海外通販をすると、日本側で関税や消費税がかかります。このとき、関税の税率には、少額輸入貨物の簡易税率と一般税率の2つがあります。あなたが商品を輸入するときは、この一般税率または、簡易税率に基づき課税処理がなされます。2つの区分けは、輸入する合計の価格にあります。
- 商品が20万円以下の場合は、簡易税率
- 20万円をこえるときは一般税率
ただし、この規則は原則的な物であり、20万円以下であっても一般税率を適用することもできますし、この逆も可能です。では、この価格の基準を無視して、あえて一般税率や簡易税率を適用する意味は、どこにあるのでしょうか? この記事では、海外通販をするときに、簡易税率と一般税率を使い分けた方が良い理由をご紹介していきます。
お得に海外通販!簡易税率と一般税率の使い分け法
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今回は、お話を簡単にするために「日本にいながら、海外サイトで商品を購入したとき」の関税の取り扱いについて説明していきます。海外通販で商品を購入した物は、日本に入るときに簡易税率が適用されます。簡易税率とは、すべての商品を七つの関税率に分類して「簡易的な関税」を適用する仕組みです。
一方、一般税率とは、簡易税率とは真逆です。商売として行うなど、ある一定以上の貨物を輸入するときに適用されます。この一定とは、一回の取り引きで輸入する価格が20万以下におさまるのか?で判断されます。20万円以下であれば、簡易税率。20万円を超えるときは、一般税率です。
では、簡易税率と一般税率の決定的な違いは、関税区分の多さによる税率の細かさです。先ほど、述べた通り、簡易税率は、世の中にあるすべての商品をたった7つで区分けします。一方、一般税率の場合は、数千種類ある関税率から最適な物を見つけます。ざっくりな適用か、または詳細な適用かの違いです。
この税区分の違いによって、簡易税率と一般税率は、次の特徴があります。簡易関税率は、7つの区分の中で該当する関税率を見つければ良いため、初心者の方でもわかりやすいです。しかし、これはデメリットでもあります。ざっくりとした区分であるがゆえに、一般税率と比べて、高い関税率が適用されます。
適切な税率の見つけやすさ | 関税を多く払う可能性 | |
一般税率 | × | × |
簡易税率 | 〇 | 〇 |
インターネット通販で購入したものはどうなる?
国際通販した物の関税率は、どのような扱いになるのでしょうか? これについては、先ほども述べた通り、基本的には簡易税率が適用されます。ただし、この簡易税率には、次のような規定があり、輸入者が自ら希望するときは、簡易税率ではなく、一般税率を適用できます。税関に対して「その輸入品は、一般税率の適用でよろぴく!」と伝えることで、一般税率を適用できます。
(輸入郵便物について少額輸入貨物に対する簡易税率表によることを希望しない場合)
3 の 3―4 法第 3 条の 3 第 1 項ただし書の規定による郵便物の名宛人からの少額輸入貨物に対する簡易税率表によることを希望しない旨の税関への申し出
の取扱いは、次による。(1) 到着通知書を発送した後、国際郵便物課税通知書及び納付書を作成する前の名宛人からの申し出は、到着通知書の返信用はがきの受取人記載欄に「一般税率によることを希望する」旨を記載したうえ署名又は押印した当該返信用はがきを税関に提出することにより行わせる。
引用元:税関提供資料
簡易税率と一般税率、どちらがお得?考えるべきポイント
関税率と一般税率の違いは、税区分のざっくりさにあります。すでに説明した通り、簡易税率は、たった7つの税区分しかない一方、一般税率は、数千種類の区分があります。この違いにより、簡易税率と、一般税率には、同じ商品であっても、別の関税率が設定されていることが多いです。
例えば、ワインの場合、簡易税率と一般税率には、次のような違いがあります。左側は、簡易税率によるワインの関税。右側は、一般税率によるワインの関税を示しています。右側には、いくつかの種類がありますね。これは、ワインの種類によって、適用される関税率が異なるためです。もちろん、表以外にも税区分も存在しますが、ここでは3種類だけ表示しています。
表中にある「/L」とは、一リットルあたりいくらの関税がかかるのか?を示します。仮に2リットルを輸入するのであれば、70円×2=140円が納めるべき関税です。いかがでしょうか? ワインだけを取り上げても、簡易税と一般税率に違いがあることがわかります。
ワインに関する関税 | 簡易税率 | 一般税率 |
70円/L | 45円/L | |
69.3円/L | ||
15%または125円/Lのいずれか低い税率 |
一般税率と簡易税率の違いとは?少額輸入するときに知っておきたい仕組み
何を、どこの国から輸入するのか?
簡易税率と一般税率を見比べるには?
簡易税率の詳細については「簡易税率7つの区分」をご覧ください。一般税率は「ウェブタリフ」が参考になります。
一般税率を適用したいときのポイント
ここまでの説明で簡易税率と一般税率の違いをお分かりいただけたかと思います。では、海外通販をした物を簡易税率ではなく、一般税率で輸入したいときは、どのように行えば良いのでしょうか? 基本的に、何も伝えなければ、簡易税率が適用されるため、一般税率を適用したいときは、次のようにしましょう!
商品を購入したサイトに対して、送り状などに「一般税率を希望する旨」を書き込んでもらいます。もし、難しければ、最寄りの国際郵便(税関外郵出張所)また、国際配送会社に連絡をして、一般税率を適用したいと伝えます。
- どこから来る荷物なのか?
- 送り状番号など
もし、あなたが購入した海外サイトが国際郵便系列の配送ネットワーク(フェデックスやDHL)を使っているときは、その会社が日本で通関をします。そのため、購入サイトから商品発送の連絡が入った時点で、配送会社のカスタマーサービスに連絡をして「一般税率を適用してほしい」と伝えます!
輸入貨物が発送された時点で、輸入通関をすることになる所へ一般税率を適用してほしい旨を伝えておきます。郵便系ネットワークのときは、税関の外郵出張所が担当します。それ以外の配送ネットワークのときは、該当する配送会社の通関部門が通関をします。

まとめ
- 一般税率と簡易税率を比べると、商品によって異なる関税率が設定されていることがわかります。
- 多くの場合、一般税率の方が安い場合が多いため、輸入者は、よく見比べる必要があります。
- 一般税率を適用するときは、その旨を自ら伝える必要があります。伝えない限り、自動的に簡易税率が適用されてしまいます。

