タイ/ラテックス枕 米/高級手指消毒剤 EU/カンボジアに制裁関税

sekaima2020-24 貿易コラム
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世界的に関税を巡る攻防が激化している。そんな中、アジアとアメリカの様々な商品、サービスの話題をお届けする。タイからはゴム農家を支援するラテックス製品、労働者の酒ヤードンの新しい動き、シンガポールのファッションスタートアップの話題、アメリカの高級な手指消毒剤を紹介する。

タイ/ラテックス枕 カンボジア製品へのEU関税 シンガポール/新ファッションサービス 米/高級手指消毒剤

タイ ラテックス枕 栽培から販売までのワンストップ工場

Ban Phraek Ha Agricultural Cooperativeは、ゴム農家から製品までのプロセスを全て担う、タイで唯一の組合だ。その工場はタイ南部のパッタルン県に位置する。組合には県内の半分にもおよぶゴム農家がメンバーとして所属し、組合はそのゴムを使って工場で「Talung Latex」というブランドで枕とマットレスを製造している。Talung Latexの製品は、不快な化学臭がなく、柔らかな手触り。現在、最大の輸出先は中国で、マットレスの上に新鮮な卵を置いて、その上に座っても割れない柔らかさが人気だ。

タイ・ラテックス枕の考察

タイは世界最大の天然ゴム生産地だ。そのほとんどが輸出されるが、低価格に苦しめられている。そこで政府はキロ当たりの値段を保証する価格保証制度の導入を予定している。しかし、農家が独自のブランド品を製造すれば、政府の援助を待たずに収入を得ることができる。本組合Ban Phraek Ha Agricultural Cooperativeがは、ゴム農家の支援のために、2015年に設立された。組合は、国家科学技術開発庁(NSTDA)の研究チームとも協力して、製品の品質と作業環境の改善にも成功したそうだ。

世界的にラテックス枕は、健康に対する意識の高まりによって需要を伸ばしている。2025年にかけて毎年4.9%は成長すると推定されている産業だ。「タイ枕」と言えば、土産物としても人気の三角枕が有名だが、今後はラテックス枕の実力も期待したい。

元記事:

  • Bankok Post, Naturally expanding

タイ 労働者の酒ヤードンが米ブランドに

タイの酒「ヤードン」は蒸留酒にハーブを入れた伝統的な酒だ。元々は農家や労働者が仕事の後に飲む、安くて強い酒で、家庭でハーブや甘味を調合して加えて作ることも多く、古くから滋養強壮に効くとも言われてきた。しかし近年、バンコクの洗練されたバーでカクテルベースとして使われたことで、アメリカでも紹介された。そこでアトランタの有名なバーテンダー、トリップ・サンディファーはビジネスパートナーとともに、タイ国内の蒸溜所Lamoon Lamaiと提携。伝統的な製造法をアレンジして、ジンのようなヤードン「Ya Dong」を製造し、アトランタで販売した。

ヤードンの考察

記事中で紹介したバーテンダーのサンディファーが提携したタイ国内の蒸溜所Lamoon Lamaiは、伝統的で健康的なヤードンの製造法を受け継いでいた。しかしタイの法律では蒸留酒の製造業者は透明な蒸留酒しか輸出してはいけないため、通常のヤードンとは製造法が異なる酒を開発するしかなかったそうだ。しかしこの事により、ジンベースのカクテルレシピに最適なヤードンに仕上がったとのこと。

ヤードンは元々家庭でも醸造していた酒で、現在も密造酒として市場などの路上でも出回っている。しかしこのようなヤードンは危険なため政府が規制に乗り出している。また労働者の酒というイメージから、タイでの社会的地位は低い。そのため、このアメリカ版ヤードンは、アメリカ海外在住のタイ人にもなかなか受け入れられていないそうだ。海外からの発見により、タイのヤードンの地位が向上する日が来るかもしれない。

元記事:

  • Vinepair, Ya Dong, ‘Thailand’s Moonshine,’ Is Now on America’s Radar ― and Back Bars

カンボジア EUが人権問題で関税を課す

欧州連合(EU)は8月、カンボジアからの衣料品、靴、旅行用品などの輸入製品を関税対象とした。元々EUはカンボジアに対して特恵関税制度を設けており、カンボジア製品の輸入には関税がかからなかった。しかし、カンボジア国内の人権問題に関する懸念から、今年2月に特恵関税制度の一時停止を発表していた。その後、欧州議会と加盟国の反対がないことから、今回予定通り執行にふみきった。今回の措置で、カンボジアからEUへの輸出の約20%に影響が出るとしている。残りの80%は免税対象のまま。

カンボジア製品に対するEU関税の考察

EU市場向けのカンボジア製品の輸出シェア第一位は縫製品だ。しかしカンボジアでもコロナの影響で縫製品の輸出のキャンセルが相次ぎ、国内の縫製工場や衣料小売店は大きな打撃を受けていた。そのため、欧州ブランド衣料連合(EBCA)は、EUの今回の措置に反対していた。またカンボジアの企業や労働組合も、この措置によって何十万人もの女性労働者が職を失うと警告していた。人権問題の対策を進めない国に、EUは強い姿勢で臨んでいる。それは世界の貿易ビジネスに影響を与えかねないだろう。ちなみに、EUが懸念しているカンボジアの人権問題とは、2018年の総選挙における野党や政治活動への弾圧を指している。EUは現在、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する虐殺行為により、ミャンマーへの貿易優先権の解除も検討中だという。

元記事:

  • The European Sting, Cambodia loses duty-free access to the EU market over human rights concerns

  • Financial Times. EU revokes some of Cambodia’s trade privileges over human rights violations

シンガポール 3つのファッションスタートアップがデビュー

この夏、世界中で3つのユニークなファッション系スタートアップがデビューした。いずれも従来のファッション企業とは異なるコンセプトとテクノロジーを持つスタートアップだ。まずシンガポールの「Shop Bettr」は、持続可能性を追求した50以上のファッションブランドの製品を検索して購入できる、アジア初のプラットフォーム。ウェイティングリストはすでに9万件以上にのぼっているという。

ふたつめはイギリス発の「Republiqe」。デジタルファッションというジャンルを提供するユニークなサービスだ。販売している服のデザインは高級志向の消費者をターゲットとしているが、購入するのは本物の服ではなく、デジタルの服だ。購入後、自分の写真を提出すると、サイズがぴったり合った服を着ている自分自身の3D加工写真が送られる。3つめのスタートアップ、シンガポールの「Tropick」は、熱帯気候に適したメンズウェアにスポットを当てたブランドだ。伸びがよく、速乾性で通気性もよい高級感のあるシャツを中心にマスクも扱う。

「Shop Bettr」URL: https://shopbettr.com/

「Republiqe」URL: https://republiqe.co/

「Tropick」URL: https://tropick.com/

ファッションスタートアップの考察

いずれもユニークなスタートアップだが、特にイギリスの「Republiqe」はSNS時代ならではの発想と言える。また特筆すべきは、持続可能性を追求したシンガポールのプラットフォーム「Shop Bettr」で、無駄がそぎ落とされた優れたシステムと言えるだろう。まず、プラットフォームに登録している企業に、独自の基準を課している。その基準は、地球環境や労働環境への考慮の他に、施設やサプライチェーンの透明性、消費者への教育も含まれる。

またユニークなのは、プラットフォーム内にチェックアウト機能がないこと。購入したい服を見つけたら、その製品のブランドサイトに飛ぶ仕組みだ。いずれのブランドも海外への輸出に対応しているが、送料や返品は各ブランドのポリシーに依存する。プラットフォームの使用料金は購入者には請求されない。あくまで消費者がエシカル消費をするための手助けをするサービスに徹した、シンプルなプラットフォームだ。

元記事:

  • Retail News Asia, Three Asian fashion-tech startups to set sail

米 高級ブランドの手指消毒剤

アメリカでも手に消毒剤を塗る行為が日常の風景になり、様々なブランドが製造に乗り出している。なかにはスパイスなどの香り、皮膚を柔らかくする保湿効果などの付加価値がつき、通常の消毒液よりも小売価格が高いにも関わらず、売り切れが続出している。例えば蒸留酒業者だったAMASSは、複数のハーブを配合した良い香りのする消毒剤で注目を浴びた。ほかにもスキンケアブランドBiossanceは保湿スクワランを配合した消毒剤を、香水ブランドDS&DURGAは香水のように香りが変化する消毒剤をリリースした。

高級ブランドの手指消毒剤の考察

アメリカ国内の高級レストランのテーブルの上には、従来のオリーブオイルやチリソースの代わりに、これらの高級な手指消毒剤が備え付けられているという。スキンケアブランド、香水ブランド、美容ブランド、そして酒業者までがこぞって製造に着手していて、いずれも使い心地を重視した製品だ。日本でもマスクについては様々な形態の業者が着手したが、手指消毒剤については医療用品というイメージから脱却した、まるで化粧品のような製品はまだ発売されていないようだ。ちなみに、日本の税関は現在、消毒剤の輸入手続き等に関して柔軟な対応を行なっている。ただし商品の機能等の表示内容等により、輸入規制の対象となる可能性があるので、事前確認が必要となる。

元記事:

  • The New York Times, These Hand Sanitizers Smell Good, Kill Germs

  • 税関, マスク及び消毒液の輸入通関に関するQ&A

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