この記事は、個人事業主、従業員9名以下の法人様を対象とした輸出業の始め方をまとめた物です。輸出全体像の把握、輸出市場性判断、販売チャネル、補助金、輸出トラブル、国際物流などを解説しています。
個人貿易・中小企業向け!輸出のはじめ方
販売チャネル
輸出と国際物流
補助金・融資制度
輸出トラブル事例
今、輸出するべき理由
2019年から約3~4年、鎖国状態が続きました。この間、国際物流は大きく混乱。急激な物流需要に追い付かず、輸送価格は、青天井のごとく上昇しました。ようやく悪夢を脱したと思ったら、今度は、世界中にインフレの波が押し寄せています。過去30年、ゼロ成長、デフレの日本でも例外ではないようです。
報道を見ると、30年ぶりの円安の文字が浮かびます。今、思うと、民主党政権下、一ドルは80円前後の時代が懐かしく感じる方も多いでしょう。そこから月日は流れ、2024年4月現在、なんと一ドル158円です。円は、世界中の通貨にして価値が低くなり、極めて厳しい状況が続いています。
ある専門家が言うには、現在の日米のマネータリーベースを基準にすると、一ドルは130円前後が妥当であるとのこと。であるにも関わらず、現在、その基準から大きく逸脱した相場が形成されています。
いつ円高になるのか?
この疑問には、専門家でも的確に答えることは難しいです。まして私のような金融素人では、為替レートを読もうとすること自体がおこがましいです。相場は読む物ではなく対応する物だと考えます。
円安時代と輸出
円安時代の輸入は、当然、通貨安の影響を強く受けます。現在は、円相場だけで判断すれば「輸出一辺倒」、輸出が圧倒的に有利な状況です。これは、トヨタなどの輸出主導型企業が業績予想を上方修正することからもわかります。
既述の通り、この先、円高方向に振れる時点を読むことは難しいです。アメリカのインフレが収まらない限り、円安傾向も続くでしょう。であるなら、小規模事業者は、円安に対応し、輸出をして外貨を稼ぐしかないです。むしろ、このタイミングで輸出に取り組まなければ、この先も自ら商売チャンスを放棄しているともいえるでしょう。
輸出には、こんな魅力がある!
輸出の魅力は、主に次の4つがあると考えています。
- やりがい、純粋に面白い。
- 始めやすい。
- 企業規模や目的にあわせて組織を大きくできる。
- 消費税の還付制度を利用できる。
まず純粋に面白いです。日本の人口は、1億数千万です。対して世界人口は70億人弱です。単純に市場規模が大きいことから、日本よりも商売ができる市場が大きいです。日本では中々、受け入れられない物でも十分に可能性があります。まずは、この点が面白いと思います。
他、始めやすい点。企業規模にあわせて拡大できる点も良いです。
例えば、サラリーマンの傍ら、EBAY等の輸出もできます。すでに別の事業をしている会社なら、現在の事業と兼業する形で輸出に取り組めます。また、輸出は、建物は不要。自宅の一室、机、イスとネットがあれば始められます。また、DXや外注化戦略等を実施すれば、規模を大きくしない限り、従業員も不要です。さらに輸出還付制度を利用できる点も魅力だと言えます。
ここからは、実際にどのように輸出を始めればいいのかを検討してみましょう!
輸出とは何か?
輸出とは、日本の商品を海外に向けて販売する総称です。輸出の対義語は輸入です。ネット上では、輸出を「海外販売」や越境ECと表現することもあります。輸出には、様々なプロセスが存在し、それらに付随して様々な専門用語もあります。
輸出における様々なプロセス
- 商品の需要を見つける
- 商品選定・商品の魅力・訴求ポイントを考える。
- 法規制を理解する。
- 商品の買い手を見つける。
- 買い手について調べる
- 買い手と交渉する
- 契約書の締結後、様々な書類を取り交わす。
- お金を頂く。
- 商品を発送する。
- アフターフォロー
基本用語
専門用語 | 意味 |
関税 | 輸入国側が支払い税金です。=輸出者は支払いの必要性なし。 |
HSコード | 商品を分類する数字です。HS条約に基づき、6桁までは世界共通で使用しています。 |
インコタームズ | 国際取引における買い手と売り手の責任範囲、費用負担の範囲を明確にするルールです。 |
1.【市場調査】商品の需要を見つける
「どの国や地域に輸出すればいい?」
上記の疑問に対する仮説を立てる為に、様々な方法で海外市場を調査します。調査といっても最初から多額の資金をかけなくても良いです。ネットを活用すれば、比較的、簡単にできます。
例えば、以下のツールをお勧めします。
- グーグルキーワードプランナー
- アリババ
- ebay
- shopee
- インスタグラム
- YouTubeなど
その他、ジェトロに代表する輸出支援機関での調査も可能です。
- インターネットで調べる
- ジェトロ経由で調べる
- 各国の大使館にある商務部で調べる
- お付き合いのある銀行経由で調べる
- 海外販路開拓をする会社に依頼する。
どの方法も一長一短があります。自社の状況に合わせて選びましょう!
2.【商品選定】商品の魅力・訴求ポイントを考える。
次に輸出市場に対して最適な商品を考えます。
例えば、お茶を輸出するなら、どのようなお茶に対して需要があるのかを考えます。お茶と言っても様々です。茶葉をそのまま輸出する方法、抹茶の粉として輸出する方法、粉と茶碗のセット品として輸出するなどです。他、輸出先国で人気があるデザインを施し輸出するなどの方法もあります。
ここで重要なことは、輸出を検討する国の「好まれる傾向」を理解し、自社商品の訴求ポイントを決めることです。言い換えると何を売りにするのか?です。この訴求ポイントを明らかにする意味でも、自社商品に関する説明資料、カタログ、輸出価格をまとめます。
- 輸出予定の商品は、どこに強みがある?
- その商品は、輸出先国でどのように流通している?(競合調査)
- 自社の強みと競合性を考えた上で、どこを訴求していく?
- 海外のバイヤーが理解できる説明資料を作っている?
- 又は、ウェブサイトを用意している?
- その商品は、日本からいくらで輸出できるの?
海外バイヤー向けに用意するべき資料と内容
海外バイヤーには、自社商品の魅力が伝わる資料を用意します。単なる翻訳文章では厳しいです。相手の立場になり、あなたから買うべき理由を感じてもらえる内容にします。そして、商品は、日本の港・空港渡しでいくらで引き渡しができるのか?をまとめましょう!(FOB価格やMOQ/最低購入数量)
3.法律と規制を理解する。
輸出をする上で法律や規制の理解は大切です。この部分がおろそかになると、多大な損失を被ったり、信用がなくなったりします。輸出事業での法的規制には、主に次の3つがあります。
- 輸出先国側の規制
- 輸出元国側(日本)の規制
- 国際輸送に関する規制
例えば、あなたは日本の輸出者、相手はアメリカの輸入者なら….
- 輸出先国はアメリカ
- 輸出元国は日本
1.輸出先国の規制
輸出先国の規制(輸入規制)を調べましょう。海外によっては、宗教上の理由から特定産品の輸入を一切禁止にしたり、特別な輸入ライセンスが必要だったりする場合があります。日本の食品には、海外で禁止されている添加物を含む物もあります。まずは、輸出先国の取り扱い商品に対する輸入規制を確認し、日本側で対応できるか?を確認します。(例:食品なら改良できる範囲なのか?)
- そもそも輸出自体が難しい。
- 日本側で必要な書類を用意できないなど
輸出先の規制情報の調べ方
輸出先の規制は、ジェトロの各国情報ページがわかりやすいです。さらに正確な情報を知りたい場合は、実際に海外取引先と交渉する中で、海外バイヤーにより現地側の規制を調査してもらった方が安全です。
- 一次チェック:ジェトロの各国規制情報ページ
- 二次チェック:海外バイヤーによる現地規制情報調査
2.輸出元国の規制
輸出元国(例:日本から輸出なら日本)にも一部の商品について輸出規制があります。
例えば、輸出貿易管理令で規制されている商品、輸出禁止品に該当する商品、ワシントン条約の禁止物品、商標権を侵害する商品などです。主な輸出規制は、次の通りです。
- 中古品 → 古物商
- 酒類 → 酒のライセンス
- 機械製品(軍事転用可能なあらゆる品目) → 輸出貿易管理令
- 植物類 → 植物防疫法
- アンティーク → 文化財保護法
- 肉関連製品 → 家畜伝染病予防法
- 中古自動車 → 道路運送車両法
- 知的財産権、ワシントン条約
3.見落としがち!国際輸送上の規制
3つ目は、国の規制ではなく、国際輸送上の規制です。国際輸送をするときに、壊れたり、爆発したりするなど、運送リスクが高いと、国の規制とは別に、輸送上の問題から輸出ができない可能性があります。
例えば、発火の恐れがあるリチウムイオン電池、化粧品類、香水などです。
輸出は、輸入時の規制(相手国)、輸出時の規制(日本側)の両方を把握します。国の規制をクリアしている商品であっても輸送上の問題で輸出が難しい場合があります。
4.海外の買い手を見つける12の方法
輸出市場等のリサーチが完了したら、実際に海外のバイヤーを開拓していきます。海外販路の開拓は、次の方法があります。
- 便乗輸出マーケティング
- 現地の商品ラベルを見る
- B TO Bサイトを利用する
- SNS、グーグル広告等の活用
- 現地のインフルエンサー等の活用
- ジェトロ(日本貿易振興機構)を活用
- 在日大使館の商務部を訪ねる
- 国内の輸出会社を見つける。
- 国内外の見本市に出店(国際見本市等)
- 日本人会を訪ねる
- 海外販売代理店を利用
- 取引先銀行から紹介を受ける。
1.便乗輸出マーケティング
下のグラフは、日本酒の輸出先の国々です。日本酒は、意外に多くに輸出されています。
ところで、上記の日本酒の輸出データは、どのように入手したのかお分かりになりますか? 実はこのデータは、財務省統計局で自由にダウンロードができます。
財務省統計局は、日本からの輸出品や輸入品のデータを統計資料としてまとめる機関です。このデータを分析するだけで貿易に関する様々な情報を知ることができます。この中の一つとして「物品がどこの国へ輸出されているのか」というデータがあります。
このデータを分析をすれば「あなたの商品がすでに輸出されている国々を特定」ができます。現在も輸出されているなら、その国には、あなたの商品を求めている市場があります。当サイトではこれを「便乗輸出マーケティング」と呼んでいます。この方法で輸出先の国をある程度の範囲で絞れます。
2.現地の商品ラベルを見る
海外の量販店(スーパー等)に行き、商品に貼られているラベルを確認します!そこに記載されている販売者に売り込みをすれば、すでに海外で販路を持つ会社に問い合わせられます。
3.B TO Bサイトを利用する。
世界最大級のBtoBマッチングサイトのアリババを使えば、少額の投資をするだけで、世界の巨大なマーケットに自社の商品を販売できます。
その他のB TO Bサイト
- Global Sources
- Busy Trade
- EC21
- Buyer Zone
4.SNS、グーグル広告等の活用
売り込みたい商品が決まっているなら、その商品のターゲット層に向けた自社サイト等を開発して情報発信をしていきます。
例えば、海外使用のSNS等を調査し、広告を出稿。そのリンク先を自社サイト(海外向けに最適化したページ=LP)にする。
または、グーグルに広告を出稿して、ある特定のキーワードで検索されたときに検索結果の上部または、下部に広告を表示。その広告のリンク先を同じく自社サイトにして見込み客を獲得する方法などがあります。
5.現地のインフルエンサー等を活用
海外で人気があるインフルエンサー(YOUTUBE等)に依頼して、商品のPRを依頼する方法があります。このとき、意識したいことはチャンネル登録者ではなく視聴者層です。戦略は、2つあります。
- 売り込みたい商品の最終消費者(視聴者)を抱えるインフルエンサーに依頼する。
- ビジネス系に興味がある視聴者を抱えるインフルエンサーに依頼する
6.ジェトロ(日本貿易振興機構)を活用
日本の貿易を拡大することを目的として「ジェトロ」という機関があります。ここは、日本の商品を世界へ輸出するためのさまざまな支援をしています。基本的に日本に居住している会社や個人であれば、誰でも無料で利用ができるため、貿易ビジネスをやる上では、何かとお世話になることが多いです。
ジェトロのサイトの中には、貿易ビジネスに役立つさまざまな便利サービスが紹介されています。
例えば、国の情報を調べるときは「国地域別情報」、「企業便覧」があります。ここでは、商品を輸出する上で必要になる相手国の規制、国内事情、相手国国民のライフスタイルなど、国ごとに細かく情報が掲載されています。ジェトロには、海外に支社があるため、そこから発信される現地定期レポートも見ごたえがあります。それだけではありません。
世界中の国々の関税を調べられる「ワールドタリフ」の無料提供をしています。これは、フェデックスさんが提供しているウェブサービスですが、ジェトロが包括契約を結んでいて、日本国内居住者に対して無料で利用ができます。詳細は「ワールドタリフの使い方」の記事をご覧ください。
ジェトロでは、輸出先を探すためのサービスとして「引き合いデータベース」という買い手や売り手をマッチングさせるサービスも提供しています。
輸出先を探す方は、データベースを使うか、ジェトロの専門アドバイザーに相談をお勧めします。その際に必要になるのは、貴社が輸出する商品の詳細情報です。できれば現物などを持参して、できるだけ詳細なアドバイスを受けられるようにします。これは、あなたの商品が相手国の「規制に関する部分」をクリアしているかどうかをあわせて検討するためです。
7.在日大使館の商務部
日本と国交がある国は、東京などに大使館があります。この大使館には、日本との経済交流を活発にするための商務部があります。ここを訪ねると、日本へ輸出をしてる会社や日本の商品を輸入している会社などを紹介してもらえる可能性があります。
8.国内の輸出会社を見つける。
もし、右も左もわからない貿易初心者である方は、国内にある輸出会社にも商品を売り込めます。これであれば、輸出会社を通して間接的に輸出ができます。国内の輸出会社は、すでに売る相手先が存在するため、この販売ルートを利用するのが目的です。これであれば、貿易に関する知識は全く必要なく、輸出会社との国内取引となるため、何も難しいことはありません。
デメリットは、輸出会社を通しているため、輸出したときの「利幅」が小さくなることです。このデメリット部分を理解したうえで、貴社の戦略を考えます。仮に輸出会社を使っていても、少しずつ海外との「直接的な貿易」にも挑戦ができるはずです。
輸出会社の探し方:「〇〇国 〇〇(商品) 輸出会社」
9.国内外の見本市に出店
日本国内や海外では、定期的に商業見本市を開催しています。ここへ何らかの方法で出展します。出展は、自分で直接申し込む方法とジェトロの「海外見本市サービス」などを通して「ジェトロブース内」で行う方法の2種類があります。輸出初心者の場合は、ジェトロブース内での出展を検討してください。ジェトロさんは長年の出展実績があるため、見本市などにおいて「僻地」でブースを構えることになりません。
10.日本人会を訪ねる
世界各国には、日本人が集まっている「日本人会」があります。実際に現地で生活している人たちが集まっている会であるため、何かしらの販売ラインを持っている人がいる可能性があります。その方を訪ねてもいいかもしれません。その際は、必ず「相手がメリットになるようなお話」を持っていくことが大切です。
例えば、「あなたの人脈によって販売ラインができた場合は、そのラインを通して販売する10%を永続的にお支払いする」などです。日本人会を探すときは「〇〇国 日本人会」で検索をしてください。
11.海外販売代理店を利用
海外には、販売のラインだけを作る代理店ビジネスしている方がいます。彼らの報酬は、完全出来高制で支払われます。
例えば、販売代理店を通して、売り先を見つけるとします。その際、彼らに何かしらの報酬を支払う必要はありません。彼らは、あなたの持っている商品情報を基にして、自分のリストから「販売先」を開拓してくれます。この開拓により実際にあなたと販売先との取引が行われたら、売り上げの何パーセントかを紹介料として代理店に支払います。実際に取引が成立する前では、代理店にお金を支払う必要がないため、初期コストを抑えられます。
12.取引先銀行取から紹介してもらう。
日本国内の銀行などは、お金に関する業務を行っているため、貿易にかかわる人脈を持っている場合が多いです。特に大手都市銀行に口座があり、一定の資金を入れている方は、輸出相手開拓の相談をしましょう。
もし、これらの方法で中々、結果を得られない場合は、弊社の「東南アジア(特にベトナム)の販路開拓支援サービス(営業代行)」をご検討ください。
海外相手との交渉&調査
相手への提示価格の決め方(FOB価格)
海外相手に販売する場合は、最低限、以下2つの資料が必要です。
- 輸出価格(FOB)
- 商品資料(カタログ)&最小取引単位(MOQ)
輸出価格は、次の2つのツールで調べてください。HSコードを基準にして世界中へのFOB価格を算出できます。
取引相手の信用を調査する。
海外との取引は、相手の信用力が重要です。ジェトロでは、この信用力を調査するサービス(外国企業信用調査)を提供しています。その他、取引先の銀行経由で現地企業の情報を調査したり、ダンレポートを使ったりして、海外相手の調査をします。
相手へのオファー
海外販路の候補が見つかったら、メール、電話等を使い接触を試みます。まずは、自社からの誘いに興味を持ってもらい「交渉のアポイトメント」を取得する所が目標です。実は、この最初のコンタクトが非常に大変です。弊社では、この部分を支援する「東南アジアの販路開拓サービス」を提供しています。リスト取りから、アポイント獲得までは、全て無料でできます。よろしければ、ご検討ください。
相手との交渉
先方が交渉を希望する場合は、売り手は、プロフォーマインボイス等を使い条件を提示します。プロフォーマインボイスには、最低限、次の5つの項目を記載します。買い手は、プロフォーマインボイスの内容を確認し、受け入れられる部分とできない部分を伝えてきます。
- 商品の規格
- 数量や輸出価格(日本出荷価格×5倍=相手国の小売)
- 納期
- 支払い条件
- 有効期限
上記の内、特に大切なのが「商品の規格」です。規格とは「販売する商品は、縦〇〇cm、横〇〇cm JIS規格〇〇に準拠」と決めることです。
重要:何を良品?不良品とするのか?の基準を設けること
交渉成立後の契約書等のやり取り
相手と交渉が成立したら「何を? いくらで? どのように?」など、決済する条件、貿易条件、通貨、数量など、合意した諸条件を書面(契約書=Contract)にまとめます。
- 妥結した内容
- 不可抗力条項
- 一般条項等
は、ジェトロ等にあります。もし、契約書のチェックが必要な場合は、リーガルチェックができる弁護士サービスを利用しましょう!
ちなみに、契約書は、ORIJGINAL(正)とDUPLICAT(副)の二部を作成後、署名します。これにより、輸出者と輸入者の双方が書面の条件通りに貿易することを約束します。
- 売約書(Sales Note)
- 発注書(Purchase Order)
代金の回収方法
貿易取引には、当然、リスクがあります。特に資金リスクのコントロールは重要です。両者にとって、リスク負担が公平なのが「L/C決済」です。しかし、実際の貿易では、T/T決済が一般的です。
T/T決済は、貿易保険やペイパルなどを利用すれば「商品を販売したのに、代金が回収できないこと」を避けられます。また、次のように、輸出代金を分割して受け取れば、資金回収のリスクを下げられます。
1.売買契約書を取り交わしたら売買代金の半額をもらう。
2.B/Lの発行(船積み完了後)に、残りをもらう。
3.決済が完了したら、B/Lの原本を送付する
- 【海外の交渉】輸出販売する為の交渉をする!
- 海外取引の決済方法 どのようにお金をやり取りする?
輸出のゴールは代金回収です。海外にいる相手から、輸出の代金を回収することが重要です。輸出代金を受け取るまでの一般的な流れは、次の通りです。
- 商品を販売する
- 買い手から輸出代金の全額又は一部を受け取る。
- 輸出通関及び国際配送手配完了
- 買い手に書類を送る。
- 2番で1部をもらっている場合はここで残額を回収する。
- 買い手に荷物が届く。
- 買い手は、4の書類を使い輸入する。
- 輸入完了
もし、輸出代金の回収が不能になった場合は、それをカバーする「貿易保険」があります。
しっかりと代金を回収できる仕組みを整えておきましょう!
5.国際物流
二国間の物流は、極めて重要です。
安全に。正確に。できるけ早く届ける。
これが国際物流に求められることです。海外に輸出における国際物流には、いくつかの手段があります。
1.輸出者が輸送を手配するのか。否か。
まずは、国際物流を輸出者が手配するのか? 輸入者が手配するのか? の部分があります。
例えば、EBAY等であれば、基本的には、送料込みで相手の玄関先まで届ける場合が一般的です。ただ、いわゆる一般的な商業輸入では、相手国の港までの輸送や、輸出国の港までの輸送など、様々な手段があります。輸出者、輸入者のどちらが、どこまでの輸送を担当するのかは、全て「インコタームズ」により決めります。この部分の詳細説明は「インコタームズとは?」の記事をご確認ください。
2.急ぎなのか?遅くても良いのか?
貨物を急ぎで届ける必要があるのか? 又は、 遅くても良いのか?
この違いにより、海上輸送を選ぶのか、航空輸送を選ぶのかが変わります。海上輸送と航空輸送の特徴は次の通りです。基本的に真逆の性質があると考えても良いです。
海上輸送 | 航空輸送 | |
料金 | 安い | 高い |
輸送速度 | 遅い | 早い |
実は、日本と中国、日本と韓国など、特定の国との間には、海上輸送や航空輸送の他「DIGISHIP Super Express」があります。フェリー輸送は、まさに海上輸送と航空輸送の良い所を併せ持つ輸送方法です。ぜひ、輸送手段のオプションとして検討しましょう!
なお、スムーズな国際物流は、優良なフォワーダーとのお付き合いが欠かせないです。
6.資金調達と支援機関の活用
輸出は、日本政府が非常に重視しているため、様々な補助金や助成金があります。ご自身の会社が所属する市区町村、都道府県庁のサイトを確認して、輸出に関する補助金がないかを確認しましょう!
例えば、名古屋市を主な営業所の所在地にしている場合は「輸出 補助金 名古屋」や「輸出 助成金 愛知県」などでグーグル検索をします。海外での商標権取得代金の補助、展示会への出店費用補助、持続化補助金、海外販路開拓に関する補助金、沖縄県が行う助成金など様々な物が存在します。
輸出の補助金
参考情報:一般的な輸出取引の流れ
ここら先は、実際の輸出取引における実務の流れをご紹介します。輸出実務では、ジェトロ、税関等の公的機関及び販路開拓支援サービス、貿易コンサル、フォワーダー、通関業者と一緒に進められます
- 市場調査(貿易相手を見つける)
- 信用調査(取引の安全性調査)
- 商談&契約
- 決済
- インボイス、パッキングリストの作成
- フォワーダーや通関業者に船積み&通関依頼をする。
- 指定の場所へ貨物を移動する。
- 輸出申告→輸出許可
- 本船に貨物を積み込む
- B/L Instructions(旧:ドックレシート)→船荷証券(B/L)
- 船積みが完了したらシッピングアドバイス
- 貿易代金の残金を受け取る。
- 海上保険を付保、B/Lの裏書き
- 輸出完了
HUNADEの想い。
HUNADEは、日本製品。地方にある素敵な商品が海外に「船出」し、世界の人を幸せにすることを目標としています。実際、中小零細企業は、大企業と比べて、資金も人材も不足しがちです。海外市場に興味はあっても、中々、挑戦できない方も多いと思います。HUNADEは、そんな方々を以下2つのサービスで支援しています。
どうぞ、気負いせず、お気軽にご相談頂きたいと思います。皆様からのご連絡をお待ちしております。
2024年4月28日
HUNADEサポートチーム
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