通関士とは、どんなことをする人なのか。将来性はある?

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貿易業界唯一の国家資格である通関士。合格率は毎年10%前後の難関です。貿易業界で働くにあたり資格を検討している方、スキルを身に着けたいと思っている方にとって、気軽に手を出すには、ハードルは低くはありません。書店に足を運ぶと、並んでいる参考書の分厚さに驚き思わず手に取った本を元の棚に戻す方もいるでしょう。

通関士とはどのような資格で、どのような仕事の内容なのか。これからの将来性はあるのでしょうか。

通関士

通関とは

そもそも通関とは何なのでしょうか。モノを輸出入する際に、切っても切り離せないのが税関です。税関から輸出入許可を得ることを通関と言います。税関から輸出入の許可を経て、日本国内からモノを海外に輸出することができ、そして輸入ができます。

通常、輸出するより輸入の方が厳しく審査されます。特に初めてのモノを輸入するときは様々な角度から審査される為、必要書類の準備、提出が必要です。そこには各種法令で規制されているものが含まれていないかの確認も含まれます。

他法令で規制があるものの例として、食品であれば食品衛生法です。子供が口に入れることも考えられる為、子供用の玩具に適用される場合もあります。また著作権、商標権にひっかかるもの。そして武器、化学兵器に使用される可能性のあるもの等です。また、関税に関わる規制も重要な項目です。

例えば、日本の農林水産業を守るため海外からの輸入品の量には一定の規定があります。その量を超えたものについてはより高い関税がかかるように定められています。税関での取り締まりは水際対策と呼ばれることもあります。日本国内に入れてはいけないものがないか、また日本国外に出して問題はないのか。私たちの生活の安全を守るための最後の砦、それが通関です。

通関の過程

通関ではどのようなステップを踏むのでしょうか。どの過程も専門性が非常に高くまた責任が問われます。それらを特化して行うのが通関士であり、通関業者です。ひとつひとつみていきましょう。

HSコード確定

通関をスムーズに行う為、どのようなモノにも数字4桁+2桁+4桁からなるHSコードがふられます。日本語では輸出入統計品目番号や関税番号、税番などと呼ばれています。HSコードは非常に細分化されています。どの商品がどのHSコードに該当するか確定するには膨大な知識、経験、そして緻密さが必要です。

例えば、あなたが今着ているジャケットで考えてみましょう。HSコードを確定させるには以下のような質問が必要です。

・女性ものですか?男性ものですか?
・上下セットのものですか?
・素材は何ですか?(天然素材と合成繊維が混合されている場合にはその割合)
・メリヤス編み又はクロセ編みではありませんか?
・毛皮がついていませんか?

ひとつでも質問の答えが間違っていると、それに伴う関税率が変わるため納付する関税額が変わります。間違ったまま申告してしまった場合、不足分の関税額を払うだけではなくそれに伴うペナルティが課されます。納付額が増額するだけではなく、悪質の場合には通関の免許をはく奪されることもあります。

他法令規制確認

先に紹介したように、関税法だけではなく食品衛生法、外為法など各種法令での規制有無の確認、許認可取得が必要です。

例えば、デジタルカメラのレンズを輸出するとしましょう。カメラのレンズに使用されている技術は武器の照射技術に応用が可能です。熱が伝わらない、新たに開発された布は爆撃機の機体に使用される可能性もあります。傍目にはかけ離れていると思われるものでも思わぬところで悪用される可能性を秘めています。

また、革製品の場合にはワシントン条約の規制、廃棄物の場合にはバーゼル条約の規制など、日本国内だけではなく国際条約にあてはまるものがないかも大切な項目です。

関税額の確定、納付

HSコードから確定した関税率と商品の価格、輸送に関わる運賃、保険料を元に算出された関税を納付します。商品の価格にはできあがるまでの過程にかかった費用も加味されます。

例えば、その商品のデザインを使用するのに発生したロイヤリティ使用料。商品製造する際の必要となった金型の製造費。紙のようなものを運搬する為にロール状にした際に使用した芯の費用などです。また、商品によっては関税の減免税が適用されるものもあります。日本で製造され、海外で使用されていた機械を修理の為に日本に再度輸入する場合。そして特定の国原産のものを輸入する場合などです。

HSコード確定と同じように、知識、経験が必要です。さらにその時の情勢により規定は変わります。誤りの許されない非常に繊細な過程です。

税関検査対応

書類の提出のみで輸出入許可となる場合もあれば、税関検査が求められる場合もあります。その際には必要書類の再提出や、梱包されているものの開封、モノの提出等の対応が必要です。実際に税関にモノを提出したり、保管されている場所に同行したりします。税関検査には立ち会いが必要です。

輸出入許可

今まで見てきたステップ経たうえで、やっと輸出入許可となりモノの移動が可能になります。輸出入許可書は監査等で必要になる場合もあるため、ある一定期間の保管が必要です。必要な時にすぐに用意ができるよう、その他の船積み書類と一緒に保管するのが一般的です。

通関士の仕事

今までみてきた輸出入の際に必要になる許認可を経て、商品を滞ることなく流通させるための事務処理全般を行うのが通関士の仕事です。通関士の資格無しには行えない業務がほとんどです。税関検査立ち会いや顧客との折衝が発生することもありますが、基本的にはデスクワークです。そこで扱う書類は多岐に渡ります。

商品を確認するためにはカタログや、含有物やその割合を確認するためのSDS(safety data sheet)が必須です。化学品や医薬品等の場合には特に馴染みのない専門用語を目にするでしょう。新商品の場合には特に神経を使い、様々な角度からの検証が必要です。

船積み書類の確認、書類の作成も大切な業務です。それらは全て英語で書かれています。英文だけではなくBOOKING No.や住所などアルファベットと数字の羅列の中から誤りが無いか確認をします。複数種類ある船積み書類それぞれに相違点が無いか、重量や金額に誤りが無いか確認することも大切な作業です。

どの書類確認、作成であっても誤りの許されない緻密な作業です。一日膨大な種類と量の書類を処理していく、それが通関士の仕事です。もちろん会社や風土によって差はあるでしょうが、机とパソコン機器が並んだオフィスでそれぞれが黙々と書類に向かい合っている、そんな風景が通関部門の日常の風景です。

通関士の将来性

これから通関士を目指す方、そして通関士の資格取得を検討されている方にとって気になるのが通関士の将来性です。

資源の無い日本にとって、資源の輸入、そして製品の輸出はまさに死活問題。貿易は私たちの生活の生命線です。従って輸出入の手配をする通関士の役割がなくなることはないでしょう。AI技術等の発展によって、今人の手で行っていることが今後機械で行われるようになることはもちろん予測ができます。

しかし、ペーパーレス化が進んでいる今のこの時代でも、貿易業界では未だにFAXが大活躍しています。航空での輸出入の際には、商品とは別に紙の船積み書類一式を用意し封筒に入れて商品が搭載されている同じ航空機に乗せて送ります。輸出国で通関に使用した書類一式はそのまま輸入国での通関に必要になるからです。

自国だけでは完結できない通関処理。だからこそ最新機器の導入が遅れているのが貿易業界です。その為、たとえ手配の一部が機械にとってかわったとしても、人の手を使った処理は必須です。貿易高は確実に増えている昨今、通関士のニーズは今後ますます増えていくでしょう。

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まとめ

  • 私たちの生活安全を守る最後の砦、それが通関です。
  • 通関の過程には様々な制度の変更、各種法令規制をクリアする必要があります。
  • 通関士の仕事は書類との対話。迅速、正確、そして緻密さが要求されます。
  • 貿易高の拡大は、つまり通関士のニーズの拡大です。
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