アメリカのTPP参加はあり得る? バイデン政権誕生の影響

sekaima202039 貿易コラム
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今週は世界貿易における脱炭素社会にむけた動きに連動して、様々な新興ビジネスを紹介。アメリカのTPP参加意思表明をめぐる各国の動き、タイからはEV業界の動き、中国の脱炭素宣言における貿易への影響、マレーシアのドローン企業の急成長、ベトナムの物流改善に向けた動きをお送りする。

アメリカのTPP参加はありえる!?

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アメリカのTPP参加

アメリカのバイデン次期政権の誕生によって、世界貿易、とりわけ対アジア関係の勢力図は大きく変わりそうだ。アメリカは、2017年にトランプ政権によって環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から撤退している。その後、残された11か国は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」と名を変えて協定を継続している。

そして2020年、バイデン次期政権はCPTPPへの再参加を目標としている。しかしながら、アメリカの意思表明に対して、アジア各国の受け入れる姿勢は国や地域によって異なる。海外メディアは、日本、韓国、カナダ、オーストラリアは、経済的・外交的なメリットを期待していると見ている。

一方でASEAN諸国は、地理的関係から中国ともバランスをとってきたため、立場は微妙だ。中国もCPTPPへの参加を前向きに表明していることもあり、アメリカと中国の間で改めてバランスを取らざるを得ない。

アメリカが参加することで、CPTPPは、環境や人権に配慮したより厳格な内容にシフトできるが、中国が参加するとなると厳格さへの追求は期待できなくなる。アジア各国では、すでに「地域的な包括的経済連携(RCEP)」の合意もなされていることもあり、今後の予測は混沌としている。

米TPP参加の考察

アメリカのTPP参加をめぐって、アジア各国は選択を迫られている。中国が関与する奥行きのない自由貿易か、アメリカが参加する思慮深い自由貿易を取るか。中国がCPTPPへの参加を前向きに表明した理由は、HUAWEIやTikTokなどの中国のデジタル企業が海外で抑圧にさらされていることが大きいと言われている。

しかし国内企業への国家干渉が著しい中国のCPTPPへの参加交渉には、時間がかかるだろうとも予想されている。一方アメリカのCPTPP参加も、アメリカ国民が納得できるかどうかにかかっているので、こちらも一筋縄では行かないようだ。

また、国境を超えた自由化はメリットがある一方で、小規模ビジネスにとってはマイナスの影響を与えることもある。例えば日本の農業界では種子法の廃止につながり、小規模農家や関連ビジネスに打撃を与えた事がニュースに新しい。いずれにせよ、今後の動向を注視していくべきだろう。

元記事:

  • Channel News Asia, Commentary: Is it too late for the US to join the CPTPP?
  • Global Times, China to ‘favorably consider’ joining CPTPP

タイ EV産業への適応を急ぐ 海外ビジネス新規参入のチャンス?

タイ政府エネルギー省は、タイ国内の自動車産業の企業は、電気自動車(EV)に迅速に適応しなければならないとしている。タイ国内のギアシステム、エンジン、アクセル等のメーカーは移行が難しいだろうと言われているが、業界的にもEVへの移行の必要性は叫ばれていて、EVバッテリー生産の強化に軸足を置くことになりそうだ。タイのEVバッテリー業界の世界的リーダーを目指し、2024年までの急成長を見込んでいる。

EV産業の考察

自動車業界の脱炭素化が、世界各国で急速に進んでいる。EVバッテリーで言えば、世界的な市場の拡大に伴い、中国は2018年だけで175%の増加が見られたという。また、イギリスでは、10年以内にガソリン自動車の禁止を掲げている。

イギリスではそれに先立ち、水素自動車メーカーのリバーシンプルなど小規模な新興企業が進出を始めている。脱炭素自動車は、韓国のヒュンダイ、日本のトヨタMIRAIなどの大手が世界を牽引しているが、別の業界からの新興ビジネスの進出も目覚ましい。新しい産業の誕生に伴い、新規ビジネスの参入が容易になる事を期待したい。

元記事:

  • The Nation Thailand, Thai auto industry must adapt quickly to EV production, govt warns
  • Bankok Post, UK’s sole hydrogen car maker bets on green revolution

中国 脱炭素社会宣言 貿易への影響は?

中国は今年9月、2060年までにカーボンニュートラルを目指す計画を発表した。中国のCO2排出量は膨大なため、その発表は世界中が注目した。市場の大きい中国が脱炭素政策を進めることは、排出量の削減だけでなく、低炭素技術の推進も期待される。

すでに中国は、世界のソーラーパネルやリチウムイオン電池の約7割を製造し輸出しており、水素生産も世界最大と言われている一方で、そのほとんどを石炭を使って製造している。中国が、これらの輸出に焦点を合わせた製造産業の低炭素化を進めることによって、世界的にグリーンエネルギー技術のコストが下がることを期待される。

中国  脱炭素社会の考察

中国がこのような宣言をした背景の一つには、炭素税を掲げるヨーロッパ市場への輸出を維持したいという理由がある。また新技術のリーダーとして新しいエネルギー経済を支配したいという思惑もあるが、現在はヨーロッパや日本に遅れをとっているのが実情だと言われる。

貿易における動きとして最もありそうだと予測されているのが、輸出入におけるCO2排出量の具体的な明示だ。特に中国からの輸出は、中国のCO2総排出量のかなりの割合を占めているため、一定の排出量を超える製品を除外する制度が生まれるのはそう遠くないだろう。

元記事:

  • The National (UAE), Why China’s goal to become carbon-neutral by 2060 matters
  • The Conversation, China just stunned the world with its step-up on climate action – and the implications for Australia may be huge

マレーシア ドローン企業が急成長

マレーシア発のドローン技術が、新興ビジネスの成長に一役買っている。Poladroneは、ドローンによる写真・ビデオ撮影技術を高めるべく、2人の航空宇宙エンジニアが設立し、現在は大規模チームに成長した。主に農業分野および航空測量分野の製品に力を入れており、マレーシア国内の顧客も多く獲得している。

ドローン企業の考察

Poladroneは、ドローン・パイロットの養成を目的としたドローン・アカデミー・アジアと提携し、トレーニングも提供している。また、自社製品だけではなく、様々な海外ブランドのドローン製品、関連アクセサリも販売することで、地域のネットワークを広げている。

オールインワンのサービスによって、同社はマレーシア国内だけでなく、東南アジアのドローン業界での地位を確率し、インドネシアとベトナムへの進出も決定している。まだ10年強の歴史しかないドローン業界に、この新興企業は軽いフットワークで様々なサービスを展開している。今後は日本からのビジネスパートナーも歓迎するに違いない。

元記事:The Star, MALAYSIAN DRONE TECH TAKES TO THE SKIES

ベトナム 物流コスト削減 競争率アップへ

ベトナム政府は、現在は物流コストが非常に高く、自国の製品の競争力の低下につながっているとしている。物流コストが高い理由は、ベトナム国内の非効率的な配送システムから生じている。そのことから、ブロックチェーンやAI技術を駆使して、輸送、港湾、倉庫管理の既存のデジタルプラットフォームを統合することを促進するとしている。鉄道や水路の開発も重要視している。

ベトナム 物流コスト削減の考察

ベトナムは水路と陸路の両方が物流に利用されるが、陸上輸送の非効率性が問題視されていて、水路は陸路よりコストが20%安い。配送システムのデジタル統合に加え、鉄道や水路の充実により、輸出入のコスト削減にも大きく貢献すると言われる。

国内には4000もの国際物流業者が存在する。国内物流も加えれば約3万企業があり、業界は毎年12~14%の成長を見せている。ベトナム物流の改善によって、輸出入のコストや時間が削減される事を期待したい。

元記事:Retail News Asia, Vietnam wants to cut logistics cost to improve goods competitiveness

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