【海外展開ハイウェイ】問題あり!? 経済産業省が中小企業の輸出を支援

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2017年5月24日付けの日本経済新聞一面に「経済産業省が中小企業の輸出を支援」と掲載されました。中々、輸出が進まない中小企業に、日本政府が大きな支援策を打ち出しました。そこで、この記事では、経済産業省、日通、アマゾンが共同で行う「海外展開ハイウェイの全体像」と、独自の見解をご紹介していきます。

中小企業の海外輸出支援

経済産業省が日本の中小企業の輸出を増加させるために、日通、アマゾンなどと共同で「海外展開ハイウェイ」という事業をスタートさせます。まずは、アメリカ市場への輸出を行い、実証実験次第では、アジアなど、その他の地域への輸出も支援していくとのことです。それが2017年5月24日の日本経済新聞一面で紹介されています。

日本通運、インターネット通販の米アマゾン・ドット・コムが中小企業の米国向け輸出を支援する。日通が複数企業の商品を集約、一括して通関手続きと輸送を実施し、商品はアマゾンの通販ルートで売り込む。流通コストは最大3分の一に抑える。人材や貿易リスクで慎重になりがちな中小企業の輸出を流通面から支える官民の取り組みが始まる。

引用元:日本経済新聞

全体的な仕組み

この事業にはいくつかのポイントがあります。まずは事業主体が経済産業省であり、日通と外資系のアマゾンが手を取り合う官民共同プロジェクトである事です。政府が主体になることで、政府系のファンドを活用して、一気にプロジェクトを拡大させられます。日通は、中小企業の輸出手続きや物流ノウハウなど「物の移動」をサポートします。アマゾンは、米国における「物の販売」を支援する仕組みです。

これを簡単に説明すると、政府が金を出し、日通が物流、アマゾンが販売を担当するです。これが海外展開ハイウェイの全体像です。では、もう少し具体的に見ていきましょう。

海外展開ハイウェイ HUNADE

中小企業が海外展開ハイウェイによって輸出するステップ

海外展開ハイウェイ(この事業の名前)を活用して、輸出をするステップは次の通りです。

  1. 輸出希望の中小企業は、日通の「ハイウェイ窓口」へ申し込む。
  2. 申し込まれた内容について、アマゾンが許可を出す。(おそらく売れるかの簡易審査)
  3. 中小企業は、日通の倉庫へ商品を送る。
  4. 日通はまとめて海外へ輸出&通関。
  5. 商品は、現地(海外)の日通やアマゾンの倉庫に保管
  6. 海外版のアマゾンで販売
  7. 海外のアマゾンから、現地の消費者へ届けられる。

販売期間は一年間、商品が売れ残ったときは、日通やアマゾンが破棄や日本へ戻すような仕組みです。それでは、この1~7の流れを踏まえた上で、海外展開ハイウェイには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

海外展開ハイウェイのメリット

海外展開ハイウェイのメリットだと思える点は、次の三つです。

  1. 輸出ノウウがない。しかし、とりあえず輸出可能&コストも削減可能
  2. 高度な人材を雇わなくていい
  3. 販売部分もアマゾンに任せられる

1.とりあえず輸出&コスト削減が可能

自社の商品が海外において、どのような反応が得られるのかを調べられます。これまでは、海外の反応を調べようとしても中々得られる状況ではありませんでした。しかし、この事業を利用すれば「売れない」等も含めて、海外販売における自社商品への反応がわかります。また、単独で輸出で必要になるコストなども大幅に圧縮ができ、それが利益の拡大につながります。

2.高度な人材を雇わなくても良い

自社で輸出をしようとする場合、物流や通関などは「通関業者」に一任するのが普通です。ただ、どれだけ外部に依頼をしたとしても「自社」において、ある程度、通関や海外ビジネスに精通した人は必要です。

例えば、海外の取引先と商談をするときに「FOB東京の価格を教えてくれ!」と言われることがあります。こんなとき「一体、何のこと?」と疑問に感じていてはいけません。やはり、外部会社にお願いしたとしても、基幹的な部分は、貿易知識を持った「自社の社員」が必要です。この点、海外展開ハイウェイの場合は、販売関係をアマゾンが担当してくれます。そのため、アメリカのお客とやり取りする必要もなく、特別な知識を持った社員を自社で用意する必要もありません。

3.販売はアマゾンが担当します。中小企業は、日本の倉庫へ商品を発送するだけです。

海外ハイウェイ事業を利用して商品を輸出する企業は、日本にある日通の倉庫へ商品を発送するだけです。その後の通関、販売などは、日通やアマゾンが担当してくれるため、海外販売をする上で特別な時間を必要としません。今までの業務内容に何らかの負担がかかるわけではないため、販売先を増やす上では、とても便利な仕組みです。

海外展開ハイウェイのデメリット

では、逆に海外展開ハイウェイのデメリットは、どのような物になるのでしょうか。主な物として次の3つです。

  1. 売り先情報が手に入らない
  2. ネット販売に向かない商品は利用できない
  3. 買い取り方式ではなく、委託方式」です。

1.売り先情報が手に入らない

「もし、お店が火事になったときは、顧客名簿を持ち出しなさい!」これは、商売にとって何が一番重要であるのかを端的に示したものです。火事という最悪なことが起きたときに、何を持ち出せばいいのか? それは、販売している商品の在庫やお店の売上金でもなく「顧客名簿」です。それだけお客さんのリストは、大切です。

海外展開ハイウェイの事業概要を見ている限り(実際は不明です。)「販売を担当するのはアマゾン」であると書かれています。これは、何もかもお任せしたい方にとっては、とても便利な仕組みです。しかし、あえて逆に言うと、この販売を続けている限り、「顧客名簿」は手に入りずらいです。なぜなら、すべての販売をアマゾンが行っているからです。

アマゾンのには、どんな商品が売れたなどの情報が集まってきます。しかも在庫リスクがないため「何の痛みもなく」です。一方、輸出元の中小企業は、アマゾンに販売を委託する上に、売れなかった場合の在庫リスクを抱えます。しかも、売れた場合であっても、それらの顧客情報が渡されるとは思えません。このようなことを考えると、全自動で販売ができるメリットがある反面、商売で最も大切な顧客名簿をいつまでも作れないデメリットの可能性が高いです。

2.ネット販売に向かない商品は微妙です。

アメリカ国内への販売は、アマゾンドットコムが担当します。アマゾンでの販売は、どこかの展示場などで商品が掲載されているのではなく、ネット上ですべてが完結される仕組みです。そのため、商品の特性上、どうしてもアマゾンなどのネット上では販売し難い商品もあります。

例えば、何かの機械に組み込むための「部品」などですね。あとは、何かの「材料」などです。基本的にアマゾンで販売されている商品は「スマホ」や「テレビ」など、すでに商品として完成している物が販売されていることが多いです。特にアメリカのアマゾンで販売する場合は、これに「日本っぽい」特徴が必要であるため、なおさら厳しいです。そのため、「表には目だたない商品(部品)」は、アマゾンでの販売は難しいと予想できます。

3.買い取り方式ではなく、委託方式です。

海外へ輸出する中小企業は、日本にある日通の倉庫へ商品を輸送するだけで、あとの手続きはすべて丸投げできます。そのため、実質、この事業を使った輸出は、中小企業の場合、日通の倉庫への発送だけです。ただ、ここで注意点があります。それは、日通へ発送した商品は、日通やアマゾンが買い取るのではなく、あくまで委託販売になることです。

つまり、アメリカの現地にて、売れ残ってしまえば、破棄をするか、日本へ戻すか、または手数料を支払って販売を延長するのかのいずれかです。いずれの場合も中小企業がその分の損失をすべて穴埋めする点は変わりません。決して、商品の発送を終えたからといって、在庫リスクがなくなるわけではないため注意しましょう!

これは、問題ではないの?

ここまでの説明で海外展開ハイウェイのメリットとデメリットをお伝えしてきました。実は、この他、次の2つの点も問題はないかと考えています。しかし、これはあくまで一個人の予想であるため、さらりと流し読みをお願いしたいです。

1.経済産業省が法人税を納めていないアマゾンと共同運用するって….

アマゾンは、グローバル企業であるため、法人税を日本には支払わず、アメリカへ支払っています。日本の市場で大きな商売をしておきながら、日本には一円足りとも法人税を支払っていません(消費税は支払っています。)そんな法人税を支払っていないアマゾンと、経済産業省という日本の国家機関が官民共同プロジェクトを立ち上げている時点で、大きな疑問を感じます。本来であれば、日本の会社で、日本へ法人税を納めている企業と共同で行うべきです。

2.売れ残りの破棄は、どこへいってしまうのか?

先ほども述べた通り、海外展開ハイウェイで売れ残った商品は、現地で破棄か返送などが行われます。おそらく、返送などをすると、その分だけ送料がかかるため、破棄を選ばれる企業が多いのではないかと考えています。ここでふと疑問に感じることがあります。

「破棄する物は、本当に破棄されるのか?」です。

事業概要を見る限り、この事業において破棄扱いになったものは、どのような取扱いになるのかはっきりしません。例えば、粉砕処理されたのであるなら、その写真や書類などが発行されるのでしょうか。破棄した物として報告された物を調べようとしても、調べようがないことがわかります。では、もし、それを………..したら…….

このあたりを勘ぐってしまうと、なかなか疑問が多いプロジェクトであると感じます。

まとめ

海外展開ハイウェイは、海外輸出をためらっていた中小企業にとって、輸出にチャレンジできる環境を提供する意味で素晴らしい取り組みです。しかし、事業概要を細かく見ていくと、さまざまな部分で問題があることもわかってきます。特に一番問題だと感じるのは、顧客情報が取れない点です。商売は、売り先の情報をどれだけ集められるのかが大切になりますから、この部分取れない仕組みであれば魅力は半減です。実際に導入を検討する企業は、メリット、デメリットを考えた上で、海外展開ハイウェイの申し込みを行うようにしましょう!

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