【TPP】農産物の関税はどうなる?重要五品目以外

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TPP11の関連法案が衆議院を通過したこともあり、メガFTAである「TPP11」の発効が現実味を帯びてきました。市場規模五億人の経済圏が誕生することもあり、世界各国における通商政策に大きな影響を与えそうです。

TPP11で気になることは「農産品に対する保護」です。基本的にTPPは、関税を撤廃する仕組みであるため、TPPが発効すると、日本国内に安い農産物が流通する可能性があります。安い農産品が流通するというこは、それにつられて国産農産品の価格を押し下げられます。これは、消費者にとって喜ばしいことである一方、農家にとっては、これまでよりも厳しい環境に置かれることになります。

このような状況を考えると、各農家の方は、これまで以上に「経営意識」と「コスト意識」を持ち、JA依存の販売体質から少しずつ脱却する必要があると考えています。そこで、この記事では、農産品である重要五品目以外の農産品の関税は、TPPによってどのように変化していくのかをご紹介していきます。

TPP11で農産品の関税はどうなる?

TPP11を反対する人は「関税が削減されると国内市場へ安い農産物が流通して国内農家が苦しむことになる」と主張することが多いです。

例えば、日本国内で100円で生産できる枝豆があるとします。同じような枝豆が海外から50円でそのまま入ってきてしまうと、どうしても価格上の勝負ができなくなります。そのため、日本へ輸入するときに、農産物の応じた税金をかけることによって、日本産の農産物との価格を小さくするようにしいます。これが関税の役割です。

もし、TPP11によって、この関税がなくなるとすれば、理論上は、安い農産物がそのまま日本へ入ってきてしまいますね。これだと、農家の人が困ってしまいます。だからこそ、TPP11は反対する!と、論理立てて主張しているのが反対派の方たちです。ただし、この主張には、重要な2つの要素が欠落しています。

忘れがちな2つの要素とは?

TPP11によって農産品関連の関税を撤廃したとしても、必ずしも農家が苦しむわけではないと考えます。その理由が次の2つです。「1.農産物の味」、「2.流通の問題」です。

1.農産物の味とは?

これは、私自身の経験から申し上げますが、日本の農産物は、きわめて品質がよいと思います。マスコミなどは、こぞって「日本の農業はダメ」などと伝えていますが、むしろ私は逆だと思います。日本の農産物ほど、きわめて高レベルな物はないと考えます。

例えば、フィリピンへ行ったときに食べた「トマト」がいい例です。現地では、高級なデパートに相応するところで販売されている物であっても「ゲキマズ」です。もちろん、日本人とフィリピン人という味覚の違いも考えられますが、おせじにも「おいしいトマト」だとは言えなかったです。

その他、どこかの先進国(忘れてしまいました)へ行ったときに味わったイチゴも不味かった覚えがあります。日本の農林水産省やJA、マスコミなどは、すぐに「日本の農業はダメ」という論調で意見を書くことが多いですが、私の経験や複数の人からの経験を聞く限り、その主張には、大きな誤りがあると思います。

もちろん、日本の農家自体もコスト意識や商売意識が薄いところは改善するべきだとは思います。しかしながら「日本の農業は弱者」であるような言い方をするのは、実際に海外にいき、農産物を口にしたことがない人の主張に過ぎないと考えます。

海外の農産物は安い。それがそのまま日本の消費者に受け入れれると考えるのは浅はかです。海外の農産品のクオリティは、低いと考えてもいいです。(全般的なお話です)

2.流通の問題

農産品に限らず、海外から商品を輸入するときは、必ず何らかの方法で輸送しなければなりません。農産品は、この輸送のときに大きな負担がかかります。

例えば、ある外国から「ほうれん草」を輸送するときは、どのような方法があると思いますか? 最も早く、簡単に輸入するのであれば航空機による方法です。しかし、輸送期間が早い分、ほうれん草を運ぶだけで、大きなコストが発生してしまいます。では、この輸送コストを低くするために、船での輸送はいかがでしょうか?

船を使うときは、コストが安い分、輸送期間が長くなります。この場合、温度管理ができる「リーファーコンテナやCAコンテナ」などを使って輸送することになります。船での輸送時に温度管理ができるため、ある程度の範囲で品質劣化を抑えることは可能です。ただし、航空輸送とはいかなくても、これらの温度管理ができるコンテナを使うときは、相応の費用がかかります。

ここで重要なことは、いくら海外の安い農産物を輸入したとしても、そこには必ず輸送上の問題が発生することです。特に品質劣化が激しい農産物は、どんなに温度管理などをしていたとしても、採れたての国産品と比べると大きな品質差が生まれることになります。

新鮮そうな野菜を選ぶのか? それとも何だか品質が悪そうなものを選ぶのか?

この2つを考えたとき、日本の消費者は、間違いなく新鮮そうな野菜を選ぶはずです。農産品であっても、少し腐っていた~や、葉が黄色、虫がいた~などの小さなことでクレームを言うほどうるさいお客が多いですから。

したがって、これらの2つの理由から、仮に関税が撤廃されたとしても、そこまで大きな影響があるとは考えられないです。むしろ、関税を撤廃することにより、次のような成功事例があることを知っておくべきです。

関税の撤廃で成長した「花き市場」

TPP11は、基本的に農産物を含めて関税を撤廃することです。これまで高い関税によって保護されていた商品は、いよいよ世界市場に開放されることになります。ただ、だからといって必要以上に恐れることもないと思います。実際のところ、農産物であって、すでに関税が完全に撤廃されている市場があります。しかも、業界が衰退しているどころか盛り上がっています。

ご存知の方も多いと思いますが「花き市場」です。いわゆる切り花などの市場です。実は、この業界は、農産品であるにも関わらず、いち早く関税を撤廃したことでも有名なところです。反対派の主張では、関税を撤廃すれば、日本の農業がダメになると言っていますが、このような成功事例があることも同じように伝えるべきです。

ジェトロなどのセミナーでも「花き市場の場合、関税が撤廃されたことにより、さらに流動性が高まり、以前よりも取引が活発になった」と説明されています。おかしいですね。関税を撤廃しているのに、関税があったときよりも「活発になってしまう」のです。嘘だ!と思う方は、ぜひ「愛知豊明花き市場(正式名称:愛知豊明花き地方卸売市場)」に行ってみましょう!

ここは、日本全国から花の買い付けに来ることはもちろんのこと、海外からも買い付けにくるほど大きな市場です。なんと、アジアで最大、世界でも5番目に大きな花専門市場が広がっています。関税を撤廃して衰退ではなく、むしろ大きくなってしまったのです。このような成功事例から、必ずしも「関税の撤廃=日本の農業の衰退」につながるとは言えないですね。

以上がTPP11における農産品に対する関税の予備知識です。それでは、以下でTPP11で設定されている農産品に対する関税率をご紹介していきます。なお、こちらの記事で紹介している関税率は、すべて日本政府の「TPP対策本部」で紹介されている資料を基にしています。

TPP11が発効された後の農産品の関税一覧

以下は、TPP11が発効された後の農産品の関税一覧です。左側から名称、HSコード、基本、関税が撤廃される年数、備考と並んでいます。それぞれの意味は、次の通りです。

  1. 名称・商品名
  2. HSコード・貿易をするときに使う商品コードのこと(世界共通)
  3. 基本・この場合は、WTO協定税率=現在、設定されている関税率を指します。
  4. 関税が撤廃の年数・TPP11が発効されてから何年目で関税が完全に撤廃されるのか?を示します。
  5. 備考・TPP11の協定表を確認するときに目安になる情報です。
名称HSコード基本(WTO)関税が撤廃される年数備考
ばれいしょ0701904.3即時撤廃
トマト0702003即時撤廃
たまねぎ0703108.56
たまねぎ0707108.56
にんにく0703203即時撤廃
ねぎ0703903即時撤廃
カリフラワー0704103即時撤廃
芽キャベツ0704203即時撤廃
ブロッコリー0704903即時撤廃
はくさい0704903即時撤廃
レタス0705113即時撤廃
にんじん0706103即時撤廃
ごぼう0706903即時撤廃
きゅうり0707003即時撤廃
えんどう0708103即時撤廃
ささげ0708203即時撤廃
アスパラガス0709203即時撤廃
なす0709303即時撤廃
きのこ類0709514.3即時撤廃
まつたけ0709593即時撤廃
トリフ0709593即時撤廃
シイタケ0709594.33.6で維持JPR14
ピーマン0709603即時撤廃
ほうれんそう0709703即時撤廃
オリーブ0709923即時撤廃
かぼちゃ0709933即時撤廃
スイートコーン07099964
ばれいしょ冷凍0710108.56
冷凍えんどう0710218.5即時撤廃
冷凍えだまめ07102966
冷凍スイートコーン07104010.6即時撤廃
冷凍ごぼう071080126
冷凍ブロッコリ07108066
混合野菜07109010.66
保存処理をしたオリーブ0711209即時撤廃
保存処理をしたきのこ0711519即時撤廃
保存処理をしたきゅうり0711409即時撤廃
乾燥たまねぎ07122096
乾燥きのこ0712319即時撤廃
乾燥きくらげ0712319即時撤廃
乾燥しいたけ07123912.89.6で維持JPR15
冷凍したさといも0714401011
くるみ08023110即時撤廃
くり0802419.611
生鮮バナナ08031020~2511
パイナップル0804301711
マンゴなど0804503即時撤廃
オレンジ08051016~323~6JPB8/B1-SG5
マンダリン、うんしゅうみかんなどの交雑種080520176
グレープフルーツ080540106
生鮮ブドウ0806107.8~17即時撤廃
メロン(すいか含む)0807116即時撤廃
りんご0808101711JPB11
0808304.8即時撤廃
サワーチェリー0809218.56JPB6
0809306即時撤廃
いちご0810106即時撤廃
ラズベリーブラックベリー0810206即時撤廃
キウイフルーツ0810506.4即時撤廃
ドリアン0810605即時撤廃
0810706即時撤廃
さくらんぼ(加工品)0812101711
バナナ(ほぞん加工)0812906
オレンジ(保存)08129016~3211
グレープフルーツ(保存)081290106
コーヒー(煎ったもの)09012112即時撤廃
緑茶090210176
紅茶090230126
落花生(規定数量内)12023010即時撤廃
落花生(規定数量内)120230617円/円8
海苔1212214034%で維持JPR14
わかめ12122110.58.9%で維持JPR15
寒天130231112/KG即時撤廃
マーガリン15171029.86

主な要点

  • 農産物関係の関税は、ほぼ即時撤廃される物が多いです。
  • 即時撤廃されない物であっても、発効から約6年~8年ほどで完全撤廃されることが多いです。
  • とくに柑橘系、バナナ系統の農産物は、非常に大きな開放が行われるため、今の内から何らかの対策をしておく必要があります。

まとめ

TPP11は、ほとんどの商品を例外なく関税ゼロにする協定です。これにより、日本の市場は、海外に大きく開放することになります。一方、やり方によっては、海外の市場へ輸出することもできるようになります。なぜ、ゼスプリがキウイフルーツだけで大成功しているのか? なぜ、日本よりも圧倒的に国土が小さいオランダが世界最大級の農業輸出国になっているのでしょうか?

このままの流れでいくと、TPP11が発効されるのは、ほぼ間違いないと思います。そのため、農業をしている方は、いつまでも反対のスタンスにいるのではなく、数年後の関税の完全撤廃を見据えて、どのような農業をすればいいのかを見つめなおすいい機会だと考えています。

ゼロから学ぶTPP(環太平洋パートナーシップ協定)

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