日本からおよそ18000キロ離れているブラジルは、ブリクスの一員であり、高い成長率と巨大な人口が魅力的な国です。GDPベースでは、世界七位。人口は、二億人を突破しています。人口、GDPとも高い成長率が維持されているため、国民の可処分所得も向上し、様々な分野での市場が広がっています。(消費市場の魅力が大きくなる)
そこで、この記事では、ブラジルとの貿易をするにあたり必要になる、輸送知識、ブラジル輸入規制・関税(MCN)、留意点、ブラジルのお客さんの探し方、ブラジル向けの輸出の注意点、最適なフォワーダーのポイントなどをご紹介していきます。今すぐ、ブラジル輸送の見積りをしたい方は、こちらをクリック!
ブラジルに輸送するときの9のポイント
ブラジルに商品を輸送するときに覚えるべき9つのポイントをご紹介していきます。
- ブラジルの通貨はレアル
- 主なターミナルと所要日数、輸送費の目安
- HSコードとNCMの関係
- 輸出者として特に気を付けるべきポイント
- 青インクで記載!書類関係の細かい規則
- 輸入時にかかる諸税
- ブラジルとメルコスール
- 基本・再生品や中古品は禁止。国内で作れない物のみを許可
- ブラジルの取引先の探し方、貿易ガイド
1.ブラジルの通貨はレアル
ブラジルの通貨は、レアルと言います。2019年11月現在、1レアル=およそ25円です。10年以上までの2009年では、50円前後であったため、10年間で50%も「円高」になったようです。特に2014年の末から2016年にかけて、一気に円高に振れています。(ブラジル銀行の政策金利がこのあたりを境に変化)円高のことだけを考えると、日本企業としては、ブラジルからの輸入に有利な状況です。
2.主なターミナルと所要日数、輸送費の目安
ブラジルの主なコンテナターミナルと所要日数は、次の通りです。「オンライン見積もりサイト」によると、日本からブラジルへの輸送ルートは、サントス港などのダイレクト船や太平洋沿岸の国々までの船輸送&陸路での輸送が多いようです。
輸送費の一例:東京(横浜)からサントスまで40フィートのコンテナ輸送
- 輸送代金の目安:$1,012 ~ $2,950
- 輸送日数:39 – 60 days
- 通関の所要日数は、平均6営業日~10営業日です。
港名 | Un code | 業者例 |
サントス / Santos | BRSSZ | hany-supply.marine、7 Shipping |
リオデジャネイロ / Rio De Janeiro | BRRIO | PALFINGER MARINE、Wilhelmsen Ships Service |
パラナグア / Paranaguá | BRPNG | |
Vitoria | BRVIX | GUDE GUDE SERVIÇOS MARÍTIMOS |
Fortaleza | BRFOR | GLOBAL MANAGEMENT SUPPLY、SHOPMAR、Marciate |
Manaus | BRMAO | ITASUPPLY |
ナヴェガンテス / Navegantes | BRNVT | |
リオグランデ / Rio Grande | BRRIG | |
イタポア / Itapoa | BRIOA | Ostional International Cargo |
ブラジルの主要な空港
もし、空路での輸送を考えている場合は、以下の空港を検討します。
1.Guarulhos International Airpot(GRU)/サンパウロ
2.Viracopos International Airpot(VCP)/サンパウロ
3.Rio de Janeiro(RIO)
4.Porto Alegre(POA)
YOUTUBEにブラジルのコンテナターミナルの特集をしている方がいました。
3.HSコードとNCMの関係
ブラジルのHSコードを「NCM」と言います。8桁の数字であり、上位6桁は、世界のHSコードと共通です。下位の2桁は、ブラジルも加盟するメルコスールの域内で統一した物が設定されています。メルコスールとは、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイなど、南米の数か国で設定されている共通市場です。いわゆる自由貿易の類です。NCMは、ブラジル国内のHSコード兼メルコスールの共通番号の役割があります。
NCMの役割 / 輸入諸税と輸入ライセンスは?
南米向けの輸送をするときは、NCMの検索サイトを使い、HSコードからNCMへの変換をする必要があります。ブラジル国内で発生する輸入諸税や輸入ライセンスの有無は、すべてNCMに紐づいて設定されているためです。逆に言うと、このNCMへの変換にミスがあると、思わぬ輸入税の支払いやペナルティ、輸入ライセンスの取得が必要になる可能性があります。そのため、ブラジル向けに輸出をするときは、輸入者側の責任と費用に基づき、NCM番号を特定させる必要があります。
4.ブラジル向け輸出B/Lの注意点
輸出者として気を付けることは、B/Lに記載するNCM番号です。ブラジル向けのB/Lには、必ずNCM番号の記載が求められます。このとき、不正確なコードが記載されていると、B/Lの再発行が必要であったり、ペナルティを受けたりします。もちろん、B/L以外のインボイスやパッキングリストなども、このNCMが重要です。
また、ブラジルのインポーター側(荷受人)にも条件があります。インポーターは、ブラジルのSECEXに登録する必要があり、インボイスなどの書類に「SECEXの番号」が必要です。輸入書類に何らかの記載漏れがあるだけで、荷物が留められてしまうため、そのあたりに精通するフォワーダーさんへの依頼が必須です。
5.青インクでサインが必要!? 書類関係の細かい規則
ブラジルには、少し違った慣習があります。各種書類(インボイス、パッキング、B/Lの裏書など)の署名蘭は、必ず「青色のマーカー」で記載をします。また、ブラジルとの貿易取引は、到着時までの関税等を含む「DDP」は禁止されていたり、B/Lには「As Agreed」や「Prepaid」などの記載が禁止されていたりします。その他、B/Lには、最初の4桁のNCMを記載するなどの細かい規定があります。
やはり、このあたりの事情に精通するフォワーダーさんへの依頼が重要です。
6.ブラジルの輸入時にかかる諸税
ブラジルの平均的な輸入税率は、10.73%です。また、この輸入税以外にも複数の税が設定されています。ブラジル国内・輸入時の税は、次の通りです。参考ページ
税金の種別 | 意味 | 税率と課税価格 |
輸入税(I.I) | ブラジル国内品および輸入品に課せられる連邦税 | CIF×0%~20%の範囲 |
工業製品税(IPI) | ブラジル国内品及び輸入品に課せられる連邦税 課税例: ・ブラジル国内に工業製品を輸入するとき ・ブラジル国内から工業製品を出荷するとき ・オークションなどで工業製品を取得したとき | CIF+II×0%~15%の範囲 |
商品&サービス流通税(ICMS) | ブラジルの国内品及び輸入品に課せられる州政府の付加価値税 | 州ごとで税率は違う。リオデジャネイロ 19%、サンパウロ18%、その他 17% 課税価格=CIF+輸入関税+IPI |
社会統合プログラム(PIS) | 失業保険などの充当される(連邦税) | CIF×PIS(REAL方式対象企業→1.65% |
社会保障融資税(CONFINS) | ブラジル国内の福祉、健康分野に関する資金の充当 | CIF×CONFIS ブラジル民間法人の総収益に対して課税される物(実質利益対象企業→7.6%) |
海上輸送更新税(AFRMM) | ブラジル国内の海上港を使うときに課税 | B/Lの総金額の25% メルコスールは除外 |
7.ブラジルとメルコスールの関係
ブラジルは、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラなどの国々と、メルコスールという共通市場を形成しています。これらの国々は、お互いの市場を「共通市場」とみなし、様々な税を撤廃しています。
例えば、海上輸送更新税(AFRMM)は、メルコスール域内からの船には課税されないです。ブラジルは、このメルコスールによって、アルゼンチンとともに「自動車生産チェーン」および自動車消費市場を形成しています。また、このメルコスールは、欧州連合とも自由貿易関係にあるため、メルコスール域内の生産品を欧州に輸出または、欧州から輸入するときにも大きな力を発揮しています。
8.基本・再生品や中古品は禁止。国内で作れない物のみを許可
ブラジル(GOB)は、ブラジルへの輸入禁制品を設定していましたが、近年は、原則、禁止品を削除しています。(肉類などの規制はあり)ただし、一般的な消費財の中古品や再生品は、全て禁止されています。(中古品の中でも、現地で生産が難しい物は、輸入ができる)
9.ブラジルの取引先の探し方、貿易ガイド
その他、ブラジルの特徴は、次の4つです。ブラジル向けに輸出をするときの最大のネックは、物流コストの増大です。もし、本気でブラジルビジネスを始たければ、とにかくブラジル市場に強い、フォワーダーさんを選び、物流コストが「普通」になるように営業努力をするのが賢明です。
- 経済規模が世界第七位
- メルコスコール圏内
- 経済はいまだ不安定であり変動が激しい。
- 物流リスクとコストが高い。
ブラジルの経済を知る上での2つのオンラインサービス
ブラジル国内の販売先は、どのように探せばいいのでしょうか? その答えは「CIB」と呼ばれる輸入者リストです。こちらにブラジルにいる輸入者の一覧がのっています。ここから一つの道を探るのが良いかと思います。また、ブラジルの現地に行き「スーパーマーケットリサーチ法」を試すのも一つの方法としておススメです。また、ApexBrazilを利用すると、ブラジル国内の経済動向がわかります。
参考情報:ブラジルの港例
ブラジルでよく使われる港は、次の通りです。
- Santos
- Janeiro
- Vitoria
- Niteroi
- Itaguai
- Pecem
- Paranagua
- Rio Grande
- Salvador
求めるべきフォワーダー像
ブラジルの特徴を踏まえると、ブラジルとのコンテナ輸送は、どのようなフォワーダーに頼むのが理想なのでしょうか? フォワーダーに求めるべき条件は、次の7つです。この条件を満たすフォワーダーほど、日本とブラジルの輸送、ブラジル国内輸送、ブラジル隣国輸送がスムーズにできます。特にブラジル側には、非常に細かい規則が多いです。そのため、このあたりに精通している業者に依頼をするのがベストです。
- 変動に臨機応変に対応する力
- ブラジルの隣国への越境輸送する力
- ブラジル国内の倉庫を調達できること
- ブラジル国内配送(トラック、鉄道輸送)
- 安価な運賃を獲得する力
- スぺース確保力(輸送スペースが足りないときに確保する力)
- フリータイムの延長を勝ち取る力
特に、ブラジルは、まだ経済的に不安定な部分があるため、これらの「変化」や緊急時のトラブルに柔軟に対応できる力が最も重要です。できれば、ブラジル国内に自社の営業所を構えて、日本人社員がきめ細かなフォローアップを提供している所がベストです。
ブラジルのフォワーダー例
ブラジル系フォワーダー | ・Plus Logistics – Global Solution ・NOVATRADE BRASIL ・Top Global Provider Ltda |
日系フォワーダー | ・ジャパントラスト株式会社(現地事務所有) ・阪神阪急エクスプレス(混載) |