怪奇! あなたの知らない “タイ” の世界
梅雨明けし、アブラゼミが一斉に鳴き始めました。このところ日本列島は、連日の猛暑です。暑くてたまらない日本のこの時期は、何かとやる気も起きず、ジーっとしていたいものです。しかし、現地タイ仕入れをご検討中の皆さまなら、いやでも熱帯の太陽を浴びなければなりませんね。
さて、そんな皆さまに納涼企画のお届けです。茹だるような暑さの中、少しでも涼しみを覚えさせんがため、私がタイ仕入れで現地滞在中に見聞きした、タイらしさ全開のエピソードをご紹介いたしましょう。
視覚にドストライク。恐怖心に直接効きます
「間もなく1番線に電車が参ります。危ないですから、白線の後ろまでお下がりください」
日本のどこの駅でも聞かれるこのアナウンス。注意喚起する鉄道会社も、非常に丁寧で柔らかい表現に努めています。危険な駆け込み乗車を見つけた車掌さんが思わず声を荒げてアナウンスしてしまったときなどは、なぜか乗客でなく車掌さんが悪者に仕立てあげられ「ガラが悪い。言葉遣いが汚い」などのクレームが寄せられることがあります。
なんとも生きづらい日本になったもんですな。
これがタイならどうです。乗客の視覚に直接訴えかけ、恐怖心を最大限に煽動する方法が採られたりします。車掌さんはいちいちマイクで注意しません。ご覧ください。

▲自撮りしようと身を乗り出せば悲劇が待っている。インスタ投稿と命、どっちが大事?
有無を言わせぬ説得力があります。「鉄道では一歩間違うと命はないぜ。あとは勝手にしな」こんなメッセージも隠されているようです。おまけにもう一枚写真をどうぞ。

▲足を切断した男、鉄橋に頭をぶつけて流血大惨事な男など、地獄絵図の世界が広がる
タイでこの例以外では、タバコを買ってみてください。ニコチン起因の肺がん患者(ステージ4)や、汚れすぎの歯が抜け落ちた口腔写真が、容赦なくパッケージを飾っています。
「分かったからもうやめて」
そう言いたくなってしまうほどの過激なグロさです。
多少の傷などマイペンライ。そんなことより駐車が優先
いま、最もホットな話題はビッグモーター社の不正請求事件でしょう。なんでも、顧客の車にワザと傷をつけることが常習化していたのだとか。ここタイでは、故意というより未必の故意ですが、同じように車に傷がつけられています。
しかし、誰も怒ったりしません。それは、車社会であるタイの国民性と駐車場事情が関係しているようです。バンコクの渋滞はご存知でしょう。街は車で溢れています。ということは、その受け皿となる駐車場を少しでも増やさねばならないのです。
「駐車場のスペースが足りない? じゃあ、こうしてみようよ」
そこで生み出された駐車の知恵が、かような形となりました。

▲正規スペースがない場合、次々と通路に縦列駐車する

▲完全に接触している。下手すると小さな傷だけでは済まないだろう
スペースを有効活用するためだからマイペンライ、とばかりに当然のようになされるこの駐車方法。皆さまも「他の車が出せないじゃないか?」と疑問に思うことでしょう。
縦列駐車する場合、ニュートラルにしてサイドブレーキをかけません。つまり、少し押せば車は動き出します。ですから、あたかも茶箪笥の戸を開くかのように車を動かし、車の出し入れを行うのです。
これ、すべてその場の判断で誰でも行うことができます。力自慢がプッシュした場合、思った以上に車が動き「ガチャン」と音を立て他車と接触する場合がありますが、これは「仕方ない」のだそうです。
なお、この駐車方法は大型モールの立体駐車場でも正式採用されています。ブレーキの効いていない車にスルスルと勢いがつき、そのまま下階に暴走してしまったら……。そんな風に懸念するのは、私だけでしょうか。
とんでるタクシー運転手
以前、タクシーとバイタクをタイで乗りこなすための記事でも触れましたが、タイには無免許運転手がたくさんいます。私が以前に乗車した、とんでる運転手のエピソードをご紹介しましょう。
タイのぼったくりタクシーといえば、メーターを使わないことで有名です。メーターで走れる2〜5倍くらいの運賃をふっかけてきます。
私がスワンナプーム空港まで向かうために拾ったタクシー運転手のAも、そんな一人でした。
行き先を告げ、乗車しました。走り出してもメーターのボタンを押さなかったので、私はメーターを使うように注意しました。するとAは、予期せぬことを言い出したのです。
「旦那、空港まで行くんですよね。だったらどうです、メーターを使わず、200バーツくれませんか?」
私はAの真意を測りかねました。なぜなら、スクンビット地区からスワンナプーム空港までの下道運賃は約300バーツ。しかも、「高速代込みコミ」だというのです。
何か裏があるに違いない。そう訝しがりながらも200バーツの申し出を了承し、空港まで向かうことにしました。私はAの目的を探るため、アレコレと世間話を振ってみました。すると、Aに他意も悪意もなく、ただ単にサービスしてくれたのだと分かりました。背中越しにルームミラーをチラッと見ながら、Aは身の上話を続けます。
「旦那ァ、あっしはね、このタクシーを1日500バーツで借りているんでやんす。燃料代も自分持ちですわ。だからそれ以上稼がないといけないんでやんすよ」
それならなぜ200バーツなのか、と私は問いかけて口を黙ました。二度とないであろう不思議な厚意を、私はありがたく頂戴したのでした。
大らかなのか、不用心なのか
タイでもSNSの利用が大変盛んです。私はある商材に目をつけ、それを売るBにSNSを通じて連絡を試みました。
Bから回答がありました。「来週の午後、自宅に来て頂戴。住所はココね、よろしく」というのです。
いきなり自宅においで、とは驚きました。「誘拐され、さらに遠い国へと売り払う人身売買の一味ではないか」そんな不安に襲われ、Bの住所を調べてみました。ムーバーンと呼ばれる中にBの自宅があることが分かりました。ムーバーンとは、一つの住宅村を指します。たとえば、○×デベロッパーがある土地の一帯に建売住宅村を作り、出入口に警備員付きゲートが設けられていたりします。少なくとも、身元が確かな世帯でしょう。
不安はありましたが、曇りがちなある日の午後、私はBの家へと向かいます。到着した私をBは歓迎し、自宅へと招き入れてくれました。他人を呼ぶくらいだから一人暮らしなのだろう、そんな予想は一瞬で崩れました。
なんと「母、嫁、中学生の娘、小学生の娘」の5人家族だったのです。Bの一人住まいならまだしも、小さい娘がいる自宅へと見ず知らずの男を招き入れてくれたB。
日本なら到底考えられないことでしょう。他人に対して大らかというか、不用心というか、こういうタイ人の一面が私は好きです。対して今の日本人は心に余裕がなく、常に警戒を強いられて生活しているように感じます。
さて、そんなBと私は意気投合し、Bの扱う商材に関わるビジネスを展開していくことを誓ったのでした。後日、Bから「いいビジネスアイディアを思いついたから自宅に来て」と連絡がありました。なるほど、お互いにWin Winの内容です。さらなる連携を図ることを約束して別れた後、Bから連絡が途絶えます。
数か月経ち、Bにあの話はどうなったのかと尋ねたところ、果たせるかな、よくあるパターンに収まったのです。
「いやァ、あの話は親戚とやることにしたよ。あなたに言い出しづらくて黙っていたのさ。ごめんごめん。555」
総括「アメージングタイランド。あなたの知らない世界がタイにある」
ここまで、私の実体験の一部をご紹介してきました。日本人の目からは、いずれも奇妙で特異なものに感じられますが、逆にタイ人の目からは何の面白みもないエピソードでしかありません。
こういった文化の違い、国民性の違いを理解した上で現地に赴くことで、タイ仕入れが格段に捗るものと思われます。きっと、アメージングなタイ験がなされることでしょう。
皆様からの、タイ仕入れでの面白エピソードもお待ちしております。

いかに象さんに愛着があろうとも、日本ならせいぜいポットまで。だが、タイではビルを建造するのだから驚く


国際輸送の見積もり依頼例
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | 深圳 | 名古屋 | ●●●●●用紙 816トン | 海上輸送 |
法人 | 東京 | アブダビ | ロボット | 相談希望 |
法人 | 深圳 | 名古屋 | ●●●●●用紙 816トン | 海上輸送 |
法人 | 東京 | アブダビ | ロボット | 相談希望 |