【海外ヒット】日本製品のウラ ミニマリズムの潮流

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ミニマリズム」とは1960年代に欧米で登場した概念で、装飾を最小限に省略する表現スタイルを指す。当時は、主にアート、音楽、建築などの芸術分野に取り入れられ、一大ジャンルを築き上げた。

例えばスティーブ・ジョブスもミニマリズムに影響を受けたと言われ、アップル・コンピューターの製品デザインに通底するのはこのスタイルだ。その後、欧米ではミニマリズムと日本の「禅」が結びつき、ライフスタイルに取り入れられたことで、「日本のインテリア=ミニマリズム」といったイメージが生まれる。

そして欧米メディアに現れたのが、ミニマリストを自称する佐々木典士や、片付けコンサルタントの「こんまり」こと近藤麻理恵などの、日本の「ミニマリスト」たちだ。彼らの活躍もさることながら、「ミニマリズムなライフスタイル」の代名詞となった「無印良品」の世界的ヒットも、日本とミニマリズムを結びつけた。

ミニマリズムは、物質主義に懐疑的な「ミレニアム世代」に高く支持され、欧米だけではなく、アジアでもブームの兆しがある。アジア各国では、インテリア、ファッション、アートを中心にミニマリズムが取り入れるようになっている。また、コロナによるロックダウンで世界的に居住空間への見直しが加速したことで、ミニマリズムに対する注目はさらに高まっている。

ミニマリズムは2021年のトレンド

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ミニマリズムをめぐる東南アジア各国の傾向

タイ

タイのミニマリズムは、日本的デザインを指すことが多い。そこには無印良品の影響が強いようだ。バンコクを拠点とする日本の数寄屋造りをベースにした建築デザインサービスを展開する企業「KURAMOCHI」は、”日本のミニマリストスタイル”を提唱する無印良品と、自身のサービスを区別化し、本物の和風建築を現地に紹介すると宣言する。同社はさらに、高温多湿で雨の多いタイの気候や、現地の伝統的なスタイル、そして機能性を考慮した、タイの消費者のニーズに応えるサービスを展開している。

ジャンルは異なるが、日本の下着メーカーのタイ支社である「ワコール・タイ」は、新規販売する布製マスクを「ミニマリズムなデザイン」とアピールしている。これは、世界的に言っても、消費者に日本ブランドの品質を高さを訴える典型的な宣伝方法と言える。

もちろん、ミニマリズムは日本の専売特許ではない。タイのアーティスト/デザイナーのSunturのグッズは、タイ国内の外資レストランチェーン・シズラーの記念品にもなるなど、そのミニマルなイラストやデザインがタイ国内で人気を博している。

シンガポール

シンガポールでも、モダンでミニマルなデザインを「日本的」と理解されている。特にインテリアでの使用が顕著だ。その文脈で言えば、壁や家具に白い色調を使用することで、「家に禅のムードを作る」ことができ、木や竹の要素を取り入れることで更に日本的になるという。

コロナ後のシンガポールにおいて、ミニマリズムは2021年のトレンドとして注目されている。現地のインテリアデザイン会社「Eighty Two」の代表によると「デザインは時代の流行に振り回されない、人間工学と快適性に焦点を合わせたものが求められている。

ミニマリズムが大きな潮流として戻ってきている」と答えている。また別のインテリアデザイン会社「Eloycois」によると、「今年は贅沢なミニマリズム」がトレンドだとのことだ。すっきりとしているが、高品質な素材を使い、豊富な収納を施したインテリアデザインが特徴だそうだ。

これらの傾向は、インテリアデザイン以外の製品のトレンドにもあてはまるのではないだろうか。

フィリピン

フィリピンでも自宅で過ごす時間に片付けを始める人が多いようだ。小物を整理するための収納製品を販売するオンライン通販サイト「Organized Home MNL」は、まさにコロナ期間に入った2020年にビジネスを開始した。

値段はすべてが1000ペソ(約2000円強)以下ということだが、フィリピンでは比較的高価な値段にも関わらず、注目を浴びている。扱う商品は日本の100円均一ショップのような品揃えだ。居住空間を快適にしたいという人々の意識が、こうしたグッズの需要増加に繋がっている。

ベトナム

ベトナムでも、若いジェネレーションの間で、新しいライフスタイルとして取り入れる人々が増えている。特に、国内で人気のユーチューバー、キラグエン(別名ハノイ・カモミール)は自身のライフスタイルを紹介するミニマリストだ。彼は日本への留学経験で影響を受けたと言う。やはり「ミニマリスト=日本」という図式が根強いようだ。

アジアのファッション業界の一大トレンドに

アジアにおけるミニマリズムは、インテリアデザインおよび特にファッション業界でのトレンドに顕著に現れている。若い世代が、ライフスタイルに取り入れたい欲求を手軽に満たしてくれるのがファッションだ。

タイでは、オーストラリアとコラボしたファッションレーベル「Seeker Studios」が誕生している。同社の服は、タイの職人による手織りと手染めの綿から生産された、ミニマルなデザイン。また同社のコンセプトはかなりストイックだ。まずジェンダーニュートラルを提唱し、性別を問わず選ぶことができる。またファストファッションに対抗して、10点以下の小口ロットでしか手に入らないという販売方法を貫いている。今後は家庭用品やオーガニック化粧品の販売も手がける予定だという。

インドネシアでは、古着通販サイト「Tinkerlust」がファッションのレンタルサービスを開始した。その背景には、商品を所有することを強く願っていない、ミニマリストのファッションを纏いたい、またはライフスタイルを送りたいという消費者のニーズがあると、同社CEOは答えている。

ちなみにこのような古着通販サイトによるレンタルサービスは、アメリカでもヒットしている。また、日本の消費者ニーズにも同じような傾向があると言われているが、レンタルサービスは料金が割高である理由から、利用者数は伸び悩んでいる。

またフィリピンでも、ミニマリストの服といえばスタイリッシュな装いというイメージがあるようだ。例えば朝に服を選ばなくてすむという、シンプルなライフスタイルが求められている。時代遅れにならない快適なアイテムが、消費者のニーズとなっているのだ。現地ブランドには、そうしたニーズに応えるラインナップとして、「Unif0rm」、「モザイク」、「ANIKA」、「Label Manila」、「Lazy Fare」など、オンラインでも入手できるブランドが多数存在する。

欧米トレンドワードは「Japandi(日本 x 北欧)」

ミニマリズムという概念が発祥した欧米では、ミニマリズムは、ゼロウェイストなどの環境的配慮、そして心身の健康を向上させるという、大きなライフスタイルトレンドと強く結びついている。そのため、ミニマリズムはあらゆる視点から論じることができるが、ここでは、ミニマリズムという言葉が最も商業的に使用されている、インテリア、美容、ファッションの分野のトレンドを紹介したい。

インテリアデザインで注目されているキーワードが「Japandi(ジャパンディ)」だ。Japandiとは、日本的ミニマリズム(Japan)と北欧デザイン(Scandinavia)を掛け合わせた造語で、シンプルでありながら温かくて居心地が良い空間を作り出すデザインを指す。この言葉は、イギリス、オーストラリア、カナダなどの英語圏で検索数が急増している、2021年最大のインテリアトレンドだ。また日本にもこの用語の輸入が始まっており、大塚家具が紹介している。

美容業界でもミニマリズムは大きなトレンドだ。コスメ大国である韓国から発祥したワード「スキップケア」というコンセプトは欧米でも人気。

スキップケアとは、メイクアップとスキンケアを最小限に抑えるという考え方だ。また、スイスの化粧品ブランドの「クラリアント」が手がける製品ラインの特徴は、ミニマルでありながら多機能であること。つまり、一つの製品で多くの機能を持つ商品だ。これは、日本のミニマリズムに触発されたコンセプトだということだ。

そのほか、ファストファッションへの疑問や持続可能性が最も課題となっているファッション業界でも、ミニマリズムを提唱するブランドが次々と現れている。例えば、アメリカのブランド「Allbirds」は、カニの殻から製造した生地を使用したアースカラーを取り入れたシンプルな服が特徴だ。環境的配慮がミニマリズムと結びついた典型的な例だ。

まとめ

ミニマリズムは、商業的にはまだインテリアやファッションに限定されているようだが、いずれの業界でも2021年の大きなトレンドだと注目されている。ミニマリズムは、環境的配慮や健康に結びつくことから、この流れは他の業界に広がっていくだろう。

そして、各国メディアは、日本製品に対してミニマリズムを感じるデザインが特徴だと評する傾向が強い。つまり「日本製がミニマリズムを実現してくれる」と感じる海外の消費者が、各国に存在しているということだ。そこに海外ビジネスにおける活路を見出すことができるのではないだろうか。

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この記事の参考サイト

  • KURAMOCHI, Japanese minimalist
  • Bangkok Post, From bra cups to face masks
  • The Nation Thailand, Sizzler marks festive season with minimalist memorabilia, special menu
  • Channel News Asia, Bali, Korea, Japan: How to turn your home into your favourite holiday destination
  • Channel News Asia, Singapore design experts share: Interior design trends for 2021
  • Spot, These Minimalist Home Organizers Are All Under P1,000
  • Viet Nam News, Habit and routine get the job done
  • BK Asia city, New minimalist label challenges Thailand’s fast-fashion obsession
  • Katadata, September, Situs Tinkerlust Luncurkan Fitur Sewa Barang Branded Bekas
  • The Japarta Post, Fewer frills & ruffles: JFW expands fashion trends to New Year
  • Stylist, Cosy minimalism: how to bring the 2021 Scandinavian-Japanese interiors trend to your home
  • IDC OTSUKA, JAPANDI
  • Premium Beauty, Skinimalism and cocooning are going to be the biggest beauty trends in 2021
  • INSIDER, Allbirds just launched its first-ever clothing collection ― we tried every piece, including a T-shirt that’s made sustainably from crab shells
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