脱プラスチックをめぐる動き EU税制度と新製品

セカイマ2021-2 貿易コラム
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欧州連合(EU)では、2021年1月1日からプラスチック税を導入している。これは、リサイクルできないプラスチック包装廃棄物に対し、EU加盟国がEU予算に拠出する形で、廃棄物1キログラムごとに0.80ユーロを支払うという内容だ。

こうした流れのなかで「脱プラスチック」が加速しそうだ。今回のEUによる課税制度には様々な課題があるものの、各国の制度に影響を与えている。すでにイギリスやアメリカでは課税制度導入の動きが進んでいる。またアジア各国でも過剰包装に対する批判は年々高まっており、プラスチック廃棄物は「経済が引き起こした失敗」だとの見解は根強い。

現在、世界に出回っているプラスチックの9割以上が埋め立てや焼却に回されている。リサイクルの割合は約9%のみである状況から、プラスチック廃棄物の削減に対し、様々な試みが進んでいる。

つまりプラスチック包装資材およびプラスチック製品が、再生可能なプラスチックまたは代替素材に移行していくのは、世界的トレンドと言って間違いないだろう。

そこで、今回は、EUの課税制度と世界の脱プラスチックの状況から見える海外ビジネスへの影響の考察とともに、注目されるプラスチック代替製品やサービスを紹介したい。

EUのプラスチック税制度は課題が多い?

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年明けにEUで施行されたプラスチック税には、多くの問題が指摘されている。主な指摘としては、リサイクルできないプラスチック包装廃棄物に対する課税だけでは効果は薄いという点だ。この課税により、企業は代替素材への移行を進めるが、再生プラスチックは割高になるため、より安価でプラスチックよりさらに環境負荷が高い素材の採用が加速するだけだという懸念がある。また、消費者への影響がほとんどないため、使い捨てという行動習慣を変えるまでには至らないというデメリットも指摘されている。

世界の国や地域における取り組み

今回のEUによるプラスチック税導入のメリットとして、各国の脱プラスチックにむけた取り組みを加速させるという点があげられる。

まずイギリスは、輸入品を含むプラスチック包装物に対する課税制度を2022年4月から導入予定と発表している。この制度は、イギリス国内の包装製造業者、プラスチック包装の輸入業者に直接課税されるため、少額とはいえ、消費者も影響を受ける。

また米カリフォルニア州では、使い捨ての包装物ごとに1セント課税する法案が提案されている。州議会への提出に必要な数の署名は、民間団体によってほぼ集められており、2022年の投票を目指している。

アジアでは、プラスチック製買物袋(レジ袋)の廃止や規制を、日本に先駆けて多くの国が開始しているが、プラスチック廃棄物のうちレジ袋が占める割合はわずかであるため、この措置は環境改善に大きな効果はないという議論がある。むしろ、中国や東南アジア各国が、海外からの廃プラスチックごみの輸入を禁止または制限する措置を進めていることが、日本をはじめとする先進国に脱プラスチックの動きを強める大きな影響となっているようだ。

アジア諸国によるプラスチック包装物に対する課税の動きは現在はないが、今後欧米に追随する可能性は高い。そうなれば、貿易にかかるプラスチック梱包資材の価格上昇が懸念される。しかしEUの課税制度にはまだ課題が多いことから、今はまだ状況を見据える段階と言ってよいだろう。

注目度アップの新製品・サービス

プラスチックからの脱却は世界的トレンドと言って間違いない。それは、海外ビジネスにおいて、再生プラスチックによる梱包材の採用(つまりプラスチック梱包資材の価格上昇)、代替素材の梱包材の採用を意味する。

現在は包装物の脱プラスチックに焦点が当てられがちだが、各国消費者によるプランドポリシーに対する意識の高まりから、包装物だけでなく、これまでのプラスチック素材の商品を、再生プラスチックまたは代替素材の使用に切り替える企業が各国でますます増えると思われる。

そこで、プラスチック代替素材を使った、注目を浴び始めている製品を素材別に紹介したい。

段ボールが家具に!?軽くて丈夫な新しいトレンド

段ボールは、梱包材として優れているだけでなく、リサイクルや廃棄が簡単でCO2排出量が少ない素材だ。安価で入手しやすく、柔軟な素材であるため、木材の代替品として俄かに注目を浴びている。段ボールを使った家具は新しいトレンドになりそうだ。

アメリカのデザイナー、デイビッド・ラスムッセンは段ボールでおしゃれなコーヒーテーブルを発表。使用感は木製と変わらないテーブルの重さはわずか9キロだ。そのほか、スイス製の子ども用チェアコレクションFold Schoolは、折り紙スタイルのデザインで子どもも組み立て可能。デザインパターンをオンラインで購入して自分で用意した段ボールで制作できるというのも特徴のひとつ。

日本でも段ボールは災害時の避難所の間仕切りや簡易ベッドなどでの活用が始まっている。ここで紹介したデザイン家具はほんの一部だが、欧米を中心に、魅力的な製品が続々と登場している。

段ボール家具の大きなメリットはその軽さだ。消費者が取り扱いやすいだけでなく、輸入に際して配送料を抑えられることは大きい。

バイオプラスチック:でんぷん・キノコ・海藻など、素材は多様!

各国のスタートアップが開発した植物や魚などの有機物から生成されたプラスチック製品は、その素材から製造方法まで多岐に渡る。

インドのスタートアップEnvi Greenが開発した、でんぷんから作られたビニール袋は、約3ヶ月で生分解する。すでに大手小売チェーンで使用が始まっており、企業は動物の餌にもなるビニール袋とアピールしている。

NYを拠点とするEvocative Designsは、キノコを素材にしたパッケージを開発。パッケージは弾力性があり、燃えにくいフォーム状の緩衝材で、ワイン瓶などの梱包材として最適。キノコ廃棄物を使うのではなく、専用の菌糸体を育てている。この菌糸体はわずか9日で成長するという。

イギリスの新興企業Oohoは、海藻から製造する飲料用ペットボトルを開発。このボトルの製造プロセスは石油由来のペットボトルより、CO2排出量やエネルギーともに大きく抑えられている。

製品容器にメッセージがトレンド

シャンプーやペットボトルなどの製品パッケージに、製品の成分表示だけでなく、容器が「リサイクル可能」「堆肥化可能」などの情報を明記することがトレンドになりつつある。こうした取り組みの効果は、製品を購入する消費者がゼロウェイストに協力できるというモチベーションを上げることができるだけでなく、企業が、石油由来の容器から堆肥化可能な容器に移行した例もある。

また、ネスレ日本が販売した「キットカット」の紙パッケージを折り鶴にするアイデアが、廃プラスチックに向けたユニークな取り組みとして、海外メディアで話題になっている。

まとめ

EU主導のプラスチック税制度には、環境破壊を阻止する効果としては様々な課題が含まれているが、今後の脱プラスチックにおける世界の潮流を決める制度といってよいだろう。このように政治や大企業が主導することも大事だが、各国では様々なスタートアップが魅力的な製品やサービスを開発しており、その流れは加速する一方だ。

海外ビジネスにおいて、現在のプラスチック税は注視の必要はあるものの、いまのところ大きな影響はない。しかし何よりも、脱プラスチックというトレンドに基づいた新しい製品やサービスには、大きなビジネスチャンスを秘められている。

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元記事:

  • Eco-Business, Could a plastic tax be coming to Asia?
  • Eco-Business, Is industry doing enough to tackle Singapore’s waste problem?
  • Independent Commodity Intelligence Service, EU agrees tax on plastic packaging waste
  • GOV.UK, Introduction of a new plastic packaging tax
  • Eco Friend, MAKE USE OF CARDBOARD FURNITURE FOR THE LOVE OF FLEXIBLE INTERIORS
  • Spring Wise, EDIBLE, BIODEGRADABLE BAGS HELP REPLACE PLASTIC WASTE
  • World Economic Forum, Plastic packaging problem: Five innovative ideas
  • Dieline, Sustainability Claims & Packaging Communication; Using Your Package to Communicate Sustainability
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