マリントラフィックは、船の位置、航路、最新の到着時間など、貿易をする上で重要になる「船舶の動船状況」を簡単に取得できるサービスです。しかも、ほぼ「リアルタイム」で情報が提供されているため、常時、船の動きを監視したい方には、とても便利です。今、この瞬間に停泊している船、公海上を動いている船などをコンピューター上で調べられます。
マリントラフィックの使い方
「世界中で動いている船の動き」をリアルタイムで観察できるのが「マリントラフィック」です。まずは、このマリントラフィックの仕組みを確認していきましょう。もし「マリントラフィックの使い方は不要!とにかく船の位置を調べたい方」は、以下の部分に船名を入れて下さい。対象の船の位置がわかります。
早速、船名を検索してみましょう!
下の画面でマリントラフィックの船名検索ができます。
マリントラフィックの仕組み
船は、安全に航海できるように、海の深さ、他船との位置関係を把握しながら航海していきます。こんなことを聞くと、船員の方たちが双眼鏡などを使いながら、海を見渡している姿が目に浮かびますね。ただし、実際は、このような目視による確認だけではなく、機械による監視が行われています。この機械を「IS(船舶自動識別装置)」といいます。
とても難しい言葉に聞こえますが、要は「私の船は、今、この辺りにいますよ~」「うちの船はここですよ~」と、お互いの位置情報を共有する仕組みです。これにより、船同士が衝突することを防ぐ狙いがあります。このAISの仕組みをうまく活用しているのが「マリントラフィック」です。
マリントラフィックは、AISの情報を一つのマップ上に集約して表示します。これがほぼリアルタイムで船舶の動きを確認できる秘密です。しかも、マリントラフィックのパソコン版は、誰でも無料で使えるため、貿易をしている人や、海難ニュースなどの詳細を知りたいときに便利です。
例えば、最近であれば、2018年9月4日の関西空港への連絡橋にタンカーがぶつかたときに、マリントラフィックを利用する方が多かったです。
船舶の情報を教える仕組み:AIS、マリントラフィックは、このAISを一つのマップ上に集約表示するサービスです。
マリントラフィックの機能
世界中の船舶の動きをリアルタイム、かつ無料で見られるのがマリントラフィックです。そして、このマリントラフィックには、次の5つの機能があります。
- 船の位置を調べられます。
- 船の種類、どこから出港して、どこへ向かってるのかがわかります。
- 航海の様子、これまでの航路とこれからの航路がわかります。
- 船の詳細情報(能力、写真など)がわかります。
- 港の情報(現在、何隻の船がいるか?など)がわかります。
機能的には、たくさんありますので、ここでは「船の位置の確認方法」を中心にご紹介していきます。
マリントラフィックを使うためには?
実際の操作画面を紹介していきます。使える端末としては、パソコン、スマホ(iOS、アンドロイド)、タブレット(iOS、アンドロイド)などがあります。パソコンは、ブラウザ上で操作を行い、その他の端末は、アプリで操作をします。(600円)
アプリの入手先:パソコン、アンドロイドスマホ
マリントラフィックでコンテナ船の位置を確認する方法
マリントラフィックの操作メニューは、画面の左側と右側にあります。主に操作をするのは、左側のメニューです。ただし、船の位置を調べる程度でれば、これら左右のメニューを使う必要はありません。
マリントラフィックの画面を起動すると、大きな地図が表示されます。この縮尺を自由に変更して、指定の船を見つければ良いです。
気になる船をクリックすると、その船に関する詳細情報を調べられます。
「ニュースで聞いた船のことを知りたい」などのときは、画面の右上にある検索フォームに、船名をいれます。ここで入力する文字は、ローマ字にしてください。日本語は不可です。
例えば、「ふなで丸」について知りたいときは HUNADEMARU または FUNADEMARU と入力します。
簡単ではありますが、マリントラフィックの使い方は、以上の2つを覚えるだけで十分です。この先は、もう少しマニアックな使い方です。
コンテナ船の追跡方法
左メニューの一番上にある「検索アイコン」を押して、フォームの中に「船名や港の名前」を入力してみましょう。今回は「SITC」です。入力すると、検索窓の下に候補が表示されるので該当する船を選びます。
このように瞬時に対象の船の位置を表示します。
下の図の赤枠部分「Route Forecast」を押すと、地図上に航路の予定を表示します。緑色のラインが軌跡です。
船の情報を自由に拡大表示したい!
リアルタイムで、船の位置を把握もできます。このような画面をもう少し拡大すると….
本船が停泊している様子までわかります。試しにどれかをクリックします。
クリックすると、対象船の詳細な情報が表示されます。下の赤枠部分を見ると、徳山下松港を出港して名古屋港に来たことが分かりますね。
アイコンが表す意味は?
マップ上のアイコンは、以下のような意味があります。
フィルター機能とは?
左メニューの上から二番目には、フィルター機能があります。フィルターとは、ある特定の情報を表示・非表示にする機能です。
例えば、下の「Cargo Vessels」の右側にあるレ点を外すと、右側のマップに表示されている緑色の船が消えます。
おまけ:このようなに面白い表示もできます。
マリントラフィックの会員登録
マリントラフィックの会員登録をすると、自分が確認をしたい港の情報を指定して表示ができます。会員登録の最後には、メールでの認証がありますのでお忘れなく。
iPhoneアプリ版のマリントラフィックの使い方
アプリ版のマリントラフィックは、最初の一回だけ、アプリの購入代金として600円(2018年3月現在)を支払います。アップストアまたは、グーグルプレイなどで「マリントラフィック」または「マリントラフィック」と入力して、アプリをインストールしましょう! もし、船舶リスト機能(MY FLEET)を使いたいときは、マリントラフィックへの会員登録も必要です。
以下の写真がマリントラフィックの操作画面の全景です。下に緑色や青色のマークが書かれていますね? これらが船舶の位置を示しています。緑色、赤色、四角、船型など、すべてに意味があります。色々とお試しください。
この中にある船舶をクリックすると……
船舶に関する情報が表示します。この画面は、画面上から赤枠部分、緑枠部分、青枠部分の3部分に分かれています。赤枠の部分と緑枠部分は、連動して動きます。
赤枠部分の「Voyage」を選択しています。以下の画面から、尼崎・西宮から名古屋までの航路。出発は3/24、到着は3/25日。出航してから1日と7時間が経過していることがわかります。
赤枠のPositionを選択しています。このボタンを押すと、現在の船の位置を示します。ステータス部分が現在の船の状況を示します。
今度は、画面の下にあるボタンに注目してみましょう。中央にある「MY FLEET」が船舶リストです。追跡したい船などを登録できます。登録するときは、マリントラフィックへの会員登録が必要です。FLEEとは、自分のまとめたいグループのような形で使うと良いです。イメージで言うと、A、B、CというFleetを作り、各fleet(グループ)の中に○○丸、○○号などの船を登録していきます。
例えば、FLEETとして中国ルート、北米ルートなどを作成しておき、それぞれに「SITC(中国路線の船)」や「APLペルー(アメリカ方面)」という船名を登録します。アプリ上の操作ボタンとしては、次の通りです。
- add to Fleet=作成済みのグループへの船舶の登録
- add to new Fleet=グループの新規作成
Fleetへの登録ボタンを押したときに、会員登録をしていないと、以下の画面が表示されます。未登録の場合は、下にある「Register」から登録していきましょう!
登録方法は、次の記入例を参考にしてください。特に間違いやすいのが一番下にある「I have read….」へのチェックです。なぜか、この部分がとても薄くなっているため見落とす可能性が高いです。また、パスワードの条件は、全体が6文字以上、かつ1文字以上のローマ字+1文字以上の数字が入っていることです。
船の軌跡も見ることができます。画面下にある「一番左側にあるボタン」を押します。Past Track=過去の軌跡。Route Forecast=未来の軌跡を表示します。
こちらが過去の軌跡です。
こちらが未来の軌跡です。どのように船が進んでいくのかも一目瞭然です。
ここからは、船の詳細画面から出て、アプリのトップ画面の説明をしていきます。画面左上にある船のマークを押すと、iPhoneの画面一杯に地図が表示されます。(フルスクリーンモード)
虫眼鏡のマークを押すと、港名、船の名前などから様々な情報を検索できます。検索結果をさらに表示したいときは「show all results」を押します。
画面の一番右側にある三本線のマークを押すと、様々な機能が表示されます。正直、すべてのボタン機能を説明するのは疲れるため、一部のみをご紹介します。
この部分は、マップ上に表示できるレイヤーのコントロールができます。レイヤーとは、ある情報を重ねて表示する機能ことです。下の図であれば、地図上に船の情報ではなく、港や灯台?の情報を重ねて表示しています。マップ情報がゼロの状態、それに透明なレイヤー(特定の情報)を重ねて、上からのぞくと一つの情報として表示されるイメージです。
レイヤーの仕組み
登録したMy Fleetは、こちらのボタンで確認します。
よくある疑問
日本語表示に切り替えるには?
例えば、デスクトップ版(アプリ版ではないタイプ)は、画面下にあるをクリックして、日本語を選ぶだけです。
有料版と無料版の違いは?
有料版は4種類のプランがあります。有料版は広告が非表示の上、以下の事ができます。(プランにより差有り)
- 全ての船舶の動きを確認できる。
- 過去のAISデータのアーカイブにアクセスできる。(過去の特定日を調べられる)
- 船舶を絞り込むときに様々な条件(フィルター)を設定できる。
- 船舶の特定の動きをプッシュ通知で知らせてくれる。
- 船舶の入港や出航情報を確認できる。
- APIを使用できる。
詳細はこちらのページに記載されています。
マリントラフィックが表示されない
「マリントラフィックが表示されない!」このような悩みはございますか?
こについてマリントラフィックでは「こちらのページ」で、その原因を伝えています。記事には、次のようなことが書かれています。
マリントラフィックは、沿岸にある「AIS受信ステーション。沿岸以外は、Satellite-AISでカバーしています。もし、船舶等が表示されない場合は、これらの受信方法により信号をキャッチしていない可能性があります。または、船自体が以下の状態にある可能性が高いです。
- 船舶にAISトランスポンダを装備しない。または正しく動作していない。
- 送信電力が弱いクラスBのAISトランスポンダを装備している。
マリントラフィックの画面が動かない。または遅い
マリントラフィックの画面が遅くなる理由は、いくつかあります。特に大きな影響があるのがブラウザです。ブラウザとは、インターネットをするためのソフトです。ウィンドウズを使っている方は「インターネットエクスプローラー」や「エッジ」を使っている方が多いかと思います。しかしながら、これらのブラウザとマリントラフィックは、特に相性が悪いです。
マリントラフィックと相性がいいブラウザは、次の通りです。
Opera、Chrome、Firefoxなど。
また、ブラウザの問題以外には、画面中に表示させているアイコンが多すぎることやAISトランスポンダが機能していないなどの理由もあります。
まとめ
マリントラフィックを使えば、世界中の船の位置を瞬時に把握できます。また、新しい船を探すときなどにも役立つ機能がたくさんあります。ぜひ、貿易ビジネスでご活用ください。
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