「海外へ輸出する!」と決めたときの10ステップ・簡易版

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「海外へ輸出したい!しかし、何から始めたら良いのかわからない」方のために、海外へ商品を輸出するまでの流れをご紹介します。なお、これは、輸出通関などの部分的なことに特化しているのではなく、海外へ商品を輸出するための「全体的な流れ」をご紹介しています。なお、この記事よりも具体的なことは「小資本でもできる輸出ビジネスガイド」をご覧ください。

「輸出をしたい」ときに検討すること

Hunade

日本国内の少子高齢化により、この先、大幅な人口減が発生する見込みです。この影響により消費の「口」が減り、国内市場は、ますます縮小すると考えられています。国内の企業、特に中小企業の方は、この市場の縮小に大きな不安感を覚えています。しかし、何も悲観することはありません。「中小企業こそ輸出を検討するべき理由」でも述べた通り、貴社の商品の売り先は日本だけではありません。外に目を向ければ、世界70億人の巨大なマーケットがあります。

貴社の売り上げをアップするための方法として、輸出を検討することはとても良いことです。日本は、EPA(経済連会協定)と呼ばれる関税がフリーになる貿易圏を徐々に拡大しています。2020年現在、この自由貿易圏は、17のEPAが結ばれています。その中でも今、最も注目されているのが「日欧EPA」です。

EUという巨大な経済圏と日本が自由貿易を結べば、良くも悪くも市場は開かれます。経済的に自由な世界が広がっていること、国内の市場縮小などを考えると、輸出について真剣に取り組みたい企業が多いかと思います。そんなとき、まずは何をすればいいのか? それをこの記事でお伝えしております。

2020年3月現在のEPA締約国一覧
シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
オーストラリアメキシコチリペルースイス
CPTPP(TPP11)日欧EPA日米貿易協定
今後増えるかもしれない!?
カナダニュージーランドRCEPFTAAP

輸出を実現するまでの流れ

1.輸出する相手を検討

まずは「相手先」、輸出する市場について検討します。

  • 「どこに市場があるのか?」
  • 「そこには、どんな商品が求められているのか?」を考えます。

どんな商品とは「対象者がどんな悩みを抱えているのか?」にも通じることです。決して、自社の商品ありきで市場を見ないことが大切です。また、商品に対して求めていることが違うため、売る相手が「一般消費者」か「商売人(バイヤー)」の区別もします。

例えば、肌が滑々になる特別な混合液を輸出したいとします。もし、直接、相手国の一般消費者へ販売するなら「肌の悩みを解決できる部分」だけをポイントにして、売り込みをかければ良いです。しかし、これが相手国のバイヤーであるなら話は別です。

相手が「現地に販売チャネル」を持っているバイヤーの場合「肌の悩みを解決できる部分」よりも「その商品を購入して儲かるのか?」が重要です。ここに違いがあります。より具体的な情報(どこの国に輸出すればいいのか?など)は「小資金でもできる輸出ビジネスガイダンス」をご覧ください。

輸出取引きをして商売になるのかを考えます。基本的に輸出先の国での小売価格は、日本の工場出し価格の4倍ほどです。この価格帯におけるライバルとなりそうな商品を探してみます。インターネットを使って調べる。ジェトロの資料を確認する。現地スーパーマーケットでリサーチを行うなどの方法があります。

2.相手に提案するための基礎資料をまとめる。

どこの国へ輸出するのか? それが誰になるのか?を検討した所で、輸出する商品の「基礎資料」をまとめます。どんなに素晴らしい商品であっても「いくらになるのか? 」「商品の詳細内容はどうなっているの? 」などの具体的情報が載っている資料がなければ、商談は進みません。具体的な相手を見つける前に、輸出予定である商品情報の資料を作成しておきます。

この資料は、英語でまとめることはもちろんのこと、商品価格(FOB価格(日本の船上で渡す価格)やCIF価格(相手国につけるまでの価格))、製品の大きさ(容積)、どれくらいのリードタイムが必要なのかを記しておきます。これらの情報をワードやエクセル、PDFなどにまとめます。

本当に輸送ができる?輸送費はいくらなの?

製品資料をまとめるときは、商品価格などを合わせて記します。このときのポイントとして、船賃の取り扱いがあります。船賃は「インコタームズ」と呼ばれる貿易条件によって、あらかじめどちらが負担するのかが決まります。

例えば、FOBで取引をするなら輸出者は、日本側の船に載せるまでの費用を負担して、その先の運賃はすべて相手(輸入者)が支払います。この他、輸出者が船賃を支払わなくて良い契約として「EXW」があります。これであれば、日本国内になる貴社の工場で商品の引き渡しが完了します。つまり貿易における納品が完了します。

一方、CIFであれば、輸出者は向こうの港までの運賃を負担する必要があります。このように輸入者と「どのインコータームズ」で契約をするのかによって、商品価格が異なることになります。そのため、基礎資料の中には、FOB価格やCIF価格を併記します。より詳細な値段を出す場合は、引き合い後の「オファー」の際に提示します。

3.EPA(経済連携)を検討する。

先ほど述べた通り、日本は17のEPAを結んでいます。これは、お互いの国の商品は「相互に関税をかけないように」することを取り決めた約束のことです。これにより、国という自治は残しつつも経済的な市場がさまざまな分野で自由化されています。

関税がかからないことは、これまで以上に国内市場が海外に開かれます。これにより、一方的に自社の商品が脅かされると考える人がいます。しかし、それは大きな間違いです。「お互いに」関税がなくなっているわけですから、あなたが挑戦する海外市場のハードルが下がっているとも言えます。詳細:「EPAマニュアル

4.ジェトロなどへ相談

輸出する国、商品、基礎資料の準備などができた段階で、輸出の相談を「ジェトロ」などで行います。ジェトロは、日本政府が貿易の拡大のために設置している公的機関であり、無料で貿易相談を受けられます。(日本国内外に支店がある)特に東京のジェトロは、相談員の質も高く、良い情報を入手できるのでおススメです。

どちらにしろ、あなたが用意する基礎資料の「具体性」によって、相談で得られるアドバイスの質が異なると考えておきましょう。「輸出したいけれど、どうしたらいいですか? 」という抽象的な質問であればあるほど、具体的な回答は得られにくいです。

相談例:今度、〇〇という国に向けて〇〇の輸出を検討しています。この製品は~~~という特徴があり、向こうの市場の〇〇分野を狙う予定です。契約はFOBを考えており、それらを含めて輸出に必要になると思われる情報は、基礎資料にまとめています。この資料や弊社の考えについてアドバイスをお願いします。できれば、貴社の〇〇国にある駐在所に、この製品についてのアドバイスなどをお聞きしたいです。

5.相手に営業をかける。(引き合い)

2番で説明をした基礎資料や3番のEPAに関する簡単な準備ができたところで、具体的に相手を探していき、良さそうな企業であれば「引き合い」を出します。引き合いとは、輸出者の立場であれば、相手に対して価格表やカタログなどを送付することです。他方、輸入者は、カタログのリストから、最低出荷数量や価格などどを問い合わせることです。貿易取引の相手を見つける場合は、このような引き合いを複数の会社に行うのが一般的です。

企業を見つける方法は、次の通りです。貴社の営業スタイルによって、最適なものを取り入れてください。最も早い方法は、製品サンプルを持って、外国へ飛び込み営業することです。

  1. ジェトロの引き合いデータベースから営業してみる。
  2. 貴社の取引銀行経由で相手を紹介しもらい営業をかける。
  3. 海外の見本市に出展する
  4. 現地のスーパーマーケットから販売店を見つけて営業をかける
  5. 日本の輸出会社の営業する。

詳しくは「輸出先の企業を見つける8つの方法」をご覧ください。

6.相手へ見積もりを出す。

引き合いによって何らかの反応があったときは、具体的な見積書を提出します。この見積書を「オファー」といいます。この中には、価格や最低発注数量、容積、支払い条件、貿易条件(インコタームズ)、見積もり期限などを記載します。オファーをした内容は、相手に「確約」した意味を持ちます。これに相手がアクセプト(受け入れる)すれば「契約は成立」します。そのため、オファーは慎重、正確かつ、迅速に行うようにしてください。

こちらが提案した内容に、輸入者が受け入れられない条件がある場合は、輸入者から「カウンターオファー」があります。これを輸出側が受け入れられるのであればアクセプト、受け入れられないなら「カウンターオファー」を出します。輸出者と輸入者の間で、このようなオファーを繰り返していき、最終合意に至ります。この合意内容を簡単に取りまとめたものが「プロフォーマインボイス」と呼ばれる書類です。

7.契約書通りに船積みを完了

契約書に決められた通りに船積みを行います。「コンテナ船の予約からバンニングまでの流れ」の記事で紹介している通りに船積みを完了させます。これができた段階で、輸入者に対して「シッピングアドバイス」を出して船積みの完了をお知らせします。

B/L(船荷証券)特定原産地証明書(EPAを適用するさいに必要になる書類)をどうするのかは、相手との契約によります。B/Lを「サレンダー」にしなければ、輸出先の国でコンテナを引き取るときに「BLの原本」が必要です。また、EPAを適用するための特定原産地証明書についても、輸出先の税関で原本を提出しなければなりません。一般的に、これらの書類は、コンテナ船の貨物とは別に「DHL」などを利用して輸入者に送付します。

8.代金を受け取る。

貿易に関する代金を受け取ります。この代金の受け取り方は次のような方法があります。

  1. LC(間に銀行を入れる方法)による決済
  2. 代金の半額を船積み前に、さらに半額を船積み後に決済する。
  3. 全額前金で入れてもらう。
  4. 海外向けネットショップで販売をしている場合は、ペイパルなどが有名です。

輸出者として最も都合が良いのは、3番の前金でもらう方法です。しかし、数万円の取引ならまだしも何十万、何百万円もの代金を前払いするのはとても怖いです。

私たちが考えているくらいですから、相手も同じ不安を感じています。そのため、実務で多いのは、2番の半額ずつの支払いのパターンです。また、少し慣れてくると信用取引(月末締め、翌月払い)などを求められることもあります。とはいえ、相手のことを信用しきらずに、代金回収のリスクが小さくなるようにすることが重要です。万が一、相手が倒産などをした場合に備えて「貿易保険」などもあります。

1番のLC決済は、貿易取引の間に銀行がある分、代金を受け取れないリスクはほぼありません。しかし、銀行の手数料を支払わなければならない点や書類に不備があると、とても面倒なことになります。この煩わしい部分があることにより少額の取引においては、あまり好まれない決済方法です。LC決済は、取引金額がきわめて大きいときに導入します。

9.繰り返す。

上記で示した5番から8番までを繰り返して貴社の輸出相手を開拓していきます。

10.実績ができると、別の商品をご案内したり、現地情報を取得しやすくなる。

貿易取引を積み重ねると、自分と相手の間にある程度の「間柄」ができてきます。このような関係になると、新しい商品をご案内しやすくなり、さらに売り上げを増やせる可能性があります。また、輸出先の市場で「〇〇に関する商品にニーズがある」などの生の情報を教えてくれます。どれだけネットが発達しても、現地で取得する生の情報を仕入れられるのは、大きな強みです。

まとめ

「輸出をしたい!」と思いついたら、「どのようにしたら実現できるのか」を考えます。人は「〇〇をやらない理由」を見つけるのが大の得意です。この記事をご覧になっている方には、そんな「やらない理由」を探すのではなく「イザ、船出!」のような勢いで海外に進出していただきたいです。たしかに輸出は国内取引よりも難しく、いろいろなトラブルになることもあります。しかし、あなたが個人的にどのようなイメージを持っていたとしても、国家間の市場はどんどんと開放されていることを忘れてはいけません。

どれだけ海外を無視しても、否応にも海外勢と戦う必要があります。このとき、ただ単に指をくわえて、市場が攻められるのをみるのか、海外の市場へ積極的に挑戦をするのかは、すべて貴社の考え方によります。前者であれば、倒産の道を歩むことになり、後者であれば、発展の道を歩んでいくことに間違いはないです。

なぜ、あなたの会社は輸出をしないのか?

この問いに明確にこたえられる場合のみ、あなたは国内市場だけを相手にすれば良いです。もし、答えられないのであれば、数年後、数十年後にライバル企業に大きな差をつけられているでしょう。しかし、多くの方は、そのような結果は望まれていないはずです。そのため、まずは小さい取引でも構いませんので、輸出の経験をつけることをお勧めします。

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