は、輸出者と輸入者の間に銀行が入るため、代金を回収できないリスクが減少します。
しかし、輸入者の立場になると、手数料が高い。貨物受け取りまでの時間が長いことがデメリットです。そこで、実際の貿易取引には「TT決済」を使うことが多いです。
TT決済は、銀行振り込みです。輸出者の指定する銀行口座へ送金をした後、貨物を発送する取引です。輸出者と輸入者の間で直接貿易代金が決済されるため、利便性が向上する一方、リスクが高まります。そのため、双方にとってリスクと利便性のバランスが取れる点を探します。
そこで、この記事では、TT決済を導入する上で、輸出者と輸入者の立場における、リスクと利便性のバランスを保つための方法をご紹介していきます。
TT決済とリスクの関係性
TT決済は、輸出者と輸入者の間に、銀行が入らないため、貨物を受け取るまでの時間を短くできたり、銀行の手数料を削減できたりするメリットがあります。しかし、直接取引があるが故、代金の回収または支払いにおけるリスクが上昇します。
TT決済は、物を購入する人(輸入者)が貿易代金を先払いするのが基本です。そのため、輸出者としては、リスクが小さくなる一方、輸入者は「お金を支払ったのに、貨物が送られてこない」リスクを抱えます。これをコンビニで考えてみましょう!
例えば、コンビニで何かの商品を購入するときは、先にお金を支払い、その後、商品を受け取ります。商品を手にする前に商品代金を支払っているため、TT決済と同じです。
しかし、TT決済とコンビニでの支払いは「すぐに商品の引き渡しがされるか?」の部分で大きく違います。コンビニでの取引は、買い手がお金を支払うタイミングと、売り手が商品を渡すタイミングがほぼ同じ為、特に注意は不要です。
もし、お金を支払ったのに、売り手が商品を渡さなければ、その場で返金を求められます。一方、貿易は、距離的な問題があるため、代金の支払いと商品の受け取りには、日数がかかります。買い手の立場から考えれば、お金を支払ってから商品を受け取るまでの間は、ずっと「商品を受け取れないリスク」を抱えます。
これは、輸出者と輸入者の貿易取引上、不公平です。そこで、この一方的なリスクを小さくするため、TT決済で貿易代金の支払いをするときは、二回以上に分けて行うことが多いです。
順番に確認していきましょう!
TT決済で輸出者と輸入者のリスクを折半する方法
あなたが輸出者だとします。この場合、TT決済であれば、入金を確認してから商品を発送する限り、貿易リスクはゼロです。そのため、本音でいうと、貿易代金の全額をTT決済してもらう方が良いです。
しかし、すでに述べた通り、この決済方法は、商品の買い手側に一方的なリスクがあります。そのため、買い手側は、支払を二回以上に分けて行います。
割合の目安は、多くの場合、30:70、40:60または、50:50が多いです。複数回に支払いを分けることで輸出者と輸入者が抱える次のような心配をなくせます。
輸出者:「商品を製造したのに、やっぱり買わないということを避けられる。30%を支払ってくれているため、ある程度、安心して生産や輸出の手配ができる。」
輸入者:「最初に全額を支払うのは怖い。本当に製品を輸出してくれるのかもわからない。だから最初は、手付金だけを支払いたい」
- まずは、30%ほどの代金を支払う。
- 輸出者は貨物の準備と船積みを行う。
- 船積み完了後、通知する
- 通知を確認後、残債を支払う。
3番の通知とは、輸出者が貨物を船に載せるときに発行される「船荷証券(B/L):船会社が貨物を預かったことを証明する書類」の送付を指します。B/Lを受け取ったら、輸入者に向けてFAX。その後、輸入者側は、残りの代金を支払います。
以上のように、貿易代金を二回以上に分割することで、輸出者と輸入者のリスクを分散しています。ここまでの内容を図に表すと以下の通りです。なお、既述の通り、分割する割合は、取引額と信用により違います。
まとめ
- TT決済は、銀行間振り込みのことです。
- TT決済は、輸出者と輸入者のリスクと利便性のバランスをとるため分割が基本
- 分割する割合は、30:70が基本。ただし、お互いの関係により割合は調整される。
- 取引回数を重ねて信用を積み上げることにより、少しずつ割合が変わっていく
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