米/有機畜産物の輸出入が容易 泰/Eコマース動向

セカイマ2020-31貿易コラム
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今回は、日本政府が各国と合意した貿易協定についての話題に加え、アメリカやアジアの消費者動向についてのニュース記事も紹介する。まずは日米間で合意した有機畜産物の輸出入の認証緩和、および日英間のEPA締結について、そしてアメリカの年末商戦の予測も見逃せない。アジア各国からは、東南アジア最大のEコマースサイトのサービスから見えるタイの消費者動向、ベトナムで開催される高級品展示会の背景にあるベトナム小売市場についてお伝えする。

米/有機畜産物の輸出入が容易に 米/年末商戦予想 泰/Eコマース動向 越/高級製品展示会 日英間でEPA締結

アメリカ 日米間で有機畜産物の輸出入が容易に

今年7月、アメリカと日本は、有機畜産物の輸出入において、日米両国の有機制度を同等に扱うことで合意した。有機畜産物の認証についてはこれまで、料金、検査を含む事務を両国でそれぞれに処理しなければならず、手続きが二重にかかっていた。

一方、有機栽培の農産物については、有機JAS制度による認証に基づいた処理により、1回の認証だけで日米間の輸出入が可能になっていた。今回の合意は、有機畜産物の輸出入の認証処理を有機農産物と同様にしたもので、これにより手数料や手間が軽減され、両国の輸出入の増大が期待されている

有機畜産物の輸出入の考察

有機畜産物はヨーロッパで生まれた考え方で、薬剤に頼らず、有機栽培された飼料を与え、密飼いなどのストレスを与えずに飼育を行う畜産業だ。今回の日米間の合意では、輸出国の有機制度の認証を取得していれば、輸入国での有機制度の認証を再度受けることなく、相手国の表示制度に準拠して「有機」などの表示が可能となる。

アメリカにとって日本は3番目に大きい有機市場で、今回畜産物の処理が容易になったことで、アメリカ政府はさらなる輸出拡大を期待している。ちなみに日本政府は本制度を、アメリカだけでなくカナダ、スイス、オーストラリアとも合意した。このことにより、日本の有機畜産物の販路拡大に期待が寄せられる一方、海外からの輸入増加も見込まれている。

ちなみに日本における有機畜産物の販売はこれまで、販売者が「有機」と表示する形を取っていた。しかし近年の国内需要の高まりを受け、また今回の日本と各国間の合意に時期を合わせて、JAS認証かつ「JAS」マークの表示が必要となった。

元記事:

  • Office of the US Trade Representative, U.S., Japan Expand Organic Trade Opportunities Livestock Added to Trade Arrangement
  • 農林水産省, 有機の JASマークが必要です!

アメリカ 秋からのホリデーシーズン 勝者はEコマース

世界最大の会計事務所デロイトおよび証券会社カウエンが、アメリカのホリデーシーズンの小売売り上げ予測を発表した。どちらも旅行業界や飲食店舗の落ち込みを指摘しながらも、全体的には昨年売上高からの1%から1.5%の増加を見込んでほぼ横ばいを予想。

カウエンのアナリストによると、家庭用品、電子機器、おもちゃ、オフィス製品は売れ行きがよく、アパレル製品は落ち込むものの自宅ウェアは引き続き伸びるだろうと予測。特筆すべきは、オンラインでの買い物は例年の20%から35%伸びるとしている。

米ホリデーシーズンの考察

デロイトは、昨年売上からのほぼ横ばいを予測しているが、実はもう一つの予測も発表している。2つめのシナリオは明るく、2.5%から3.5%の増加というものだ。ただし、「アメリカ政府による失業保険などの救済法案や、効果的なワクチンの出現」が実現した場合に、消費に対する信頼が高まってバラ色の結果をもたらすだろうと条件付きだ。したがって期待を寄せるのは早計だろう。

一方、カウエンは、消費者がオンラインに移行する今年のホリデーシーズンは、例年と違った戦略を立てる必要があるとしている。まず、Eコマースにおいて「毎日がサイバーマンデー」と称したセール価格でのアプローチは有効だとしている。(サイバーマンデーとは、オンラインショップにおける年末セールのこと。日本ではAmazonが導入している。)

また、地域の傾向、消費者あたりの購入アイテム数、広告頻度に関するデータを分析することも重要だと指摘している。これらの考え方は、アメリカへの輸出販売のみならず、日本国内の販売戦略にも十分に利用できるだろう。

元記事:

  • Retail Dive, Deloitte predicts tepid-to-modest holiday sales growth
  • Retail Dive, A ‘rocky’ fall season lies ahead for retailers, Cowen says

タイ 東南アジア最大プラットフォーム ブランドから直接購入可能に

東南アジア・台湾において最大のEコマースプラットフォーム「Shopee」は、タイで展開する「Shopee Thailand」の驚異的な成長を受けて、この度リニューアルを発表した。タイ全土のユーザーに対応するために製品の品揃えを拡大して多様化したほか、消費者の懸念だった製品への信頼性に対する疑念を払拭するために、消費者がブランドから直接購入することができるようになった。

東南アジア最大プラットフォームの考察

「Shopee」は、日本からも安価に出品できる越境ECサイトとして、国内での注目も高まりつつあるプラットフォームだ。タイにおいては、地元の老舗ブラントや小売業者がデジタル進出する際のサービスとしても機能しているようだ。その影響もあり、サイトを通じてブラントから直接購入したいというタイの消費者の要求が高まったようだ。こうしたツールは、日本からの輸出販路拡大の選択肢のひとつとなるだけでなく、各国の消費者動向のリサーチにも有用だ。今後のサービスの動きに注目していきたいところだ。

元記事:

  • Retail News Asia, Shopee launching premium portal Shopee launches Shopee Premium, an exclusive destination for premium brands to connect with digital-first shoppers

ベトナム 高級製品展示会VIPREMIUM開催

ベトナム・ホーチミン市で今年12月、高級品の展示会「Viet International Premium Products Fair VIPREMIUM」が開催される。高級品カテゴリだがアイテムは多岐に渡り、ギフトアイテム、キッチン用品、家電、ホームインテリア、美容、ファッションアクセサリー、ベビーキッズ、文房具、事務用品、飲食などの企業が出展する。昨年はベトナム以外にもマレーシア、台湾など、10の国と地域から217の企業が出展した。

展示会VIPREMIUMの考察

なぜベトナムで高級製品の展示会なのか? 米経営コンサルティング会社A.T.カーニーによると、ベトナム の小売業界の開発指数は世界ランキングで6位といわれている。急激に発達し続けるベトナム小売市場は外国企業にとって非常に魅力的だ。

例えば、日本の住友商事はハノイにスーパーマーケット「フジマート」1号店を進出した。またフランスの大手スーパーチェーンAuchan(オーシャン)も「Simply Mart」と称するチェーンを進出している。ベトナムでの小売需要の急激な高まりは、海外企業の進出だけでなく、国内のコンビニチェーン、電気店チェーン、Eコマースサイトの拡大にも現れている。

また、市場調査会社ニールセンによると、ベトナムの消費者の7割近くがハイエンドな高級品を購入しているそうだ。なかでも化粧品、衣類・履物、電子機器などが上位を占めている。また世界的傾向に合わせて、アンケートに答えた消費者の半数以上が環境に優しい素材を使用した製品に高い金額を支払うつもりだと答えている。このように、成長目覚ましいベトナムでは高級品の需要がますます高まると予想されている。海外ビジネスの販路拡大のチャンスが期待される市場だ。

元記事:

  • VIPREMIUM, Vietnam retail market, which way for luxury goods?

イギリス 日英間で自由貿易協定

イギリスはEU離脱後で最初の大規模な自由貿易協定(日英包括的経済連携協定、EPA)を日本と締結した。この協定は、基本的に日本EU間のEPAを基礎としている。イギリス政府は、コート、ニットウェア、ビスケットなどのイギリス製品が、日本市場でこれまでより簡単で安価になるとしている。

またイギリス産のスパークリングワイン、ヨークシャー産ウエンズリーデイル(セミハード系チーズ)、ウェールズ産ラムなどの日本での認知度の向上も期待。そのほか、豚肉や牛肉、農業製品、スティルトンチーズ、茶葉製品、パン用粉製品なども、引き続き低関税の割り当てとなることで、イギリス製品にとって日本の市場が開かれていることを強調した。

日英貿易協定の考察

日本はすでに、EUとの間で経済連携協定(EPA)を結んでいたが、イギリスがEUを離脱したことで、改めて協定を結ぶ必要があった。このように今回の日英貿易協定はブレグジットがきっかけだが、イギリス政府は、日EU間のEPAを超えた内容であると強調している。

例えば、デジタル分野のルール、映画音楽などの知的財産権ルールなどにおいては、日EU間のEPAより一歩進んだ内容となっている。しかし日EU間のEPAを基礎とした協定であることは変わりなく、特に農林水産品においてはイギリスのみに適用される例外はない。

また交渉に時間がかかった日本EU間のケースよりも大幅にスピーディーで短期間の交渉で締結されたことで「歴史的」と言われているが、内容について言えば、日EU間のEPAと大差ない。しかし見方を変えれば、イギリスがEU離脱を決定した当初、日本では対英貿易に対する懸念の声があがっていたが、今回の締結はその懸念を払拭した内容と言えるだろう。

元記事:

  • GOV.UK, UK and Japan agree historic free trade agreement
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