TPP貿易は 関税率の比較と検討が重要!

比較TPP/日欧/日米協定
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TPP(環太平洋の自由貿易)を利用すれば、輸出先(相手国側)または輸入時(日本側)の関税を削減できます。

例えば、日本からベトナムにトマトソースを輸出する場合を考えましょう!TPPを利用しないと、35%の関税です。しかし、TPPを適用すると、これが0%です。(2O22年1月1日付け)ベトナム側の関税を削減できれば、当然、ベトナム国内の流通価格も安くなり、輸出の拡大を期待できます。TPPは、関税を削減する上で、非常に大きな魅力があります。しかし、だからといって、闇雲にTPPを適用してはなりません。

実は、日本とベトナムの間には、TPPの他、日ベトナム協定や日アセアン協定など、他のEPAもあります。しかも、TPPよりもずっと前からあるため、すでに低い関税率の可能性が高いです。そのため、TPPを活用するときは、既存の協定の関税率とTPPを比較検討して、より有利な方を選ぶ必要があります。

この記事では、TPPを利用するときに考えるべき「関税率と原産性ルールの比較・検討方法」をご紹介します。なお、ベトナムを例示していますが、他の締約国も同様です。必ず比較・検討するようにしましょう!

TPPだけを魔法の杖と考えるのではなく、すでに締結されている他のEPAと比較・検討することが重要

比較

TPP貿易は、常に最も有利な関税率とは考えてはならない。

TPP11は、太平洋を囲む11カ国の間で結ばれた多国間EPAです。他のEPAは、日本とベトナム、日本とタイなど、二国間を基本とする中で異色の存在です。TPPと他のEPAの相違点を一言でいえば、あらゆる分野の自由化と、高度な関税率の撤廃です。

TPPは、既に結んでいる二国間EPAよりも、関税を削減している率も高く、それだけお互いの国の市場を他国へ開放しています。ただし、TPPは、協定発効後、すぐにすべての品目の関税率が撤廃されるではありません。即時撤廃品目については、2018年の12月30日付けで関税を削減。その他の産品は、お互いが合意している「譲許表」に基づき関税が削減されていきます。

2019年2月現在、日本以外の国は、関税削減の二年目のステージに入っています。一方、日本は、2019年3月31日までは一年目のステージ、4月1日をもって、二年目のステージに突入します。つまり、ここでのポイントは、TPPの発効と同時に、必ずしも、すべての関税が削減されるわけではないこと。他のEPAを適用した方がより安い関税率になる可能性を理解することです。

  • TPPを使えば、必ず最も低い関税率になるわけではない。
  • すでに発効している他のEPAの方が関税税率が低い場合が多分にある。

TPPの方が関税率が高いケース例

では、具体例を確認していきましょう!

例えば、日本からベトナムに向けてトマトケチャップまたは、トマトソースを輸出するとします。ご存知の通り、日本とベトナムの間は、日ベトナムEPA、日アセアンEPA、TPP11の多国間EPAの3つがあります。また、これら協定の税率と併せて、MFN税率(WTO協定税率)もあります。そのため、日本から、ベトナムへ商品を輸出するときは…..

  • MFN税率
  • 日ベトナム協定
  • 日アセアン協定
  • TPP11

…..の4つの税率を比較して、より税率が低い協定を選びます。また、この税率のチェックとあわせて、それぞれの協定で決められている原産性ルールの確認も必要です。原産性ルールがより簡単な物であり、関税率がより低い物。この2つの確認をします。ちなみに、TPPなどを検討する前に、MFN税率で関税がゼロであるなら、EPAの適用は検討しません。

WTO協定税率で無税であるなら、わざわざ複雑なEPAを利用する必要はなし。

比較検討するの2つのポイント

それでは、比較・検討の具体的な手順を確認していきましょう。比較するときは、以下の2つを見比べます。より関税率が低い。かつ、原産性ルールが緩い物を選びます。

  1. 相手国の関税率の低さ
  2. 原産性ルールの緩さ

1.相手国の関税率の低さ

まずは、相手国の税関で設定している関税率を確認します。相手国の関税率は、ワールドタリフで調べられます。今回は、トマトソースのHSコードである「2102.20」で情報を検索します。すると、ワールドタリフでは、ベトナム側で以下の関税率が設定さていることがわかります。2019年2月現在、日ベトナムEPAの4%が最も安いです。

MFN(協定税率)AJCEP(日アセアン協定)VJEPA(日ベトナム協定)
2103.20(トマトソース・ケチャップ)35%14%4%

そして、TPPは、2019年2月3日現在、ワールドタリフでは確認ができなかったため、ベトナムの譲許表で確認しました。2019年2月現在、ベトナムにおけるTPPは、Year2であるため、18%の関税率です。そのため、2019年2月3日現在は、TPPではなく、日ベトナムEPAを適用した方が良いと判断できます。ちなみに、2022年の1月以降に輸出するときは、関税率はゼロになっているため、日ベトナムEPAと比較検討する意味があります。
TPP ベトナム 関税税率

では、仮のお話として、日ベトナム、日アセアン、TPPともに、すべての協定が関税ゼロの場合は、どのような基準で利用する協定を考えればいいのでしょうか? その答えが「原産性ルールの緩さ」です。

2.原産性ルールの緩さ

原産性ルールとは、輸出する産品が「協定国の原産品である」と認める基準です。原産性ルールは、協定ごと、産品ごとに異なり、なるべく「緩いルール」を選ぶことがポイントです。この「緩い」とは、どのような意味なのでしょか? 順番に説明していきます。まず、各協定の原産性ルールは、税関が運営する「原産地規則ポータル」で確認します。輸出する産品のHSコードと適用する協定名を指定するだけで、原産性ルールがわかります。

今回は、HSコード「2103.20=トマトソース」の日アセアン、日ベトナム、TPP11のそれぞれの原産性ルールを調べてみました。その結果が下の表です。この表の中にあるCCとは、関税分類変更基準における「類変更」を求めるルールです。その右側にある()は、関税分類を認めない除外規定です。

例えば、表の中にあるAJCEPであれば…

  • 完成品のHSコードと原材料のHSコードが上位二桁レベルで変更していること
  • ただし、原材料の中に「7類」と「20類」が入っているときは、その変更を認めない。

この2つの意味があります。もし、こちらの説明が全くわからないときは、あわせて「関税分類変更基準」の解説記事をご覧ください。

協定名原産ルール
AJCEP(日アセアン協定)CC(第七類又は第二〇類からの変更を除く。)
VJEPA(日ベトナム協定)CC(第七類又は第二〇類からの変更を除く。)
TPP11第二一〇三・二〇号の産品(ケチャップ)への他の類の材料からの変更(第二〇〇二・九〇号の材料からの変更を除く。)
第二一〇三・二〇号の産品(その他の産品)への他の号の材料からの変更

AJCEPとVJEPAは、共にCCであり、除外規定も7類と20類で同じです。一方、TPP11の場合、2102.20のでも、ケチャップとその他の産品で原産性ルールが違います。

ケチャップの場合は、他の類からの変更(CC)となり、前半部分は、AJCEPと同じです。しかし、後半部分の除外規定が「200290」号の材料しか指定されていません。また、ケチャップ以外の産品の場合は、210320号の「号変更」を基準として、さらに除外規定もないことがわかります。つまり、AJCEPやVJEPAよりも非常に原産性ルールが緩いことがわかります。

よって、2103.20号に属する産品は、2022年の一月以降は、TPPを使い輸出した方が関税面と原産性ルールの面から有利だといえます。

特に数年後に注意が必要

TPPは、2018年12月30日に発効してから、5年ほどは、ある一定の関税率が維持されています。ただし、向こう数年間、毎年、ガクン、ガクンと関税が引き下げられます。特に3~5年ほど経過すると、あらゆる産品の関税率は、TPPが最も有利な状況になる可能性が高いです。現在、日ベトナム協定などで輸出している方も、商品に使う原材料の見直しなどのタイミングでTPPを適用して輸出できないかを検討することをお勧めします。

まとめ

  • TPPは、協定の発効後、数年後に関税がゼロになる物がある。
  • その間、TPP以外のEPAやMFN税率などと比較検討する。
  • 協定を比較・検討するときは、必ず相手国側の「関税率」と「原産性ルールの緩さ」をチェックすること
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