【図解!インコタームズ入門・2020年版】貿易条件とは?

インコタームズ
この記事は約24分で読めます。

貿易では、輸出者と輸入者の責任範囲を明確にすることが重要です。

  • どこまでが売り主の責任なのか?
  • どこからが買主の負担なのか?

これを明確にするのが「インコタームズ(貿易条件)」です。

インコタームズ

例えば、海外に何らかの貨物を送るとします。船に貨物を載せて出航したのですが、台風の影響により、コンテナの中身がずぶ濡れです。このとき、輸出者と輸入者のどちらに責任があるのでしょうか? また、この損害を回復させるための費用は、誰が支払うのでしょうか?

インコタームズは、貿易をするときの売り手と買い手の責任範囲を明確にし、円滑な取引に役立ちます。貿易をする上で極めて重要な役割があります。そこで、この記事では、インコタームズの基本的な知識をご紹介していきます。もし、知りたい内容が決まっている場合は、以下から適した物をお選びください。特に理由がない方は、上から順番にお読みください。

インコタームズの売り手と買い手のやるべきリスト
インコタームズの比較ツール(例:CIP VS DAP)
インコタームズを基本から学びたい
インコタームズの図解を見たい
インコタームズのよくある疑問
インコタームズ2010と2020の相違点

  1. インコタームズ2020
      1. 契約書とインコタームズ・記載方法は?
    1. インコタームズ2020の一覧
    2. インコタームズ別・売り主と買主のやるべきこと
    3. 全28種類・インコタームズを比較できる!
        1. 下記のインコタームズの違いを収録しています!
    4. インコタームズとは?
    5. インコタームズが定義する3つのこと
      1. 1.危険負担とは?
        1. 危険負担の事例:
        2. 危険負担が分岐する点のリスト
      2. 2.費用負担とは?
      3. 3.当事者がすべきこと
      4. 注意・インコタームズに定義していないこと(代表:所有権)
    6. 実務・適切なインコータームズの決め方と注意点
      1. 1.費用負担の範囲をクリアにする。
      2. 2.危険負担の範囲を正しく理解する。
      3. 3.海上保険の負担
      4. 4.貨物の引き渡し地点と仕向け地
      5. 5.インコタームズのバージョンを定める。
      6. 6.インコタームズを絶対視しない。
      7. 7.必ずしもインコタームズを使わなくても良い。
      8. 8.細かい部分は売買契約書に定める。
    7. 【図解】インコタームズ2020の一覧
      1. EXW(工場や倉庫で引き渡す条件)
        1. EXWとFCAとの違いは?
        2. EXWと消費税の関係は?
      2. FCA(コンテナ輸送に活用)
        1. FOBとの違いは?
      3. CPT(輸出国のコンテナヤード)
      4. CIP(輸入港のコンテナヤード迄)
        1. CIPとCIFの違いは?→3つあります!
      5. DAP(輸入国側の荷卸しは拒否!)
        1. DAPとDDPとの違いは?→2つあります。
        2. DAPとCIFとの違いは?→2つあります。
      6. DPU(売り主は、輸送費+荷卸し)
      7. DDP(買い手には最大のメリット)
        1. VATはどうなる?
      8. FAS(本船の船側に置く迄)
        1. FASとFOBの違いは?
      9. FOB(誤用多発。今でもスタンダード!?)
      10. C&F/CFR(買主の負担=FOB+運賃条件)
        1. CFRとCIFの違いとは?
        2. CFR?C&F?CNF?
      11. CIF(買主の負担=FOB+運賃+保険代金)
    8. 結局、どれを取り入れれば良いの?
      1. 貿易は何もわからない!とにかく貿易リスクを低くしたい
    9. インコタームズ2010と2020との相違点
      1. 1.前書きや利用者の解説ノートの設置
      2. 2.項目別に義務部分の対比が簡単になる。
      3. 3.DATからDPUへの変更
      4. 4.CIFとCIPの海上保険の適用範囲に違いが発生
      5. 5.FCA規則に船積み済の付記のある船荷証券を含めたこと
    10. 各種取引形態とインコタームズの関係
      1. インコタームズと三国間貿易
      2. 在来船のインコタームズ
      3. 保税倉庫渡しのインコタームズ
      4. ハンドキャリーのインコタームズ
      5. 無償貨物のインコタームズ
    11. よくある疑問
      1. Q.インコタームズ2020の入手方法は?
      2. Q.インコタームズ2020の項目一覧は?
      3. Q.クーリエ(DHLなど)とインコタームズの関係は?
      4. Q.CODとは?
      5. Q.インコタームズと売り上げ基準
      6. Q.空港留めのインコタームズは?
      7. Q.所有権との関連性は?
      8. Q.インコタームズと地名の意味は?
    12. まとめ

インコタームズ2020

2020年1月現在、インコタームズは、2種類11条件(2020年版が最新)があります。この11条件は、大きく分けると次の2つに大別されます。

  1. 海上輸送と内陸水路運送のみで使える物
  2. 海上、航空、陸上など幅広く使える物

例えば、航空便で輸送するのに、CIP、CIF、FOBなどのインコタームズを指定するのは間違いです。

海上輸送と内陸水路運送のみで使える物FAS、FOB、CFR、CIF
海上輸送、航空、陸上輸送の全ての輸送で使える物EXW、FCA、CPT、CIP、DAP、DPU、DDP

契約書とインコタームズ・記載方法は?

貿易書類や売買契約書の中で「採用するインコタームズ」を記載します。
記載例:CIF Nagoya Incoterms 2020

インコタームズ2020の一覧

インコタームズ2020日本語意味
どのような輸送にも利用できる。
EXW工場渡し売主側が最も楽!売主の工場で商品を引き渡したら、その後の全てのコストとリスクの負担を買主が行う。

参考記事:EX-godownとは?

FCA運送人渡しコンテナ輸送で主流!売主は、輸出国側のヤード等で運送人に引き渡すまで(輸出通関)+船積み済の船荷証券(2020年新設)、引き渡し後、買主が費用と危険を負担します。
CPT輸送費込み売主は、輸出国側のヤード等で運送人に引き渡すまで(輸出通関)の責任を負う。FCAとの違いは、売主が輸入国までの運賃を負担する点
CIP輸送費&保険料込み(輸入国渡し)売主は、輸出国側のヤード等で運送人に引き渡すまでの責任(輸出通関)を負う+輸入国までの運賃+海上保険も負担する。
DAP持ち込み渡し売主は、輸入国側の任意の場所までの費用と危険負担を行う。売主は、荷下ろしをせず、買主に引き渡します。貨物の引き取り後、危険負担は、買主に移動します。
DPU(2020で新設 2010のDATは廃止)荷卸し&持ち込み渡し売り手は、輸入国の指定仕向け地までの輸送と荷卸しまでの危険負担と費用負担を負う。分岐点は、荷下ろしの時点です。
DDP関税込み&持ち込み渡し買主が最も楽!売主は、輸出通関、船舶費用、海上保険費用、輸入国側の関税・消費税、輸入国側の国内配送料など、輸入国側の任意の場所へ付けるまでの全ての費用と危険負担をする。
海上輸送のみに利用できる。
FAS船側渡し売主は、輸出国側の港に停泊している船の横まで荷物をつける(売主が輸出通関をする)買主は、それ以降のすべての費用とリスクを負担する。
FOB本船渡し(輸出国渡し)売主は、本船に載せるまでの責任を負う。引き渡し後、買主は、自らの費用と責任において貨物を輸入国側へ輸送します。=輸出国から輸入国の船舶は、買主が手配&負担
CFR運賃込み(輸入国渡し)売主は、本船に載せるまでの責任を負う。ただし、売主は、輸入国側までの運賃を負担します。危険負担の切り替えポイントと、費用負担のポイントが違う点に注意!
CIF運賃&保険料込み(輸入国渡し)売主は、本船に載せるまでの「危険負担」を負う。また、海上輸送費と海上保険代金は、買主側の港まで売り主が負担する。危険負担と費用負担の分岐点が違う点に注意!

インコタームズ別・売り主と買主のやるべきこと

11のインコタームズ別に売り手と買い手のやるべきことを比較できます。

指バナー2

全28種類・インコタームズを比較できる!

全28種類のインコタームズの特異点を比較できます!

インコタームズの違い

下記のインコタームズの違いを収録しています!
  • CPT VS CFR、CPT VS CIF、CPT VS CIP、CPT VS DAP、CPT VS FCA、CPT VS DDP、CIP VS DAP、CIF VS CIP、CIF VS CFR(C&F)
  • CIF VS FCA、CIF VS FOB、DAP VS DDP、DAP VS CIF、DAP VS EXW、DAP VS CFR(C&F)、EXW VS CIP、EXW VS DDP、FOB VS DAP
  • FOB VS EXW、FOB VS CIP、FCA VS EXW、FCA VS FOB、FCA VS CIP、FCA VS DAP、DDP VS CIF、DDP VS CIP、DDP VS FCA

インコタームズとは?

インコタームズは、貿易上の責任範囲と費用負担を定義する貿易条件です。貿易では「CIF NAGOYA 3000US$」と表記し、この中のCIFが貿易条件=インコタームズ。3000US$のことを「建値」と言います。貿易取引はは、この建値と貿易条件(インコタームズ)のリストから、お互いが納得する物を選びます。

例えば、日本の輸入者Aは、CIF YOKOHAMAWOを希望する。他方、中国の輸出者は「FOB SHANHGHAI」を希望するとします。CIFとは、横浜までの国際送料と保険代金を輸出者が負担する貿易条件です。他方、FOB SHANGHAIは、輸出者が上海港までの費用しか負担しない条件です。つまり、この場合、上海から横浜までの送料をどちらも負担しないことになってしまいます。ここは交渉で詰めていく所です。

このようにCIFであれば、輸出は○○と○○の費用を負担する。他方、輸入者は、○○と○○の費用を負担する。FOBであれば~、FCAであれば~など、両者の費用負担と責任負担を型として定義する物がインコタームズです。そして、このインコタームズでは、決められていない細かい部分を「売買契約書」で決めます。

  • 貿易条件の大枠をインコタームズで決める。
  • インコタームズの不明確な部分を売買契約書に盛り込む

この2つを利用することで、売り手と買い手の責任範囲を明確にでき、円滑な貿易取引ができます。

インコタームズが存在する理由:国際間の輸送上におけるリスクやトラブルを想定して、輸出者側と輸入者側の費用負担と責任負担の範囲を明確にすること

インコタームズが定義する3つのこと

では、インコタームズの具体的な部分を見ていきましょう。インコタームズには、次の3つを定義しています。

  1. 危険負担
  2. 費用負担
  3. 当事者がすべきこと

1.危険負担とは?

危険負担とは、万が一、貨物に何らかのトラブル(船の座礁による損失、輸送途中における事故、荷下ろし作業の不手際などによる問題)が発生。それにより発生した損害は、どちらが負担するのか?を明確にすることです。

例えば、Aさんは、B国までの輸送を手配します。Aさんの工場から出荷した時点では、貨物にダメージは有りませんでした。しかし、陸路で輸送中に事故が発生し、貨物にダメージが発生。このときは、どちらが貨物の損害を補償する義務があるのでしょうか? 売り手ですか? 買い手ですか? これを明確にするのが「危険負担」です。そして、インコタームズでは、この危険負担が切り替わるポイントを細かく決めています。

危険負担の事例:

売り主Aさんは、タイに向けて商品を輸出しています。契約条件は「FOB」です。この場合、Aさんは日本側の輸出通関をした後、船上に貨物を置いたら、Aさんがやるべきことは終わります。仮に船に乗せるに、港での移動作業によって貨物を損傷させたり、輸出許可が下りなかったりする場合は、Aさんの責任で対処します。一方、船に乗せたは、買主(輸入者側)がすべての責任を負います。

危険負担が分岐する点のリスト

以下の表は、インコタームズの内、危険負担の切り替えポイントです。売り主としては、EXWに近いほど、取引リスクは小さいです。他方、買主は、DDPに近いほど、取引リスクは小さいです。このバランスを見ながら、両者が合意できるインコタームズを見つけます。

危険負担が切り替わる所主なインコタームズ
輸出国売り主の施設(工場や倉庫)EXW
引き渡し地点(コンテナターミナル含む)CIPFCA、FAS、CPT
輸出国に停泊する船の上FOB、CIF、CFR
輸入国指定の仕向け地DAP(運送人の移動手段の上で買い手にゆだねられた時)、DPU(売り主の負担で荷下ろしまでする)
買主の施設(工場や倉庫)DDP

2.費用負担とは?

国際輸送で明確にするのは危険負担だけではありません。「費用負担」も重要です。つまり、売り手と買い手は、それぞれどこの費用までを負担する義務を負うのか?を明確にすることです。この費用負担が切り替わるポイントもインコタームズに定義されています。代表的な費用は、次の4つです。

1.輸出通関・輸入通関費用
2.船積み費用・荷下ろし費用
3.運送費
4.保険費用

インコタームズ

3.当事者がすべきこと

インコタームズは、売り手と買い手が貿易取引をする上で、すべきこと、用意するべき書類などについても決めています。

例えば、輸入許可書や輸出許可書の取得義務はどちらにあるのか? または、保険契約は、どちらが手配するのか?などです。

■インコタームズが定義すること

  • 売り手と買い手、どちらが、どこまでの「リスク」に対処するのか?
  • 売り手と買い手、どちらが、どこまの「費用」を支払うのか?
  • 売り手と買い手、どちらが、輸入許可、輸出許可などの取得や貿易書類を用意するのか?

注意・インコタームズに定義していないこと(代表:所有権)

  1. 所有権→ B/Lと同じく「処分権」に近い。
  2. 売買契約の成立
  3. 物品の仕様
  4. 代金の支払い時期など
  5. 売買契約に違反する場合の救済
  6. 契約上の履行
  7. 制裁
  8. 関税
  9. 輸出の禁止や輸入の禁止
  10. 不可抗力による履行困難
  11. 知的財産

関連記事:インコタームズに所有権移転に関する記述は存在しません。

インコタームズの移転の意味は、危険負担と費用部分の2つです。所有権の移転とは無関係です。

実務・適切なインコータームズの決め方と注意点

インコタームズは、型の中に売り手と買い手の責任範囲を決めています。そのため、インコタームズを選ぶときは、インコタームズに決めらている内容を正しく理解する必要があります。特に次の8つの点は、各インコタームズを理解する上で欠かせません。

  1. 費用負担の範囲
  2. 危険負担の範囲
  3. 海上保険の負担
  4. 貨物の引き渡し地点と仕向け地点を売買契約書に盛り込む
  5. インコタームズのバージョンを定める。
  6. インコタームズを絶対視しない。
  7. 必ずしもインコタームズを使わなくても良い。
  8. 細かい部分は売買契約書にだ定める。

1.費用負担の範囲をクリアにする。

まずは、輸出国側から輸入国側までの海上運賃をどちらが負担するのかがポイントです。あなたが輸出者なら「FOB」や「FCA」を選べば、海上運賃を負担する必要がなくなります。一方、輸入者なら「CFR」または「CPT」「CIF」などがおすすめです。これらのインコタームズであれば、輸出者が日本港までの海上運賃を支払います。

2.危険負担の範囲を正しく理解する。

海上保険の支払い者を決めます。売り手側が負担するときは「CIF」または「CIP」がお勧めです。FOBであれば、通常は買主側が海上保険を付けます。関連記事:海上保険とは?

3.海上保険の負担

海上保険は、どちらが付保するのか? これも大きなポイントです。

例えば、FOBの場合は、輸入者が海上保険を付保します。しかし、だからといって、必ずしも輸入者が保険契約をするわけでないです。輸出者が付保した保険を輸入者が受け取れるよにし、輸入者は、海上保険費用を輸出者に支払うなどの形もあります。インコタームズCIPであれば、輸出者が輸入国まの保険を掛けるなど、インコタームズにより、海上保険を付保するべき義務者は変わります。

4.貨物の引き渡し地点と仕向け地

貨物をどこで引き渡すのかを考えます。FASは、輸出国側の船の横で引き渡します。本船に積むまでは「FOB」、相手国の任意の地点まで届けるのであれば、CIP、DAP、DPU、DDP、などを選択。この場合は「仕向け地」を決めます。また、仕向け地において、どちらが荷卸し費用を負担するのか?も重要な項目です。

5.インコタームズのバージョンを定める。

インコタームズは、輸出者と輸入者が合意をすると有効です。実際に取引するときは、何年版インコタームズのFOBなどと確認します。

6.インコタームズを絶対視しない。

インコタームズは、基本的な貿易条件の型を決めているだけです。必要であれば、インコタームズに定義されていない部分を独自に追加で設定することなども考えましょう!もちろん、追加した点を含めて、輸出者と輸入者が合意することで有効です。

7.必ずしもインコタームズを使わなくても良い。

インコタームズには、強制力はありません。お互いが合意した上で成り立つ「任意規則」です。したがって、貿易=インコタームズを定めるべきと考える必要はなく、あえてインコタームズに合意せず、ウィーン売買条約に従うことも可能です。

8.細かい部分は売買契約書に定める。

インコタームズと売買契約書は、どちらを優先するべきなのでしょうか? 答えは、インコタームズと売買契約書の関係にあります。インコタームズは、貿易の大枠の型を定義している物です。大枠で決めているため、実務に即した細かい部分は契約書の中で決めています。つまり、インコタームズの内容を補完する物が売買契約書です。したがって、どちらを優先するとかではなく、どちらも必要です。

例えば、EXWの場合、引き渡しポイントは、輸出国の「いずれか」とだけ定義しているため、この引き渡し場所を売買契約書で定義します。

以上の点を考えながら、適切なインコタームズを見つけていきましょう!

【図解】インコタームズ2020の一覧

EXW(工場や倉庫で引き渡す条件)

輸出者側が最も有利な条件です。輸出者は、輸出国にある自社の工場で荷物を引き渡した時点で、すべての取引は完了です。その後、輸入者側が輸出国の工場から港、輸出国港~輸入国港、そして、港から指定納品場所までの全ての危険負担と費用を支払います。

  • インボイスの記載方法:EXW 引き渡し場所○○(できるだけ具体的に地名を記載する)
  • 保険=買主の義務
  • 梱包=買い手との特約を付けていない限り、基本は売り主に梱包の義務がある。
  • 危険負担=輸出国の指定地で貨物を引き渡したとき
  • 消費税
EXWとFCAとの違いは?

EXWは、売り主が自社の工場や倉庫又は、合意した任意のポイントにて、輸出貨物を用意するだけで危険負担が移転します。他方、FCAは、売り主が荷物を詰めて、運送人(広義にコンテナターミナルのオペレーター)に引き渡した時点で危険負担が移転します。

XW インコタームズ2020

EXWと消費税の関係は?

消費税は、消費税法4条に規定されている通り、日本国内において資産の譲渡をするときに課税される物です。ご存じの通り、EXWは、日本国内で貨物の受け渡しが行われているため、この時点で消費税が課税されると考えられます。しかし、同法の7条には、輸出取引における消費税の免税が規定されており、これとの整合性をどう考えるのかで判断がわかれます。現状の税務署の見解では、必要な契約書類などを用意することで、日本国内で発生する消費税は還付の対象となるとされています。

FCA(コンテナ輸送に活用)

買い手は、輸出国の運送人(例:コンテナヤードなど)に商品を引き渡したときに、危険負担が切り替わります。FOBよりも、輸出者側に有利な条件です。

FOBとの違いは?

危険負担の移転ポイントが違います。FCAは、運送人に引き渡した時点(一般的には、コンテナターミナルなど)FOBは、輸出国の港に停泊する本船に積み込んだときです。

FCA インコタームズ2020

CPT(輸出国のコンテナヤード)

買い手が輸入港におけるコンテナヤードにつけるまでの費用+輸入港指定地までの輸送費を負担する条件です。ただし、危険負担は、FCAと同じく運送人に引き渡した時点で切り替わります。売り主には、保険を付保する義務はなし。

CPT インコタームズ2020

CIP(輸入港のコンテナヤード迄)

売り手が輸入国側の指定地(コンテナヤードが多い)までの海上保険、海上運賃などを負担する条件です。ただし、危険負担は、輸出国側で切り替わっています。

  • 海上保険義務=売り手
  • 輸出通関義務=売り主
  • 輸入通関義務=買い手
CIPとCIFの違いは?→3つあります!
  1. CIPは、どのような輸送方法にも対応するインコタームズ。他方、CIFは、船の輸送だけに使用するもの
  2. 危険負担の移転ポイント→ CIPは、運送人に引き渡した時点、CIFは、FOBと同じく本船の甲板に搭載したときです。
  3. 費用負担の移転ポイント→ CIPは、輸入国のターミナルより先の任意のポイント。CIFは、輸入国のターミナルです。

CIP インコタームズ2020

DAP(輸入国側の荷卸しは拒否!)

D系インコタームズは、売り手の危険負担が輸入国側まで延長されているのが特徴です。この内、DAPは、売り手が輸入国の指定地に輸送し、買い手の運送人に貨物を引き渡す準備をするまでの責任を負います。ただし、輸入通関の部分は「買い手の危険負担と費用負担」=輸入通関で問題が発生した場合、DAPは「買主」にトラブル対処への責任があると規定。

例えば、トラックであれば、荷台の上に載せた状態にして、いつでも好きなように買い手が引き取れる状態にした時点です。この場合、売り手は、トラックから荷物をおろす義務はなし。

  • 荷卸し=売り手に義務なし。
  • 関税等=適用がある場合は、買い手側の負担
  • 保険=両者の義務はなし。
DAPとDDPとの違いは?→2つあります。
  1. DDPは、売り主が輸入国側通関手配をする。
  2. DDPは、売り主が輸入国側の関税と消費税を支払う。=delivered duty paidの意味
DAPとCIFとの違いは?→2つあります。
  1. CIFは、輸出国側の本船上で危険負担が切り替わります。DAPは、輸入国の指定地です。
  2. CIFは、輸入国の港で費用負担が切り替わります。DAPは、その先にある指定地で切り替わります。

DAP インコタームズ2020

DPU(売り主は、輸送費+荷卸し)

DPUは、インコタームズ2020で新設された物です。一見するとDAPに似ていますが、売り手が「トラックからの荷卸しまでをする点」で大きく違います。もし、あなたが売り手であり、輸入国側で荷下ろしまでをしたくない場合は、DAPを選択した方が良いです。(輸入通関部分のみは、買い手の危険と費用負担です。)

DPU インコタームズ2020

DDP(買い手には最大のメリット)

DDPは、買い手が最も楽な取引です。つまり、売り手は、費用負担も危険負担も最大となる形です。売り手は、輸出国からの諸費用、国際輸送費、輸入通関、輸入諸税(関税・消費税等)をすべて負担した上で、輸入国の指定の場所まで輸送します。(輸入通関部分も継続して売り手の負担が続きます。)ちなみに、DDPは、売り主に「保険契約の義務はない」と定義しています。

VATはどうなる?

VATとは、輸出取引につき還付を受けられます。手続き方法は、各国の税関ページをご覧下さい。

DDP インコタームズ2020

FAS(本船の船側に置く迄)

FASは、売り手が輸出港に停泊する船の「船側」に貨物を置くまでの危険負担と費用負担をする取引です。基本的に「在来船」での取引用に考えられているため、船側よりも前の時点で運送人に引き渡すコンテナ輸送などには不向きです。コンテナ輸送をするときは「FCA」「CPT」又は「CIP」にするべきです。

FASとFOBの違いは?

FASは、輸出国の港に停泊する船の側(船側)荷物を置くと危険負担が切り替わります。FOBは、船の甲板に載せると危険負担が切り替わります。

FAS インコタームズ2020

FOB(誤用多発。今でもスタンダード!?)

輸出者が輸出国で停泊している本船に商品を積み込みます。本船へ乗せた後の危険負担は、輸入者の負担で行います。つまり、FOBの場合、船の手配や海上保険もすべて輸入者側が行うことが一般的です。しかし、実務上の問題などを考えて、インコタームズでは、売り主に船の輸送や保険契約をする上での「助力」をするように規定しています。

  • 輸出通関=売り主
  • 危険負担の移転=本船甲板に貨物を積んだ時(コンテナターミナル内は売り主)
  • 三国間=仲介者と輸入者との間で利用する。

貨物船(コンテナ貨物)が地震の被害にあったらどうなる?

FOB インコタームズ2020

C&F/CFR(買主の負担=FOB+運賃条件)

輸出者の危険負担は、FOBと同じく本船に積み込むまでです。その後、輸出者の負担において海上輸送を行い、輸入国の港につけます。ここはよく勘違いしやすい所ですが、危険負担は、輸出国側で切り替わっているため注意が必要です。

CFRとCIFの違いとは?

危険負担と費用負担の分岐点は同じです。違う点は、売り主側に「保険契約の義務があるのか?」です。CIFは、売り主に保険義務があります。CFRは売り主に保険義務はないです。

CFR?C&F?CNF?

CFRは、貿易書類にC&FやCNFと記載されていることがあります。これらは、すべて同じ意味です。1990年のインコタームズ改正のときに「CFR」に切り替わりました。現在もC&F等の記載がされている輸入書類がありますが、最新の2020に基づく場合は「CFR」と記載するのが正しいです。

CFR インコタームズ2020

CIF(買主の負担=FOB+運賃+保険代金)

輸出者が海上保険、海上運賃などを負担します。ただし、危険負担は、輸出国側で切り替わっています。買主が輸入国側の関税を負担します。

  • 輸出通関=売り主
  • 輸入通関=買主
  • 売り手は、海上保険を協会貨物約款(C)と同じレベルを付保する義務がある。

海上保険は、どのように計算をすればいい?

CIF インコタームズ2020

結局、どれを取り入れれば良いの?

インコタームズ2020では、2種類と11条件があります。2019年の実務上で多く使われているのは、輸出はFOB、輸入はCFRです。しかし、インコタームズ2020には「FOBをコンテナ輸送で使うことはお勧めしない」としています。そのため、これから貿易を始める方は、最初から「FCA」又は「CIP」を基準に、貿易相手と交渉をした方が良いです。これ以外であれば「EXW」などが輸出初心者としては、取り入れやすいです。

海上コンテナ輸送の交渉をするときは、FCA又は、CIPのどちらかを基準に考えましょう!

貿易は何もわからない!とにかく貿易リスクを低くしたい

「貿易の知識が何もない、でもなんとか貿易を始めたい」方であれば、まずは最もリスクが小さい契約条件から始められると良いです。リスクが小さい条件は、貴社が輸出者であれば「EXW」、輸入者であれば「DDP」にします。しかし、これらの条件で契約を結ぶ場合は、次のデメリットがあります。

あなたの相手がEXW(買い手が強い)、DDP(売り手が強い)などを受け入れるときは、相手が外国での関税の支払い、通関、船の手配など、貿易で必要になるすべての手配をする必要があります。これを別の言い方をすると、貿易の相手は、必然的に経験が豊富な方です。そのため、どうしても価格交渉などで相手が主導となり、思うような結果を望めないかもしれません。

これを避けたければ、輸出においては「FOB」や「FCA」を基準として、逆に輸入においては「CIF」または「CIP」の条件で取引を行った方が理想的です。

インコタームズ2010と2020との相違点

インコタームズ2010と2020の相違点は、次の5つです。

  1. 前書きや利用者の解説ノートの設置
  2. 項目別に費用は危険負担の比較が簡単にできるようになった
  3. DATは廃止。DPUを新設
  4. CIFとCIPの海上保険の範囲に違いが生まれた。
  5. FCAに「船積み済」の印がある船荷証券が盛り込まれる。

1.前書きや利用者の解説ノートの設置

特徴的なのは、昨今の「ユーザーファースト」の考え方を取り入れて、実際にインコタームズを使う人にとって、理解しやすい表現で説明をしていることです。インコタームズの規則や特徴、関係性などを含めて前書きの部分で解説。その他、利用者の解説ノートを設置して、より理解しやすいようにしています。

2.項目別に義務部分の対比が簡単になる。

「結局、このインコタームズを適用すると、何の費用を負担することになる?」の疑問を簡単に解決できるように項目別にインコタームズを対比できるようにしています。

3.DATからDPUへの変更

インコタームズ2020では、DATは廃止。代わりに「DPU=Delivered at Place Unloaded)」を新設しています。DPUの主な特徴は「Unloaded」の表現からもわかる通り、荷下ろし義務を明確にしている点です。DPUは、売り主側の負担により、買主の荷物を卸すまでの義務を負っています。他方、DAPは、両者が合意した場所で、運送人の運送手段の上で買主にゆだねられたときに危険負担が切り替わります。ちなみに、EXWは、2020年版でもあります。

4.CIFとCIPの海上保険の適用範囲に違いが発生

CIFとCIPは、危険負担は輸出国側、費用負担は、輸入国側で切り替わる取引です。売り主が海上運賃や海上保険を負担します。2010年までは、CIPとCIFを取り入れた場合に付保する保険範囲は「C条件」で同じでした。しかし、2020年からは、CIPはA条件、CIFはC条件の保険付保が定められました。つまり、買主は、CIPで契約した方がより安全な取引ができる。他方、売り主は、より費用負担が発生します。

ちなみに海上保険のA~Cは、保険の対象になる範囲を指します。Aが最も良い条件。Cは簡易的な条件が設定されています。インコタームズ2020では、この付保するべき海上保険のレベルに違いがあります。

補償範囲火災、爆発、座礁、沈没、衝突、遭難による貨物の荷卸し、共同海損地震、噴火、雷、海水、水の浸入、船舶への積み込み地中の落下事故水濡れ、盗難等のあらゆる事故免責事項:戦争、ストライキ、違法行為、梱包不十分、遅延などによる損害
A条件
B条件
C条件

5.FCA規則に船積み済の付記のある船荷証券を含めたこと

インコータームズ2020では、FCAは、運送人に貨物を引き渡したときに、売り主から買主に危険負担が移転していました。運送人とは、例えば、輸出国のコンテナターミナルのオペレーターなどを指します。いコタームズでは、この運送人への引き渡しと合わせて、船積み済の付記がある船荷証券が設定されました。

以上、5つがインコタームズ2020の主な変更点です。

各種取引形態とインコタームズの関係

インコタームズと三国間貿易

例えば、三国間貿易をするパーティーが次の通りだとします。

  • 輸出者=A
  • 仲介者=B
  • 輸入者=C

この場合のインコタームズ例は、次の通りです。

AとB=CIPなど
BとC=FCAなど

在来船のインコタームズ

在来船におけるインコタームズは「FOB(本船甲板渡)」、CFR、CFRなどがあります。

保税倉庫渡しのインコタームズ

輸出国側の保税倉庫渡しであれば「FCA」

ハンドキャリーのインコタームズ

例えば、誰かに依頼をし、仕向け国に住む人に届ける場合であれば「DDP」又は「DDU」が良いです。又は、空港のボンドエリアに保税するなら「CIP」です。

無償貨物のインコタームズ

貨物が無償であることとインコタームズには、特に関係はありません。記事の冒頭でも述べた通り、無償とは「建値」の部分です。他方、インコタームズは、その建値で取引する「条件=トレードターム」のことです。建値とインコタームズは別物です。

よくある疑問

Q.インコタームズ2020の入手方法は?

インコタームズ2020の最新解説書は、公式テキストとそれを和訳した日本語テキストがあります。入手先のリンクは、次の通りです。

英語版・公式テキスト(書籍版と電子版の2つがある)
価格は、45€(ユーロ)

和訳版・国際商業会議所 日本委員会のテキスト

参考書籍:関税と貿易(2019年11月分)

Q.インコタームズ2020の項目一覧は?

売り主の義務買主の義務
A1 一般的義務B1  一般的義務
A2 引き渡しB2 引き渡しの受け取り
A3 危険移転B3   危険移転
A4 運送B4 運送
A5 保険契約B5 保険契約
A6 引き渡し書類/運送書類B6 引き渡し書類/運送書類
A7 輸出通関/輸入通関B7 輸出通関/輸入通関
A8 照合/包装/荷印B8 照合/包装/荷印
A9 費用の分担B9 費用の分担
A10 通知B10 通知

情報元:国際商業会議所 日本委員会

Q.クーリエ(DHLなど)とインコタームズの関係は?

DHLやフェデックスなどのクーリエを使い輸送する場合は、どのようなインコタームズを設定するのでしょうか? 主なインコタームズは、次の3つです。

  1. 輸送者側で関税や消費税などを負担する場合→ DDP
  2. 輸入国側で諸税を負担する場合→ DDU
  3. 特に何も指定していない場合→  FCA

Q.CODとは?

Cash on Deliveryの略です。いわゆる代引き取引のことです。CODにするときは、フォワーダーが対応しているのかを確認する必要があります。

Q.インコタームズと売り上げ基準

輸出取引は、いつのタイミングで売り上げにあげるべきなのか? 輸出売り上げとインコタームズは連動させる必要がありません。(収益認識)

Q.空港留めのインコタームズは?

仕向け国の「空港」やターミナルに留め置くときは「CIP」が最適です。

Q.所有権との関連性は?

インコターズのよくある間違いが「所有権」の移転です。インコタームズでは、所有権に関する規定は一切記載されていないため十分に注意しましょう!

Q.インコタームズと地名の意味は?

インコタームズに地名を入れる理由は、両者の合意内容をより正確にする目的があります。

例えば、CIFは「CIF YOKOHAMA」と記載をすれば、輸出者は、横浜港までの輸送費を負担する義務を負うと理解できます。では、仮に「CIF」とだけ記載されている場合は、いかがでしょうか? どこの港?となりますよね。少し極端なことを言えば「輸出者の好きな港」にもできます。このように曖昧な部分を無くすために、合意地点を詳しく記載するのが望ましいです。

まとめ

インコタームズは、国際商業会議所で決められている世界的な貿易ルールです。あらかじめ「貿易の型」が決められているため、責任範囲(危険負担)、費用負担が明確に理解できるようになっています。実際に貿易取引を行う際は、輸出者、輸入者の双方が話し合いによって「どのインコタームズを適用するのか?」を決めます。

決められたインコタームズは、契約書などの中で「この取引はインコタームズ2020を基にしている」などを記載して、貿易取引での責任範囲を明確にします。

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