製造業がFTA(EPA)を活用して、ビジネスを加速するには?

自由貿易(EPA)
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これからの貿易は、関税などがかからない自由貿易圏での取引がスタンダードになります。自由貿易圏であれば、関税・サービス・人的要件等が緩和されるからす。

この内、特にインパクトが大きいのは、関税です。関税は、物品が国境をまたぐときに、輸入国側の政府で課税さる税金です。自由貿易では、この関税をなくして、域内の貿易を活発にしようとしています。では、このような自由貿易の仕組みがある中、製品を製造しているメーカーは、どのようにしてFTAを活用すれば良いのでしょうか?

大きく分けると、次の2つです。

  1. 積極的に自社の商品を原産品登録する
  2. 海外企業に対して、自社の存在をアピールする=国際OEM受託を目指す。

そこでこの記事では、製造メーカーがどのようにしてFTAを活用すれば良いのかをご紹介していきます。

製造業とFTA

最近、話題になっているTPP11や日欧EPAなどの話を聞いたとしても「うちは輸出や輸入をしないから関係ない」と考える製造者の方は意外に多いです。本当に貿易をしなければ、自由貿易は制度は、関係ないと言えるのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。貿易をしている、していないにかかわらず、自由貿易圏の会社であれば、FTAは関係してきます。

弊社の特定原産地取得サポートサービスをご利用いただく方で、意外に多いのが製造会社さんです。なぜでしょうか?

よくあるパターンとして、突然、輸出者側から

「今度、タイ(自由貿易圏)に○○を送りたい。製造している商品の原産品登録をお願いしたい」

と言われること多いそうです。これまで「自由貿易?なにそれ? まぁ、うちには、関係ないや」と考えていた製造者としては、いきなりの要求で慌ててしまいます。実は、そんな要求をしている輸出者も、輸入者からの要求で慌ててお願いしていることが多いです。(実態 輸入者から輸出者に要求→輸出者から製造者に要求)

EPAの準備は大切です!突然すぎるバイヤーの要求

あなたは、このようなケースを知ったとしても、自由貿易は不要だと思いますか? もちろん、そんな人はいないはずです。貿易をしない製造業者であっても、ある日、突然、自由貿易への対応が必要になる可能性があるため、あらかじめ準備しておくことが大切ですね。

では、製造者が自由貿易に対応するには、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか? この内容がわかれば、輸出者が製造会社に求めていることも理解できます。

自由貿易圏内の製造者は、何をするべき?

自由貿易圏内で製造者としてビジネスを加速させるためには、大きく分けて次の2つが重要です。

  1. 自社の商品を自由貿易に対応させる。
  2. 外国企業から生産受託ができるように情報発信をする。

日本からの輸出に対応するとは、貴社の商品を輸出する人が自由貿易の仕組みを使えるように、商品情報を登録しておくことを指します。この場合の商品情報の登録とは、日本の産品であることを証明する「原産品登録」のことです。要は「この商品は、本当に日本で作られたものですよ~」というのを書面を使って立証することです(後で詳しく)

一方、外国企業から生産受託ができるように情報発信をするとは、外国の企業から「○○を作ってほしい」などの依頼がくるように、海外向けに情報発信をすることです。それでは、それぞれを詳しく説明してきます。

1.自社の商品を自由貿易に対応させる。

日本からの輸出に対応させるとは、貴社が製造する商品について、原産品登録を済ませて、輸出者からの求めがあれば、いつでも「生産者同意通知(せいさんしゃどういつうち)」ができるようにすることです。この場合における原産品登録と生産者同意通知とは、どのような物なのでしょうか?

参考記事:メーカー向け!「特定原産地証明書が欲しい!」と言われて困っているときのマニュアル

原産品登録とは?

原産品登録とは、貴社が製造する商品が「本当に日本で製造されたのか?」を書面で立証することです。こんなことを聞くと「うちの会社は、日本の工場で生産してるから原産品だろ」と考えたり「日本のパッケージに詰め替えているから原産品でしょ!?」と考える方がいます。しかし、実は、それらをもって、必ずしも日本の原産品になるわけではありません。

自由貿易の原産品とは、商品ごとに決められている原産品ルール(品目別原産地規則・PSR)を満たす物です。

例えば、日タイEPAを使って、タイ向けに「にんじん」を輸出するときは、以下のような条件を満たすことが求められます。少し理解しがたいですね。ここでは、この文章が示している内容ではなく、あくまで「原産品=品目別規則を満たすもの」ということだけを覚えておきましょう!

第〇七〇一・一〇号から第〇七一〇・二一号までの各号の産品への他の類の材料からの変更

逆にいうと、本当に日本で製造された商品であっても、原産品ルールを満たさなければ、外国産品としての扱いを受けるということです。つまり、自由貿易を利用することはできません。

原産品登録とは、商品ごとに決められている原産品ルールを理解した上で書面上で立証することです。(日本商工会議所に対して)日本商工会議所が原産品条件を満たすと判断すれば「原産品登録」が完了します。ちなみに、原産品登録を行うまでの流れは、次の通りです。

原産品登録をするまでのフロー

1.製造者が日本商工会議所に企業登録

2.製造者が日本商工会議所に対して原産品判定依頼を出す。

3.日本商工会議所からの質問を受ける。

4.原産品登録完了

同意通知とは?

原産品登録が完了したら、ひとまず製造者としての仕事は終わりです。では、この登録した原産品情報は、いつ、誰が使うのでしょうか? 実は、この原産品情報は、実際に輸出する人が特定原産地証明書を取得するときに利用します。

特定原産地証明書とは、この商品は、本当に日本の原産品です!と証明するための書類のことです。輸入者は、この特定原産地証明書を現地の税関に提出することによって、初めて関税の減免措置を受けられることになります。そして、この特定原産地証明書を取得するときに必要なのが「原産品登録」ということになります。

つまり….

1.原産品情報の登録→生産者が行う。

2.原産品情報を使って、特定原産地証明書を発行→輸出者が行う。

3.輸出者は、特定原産地証明書を輸入者に送る。

4.輸入者は、現地政府に特定原産地証明書を送り、関税の免税を受ける。

このような仕組みになっています。

原産品登録とは、特定原産地証明書を取得するための必ず行うプロセス

しかし、先ほどの説明でもわかった通り、原産品登録は製造者が行っていますね。つまり、普通に考えると、原産品登録の情報の所有者は、製造者であることがわかります。では、輸出者は、どのようにして自分が所有していない原産品登録情報を使って、特定原産地証明書を発行するのでしょうか? 具体的な事例を交えて説明していきます。

あなたは、日本の製造者です。製造している商品は、Yだとします。今、輸出者が現れて、Yを輸出したいとの引き合いがありました。ただし、Yを輸出する先の国は、自由貿易圏であるため、輸入国側で関税の免除を受けるために、特定原産地証明書を発行したいとの依頼を受けます。

特定原産地証明書は、原産品登録が完了していることが条件ですね。ただし、この原産品登録は、製造者であるあなたが行っているため、このままでは、輸出者として特定原産地証明書の発行ができません。そこで利用するのが「生産者同意通知」です。つまり、製造者は、商品Yを輸出したい輸出者に対して「原産品登録情報を使ってもよい」と同意することです。

この同意を受けた輸出者は、自ら原産品登録を行わなくても、製造者が登録した原産品登録情報を使って、特定原産地証明書を取得できるようになります。もしかして、「え?原産品登録情報を使えるようにすると、製造情報などが漏れてしまわないの?」と考えられましたか? この点は、特に心配することはありません。

製造に関する情報は、あくまで日本商工会議所に対して行うだけです。また、日本商工会議所に登録した情報が同意通知をしたからといって、輸出者側に行くわけではありません。あくまで「○○という生産者から同意を受けている」との情報だけがリンクされるようになっています。

以上の理由から、製造者が自由貿易の活用する第一は、原産品登録を済ませてき、輸出者の求めがあれば、いつでも「生産者同意通知」ができるようにしておくことです。

こんなアピールもできます!

もし、原産品登録を済ませた場合は、社外向けに「自由貿易に対応済です!」とアピールすることも一つのポイントです。他のライバル企業が「自由貿易?何それ?」と言っている中、いち早く、自由貿易に対応していることをアピールすれば、それだけでも目立つと思います。

もし、よろしければ、弊社の「自由貿易対応済メーカー」でも無料で掲載させていただきます。

■ポイント
生産者は、扱う商品の原産品登録を済ませておき、いつでも生産者同意通知ができるようにします。

2.外国企業からの生産受託ができるように情報発信をする。

自由貿易の活用といっても、必ずしも日本国内の企業を対象にする必要はありません。基本的にどんな企業(特に自由貿易圏内)の案件でも生産受託を受けられるようにした方がいいです。

例えば、TPP11に加盟している日本、オーストラリア、カナダを考えてみましょう。今、オーストラリアの企業がある商品を生産した後、カナダに輸出することを考えています。生産には、特殊な技術がいるため、日本のとある工場への生産委託した後、完成品をカナダへ輸出しようとしてます。

つまり、オーストラリアの会社が

日本の工場へ生産委託をして、

それをカナダへ輸出する形です。

これがいわゆる国際OEMの形です。今後、自由貿易圏が拡大するにつれて、このような海外会社からの生産委託が活発になると予想しています。では、この流れにうまく乗るには、どのようにすればいいのでしょうか? やはり、まずは自社の存在を知っていただくことです。

具体的には、自社のホームページを英語ベースで発信するようにして「日本のこの場所に、こんな生産技術を持っている企業(メーカー)がある!」とアピールすることが大切だと思います。海外の方がよく言われることとして「日本は良い技術、商品もある。でも、それを見つけ出すのが大変だ!」と聞きます。たしかに、この考えには共感できます。

いわゆる日本の製造メーカは、日本のお客さんだけを考えて、自社の情報発信をしています。そこに何ら海外への情報発信の工夫がされていないないため、どんなに素晴らしい技術があったとしても、良い商品・良い技術を海外の人が見つけ出すことは難しいです。ただ、これを逆に考えれば、今の内から、うまく情報発信をしたものが勝つということでもあります。

今後、自由貿易の拡大を見据えて、日本の製造メーカーは、海外への情報発信を積極的に行う必要があると思います。もし、自社内の人材だけでは情報発信が難しければ、クラウドワークスなどでスポット的に人材を集うこともできます。その他、海外からの問い合わせへの対応、打ち合わせなども、すべてスポット的な依頼で対応することは可能です。

ついつい海外向けに情報発信をするとなると、おおげさに考えてしまいますが、自社に規模に合わせた形で海外対応することは十分に可能です。もし、弊社に依頼をいただければ、小さなときから海外で暮らしていたいわゆる帰国子女かつ高学歴な人が、貴社に関する情報をネイティブから違和感を受けない英文にまとめることも可能です。ぜひ、ご検討ください。

HUNADEの英語翻訳サービス

自由貿易活用ポイント2・製造メーカーは、海外からの生産受託ができるように、積極的に情報発信をしていきましょう!

まとめ

  • 製造者は、自社の商品が自由貿易で通じるように、原産品登録を済ませておくことが重要です。
  • 自由貿易は、貿易の有無に関わらず、すべての業種と会社に関係してくる可能性が高いです。
  • 輸出・輸入共に商品やサービスの流動性が高まり、これまで以上に外国からの影響を受けやすくなります。
  • 今後、日本の製造メーカは、英語ベースで情報を発信した方がいいです。
  • 自由貿易は、国際間のボーダーをなくすものです。であれば、海外の会社からの生産委託の話もたくさんくるはずです。
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