貿易決済における仮想通貨の取り扱いに関する税関の見解

貿易貿易コラム
この記事は約7分で読めます。

最近、話題の仮想通貨。既存の通貨(日本円や米ドル)とは、違い、誰かの信用により価値が保証されているわけではありません。仮想通貨の価値は、暗号化技術と、仮想通貨を使う人たちの相互監視により成り立っています。既存の通貨が中央集権型であるとすれば、仮想通貨は、分散型の通貨であるといえます。

さて、そんな仮想通貨の最も大きな特徴は、送金手数料の安さと、利便性にあります。いつでも、どこでも、どこからでも、瞬時に格安で送金できる店が既存の通貨との決定的な違いです。

例えば、あなたは日本にいるとして、ブラジルにいる友人に1000円を送りたいとします。このとき、この1000円を送るための銀行手数料は、およそ4000円です。送る金額よりも、大きな手数料がかかるのが一般的です。一方、仮想通貨の送金手数料は「送る量」(*料でなく量です。)、回線の込み具合、時間帯によっても異なりますが、わずか数円でも可能です。

つまり、これは、国際間の取引をしている貿易取引にとって、大きな利便性があります。ただし、もちろん、現在の仮想通貨をそのまま貿易取引に使用するには、大きなリスクが伴います。現状は、値動きが激しく、投機的な動きが強いからです。また、税関としても、2018年現在は、貿易と仮想通貨を認めていないことも理由の一つです。

そこで、この記事では、貿易と仮想通貨に対する税関の見解をお伝えしていきます。

貿易に仮想通貨は使うことができる?

国際的な決済をするときに気になるのが送金手数料です。わずか数千円ですが、自分のお金を送るだけなのに、銀行などに大きな手数料を支払うのは、なんだか不満です。でも、既存の通貨を送るときは、この手数料から逃れることはできません。ただし、少しずつ普及してきた仮想通貨を利用するようにすれば、銀行に高い決済手数料を支払わなくても良くなります。

仮想通貨の決済と手数料が安い理由

仮想通貨の基本原則は、中央のシステムでコントロールするのではなく、仮想通貨を使う、すべての人のネットワークで維持されていることです。あなたがパソコンやスマホなどから、仮想通貨を所有すれば、それらの端末もネットワークを管理する一つの機能です。お金を管理するために大きなシステムが動いていないため、設備の維持費がかからず、送金手数料が安くなります。

中央集権型の通貨(日本円や米ドルなど)ではないため、巨大なシステムを運営しなくてもいい=送金手数料を安くできる。

貿易代金を仮想通貨で支払う魅力と問題点

仮想通貨の魅力を考えると、主に3つの特徴があります。

  1. 既存の通貨と比べて送金手数料が安いこと
  2. 価値が世界基準で均一化に近い状態にされていること
  3. アフリカに住んでいる人とも、簡単にお金のやり取りができること

1.既存の通貨と比べて、送金手数料が安いこと

仮想通貨の送金は、既存の通貨と比べて送金手数料が安いです。これは、既述の通り、巨大なシステムが管理していないためです。つまり、仮想通貨を所有する人の端末が、その仮想通貨の価値を維持するために機能しています。とても理想的な形です。この分散型の管理によって、誰かの思惑で通貨の価値を操作したり、不正行為をしたりすることが難しくなっています。

2.価値が世界基準で均一化に近い状態にされていること

仮想通貨といっても、全世界で1000種類ほどがあります。その中でも最も大きなシェアがあるのが「ビットコイン」です。ビットコインは、世界中でやり取りされています。世界中の人は、日本円→ビットコイン、米ドル→ビット金、ユーロ→ビットコインのように、既存の通貨と、ビットコインを交換しています。また、この逆で、ビットコインから既存の通貨への交換も簡単です。つまり、ビットコインは、世界基準で価値を「フラット化」する可能性があります。

3.アフリカに住んでいる人とも、簡単にお金のやり取りができこと

もし、アフリカの片田舎で物を購入するときに、日本円を出したとすると、それは通じると思いますか? 特異的な例を除き、ほとんどは通じません。日本円は、世界の基軸通貨の一つであり、外国でも通じる通貨であることは間違いないです。ただし、やはりその力が及ぶ地域にも限界があります。日本円が流通しにくい地域では、日本円で支払われても迷惑なだけです。

一方、仮想通貨は違います。スマホがあれば、誰でも口座を開けるため、政府の信用力が小さい発展途上国ほど、仮想通貨を所有している人が多いです。仮に、相手が仮想通貨の口座を持っていれば、その場ですぐに仮想通貨を使った通貨のやり取りができます。つまり、仮想通貨での支払い、そして、受け取りができます。

どんな国(所)に住んでいる人とでも、決済代金のやり取りができます。=世界基準で通貨としての力がついてきている

仮想通貨のメリットは、これら1~3です。では、逆に仮想通貨の問題点は、どこにあるのでしょうか? これについては、現時点では、仮想通貨による決済をしないほうがいい最大の理由でもあります。それは「価格の値動き」が激しい点です。

2018年現在は、ビットコインを代表とする仮想通貨は、決済としての側面よりも「投資」として利用する方が多いです。ビットコインの価値は、需要と供給のバランスによって決まるため「投資で一儲けしたい」人のお金が流れてくると、需要が増えて、価格がグングンと上昇します。一方、何かのきっかけで、手放したい人が増えると、価格がどんどんと下がります。

既存の法定通貨(日本円やドル)よりも、値動きが大きい点が最大の欠点です。つまり、決済としての安定性にかけています。

貿易で仮想通貨を使うことの税関の見解

仮想通貨の特徴を考えると、やはり貿易決済としての役割に期待できる所が大きいです。2018年現在は、投機的な動きもあり、まだ貿易代金の支払いに活用することは現実的ではなさそうです。もし、ビジネス的なやり取りではなく、個人間の取引程度であれば、仮想通貨でやり取りをしても問題はないと思います。ただし、一つ気になるのが税関の見解です。

税関は、日本に輸出入されるすべての貿易取引の監視役でもあります。すでにご存じの人も多いかと思いますが、外国から何かを輸入するときは、その商品の価格を示す根拠となる資料が必要です。この資料のことを通常、インボイスと言います。一般的な物でいえば、スーパーでいう「レシート」です。

日本に何かを輸入する人は、このインボイスを基にして、課税対象になる価格を算出して、必要な関税率をかけて、税関に申告します。申告を受けた税関は、書類内容をチェックして問題がなければ、輸入許可を出します。これが輸入するときの手続きの流れです。

この輸入申告の中で、特に問題になるのが「課税価格の算出」と「かけられる関税率=HSコードの分類」の2つです。これら2つは、納めるべき関税額を決める上で重要な役割があるからです。仮想通貨で貿易代金を支払うと、最初の課税価格の算出に大きな問題があります。

先ほど説明した通り、仮想通貨は、日々レートが激しく変わります。外国為替のレートなどであれば、税関から公示レートが表示されているため、輸入申告時に、そのレートを基準にして、日本円への換算価格を求めることができます。

しかし、仮想通貨の場合、2018年現在、公示レートは存在しません。公示レートがないと、仮想通貨で表示されているものを日本円に換算できません。つまり、仮のお話として、インボイスに0.5BTC(仮想通貨・ビットコインの単位)と書かれていたら、日本円換算の課税価格は、どのように算出すればいいのか?ということです。この部分の税関の見解をもらいましたので、ここでシェアさせていただきます。

税関の見解:仮想通貨を通貨として認めていません。→2018年現在

以下で書かれている見解は、2018年6月末時点における税関の見解です。現在、税関としても仮想通貨での決済をどうするのか検討しているようです。今後、仮想通貨の取り扱い方は、大きく変わる可能性があることをあらかじめご留意ください。

2018年6月末時点の税関の見解は…

・仮想通貨は、関税法上、通貨としては認めていない。(2017年4月の改正とは無関係)

・仮想通貨から日本円に換算するための公示レートもないため、現実支払い価格を算出できない。

・仮に、仮想通貨で支払ったときは「同種の商品」から現実支払い価格を算出するしかない。

とのことです。

ちなみに、インボイスの価格表記が0.5BTC(ビットコインの単位)だったらどうなのか?という質問に対しては「インボイスとしては認めない」の一言だけでした汗 やはり、税関としては、仮想通貨を通貨としては認めていないという大原則から、すべてを判断しているようです。今のところは、通常の法定通貨でのやりとりをしたほうが良さそうです。

まとめ

  • 仮想通貨で貿易代金を支払えば、送金手数料や迅速性などで大きなメリットがあります。
  • 2018年現在、税関は、仮想通貨を通貨として認めていません。
  • そのため、仮想通貨から日本円へ換算するための公示レートもなく、現実支払い価格の算出は厳しいです。
  • 2018年現在は、おとなしく法定通貨でやりとりをした方が良さそうです。
FavoriteLoadingこの記事をお気に入りに登録

[スポンサードリンク]


\ 通関代行・対比表、輸送見積もり好評受付中 /
お問い合わせはこちら!
\ 通関代行・対比表、輸送見積もり好評受付中 /
お問い合わせ先
タイトルとURLをコピーしました