では、自己証明制度について詳しくご紹介していきます。
自己証明制度とは
輸出者自身で原産地を証明することを「自己証明制度」と言います。第三者が発効しなければならない「第三者証明制度」とは違い、輸出者や輸入者が原産品の証明書を発行するため「不正行為」の温床になりやすい制度とも言えます。
例えば、第三者発行制度を利用する場合は、日本商工会議所が「書類に対して何の利害関係もない立場」で、原産地基準に沿った貨物であるかを審査します。少し言い方は悪くなりますが、審査の結果がどうであれ、自分には「直接関係しない」のです。その分、原産地基準を満たしているかを「公平な目」で判断できます。
一方、自己証明制度の場合は、これとは全く逆です。自分の貿易に関わる書類を自身で作成するわけですから「原産地基準を満たしていない貨物」であると、自分のビジネスに関係してきます。そのため、第三者が「原産品基準を満たしているか」を審査するときよりも「審査を通過させる」前提で書類を作成する可能性が高くなります。
もう少し踏み込んだ言い方をすると、本来は原産地基準を満たしていないにも関わらず、書類やデーターをねつ造して「原産地証明書」を発行してしまう可能性があります。つまり、自己証明制度は「輸出者の倫理」にゆだねている部分が大きいといえます。もちろん、これらの不正行為に対する罰則などもしっかりとあります、
自己証明制度の全体像と作成可能者
自己証明制度は、EPAの特定原産地証明を取得するための「一つの方法」です。2018年現在、自己証明制度は、日豪EPAとTPP11(CPTPP)にだけ導入されています。なお、今後発効されるEPAは、自己証明制度が主流です。(日欧EPAでも導入予定)
また、自己証明制度は、原産品を証明するための書類(原産品申告書)を輸入国側の税関に提出します。原産品申告書を作成できるのは、商品の生産者、輸出または、輸入者です。なお、作成方法がわからないなどの理由から、それぞれの立場の代理人(通関業者)も作成が認められています。
自己証明制度のメリット
日本商工会議所で発行される場合(第三者発行制度)と比べると、自己証明制度はどのようなメリットがあるのでしょうか。主な理由は、証明書の発行にかかわる手数料と、証明書作成のための時間の短縮にあります。
1.手数料の無料化
例えば、日本商工会議所に証明書の発行をお願いすると、次の費用が掛かります。
- 基本単価:一件当たり2,000円
- 加算単価:一品目当たり500円です。
証明書発行の手数料は、基本単価と加算単価の合計です。
例えば、以下のような品目を掲載する原産地証明書を発行するとします。
1.クッキー
2.あめだま
3.ケーキ
4.ラムネ
5.お菓子の入れ物
上記の場合であれば、基本料金が2000円+500円×5(品目数)で4500円がかかります。一見、大したことがない料金に感じますが、たった5品目でこの価格だということに留意する必要があります。仮にこれが20品目、30品目と増えた場合、意外に高い手数料ですね。この点、自己証明制度については、発行手数料等は不要です。
2.証明書作成のための時間
2つめは、証明書を作成するための時間の削減です。
例えば、第三者証明制度を使い証明書の発行を受けるときは、企業登録から証明書の発行まで、どんなに早くでも二週間~三週間はかかります。(新規取得のとき)この取得までの期間を大きく削減できます。
以上の2つのメリットにより、今後、発効されるEPAでは、自己証明制度による証明が主流になってくると思われます。
EPAに関するおススメの記事→初心者向けEPAマニュアル
まとめ
- 自己証明制度とは、自ら作成する資料により貨物の原産性を証明する仕組み
- 原産品申告書(原産品であることを証明する書類)は、生産者、輸出者、輸入者のいずれかが作成できる。


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