
アリババ輸入の送料・関税の正しい調べ方|商用輸入で押さえるべき実務ポイント
アリババで商品を見つけたとき、真っ先に気になるのが「本当に利益が出るのか」という点です。いくら仕入れ価格が安くても、送料や関税、通関にかかる費用を加えると、実際には利益が出ないケースが少なくありません。商用輸入を行う上で、総コストを正確に見積もることは、利益を確保するための基本中の基本です。
この記事では、アリババから輸入する際の送料と関税の調べ方を実務の視点から整理し、特にフォワーダー(国際輸送業者)選びがなぜ重要なのかを解説します。
国際送料の調べ方
サプライヤーが提示する送料はあくまで目安
アリババの商品ページで配送先を日本に設定すると、送料の目安が表示されることがあります。ただし、これは正確な金額ではなく、注文する数量や条件によって変わります。さらに、中国側のフォワーダーを利用する場合、ターミナルハンドリングチャージ(THC)、書類作成費用、港湾費用などが追加されるため、最終的な総額が分かりにくくなる点に注意が必要です。
インコタームズで費用負担の範囲を確認
輸送条件(EXW、FOB、CIF、DAP、DDPなど)によって、どこまでをサプライヤーが負担するかが変わります。特にEXWやFOBは、輸入者側がフォワーダーを選びやすく、コスト管理もしやすい条件です。
CIFは本来「運賃と保険料込み」の条件ですが、現地での追加費用が別途請求されることもあります。DDPは法律上、輸入国の関税・消費税まで含む条件ですが、実際には販売者が日本の消費税まで全額負担するケースは少ないため、必ず事前に確認しましょう。
ノミネーションフォワーダーの魅力
商用輸入では、日本側の輸入者が自分でフォワーダーを選ぶ「ノミネーションフォワーダー」方式が効果的です。
- 言語面の安心感:日本語で相談でき、トラブル時の対応も早い
- 費用が明確:サプライヤー指定と比べて、運賃や各種費用の内訳が分かりやすい
- 通関まで一貫対応:輸送から通関、納品まで一社で依頼でき、HSコードの判断やEPA(経済連携協定)の相談もできる
- 交渉力とスペース確保:継続的な取引で有利な運賃レートや優先的な輸送枠を確保できる
- 総コストの管理:通関手数料、検査費用、国内配送費用も含めた総額管理が可能
貿易のノミネーションとは?FOB取引で買い手がフォワーダーを手配する方法と注意点
輸送方法ごとの調査方法
- クーリエ便(DHL/UPS/FedExなど):公式サイトの見積ツールで即座に概算可能。少量やサンプル輸送に適している
- 航空貨物(一般航空便):フォワーダーに見積依頼フォーマット(RFQ)を送り、重量・容積に基づく見積もりを取得
- 船便(LCL/FCL):LCL(混載便)は小口輸送向けで、W/Mルール(重量1トンまたは容積1立方メートルのどちらか大きい方)で計算。FCL(コンテナ単位)はコンテナごとの定額制
重量計算の理解
- 航空便:容積重量=(縦cm×横cm×高さcm)÷6000(いわゆる6000ルール)。例:1立方メートル=167kg相当
- 船便(LCL):W/Mルール(重量1トンまたは1立方メートルの大きい方)。小口貨物では容積ベースで課金されることが多い
関税の調べ方
HSコードの確認
関税率はHSコード(商品の分類番号)によって決まります。サプライヤーが提示するコードをそのまま信じるのは危険で、必ず日本税関の分類基準で確認すべきです。必要に応じて「事前教示制度」を利用すれば、税関から正式な見解を得られます。日本税関サイトの「実行関税率表」や「NACCSコード検索」が役立ちます。
中国輸入の関税計算ツール!中国製品の関税率(RCEP)の調べ方等
関税率の確認
日本税関の「実行関税率表」で、該当する商品の関税率を調べます。一般税率、WTO協定税率、EPA税率のどれが適用されるかを確認し、必要に応じて原産地証明書を取得してEPA税率を適用できる体制を整えましょう。原産地証明書にはForm AJ(日本・ASEAN)、Form A、自己申告などの種類があるため、取引条件に応じた確認が欠かせません。
課税価格と計算例
課税価格は「CIF価格(商品代金+国際送料+保険料)+仕向地での調整項目など」で計算されます。EXW取引では中国国内の搬出費用を加算する必要があり、FOBでは港までの費用が課税価格に含まれます。さらに消費税は「課税価格+関税額」に対して課税されます。日本の消費税は地方消費税を含めて合計10%となる点も押さえておきましょう。
インコタームズ/FOBとは!? 船の手配は誰がする?輸出で重要!
具体的なケーススタディ
- 商品代金:50万円
- 国際送料:10万円
- 保険料:1万円
- 関税率:5%
計算手順
- 課税価格 = 50万円 + 10万円 + 1万円 = 61万円
- 関税額 = 61万円 × 5% = 30,500円
- 消費税額 = (61万円 + 30,500円)× 10% = 約64,050円
- 最終的な総額 = 61万円 + 30,500円 + 64,050円 = 約704,550円
このように、送料や関税・消費税を含めると総額が大きく膨らむことが分かります。
実務で見落とされやすいポイント
- サンプル輸入でも数量が増えると商用扱いになり、簡易税率が使えない場合がある
- 少額輸入免税:課税価格が1万円以下なら免税だが、営利目的の輸入は原則対象外
- CIF条件で輸入しても、現地での追加費用が別請求され、結果的に割高になるケースがある
- HSコードの誤りによる追徴課税は、利益を一瞬で消し飛ばすリスクになる
- アリババでの決済は多くがドル建て → 為替変動リスクを含めたコスト管理が必要
- フォワーダーから見積もりを取る際は、インボイス(商業送り状)やパッキングリストと照らし合わせ、数量・重量・貨物の明細が一致しているか確認することが重要
実務者が取るべきステップ
- サプライヤーには必ず「インコタームズを明記した」見積もりを依頼する
- 輸送は日本側のノミネーションフォワーダーを基本とし、複数社の案を比較する
- HSコードは日本税関の基準で確認し、必要に応じて事前教示を受ける
- EPAを適用する場合は、原産地証明書の種類を確認し、取得手順を早めに整える
- コスト試算時には「通関手数料」「港湾費用」「国内配送」「検査費用」まで含める
- インボイスやパッキングリストを使って、フォワーダーの見積内容を照合する
- 決済時には為替レートの変動を考慮し、リスクヘッジや支払いタイミングを調整する
まとめ
アリババ輸入をビジネスとして行う場合、総コストの見積もり精度が利益を左右します。送料は「サプライヤー任せ」ではなく「日本側のノミネーションフォワーダー」で管理することで、透明性と安定性を高められます。関税はHSコードの正確な確認が必須で、課税価格は「CIF価格+仕向地での調整項目など」で決まることを理解しておく必要があります。さらに、通関関連コストや為替リスクも考慮しなければ、利益を守ることはできません。
輸入ビジネスでは「商品代金+送料+関税・消費税+通関諸費用+為替の影響」の総合計を事前に把握し、具体的なシミュレーションで利益計算を行うことが成功の鍵となります。
DIGISHIP Super Expressは、中国側の倉庫に荷物が到着してから、最短三日で日本各地に輸送できるサービスです。しかも何度も言う通り、これは、航空便ではなく、フェリー便(海上輸送)です。このことからも、他の輸送サービスと比較して、DIGISHIP Super Expressを選ぶべき理由があると思います。

