海外(中国等を含む)からアパレル品(服など)を輸入。これを日本国内に販売するときは、商品に「品質表示ラベル」を貼りつける義務があります。
品質表示ラベルとは…
- 販売責任者の所在地と電話番号
- 材質は何か?
- 洗濯上の注意点など
- その他、安全上の注意点
などを示す物です。輸入者は、国内販売するまでに、この品質表示ラベルの貼り付けます。もし、それをしなければ、品質表示法違反で、20万円以下の罰金に処せられます。
そこで、この記事では、家庭用品品質表示法の概要、輸入者としてすべきこと、家庭用品品質表示法を外注したときの体験レポートをご紹介します。なお、この記事は「プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱」様のご協力をいただいております。
すでに家庭用品品質表示法をご存じの方は「外注化レポート」にお進み下さい。
家庭用品品質表示法
目的と内容
海外のアパレル品を輸入。これを一般消費者向けに日本国内に流通させるときは「家庭用品品質表示法」を守ります。家庭用品品質表示法の目的は次の通りです。
家庭用品品質表示法は、一般消費者が製品の品質を正しく認識し、その購入に際し不測の損失を被ることのないように、事業者に家庭用品の品質に関する表示を適正に行うよう要請し、一般消費者の利益を保護することを目的に、昭和37年に制定されました。
本法が制定された当時は、表示に際しての具体的なルールが一般化されておらず、市場に不適正な品質表示の製品が横行し、消費者被害の発生する可能性が高い状況でしたが、その後、本法施行の効果もあり適正な品質表示が定着してきている状況です。
家庭用品は、生活スタイル、ニーズの変化や技術革新等により様変わりしてきており、対象とする品目や表示を行う事項等については、こうしたことを踏まえ、必要に応じて見直しが行われています。
引用元:消費者庁
要約すると….
- 製品の品質を正しく、一般消費者でも簡単に理解できるようにする。
- 品質が悪い物を偽り、消費者を欺く行為を許さない。
- 各社の基準で品質表示をするのではなく、法で決めた基準に基づき表示をさせる。
輸入者は、これらの目的に沿うように品質表示ラベルを貼り付けます。具体的には、次の4つに分類される製品に表示義務があります。
- 繊維製品
- 合成樹脂加工品
- 電気機械器具
- 雑貨工業品
詳しくは「消費者庁のページ」でご確認ください。
対象の製品は何がある?
ここでは、家庭用品品質表示法の対象品の内「アパレル」に注目します。アパレル品の場合は、次の品目が家庭用品品質表示法の対象です。これらを「一般消費者に販売する」ときが規制対象です。
エプロン | ネクタイ | 下着 | 帯 |
カーテン | ハンカチ | 靴下 | 膝掛け |
コート | ブラウス | 子供用オーバーオール | 布団 |
シャツ | ベッドスプレッド | 糸 | 布団カバー |
スカート | 毛布カバー | 事務服及び作業服 | 敷布 |
ズボン | 枕カバー | 手袋 | 風呂敷 |
セーター | マフラー | 床敷物 | 帽子 |
タオル | スカーフ | 織物、ニット生地、レース生地 | 毛布 |
テーブル掛け | ショール | 寝衣 | 足袋 |
ドレス及びホームドレス | 羽織及び着物 | 水着 |
上記以外の品目→消費者庁の繊維製品一覧
品質表示法に違反すると?
「アパレルの販売には、家庭用品品質表示法へ準することはわかった。じゃあ、仮に法律を守らず販売していた場合はどうなる? けっこうネットオークションやフリマアプリなどで、品質表示がされていない物を目にするけど…
家庭用品品質表示法は、一般消費者に向けに販売する物(手段を問わず)に適用されます。したがって、ネットショップなどで販売するときも家庭用品品質表示法の規制対象です。
実際、野放しになっている部分もありますが、基本的には違反行為です。消費者庁には、下に示す通り「違反通報窓口」などもあり油断は大敵です。特に、アマゾン等で販売する場合は、ライバル他社から蹴落とされる要素を排除する意味でも重要だと考えます。
家庭用品品質表示法の通報窓口
消費者庁 表示対策課
〒100-8958 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館 7階
電話:03-3507-8800(大代表)
経済産業省 商務情報政策局 製品安全課
〒100-8901 千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1511(代表)
違反時の罰則
家庭用品品質表示法に違反した場合は「20万円以下」の罰則に処せられます。また、19条には「監督指導」などの要綱が定められており、各市町村が立ち入り調査する権限があります。
輸入者がするべきことは?
アパレル品の輸入者は、品質表示法に対して、何をするべきなのでしょうか? 大きく分けると次の2つがあります。
- 家庭用品品質表示法に該当するかを確認
- 該当する場合は、法で定められているラベルを作成&つける。
ラベル表示方法の例
アパレル品のラベルに表示する事項は、次の通りです。
- 誰が販売しているの?(住所、会社名(屋号名)、電話番号等)
- それは、何の材質できているの?
- 原産国はどこなの?(義務ではない)
- 何サイズなの?
などを示すと共に、以下のことを「決められた図」で示します。
- 洗濯処理の方法は?
- 漂白剤はOK?
- 乾燥処理はOK?
- アイロンはOK?
上記の内容を品質表示ラベルの中に表示して、製品に貼り付けます。つまり、こんな品質表示ラベルを作ります! そして、これを製品に縫い付けて、容易に取れないようにすることが重要です。
表示内容、細かい部分は、消費者庁が掲載するガイドブック、ハンドブック等を確認してください。
専門的で面倒!専門家に任せた方が良い。
家庭用品品質表示法は何となく理解できた。具体的な対処方法は、品質表示ラベルを貼ることも分かった。でも、実際、それを自分でするのってかなり大変じゃない? だって海外で買い付けたアパレルって、そもそも品質表示ラベルとかも全くなかったり、表記がめちゃくちゃだったりするしね~ それを消費者庁が定める基準に適合させるって..かなり大変だよね…とほほ。
実際、海外のアパレル品を買い付けると、表記内容の基準が曖昧であったり、矛盾した表記内容であったりすることが多いです。そのような状態から、日本のラベル表記に直すのは大変ですね!やはり、輸入ビジネスは、餅は餅屋のごとく「外注化」するのがベターです。
といいますのは、実際、ご自身でアパレル品の品質表示ラベル付けをするのは非常に困難です。まず品質表示法の細かい基準の理解が必要です。その後、製品の組成の調査やタグの作成、タグづけ、さらにはプレス作業などもあります。(これ以外に多数)
こんな大変な作業をご自身でするのは、究極の時間の無駄ですね! では、どうすれば、良いのでしょうか? 品質表示法の対応は、次の2つの方法があります。
- 海外の工場で品質表示に対応させる。
- 日本にある品質表示専門の会社に依頼する。
例えば、ODM等で海外の工場に商品を製造している場合は、この品質表示タグも含めて海外に発注します。この場合、日本側での品質表示の対応が不要となり、時間とコストの削減ができます。
但し、海外の工場が、日本の品質表示法を正しく理解し、法に適合するラベル(JIS規格)を作成できるかがポイントです。この部分の指示が悪いと、全く無意味な品質表示ラベルになります。(海外の工場に、日本の品質表示タグを送るなどの方法もあります。)
*海外に品質表示ラベルを送る場合は、副資材として課税価格に参入する必要があります。詳しくは、課税価格の解説記事をご覧ください。
他方、日本側で品質表示をする場合は、海外の工場で終わらせるよりもコストがかかる一方、家庭用品品質表示法の適合性や仕事の丁寧さや正確性などに期待ができます。やはり日本側の法律に精通している分、安心感が違います。
- 少しでもコストを下げたい→海外工場に作ってもらう。
- 法律に適合させたい。きめ細かいサービスに期待→日本側の専門業者に依頼する。
あとは、ご自身の経営判断で選択をしましょう! なお、今回、HUNADEは、この家庭用品品質法の作業をプレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱」さんに依頼をしてみましたので、その時のレポートをあわせてご紹介します。
品質表示ラベルを外注してみた!
法律要件や制度の概要を理解していることと、実務レベルできることは違います。これは、私も同じです。そこで、今回は、品質表示対応を専門とする会社に依頼をして、実際、どのように出来上がるのかを検証してみました!
タイで購入したTシャツが三つほどありましたので、今回は、こちらのtシャツを品質表示対応にしていただきます。なお、今回は、全面的なご協力をいただいた上での数量でございます。現在は、検証記事のように数枚単位では受けて頂けない可能性があるため、ご注意をお願いします。
この三つのtシャツに対して品質表示ラベルをつけます。
タイランド/バンコクと大きく書かれたTシャツです。
購入当初の品質表示ラベルは、こちらです。英語の上、マーク等も日本の規格とは違うため、消費者に混乱を与えそうですね!これを日本の規格基準にしていきます! 非常に簡単な英語です。ただ、苦手な人は苦手なので、自分の常識で考えないことが重要です。
例:Go to トラベルを「ゴートー」って真面目に言っているおじさんもいましたし…汗
海外の品質表示ラベルは、表示ミスが多く、中には「矛盾した表記」もあります。
また、袋入れ等も雑で、やはりこのままの状態で日本で販売するのは厳しそうです…汗
それと気になるのが「シワ」です。
例えば、日本側で「新品」として販売する場合、消費者は「パリパリ」としている状態を「普通」だと考えるでしょう。下のようなシワがあると「本当に新品?」と誤解を与えかねないですね。しかし、実際、海外で買い付けをして日本に発送すると、ある程度のシワになるのも事実です。
となると、やはり、日本側で「プレス等」を含めて、最終完成品にした方が何かと都合がいい気がしますね!実際、輸入ビジネスを盛んにやっている方は、人に任さられる所はどんどんと外注化しています。その方が時間やコストの節約につながるからですね!
上記の通り、海外からアパレル品を仕入れて、それを「販売できる状態」にするまでにも様々な「すべきこと」がありますね! これらをトータル的に一括で依頼ができるのが「プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱」さんです。もちろん、必要最低限の依頼もできます。
プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱のできること例
- 家庭用品品質表示法への対応
- 検 品
- 検 針
- X 線
- 洗い・色止め
- 補修・縫製加工
- たたみ・袋入れ
- アイロンプレス
- その他流通加工
依頼の流れと必要な情報
プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱さんへの依頼の流れは次の通りです。
- ホームページ上から依頼をする。
- 担当者から連絡がくる。
- 貨物の発送
- プレシャスさんの担当者が実物を確認してヒアリング。
- 見積もり金額が提示される
- 入金後、作業開始。
- 版下サンプル(表示内容のスタンプ)が提示される。
- 品質表示ラベルをTシャツのどこにつけるのかを指定する。
- 必要であれば、連絡がくる。
- 納品完了
私自身、品質表示法に関する実務経験はゼロ。アパレル用語等も最低限しか理解できない状態ではございましたが、スムーズに外注ができました。また、事前に何らかの情報を伝える必要がある等もなく、実物の商品を送ったら、調査から品質表示ラベル付けまでをほとんど自動で行ってくれます。
作業の途中で私が聞かれた内容は…
- 版下サンプルの確認
- 品質表示ラベルの縫い付け位置の確認
この二点だけです。後の作業は、すべて自動的に進んでいきます。「アパレル販売をしたい。でも品質表示など難しいことはわからない。誰かに依頼したい。」方には、ピッタリなサービスです。
納品時の様子
初回の問い合わせから、荷物の到着まで一週間ほどだったと思います。しかも、今回は、私の記事作成の打ち合わせ等をしているため、実際は、もう少し早く出来上がるのかな?と思います。
今回は、記事の作成用に海外の品質表示ラベルをそのままにしていただきました。(青)今回、新たに付けた品質表示ラベルは右下の赤丸部分です。JIS規格、家庭用品品質表示法に対応しています。
お店で販売している製品をみると、こういうのが必ずついていますね!今回は「HUNADE」として品質表示タグを作ってみました! うーん、やはり何とも言えない嬉しさがあります。
アイロンがけもしっかりされています。とてもきれいですね!プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱さんは、この他にも様々な付帯サービスを提供されています。詳しくは、お問い合わせをお願いします。もしかすると、現在、感じている面倒のほとんどを解決できるかもしれませんね!
しっかりとプレスもされているため、非常にキレイです!
よくある疑問/プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱さん関連
業務用の大量貨物でも対応可能?
対応可能です。詳しくは、プレシャス・インフィニティ・ジャパン㈱さんへお問い合わせください。
Tシャツ一枚でもいいの?
今回、Tシャツ3枚での注文を受けて頂きました。こちらは、社長である飯田様のご協力で実現した物です。特に2020年時点では、ある一定の規模以上の注文のみ受け入れていらっしゃるようです。
よくある疑問/その他
家庭用品質表示法の義務者は?
日本国内で営業をする事業者です。
例えば、海外に住みながら「税関事務管理人制度」によって輸入をする場合は、家庭用品品質表示法の販売者の欄に記載できません。
品質表示タグは、下げ札でも良いの?
品質表示タグは、下げ札でも、貼り札でも可能です。ただし、次の2つを満たすことが条件です。
- 見やすい箇所に、わかりやすく表示すること
- 洗濯等をしても容易に取れない方法で取り付けること
基本的には、以下の写真のように品質表示タグを縫い付けます。
品質表示ラベルは英語表記でも良いの?
不可です。原則、日本語です。ただし、ウール、コットン等の表記は除外されます。
原産国の表示義務は?
家庭用品品質表示法上は、品質表示ラベルに原産国を記す義務はありません。しかし、実際、原産国表記がないと、消費者に「日本の産品だ!」と誤認させる可能性がありますね!
例えば、原産国が無記入の品質ラベルがあるとしましょう。この品質表示ラベルは、日本語で書かれています。この場合、基本的に消費者は「日本産」と考えてしまいますね。これが「誤認させる」ことです。無記入で誤認させることが違反に当たります。
景品表示法上は、このように消費者に偽ったり、誤認させたりする可能性があったりする表記を認めていません。やはり、中国産であれば「中国産」と表記するのが基本です。
業務用や非売品も規制の対象?
どちらも規制外です。ただし、家庭用に広く一般に売られる可能性がある物は対象です。
プレシャス・インフィニティ・ジャパンさんへの相談先
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