EPA(経済連携協定)が発給されると、商品の関税は「撤廃」または「低い税率」になります。関税は、発効後即時に撤廃されるものと、発効後、数年の月日をかけて徐々に引き下がっていくものなどがあります。箇条書きにすると以下の二つになります。
1.協定発効後、即時に撤廃されるもの
2.協定発効後、ある一定年数をかけて均等に下がっていくもの
この他、協定発効後、不均等に下がっていく物や、発効後、再度交渉すること決めるものなどがあります。締結するEPAや品目によって、関税がいつから撤廃されるのかが決まることになります。なお、関税の下がり方は「ワールドタリフ」を使った方法でも調べられます。
関税の撤廃はいつから行われるのか?
先ほども述べた通りEPAが発効されると即時に関税が撤廃される物と、一定の年数をかけて撤廃される物があります。即時撤廃される関税であれば、問題はありません。一方、一定の年数をかけて関税が下がっていくものは「ステージング表」または「譲許表」により確認をします。
譲許表とは、EPAにより決定した関税の下がり方を表によって取りまとめたものです。
例えば、協定の発効から一年後には20%、二年後には18%、三年後には16%というように、下がり方を確認できるため、どのタイミングで関税がゼロになるのかを知ることができます。
譲許表(ステージング表)の見方
それでは、譲許表(ステージング表)の見方を説明していきます。
譲許表は、税関の譲許表ページに掲載されています。ページの下部に赤枠部分があります。ここで確認したいEPAを選びます。各EPAによって譲許表は異なりますので、しっかりと対象のEPAを選びます。今回は「日シンガポールEPA」を選択します。
譲許表を開くと下記のPDFファイルが展開されます。下の図の赤枠部分をご覧ください。ここに「2016/4/1~」や「2017/4/1~」という表記があります。これは、下の関税が適用される時期を表しています。
例えば、一番左にある「2016/4/1~」であれば、2016年4/1から関税が無税になることを表しています。
次に表の左側を確認します。ここには「HSコード(統計品目コード)」が記載されています。HSコードとは、六桁から九桁の数字によって商品を表すものです。ステージング表(譲許表)には、個々の商品名ではなく、このHSコードが記載されています。そのため、関税の下がり方を調べるためには、まずはウェブタリフなどを使い調べる「HSコード」を特定する必要があります。
ステージング表(譲許表の見方)で関税の減り方を確認する手順
それでは、上記で説明した内容を含めて全体的に説明をしていきます。次の1~3の順で行います。
1.まずは、税関の譲許表ページで対象のステージング表を選びます。
2.ウェブタリフによって商品のHSコードを調べます。
3.ステージング表(譲許表)で関税の削減日程を確認します。
下の図をご覧ください。赤枠の部分の左側をみると「080241000」や「080242000」があります。ウェブタリフによると、このコードは「殻付きのクリ」と「殻が付いていないクリ」となります。
次に表の右側を見ていきます。「3.6%、3.0%、2.4%、1.8%、1.2%、0.6%」と徐々に数値が下がっています。この数値と上の日付が対応しています。
例:2018年4月1日~2019年3月31までに08024100(殻付きのクリ)を輸入する場合は、2.4%の関税がかかることになります。
つまり日本とシンガポールのEPAの取り決めによると、2016年4月1日から、一年ごとに0.6%ずつ関税が減少していき、2022年の4/1日から関税が無税になることがわかります。このようにEPAによる関税の譲許を確認していくようにします。
まとめ
EPAが締結されると発効後即時に撤廃される商品と、発効後、一定の年数をかけて撤廃されて行く物があります。この関税の削減日程を頭にいれておくと、より有利な貿易を行うことができます。
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