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EPA トレーシングとロールダウンとは? QVCギリギリ?

この記事は約6分で読めます。

EPA(自由貿易)を利用して関税ゼロで輸出するには、日本で商品を生産することに加えて、その商品が日本産であることを証明する必要があります。この原産品の証明は、特定原産地証明書または、原産品申告書により行います。自動的に、協定国(日本を含めて)で生産=原産品ではなく、原産品の基準をクリアしていることを証明することで、原産品とみなす仕組みです。

今回は、この原産品の基準の一つである「付加価値基準」に関係するトレーシングとロールダウンについてご紹介していきます。

トレーシングとロールダウン

トレーシングもロールダウンは、EPA(自由貿易)を活用して輸出するときに使うルールです。したがって、あなたがEPAを輸入で活用するときは、このルールについては、あまり詳しく知る必要はありません。また、輸出で利用するといっても、実際に適用を検討すべき人は、次の2つの条件に当てはまる方です。

  1. 付加価値基準を利用して原産性を証明する人
  2. 原産資格割合がギリギリであり、少しでも非原産部分を減らしたい人(原産資格割合を上げたい人)

よって、関税分類変更基準で証明する人、または、付加価値基準で証明する方でも、原産割合に余裕がある方は、このトレーシングやロールダウンの検討は不要です。ちなみに、付加価値基準とは、原産品を「価格」を基準にして証明する方法です。具体的には、完成品の最終価格に対して、40%(協定・品目による)以上を日本または相手国の原産品で占めることにより、原産品とするルールです。

また、この原産品の部分のことを「原産資格割合」と言い、別称、QVCまたはRCVともいいます。付加価値基準で証明をするときは、この原産割合を超えることが絶対的な条件です。そのため、仮に原産資格割合が基準を下回りそうなときは、何とかして上回る手立てが必要です。この手立てを考えるときに関係するのが「ロールダウン」と「トレーシング」です。

一体、ロールダウンとトレーシングとは、どのような物なのでしょうか? 一言で申し上げると、日本の輸入港から組み立て工場に到着するまでの間に、何らかの加工(一次加工など)を施しているのか? また、この施した加工の部分をどのように取り扱うのか?について規定しているルールです。

  • 日本で施している一次加工の部分を含めて「非原産(外国産の産品)」にするのがロールダウン
  • 日本で施している一次加工の部分を「原産」とするのがトレーシングです。

それぞれを詳しく確認していきましょう!

ロールダウン

EPAの協定国以外(例:日タイEPAを使用する場合:日本とタイ以外の国で生産された産品)が日本の輸入港に到着しました。輸入港に到着後、日本の別の工場で一次加工、その後、最終工場へ部材が納品される予定です。トレーシングとロールダウンは、輸入港到着後から最終組み立て工場までにつくまでに行われる加工費用の取り扱いに注目しています。

仮に、最終組み立て工場についたときの価格をすべて非原産材料価格とすると…


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  • 日本の輸入港に到着するまでの部材の価格
  • 輸入港到着、最終工場に部材が届くまでに行われた一次加工費(日本の工場)

がすべて含まれてしまいます。つまり、日本で一次加工された部分も非原産材料として取り扱われています。この場合、非原産材料価格が本来の価格よりも高くなり、原産資格割合を引き下げる原因となります。原産資格割合がギリギリの方は、少しでも非原産材料の価格を下げる必要があるため、日本輸入港以降~工場到着までの加工費用は原産としたいはずです。

このとき、日本の輸入港に到着~工場に届くまでの加工費用を含めた価格=非原産材料とするのが「ロールダウン」。一方、日本に輸入後、日本の別工場で行われた加工費を原産性とするのが「トレーシング」です。もちろん、原産資格割合がギリギリの方は、トレーシングによって、原産資格割合を引き上げられるメリットがあります。

では、具体的な数字とともに、トレーシングを確認してみましょう!

トレーシングとは?

外国産の原材料が日本の輸入港に到着しました。内訳は、次の通りです。(日タイEPA)

  • 中国の原材料A 500ドル
  • ベトナムの原材料 300ドル

今回は、日タイEPAを適用するため、中国産もベトナム産も「非原産材料」の扱いです。そして..

  • これらの原材料を輸入後、日本の別工場で一次加工をして100ドル

がかかったとすると、最終完成品を生産する工場としては、非原産材料価格として…

  • 中国原料代:500ドル
  • ベトナム原料代:300ドル
  • 一次加工費:100ドル

の合計である900ドルを支払いますね。日本の輸入港に到着したときの純粋な原材料価格は、800ドルであるにも関わらず、日本での中間加工費も「非原産材料」の扱いを受けています。そして、日本の工場で最終完成品に仕上げた後の出荷価格が1300ドルだとします。(仮:製品に規定されている原産資格割合が40%)

仮にこの900ドルの非原産材料に対して、ロールダウンを適用して、1300ドルの完成品の原産資格割合を確かめると、(1300-(900ドル(非原産材料)))/1300=原産資格割合が30%になり。日本の原産品とすることはできません。一方、この1300ドルに対して、トレーシングを適用すると(1300-800+100(日本での一時加工賃)/1300=46%です。

同じ非原産材料を使用しても、トレーシングかロールダウンかによって、原産資格割合が大きく異なることがわかります。これがロールダウンとトレーシングの考え方です。EPAでは、このトレーシングとロールアップ(アップの方です)をうまく活用することで、TPP11日欧EPAの真の価値を発揮できることを忘れずに覚えておきましょう!

原産資格割合がギリギリの人は、トレーシングの適用を考えよう!

トレーシングを適用できるEPA

トレーシングとロールダウンのそれぞれが適用される協定は、以下の通りです。

トレーシング適用オーストラリア、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、メキシコ、ペルー、モンゴル、フィリピン、TPP11、EU
ロールダウン適用シンガポール、日アセアン、タイ、ベトナム、インド、スイス、チリ

実際にトレーシングを適用するには?

実際の証明でトレーシングを適用するには、その加工を行った業者が最終生産者に対して「トレーシングに関するサプライヤー証明書」を提出します。もちろん、トレーシングに関するサプライヤー証明書を発行する業者は、証明書の発行に至った根拠資料を用意しておく必要があります。

例えば「部材に対して、このような加工をした。従業員の給料は、これくらいかかかった。また、生産に関する経費も○○円だった。よって、トレーシングに関するサプライヤー証明書の中で、加工賃を20%と証明している」と、論理的に説明できるようにしておきます。

まとめ

  • トレーシングとロールダウンは、付加価値基準を利用する人かつ、原産資格割合がギリギリの人が考えること
  • 上記に当てはまらない人は、考えなくてもよい。
  • ロールダウンとは、日本の港へ到着後の中間加工も含めて、すべて非原産材料の価格とする考え方
  • トレーシングは、日本の港から最終組み立て工場までの中間加工を原産部分に算出する考え方
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