
タイ人が買い物に行くディスカウントストアの物価はどうなってるの?
前回の実況見分では、在タイ日本人のオアシスである「FUJI SUPER」の物価を調査しました。ちょっと高かったですね。
しかし、そもそもが高いサラリーと充実した福利厚生を得ている「駐在員」をターゲットにしているので、それも当然のことかもしれません。
そうではなく、「なるべく倹約したい一般的な日本人が普段使いできる店の物価を知りたい」。この見分ではそういった声に応え、タイ仕入れで頑張る貴方を支援します。
今回は、タイ人では知らない人ない大型ディスカウントストア「Big C」を調査しました。
なんでも揃う庶民の味方「Big C」
そうですね、このBig Cを日本の店舗にたとえるとイオンやヨーカドーでしょうか。食料品、日配品はもちろんのこと、衣料品、電化製品、メガネ屋、フードコートに子供の遊び場まで用意された大型店舗です。ですから、ちょっとした買い物で迷ったときには、Big Cでほぼ事足ります。

入店しているBIGカメラです。ビックカメラではありません。
しかし、ディスカウントストアではありますが、「めっちゃ安い!」というレヴェルまでは至りません。果たしてその物価はいかに。早速行ってみましょう。
主食のコメ、パン
地元タイ人が客層の多くを占めるため、品揃えもタイ米中心です。種類はいろいろありますが、味に違いがあるとは正直思えません。が、タイの主食だけに安いと思います。

タイ米にも魚沼産コシヒカリ、秋田こまちのようなブランド米はあるのかしら。

おっ、ササニシキが250バーツだ! いや、慌てるのはまだ早いですぞ。
タイ米に混じって日本米も販売されていました。多少割高ですが、これくらいなら断然日本米だ! と慌ててはいけません。これは単に、ササニシキをタイで栽培・収穫したものです。宮城県で獲れるそれとは生育条件が違いすぎますから、全く同様のお米ではないことに注意しなければなりません。
パンは味も値段も日本と大差なし

パイ、クロワッサン、この手のパンなら大体40から70バーツ。

甘ーいタイプのパンが並ぶ。

食パンは安い。ロングサイズでもこの値段。
タイ人で朝食にパンを食べている人は少ない様に思います。彼らの生活スタイルに合わないのか、パン類は総じて高めの印象。もはや、日本と変わりません。
肉、魚、野菜、生鮮食品はどんな感じ?
続いて生鮮食品をチェックしましょう。
肉類

豪快に生肉を陳列するのがタイスタイル。

ビュッフェ感覚で、思わずあれこれ取りたくなる。

肉の種類は豊富。タイ国産から輸入物まであり。当然輸入物は高い。

値段の貼り方が紛らわしく一目で判断できなくてもマイペンライ。

三角マークを作って「オージービーフください!」とは気軽に言えそうもない。

タイ国産ビーフも安いとまでは言えないだろう。

鹿児島県産ではありませんが、KUROBUTAです。
肉類、特に豚肉は安いだろうと思っていましたが、そんなことはないようです。
鮮魚
日本の様な生食文化がなく、濃い味付けのタイ魚料理。では、鮮魚はどれくらいの種類が、いくらで売られているのでしょうか。

カムバックサーモン、カモンカモン! 純タイ国産の鮭は獲れないため、北欧から輸入。

店の規模からみても、売られている魚介類の種類は少ない。
お野菜・果物
続いて八百屋さん部門をのぞいてみましょう。まずはお野菜から。

きのこ類。栄養が豊富なので、たくさん食べてください。

取材時、すでにサラダバーは売切れ。安くはないと思うがたっぷり詰め込めるのだろうか。

タイ料理といえば唐辛子、香辛料。

タイでも健康志向が高まっていて、オーガニック野菜に熱い視線が注がれている。

脂っこい食事ばかりでなく、緑黄色野菜や根菜類を積極的に摂りたい。
野菜も、タイだから安い! ということは全くありませんでした。じゃあ、果物はどうでしょう。南国タイは果物天国のはず。さすがにフルーツは安いでしょう、と期待を込めつつ見ていきます。

マンゴーは200円から320円くらい。これなら思う存分食べられそう。

FUJIと名のつくリンゴがあったりするが、日本産ではない。

日本の農家から流出した種でないことを祈りたい。

メロンはまぁまぁの糖度。気軽に買える。
さすがに店頭に並ぶのは色形が選別された個体でしょうから、それ相応のコストが上乗せされているのでしょう。ローカル市場ならもっと安いとは思いますが、清潔さや安心を求めるならこちらで購入するのが良いでしょう。
◎卵

えっ! カラー卵?。毒々しくて食べる気が起きない。
料理に欠かせない卵ですが、こちらも特別安いものではありませんでした。
ドリンク、スナック
どこで買っても大差ありませんが、一応見分しましょう。

日本人に馴染みの深い明治の乳製品がずらり。

牛乳も決して安く購入できる訳ではないようだ。

地元ブランドのビールなら100円ちょいで買える。ビール好きにはありがたい。
ビールを飲むなら、ちょっとしたスナックも欲しくなります。

かっぱえびせんがタイで買える!

ポッキーはハイソなので、タイの工場で生産していても日本より割高。
かっぱえびせんも、オリジナルの塩味ではタイ人に物足りないのか、いかにもスパイシーなパッケージの商品がみられます。こちらは日本よりも若干安いかもしれません。
インスタントコーヒーも見ておきましょう。

ぱっと見で、日本とタイの明確な違いの分かる男、がいるだろうか。

スタバはどこにいっても高いです。
即席麺・カップ麺
食費節約時の王道ですね。しかし体に良いものではありません。

タイではこのようにセット売りになっていることが多い。

旨さより辛さを全面に押し出した商品でいっぱい。

辛くない即席麺の日本産はタイでは不人気なようだ。

タイ人は、この辺りの商品を一括りに「ママー」と総称している。

ママーなら、確かに安い。
日清もタイに進出していますが、日本で揺るがない地位を築いているカップラーメンの王様、オリジナルのカップヌードルやカレー、シーフードが売られていません。スパイシー好きなタイ人の口に合わないのでしょう。その代わり、トムヤムクン味などがあります。よほど辛いラーメンが好きなんですね。
その他、参考商品
棚から一掴み、商品あれこれをご紹介しましょう。

32ロール入って約600円。これは安い。しかし、お尻に優しい肌触りかどうかは別。

詰替用の液体洗剤。

チキン好きには嬉しい鳥の丸焼き。

タイ料理の弁当。見切価格となって販売がブーストし、残りはこれだけ。

Ciaoちゅーるも入手できる。
タイの野良猫にいくつかの餌を与えてみましたが、安いものは食べてくれませんでした。美食家というか、生意気ですね。ちゅーるは食いつきが良かったです。
日本の外食産業も進出
Big Cには庶民派フードコートもありますが、独立店舗としていくつもの外食店が出店しています。中には、日本人におなじみの店舗もたくさん見つけることができます。
ゼンショーの「すき家」を実食レポ①

すき家の売上が一番なのは確かだが、「TOKYO BOWLS」という名は聞いたことがない。
TOKYOBOWLS & NOODLESと副題が添えられています。以下、メニューの一部です。

79バーツの表記はSサイズで、Mなら約360円。

いずれのメニューも濃い味付け。

「サワディーカップ。イラッサイマセー」の声が響く。日本式のお出迎えだ。

見ただけでも味の濃さを予感させる色合い。約500円也。
早くて安い男メシの代表格である牛丼。タイでも食べられるのは嬉しいですね。値段は日本と同等ですが、いちばんの違いは味の濃さでしょう。それを中和するための飲料水でさえ20バーツとられますから、トータルで見ると割高になるという顛末。
今回の実食では、お得な空芯菜とのセットメニューを頼みました。味噌汁を飲みたかったのですが、塩分のオーバードーズになりそうな気がして緑茶をチョイス。やはり、牛肉も空芯菜も強い味付けでした。ただし、お米は比較的おいしかったです。
日本ではマイナーでもタイではメジャーな知名度を誇る「8番ラーメン」
北陸地方を中心に展開する8番ラーメンは、それ以外にお住まいの方には知名度は低いでしょう。しかし、日本と同等の店舗数を有するタイでは、日本のラーメンが手軽に食べられるとあって人気店となっています。

日本で食べるよりも若干安いか。
しかし、日本はあまたのラーメン店がしのぎを削るラーメン大国です。舌の肥えた日本人からは認められないお味だと思います。味噌ラーメンを食べたことがありますが、スープにまるで奥行きがなく、即席麺のようでした(個人の感想です)。
ご飯のお替わりありません。「やよい軒」で実食レポ②
やよい軒といえば、ご飯のおかわりが無料でできるため、腹を減らした男子から強い支持を得ています。私も何度もお世話になりました。ここタイでもやよい軒は勢力を拡大しており、ほとんどのモールに出店しているといっても過言ではありません。こちらでも実食してきました。

FUJI レストランと並び、タイを代表する日本食レストランチェーンにまで成長した。

メニューの一部。サーモンを使ったメニューが高い。

さばの照り焼き定食。約880円。日本で食べるのとほぼ同じ感覚。
日本的な焼き魚がどうしても食べたくなったので、さばの照り焼き定食をオーダー。脂がのり、焼きたてのアツアツをいただきました。しかし、残念だったのは白米。噛むほどに甘さと瑞々しさを感ずる炊き立て日本米とは大きく異なりました。
ですから、たとえ無料であってもお替わりしないと思います。
総括
タイの物価は上昇の一途を辿っており、それに円安が拍車をかける形となりました。かつては、その物価の格差を享受できたこともあったでしょう。しかしながら、「古き良きタイは遠くなりにけり」であることがお分かりいただけたものと思います。
タイは物価が安い? 否。もはや我々は、この先入観を完全に捨て去るときが来たようです。

