海外から商品を輸入するときは「輸入消費税」を支払います。一方、これを国内に販売すると「消費税」を受け取ります。一体、この消費税と利益率とは、どのような関係があるのでしょうか?
そこで、この記事では、輸入消費税、国内消費税と輸入の利益率との関係を説明しています。特に特に年間売上高が1000万円を超える課税事業者の方は必見です!
輸入消費税と国内消費税
海外から商品を輸入するときの全ての費用を合計した物が「輸入原価」です。そして、この輸入原価には、次の費用があります。
- 商品代金の他
- 輸送費
- 保険代金
- 関税と輸入消費税
そうです!実は、輸入品に対しても「輸入消費税」が発生します。しかし、すべての輸入に消費税がかかるわけではなく、次の2つの基準があります。
- 免税対象物品であること
- 免税対象金額以下であること
根拠は、関税定率法14条の無条件免税、EPAに基づく協定税率、関税暫定措置法、「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律」などにあります。つまり、これら2つの基準をどちか外れる物に対して輸入消費税がかかります。
輸入消費税が発生する対象価格
輸入品の消費税は、国内と同じく10%です。(食料品は8%)また、消費税率をかける課税価格は、次の計算式で求めます。
- 商売目的:(商品価格+送料+保険代金+関税額)×0.1=輸入消費税額
- 個人使用目的:商品価格×0.6倍×0.1=輸入消費税額
輸入の目的により、課税価格に含めるべき費用は変わります。しかし、基本的には、輸入商品価格の約10%が輸入消費税になると考えておけばいいです。なお、輸入消費税を納めるべき人は、「保税地域から貨物を受け取る人」と定義されています。
例えば、保税転売をする場合は、実際に貨物を輸入する人(アクチュアルコンサイニー)が支払います。一般的な輸入(コンテナやLCL等)は、通関業者を通して支払います。また、海外通販系であれば、自宅や倉庫等に荷物が届けられる際に、商品の引換えと同時に輸入消費税を支払います。
つまり、仮に輸入した商品を日本国内で転売する場合は、少なくても「商品価格×1.1」よりも高くしておかなければ、輸入消費税分だけ完全に赤字になることがわかります。

輸入品にも諸税が発生すると考えましょう!
輸入消費税と利益率との関係は?
海外から商品を仕入れる場合は、輸入消費税が発生します。では、これを日本国内で転売する場合は、どのようなことに気を付けるべきでしょうか? ここから先は、特に年間の売上高が1000万円を超える課税事業者の方が知っておくべきことです。
おそらく、この記事をご覧になっている多くの方は「課税事業者」だと思います。ご存じの通り、課税事業者は、税務署に対して消費税を納める義務があります。
例えば、
- 100円の商品を輸入したときに、10円の消費税を支払っている。
- 上記の物を200円で国内販売したときに20円の消費税を受け取っている。
この場合、税務署に納めるべき消費税は、20円-10円の「10円」です。消費税は、支払った金額と受け取った金額の差額を納めます。実は、輸入消費税と国内消費税も同じ関係にあります。
国内販売時に受け取った消費税ー輸入時に支払った消費税=税務署へ納めるべき消費税
消費税は、上記の通りに考えます。ただし、この消費税は、個別の商品ごとに考えるのではなく、その他の売り上げを含めて、年間を通してトータルで計算します。
例えば、
- 輸入商品の販売で500万円の消費税を受け取っている。
- 他のサービスの販売で100万円の消費税を受け取っている。
- 輸出をして、300万円の消費税還付がある。
上記の場合であれば(500+100)-300=300万円を税務署に納めます。仕入れ時に消費税を払う。販売時に消費税を受け取る。この差額が最終的な納税額(還付額)になります。
100万円の商品を輸入し、150万円で販売したときの利益率を計算
例えば、100万円の商品を輸入し、150万円で販売したとしましょう。この場合は….
- 100万円の商品を輸入するとき=10万円の消費税を支払う。
- 150万円の商品を販売するとき=15万円の消費税を受け取る。
- 15万円-10万円=5万円が納税するべき消費税です。
では、この場合の利益率を考えてみましょう。
50/150×100=33%でしょうか?
違いますね!正しくは、次の通りです。
45/150×100=30%です。
あえて、この輸入取引だけを単体で見ると、利益50万円の内、5万円は納税するべき税金です。しがって、これを含めて利益率を計算すると、予想よりも利益が小さくなることがわかります。
輸入消費税額を証明するために必要な資料
輸入消費税を証明する場合は、次の資料を保管しておきます。
- インボイス
- 輸入許可書
- 納税証明書など
必要書類は、最寄りの税務署により多少変わります。詳しいことは、必ず確認をしましょう!
関連記事はこちら
まとめ
- 輸入時にも消費税発生する。
- 消費税が発生しな条件もある。
- 消費税は、必ず輸入原価に算入するべき
- 課税事業者は、納税する消費税分を利益率の計算から除外した方が良い。
- 課税事業者は、輸入消費税の金額を証明する資料を保管すること


初めての輸入取引ガイド
国際輸送の見積もり依頼例
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | 鹿児島 | 台湾 | 冷凍牛肉 | 相談希望 |
法人 | 深圳 | 名古屋 | ●●●●●用紙 816トン | 海上輸送 |
法人 | 鹿児島 | 台湾 | 冷凍牛肉 | 相談希望 |
法人 | 深圳 | 名古屋 | ●●●●●用紙 816トン | 海上輸送 |