TPP11が発効されると、太平洋をぐるりと囲む国々で巨大な自由貿易圏が誕生します。自由貿易圏が誕生すれば、日本企業は、輸出や輸入をするときに関税のことを考えなくても良くなります。これは、市場の縮小が続いている日本には、大きなメリットです。輸出する先が外国であっても、日本国内と同じように商売ができるからです。
TPPを活用するときに重要になるのが「輸送コスト」です。日本と外国間で輸送をするときは、輸送コストを追求します。どれだけ安い商品であっても、輸送コストをコントロールできなければ、その分、利益を削ることになるからです。つまり、どこの国から輸送すると、どれほどのコストが発生するのかを把握することが大切です。
そこで、この記事では、TPPに加盟する11か国間の輸送コストをご紹介していきます。
TPPを輸送コストで考える
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TPP11は、日本を含む11か国との間で結ばれる経済連携協定(自由貿易協定)です。具体的な加盟国は、以下の11か国です。
日本、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、チリ、ペルー、メキシコです。これらの内、新しく日本と自由貿易を結ぶのは、カナダとニュージーランドの二か国です。どちらの国も魅力的な製品が多いため、今後、輸入ビジネスを展開する人は、これら二か国の製品も検討された方がいいです。
TPP11の加盟国内の輸送コスト
TPPは、11か国との間で結ばれる経済協定です。これを活用して輸出入すれば、関税などはかからないため、TPP域内への輸出入であれば、輸送コストと商品に関する法規制だけを考えておけば良いです。この内、今回は、加盟国内に輸送コストの部分をご紹介していきます。
もし、輸送コストを把握できれば……
- どこの国へ工場を作ったら良いのか?
- どこの国から仕入れられるのか?
- 避けるき輸送ルール
などを知ることができます。
TPP11加盟国内の輸送コストのまとめ
TPP11加盟国内の輸送コストをまとめてみました。縦列と横列が交わる部分が輸送コストです。背景が赤色になるほど、輸送コストは高いです。何も書いていない空欄部分は、輸送料金が算出できなかった=輸送ルートが極めて少ないことを示します。また、料金の算出は、20フィートドライコンテナを基準にしており、この価格には、サーチャージが含まれていない可能性があります。料金部分は参考程度に留め、輸送コストの傾向に注目してください。
各国間の輸送コスト
輸送コストに関する5つのポイント
各国間の輸送コストの一覧表を見ると、いくつかの気づきがあります。主な物が次の5つです。
- 同じ地点間でも出発地の違いにより料金差がある。
- 日本からシンガポールまでのエリアで貿易をするのが輸送コストの上有利
- 遠い国であるにも関わらず、輸送コストが安い所がある。
- 対ニュージーランドは、どこの国から輸出してもコスト上不利
- メキシコは、どこの国へ輸出するにしても高い輸送費に悩まされる。
1.同じ地点間でも出発地の違いにより料金差がある。
日本からシンガポール、シンガポールから日本など、同じ地点間であっても、出発地の違いにより、料金差があります。これは、物を運ぶの需要量の差から生まれていると予想できます。日本とシンガポールであれば、対日本向けの輸送需要の方が高いため、シンガポール→日本の輸送料金の方が高いことが考えられます。
2.日本からシンガポールまでのエリア内での貿易が輸送コスト上有利
TPP11域内の輸送コストだけを考えると、日本からシンガポールまでのエリア内での貿易が圧倒的に有利です。
3.遠い国であるにも関わらず、輸送コストが安い所がある。
日本から離れているにも関わらず、輸送コストが安い所があります。日本とメキシコ、ベトナムとペルー、オーストラリア、ニュージーランドとチリの間です。ある一定規模の輸送需要があるため、距離の割に安い輸送コストのなっている可能性があります。
4.対ニュージーランドは、どこの国から輸出しても輸送上不利
TPP11の加盟国の内、対ニュージーランドへの輸出は、どこの国から行っても輸送上不利です。特にカナダ→ニュージーランドへの輸出は、最悪です。
5.メキシコは、どこの国へ輸出するにしても高い輸送費に悩まされる。
メキシコからの輸出は、どこの国へ行っても高い輸送費に悩まされます。
まとめ
- 貿易は、適切な輸送コストの管理がポイントです。
- TPP11で貿易をするときは、どこの国と行った方が輸送上有利なのか?を含めて考えます。
- TPP11の加盟国の間では、輸送上、不利なところ、有利なところがあります。
- 対ニュージーランドへの輸出、メキシコからの輸出は、輸送上、不利です。

