海藻から作るプラスチックや布 藻類由来の製品に貿易チャンス

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    プラスチック製品や布製品の代わりの素材として、海藻などの藻類がにわかに注目を浴びている。

    藻類とは、のり、わかめ、こんぶなどの食用の海藻から、ユーグレナ(ミドリムシ)、スピルリナ、クロレラなどの微細藻類までを指す。厳密に言えば、一般的な光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称だ。水中はもちろん、地球上のあらゆる環境に生息し、過酷な環境での生育が可能だ。

    実はこの藻類、タンパク質や油を抽出できるため、現在、食品、サプリメント、工業分野などでの開発が進んでいる。また分解に数百年かかる石油由来のプラスチック代替素材としても期待されている。つまり、食品、ファッション、プラスチック、エネルギーの分野で利用でき、かつ生育における環境的負荷も小さいとされる次世代の原料なのだ。

    本記事では、藻類が具体的にどのような製品市場に進出しているかをまとめつつ、なかでも代替プラスチックと布製品に焦点をあてて、貿易ビジネスの戦力になりうる製品やサービスを紹介したい。

    レジ袋・ファッション・代替肉・バイオ燃料市場に進出する藻類

    藻類ベースの製品分野とは?

    藻類を原料に開発され流通が始まっている製品分野は次の通りだ。

    1. 代替プラスチック(バイオプラ)
    2. 布製品(バイオ繊維シーセルなど)
    3. 代替肉
    4. バイオ燃料

    1. 代替プラスチック(バイオプラ)

    バイオマスプラスチックまたはバイオプラと呼ばれる再生可能な資源を原料にした代替プラスチックは、大気中のCO2濃度を上昇させないカーボンニュートラル性が利点だ。つまり、製品の焼却処分によって発生するCO2は、元々その原料となる生物(植物や藻類など)が吸収したCO2と同じというわけだ。日本では、トヨタ自動車グループがわかめや昆布の食べられない部分から生成したバイオプラを使用した車を発表している。また、身近で実用が進んでいるのはレジ袋などの日常的な消耗品だ。

    2.布製品

    ファッションビジネスでも藻類が次世代の原料として大きな注目を浴びている。アメリカで開発された海藻由来のセルロース繊維であるシーセルが業界をリードしている。

    3.代替肉

    藻類は代替肉の原料としても世界中で開発が進み、アジアでは最近、シンガポールのスタートアップによる代替パテ肉がニュースにもなった。元々海藻は、アジア各国では食糧としての伝統が長いため、アジア地域での食品加工は世界をリードしているようだ。またいわゆる代替食ではないが、最近は色とりどりの「海藻ビーズ」と呼ばれる丸いゼリーが、タピオカに次ぐヒット商品として、日本でトレンド入りしている。

    4. バイオ燃料

    藻類は次世代のエネルギー資源のひとつとして、各国で国家規模での開発が進んでいる。例えば数年前に日本政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、藻類を原料としたバイオジェット燃料を使用したフライトを目標に掲げ、実現には至らなかったが大きな話題となった。

    それでは、代替プラスチックとバイオ繊維の製品動向を紹介しよう。

    代替プラスチック:食べられる食器・3Dプリンターで無駄なく製造 

    代替プラスチックの開発は欧米が中心となっているが、アジアではインドネシアに大きな動きが見られる。インドネシアは2020年のコロナ禍における観光産業の壊滅的な状況を受けて、観光地の雇用の確保に向けて海藻養殖を推進している。もともと海藻の利用や養殖は伝統的な産業でもあり、伝統に回帰する意味でも地元のリソースを充分に活かした産業の創出といえる。

    そうした背景と並行して、インドネシアは海藻ベースのプラスチック開発において一歩リードし、スタートアップも続々登場している。ジャカルタを拠点とする「Evoware」は、紅藻からつくる代替プラスチックでコップやラップフィルム、バッグを製造している。

    同社は「Ello Jello」ブランドを立ち上げて海藻ベースのコップを開発した。この製品は「食べられるコップ」であり、コップ自体にオレンジ、緑茶などさまざまな色と味のラインナップが用意されている。同社はインスタントコーヒーや調味料に使用される食品包装も製造している。

    インドネシアではまた、国レベルでの藻類ベースのバイオテクノロジー企業「Evergen Resources」も設立された。同社は、化粧品、栄養補助食品、医薬品、食品、飲料の原材料として活用できる、藻類から生成される抗酸化物質アスタキサンチンを製造している。同社製品は国内需要だけではなく、アメリカ、韓国、日本への輸出も予定されている。

    しかしながら藻類ベースのバイオプラスチックの開発競争の本拠地は欧米だ。




    アメリカ・ハワイを拠点とする「Loliware 」も食べられるカップのほか、生分解できる使い捨てストローの市場で消費者へのアピールに成功している。

    イギリスでは、ウェイトローズやオカドなどの大手スーパーマーケットで、すでに堆肥化可能なビニール袋が導入されている。その袋を提供するのはイスラエルを拠点とする「TIPA」だ。また2019年に開催されたロンドンマラソンでの給水所にも生分解する容器が使用された。

    イギリスのスタートアップ「Notpla」が開発したボール状の水の塊を給水所に提供した。水の塊は、海藻ベースの球体の袋に閉じ込められ、袋ごと食べられるというわけだ。また、イギリスのデザインスタジオによるコロナ時代の手洗いというテーマによるコンテストでは、デザイナーTerry Hearnshawによる海藻由来のカプセルに入った手指消毒剤が受賞している。ハンドサニタイザーもサステナブルがキーワードとなる時代がきているのだ。

    またフランスの「Atelier Luma」は、藻類から作られたプラスチック原料を使って、3Dプリンターで形成された器を発表した。3Dプリンターを使用することは、製造工程が少なく、また原料を無駄なく使用できることが大きな利点の一つだ。同社の製品の洗練されたデザインは、原材料から製造過程における持続可能性をアピールするのに充分な美しさを誇っている。

    バイオ繊維:抗酸化作用で肌ケア!? 家具製品への展開も

    海藻ベースのファブリックで最も流通しているのは、アメリカのフロリダを拠点とする「Nanonnic Inc.」が製造する「シーセル(Seacell)」だ。シーセルは、ユーカリの木を原料としたバイオ繊維リヨセル(テンセル)と同じ製法で作られる再生セルロース系繊維と言われる繊維だ。通気性があって軽く、しなやかで肌に密着し、繊維に含まれる栄養素は肌に良い効果もある。また綿よりも汗を早く吸収するため、下着やベビー服に適していると言われる。

    スイスのデザイナー「Luisa Kahlfeldt」が設計するシーセルを利用した布おむつは、2019年のジェームズ・ダイソン賞を受賞している。シーセルの持つ抗菌性と抗酸化物質に着目したこの製品は、内側に高い吸水性のあるシーセルを使用し、外側には生分解性のある防水繊維を使用している。力士がつけるまわしのような見た目から、製品名が「SUMO」となっている。

    オランダのデザイナー「Nienke Hoogvliet 」が発表した家具コレクションでは、海藻由来の布を使った椅子が発表された。このデザイナーは海藻で作られた家のプロジェクトも進めており、建築スタジオと組んで外装材や敷物なども開発している。

    まとめ

    藻類が注目を浴びる以前から、バイオプラスチックやバイオ燃料の原料としては、サトウキビやとうもろこしが利用されてきた。しかし食用ではない作物のために広大な耕作地を使用するという矛盾があり、単一栽培によって生態系への影響が懸念されることから、現在は必ずしも環境に優しい選択肢ではないという考え方が優勢だ。そこで、より持続可能なバイオマス原料として、陸ではなく海に資源を求めたのだ。

    藻類ベースの原料は未だ開発途上ではあるものの、プラスチックの代用としては実用が進んでいる。市場調査会社によれば、海藻由来の包装製品市場は、2027年までの間に16%の成長率と言われている。特に北米がリードし、今後はアジアも代替品へのシフトが進むと予想されている。

    今回紹介したシーセルを使用した布製品や、食べられる食器を始め、藻類を原料とした製品には意外性があり、持続可能性という理念を越えた魅力があるものが多い。またインドネシアでのスタートアップの動きも興味深く、国家レベルで推進される開発分野だけに今後の動向が見逃せない。藻類を原料とした製品は、輸入商材として今後の成長が見込める分野と言えるだろう。

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    この記事の参考サイト
    • The Conversation, Seaweed, Indonesia’s answer to the global plastic crisis
    • Marsh McLennan, Algae Is the Plant-Based, Nontoxic Alternative to Plastic
    • The Jakarta Post, Indonesia inaugurates first microalgae-based biotech company
    • Mongabay, In race for a sustainable alternative to plastic, Indonesia bets on seaweed
    • Closed Loop Partners, LOLIWARE: The Seaweed Straw of the Future
    • BBC, Davos: The compostable bags trying to replace plastic
    • The Washington Post, The London Marathon’s method for reducing plastic bottles: Edible seaweed pouches
    • Dezeen, Sanitising bubbles and seaweed capsules among winners of Bompas & Parr hygiene contest
    • BBC, Davos 2020: Algae proposed as an alternative to plastic
    • Dezeen, Sumo seaweed-fibre nappies offer healthy and sustainable alternative
    • Dezeen, Seaweed and paper combine to create furniture
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