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第3回:中国との貿易でよく使う港 上海・広州・大連の港比較と遅延リスク等

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中国主要港別輸送ガイド:上海・広州・大連・青島・天津・寧波の特徴と選択基準

はじめに|港選定が輸送効率を左右する

中国は世界最大級の港湾網を持ち、港ごとに地理条件・船便数・気候・政策規制などが異なります。そのため、同じ貨物でも利用する港によって、所要日数・費用・リスクが大きく変動します。本記事では、代表的な6港(上海・広州・大連・青島・天津・寧波)を中心に、特徴と実務判断のポイントを整理します。

上海・広州・大連の港比較

中国の主要貿易港のマップ

中国の主要貿易港です。特に上海、深圳、広州などの港は「中国十大港」として有名です。

中国輸送

上海港:直行便の豊富さと高い安定性

上海港は世界最大規模のコンテナ港として、東京・横浜・神戸との直行便が豊富です。航路での所要日数は3~5日、通関手続きを含めても7~10日程度と比較的安定しています。THC(ターミナルハンドリングチャージ)は標準的な水準で、混載輸送も安定して利用できます。

ただし、春節や国慶節前は混雑が常態化し、ヤード滞留や検査強化により2〜3日の遅延が発生する場合があります。

  • THC(40ft):約55,000円(標準)
  • 遅延リスク:中〜高(繁忙期)
  • 代替港:寧波港(費用優位)

💬 実務メモ:上海港は“基準港”として最も利用されますが、混雑時は寧波港への振替を事前に検討しておくと安全です。

広州港(南沙):華南製造拠点による慢性的混雑

広州港は華南地域の工場群と直結している立地特性から、航路での所要日数は5~7日、混雑時には10日以上です。THCや検査費用は上海より割高の傾向です。

この港は華南地域からの貨物量が極めて多いため慢性的に混雑しやすい状況です。特に台風シーズン(7~9月)には入港や荷役作業の停止により大幅な遅延リスクが発生するため、この時期の利用には十分な注意が必要です。

  • 特徴:華南製造拠点直結、慢性的混雑
  • 遅延リスク:高(台風・季節要因)
  • 代替港:深圳・厦門

💬 注意点:納期重視の案件では、広州経由は避けるか、出荷を1週間前倒しにするのが安全です。

大連港:華北の要衝と冬季特有のリスク

大連港は日本に地理的に近く、航路での所要日数は3~4日と距離面で有利です。費用も比較的安定していますが、便数には制約があります。

最大の特徴は、遼東湾の氷結による冬季リスクです。冬季には港湾作業や航路に支障をきたし、通常より数日多くの日数を要することが常態化しています。精密機器や鮮度保持が必要な貨物については、リードタイムに必ず余裕を設定することが不可欠です。

  • 特徴:地理的優位、便数制限あり
  • 遅延リスク:中(冬季限定)
  • 代替港:青島・天津

💬 実務メモ:冬季はリードタイムを+3日程度で設定。輸送中の凍結対策(保温材・加温管理)を検討します。

青島港:機械・部品輸送での優位性

青島港は山東省の産業地帯と直結しており、航路での所要日数は4~6日です。部品・機械輸送においてはコスト効率が良好で、中欧班列との接続もあることから欧州経由案件の集約にも活用されています。

ただし、混載貨物が集中する傾向があるため、仕分け作業での遅延が発生しやすい課題があります。特に繁忙期には この影響が顕著に現れることが多くあります。

  • 特徴:部品・機械輸送向き、鉄道接続強い
  • 遅延リスク:低〜中(繁忙期増加)
  • 代替港:天津・大連

💬 実務メモ:コスト効率が良く、製造業の定期出荷向けに最適。LCL利用時はスケジュール余裕を確保します。

天津港:内陸接続の重要拠点

天津港は北京や河北省からの貨物集約に強みを持ち、航路での所要日数は4~6日程度です。鉄道・高速道路網で内陸部と良好に接続されているため、鉄道・トラック接続費用の影響により費用は変動しますが、内陸からのアクセスには優れています。

一方、環境規制や安全基準強化による臨時閉鎖・荷役制限があり、化学品関連貨物では影響が出やすいです。

  • 特徴:内陸接続◎、政策変動リスクあり
  • 遅延リスク:低〜中(政策要因)
  • 代替港:青島・大連

💬 実務メモ:北京・河北案件では第一候補。化学品・原料関係は天津以外も併用検討を。

寧波港:上海混雑時の有効な代替拠点

寧波港は、上海港の混雑を回避する代替港として利用されることが多く、航路での所要日数は3~5日です。上海より低廉な費用で利用できるケースもあり、費用面でのメリットを享受できる場合があります。

ただし、上海からの貨物流入により混雑しやすい状況もあるため、このリスクは常に考慮しておく必要があります。

  • 特徴:費用優位、混雑時の代替港
  • 遅延リスク:中〜高(紅海情勢・混雑要因)
  • 代替港:上海港

💬 実務メモ:コスト重視の案件では最有力。輸送効率とコストを両立できる港です。

港選定の実務判断ポイント

港を選ぶ際は、「日数・費用・リスク」の3軸で比較することが重要です。

所要日数遅延リスク主なリスク要因特徴
上海3〜5日中〜高繁忙期混雑安定・直行便豊富
広州5〜10日台風・集中出荷華南集荷拠点
大連3〜4日冬季氷結距離優位
青島4〜6日低〜中混載遅延部品・機械向き
天津4〜6日低〜中規制変動内陸接続◎
寧波3〜5日中〜高上海混雑流入代替・費用優位

💬 ポイント:案件ごとに「貨物特性 × 季節 × 港リスク」を組み合わせたマトリクスで検討するのが効果的です。

上海は直行便が豊富で安定性が高いものの繁忙期の遅延に注意が必要です。広州は華南地域の貨物集中と台風期により納期リスクと費用増加が常態化しています。大連は距離的には有利ですが冬季の氷結が大きな課題となります。

青島は部品輸送に適しているものの混載での遅延リスクがあります。天津は内陸接続が強みである一方で規制リスクを考慮する必要があります。寧波は上海の代替として費用面で優位性がありますが混雑要因も存在します。

案件の特性(貨物種類・納期要求・販売チャネル)に応じて、各港の差異を定量的に比較することが輸送効率化の鍵となります。

内陸都市からの港アクセスと輸送ルート例

中国内陸都市(重慶・武漢・成都など)からは、長江水運・鉄道輸送(中欧班列)を活用して主要港へ貨物を集約します。港条件だけでなく、「港までの所要時間・内陸コスト」を含めて評価することが実務上の鍵です。

  • 長江ルート:重慶→上海/武漢→上海(7〜10日)
  • 鉄道ルート:西安→青島/成都→重慶→上海(5〜8日)

💬 実務メモ:港条件と内陸物流をセットで比較。鉄道接続港(青島・天津)は欧州輸送併用にも有利です。

中国輸入者必見!中国の主要な港(貿易目的)一覧

港名特徴実務メモ
上海/シャンハイ/CNSHA世界最大のコンテナ取扱量混雑リスク大、スケジュールに注意
深圳(蛇口)/シンセン(シェコウ)/Shenzhen/Shekou/CNSHKハイテク製品の輸出入日本航路多数、短距離輸送に便利
塩田(深圳)/エンデン(ヤンティアン)/CNYTN欧米航路のハブ大型船向け、日本向けは少なめ
青島/チンタオ/CNTAO自動車輸出の拠点華北・山東省の物流に強み
天津(新港)/テンシン(シンコウ)/CNTSN/CNTXG首都北京に近接化学品規制が厳しい、代替ルート検討要
広州(南沙・黄埔)/コウシュウ/CNCAN/CNHUA自動車・家電製品華南内陸からの集荷に有効
厦門/アモイ/CNXMN台湾との貿易拠点日本航路あり、中規模貨物向き
大連/ダイレン/CNDLCバルク・コンテナ兼用東北地方の産品輸出に強み
寧波/ニンボー/CNNGB石油化学品上海の混雑回避先として利用可

  • 石島/セキトウ/Shidao/CNSHD=水産品の輸出拠点
  • 張家港(蘇州)/チョウカ/Zhangjiagang/CNZJG=
  • 営口(遼寧省)/エイコウ/Yingkou/CNYIK=鉄鉱石や石炭の輸入拠点
  • 東莞/トウカン/Dongguan/CNDGG=電子機器や家電製品
  • 香港/ホンコン/Hongkong/HKHKG=国際的な自由港
  • 黄埔/コウホ/Huangpu/CNHUA=石油化学品や穀物
  • 秦皇島(河北省)/シンノウトウ/Qinhuangdao/CNSHP=世界最大の石炭輸出港。
  • 恵州/ケイシュウ/Huizhou/CNHUI=エネルギー資源や電子部品
  • 新港/シンコウ/Xingang/CNTXG=電子機器の輸出入が盛ん
  • 珠海/シュカイ/Zhuhai/CNZUH=マカオに近接。軽工業製品
  • 順徳/ジュントク/Shunde/CNSUD=家具、家電製品
  • 泉州/センシュウ/Quanzhou/CNQZJ=繊維製品や軽工業品の輸出
  • 湛江/タンコウ/Zhanjiang/CNZHA=鉄鉱石や原油の輸入拠点。
  • 中山/チュウザン/Zhongshan/CNZSN=家電製品や家具の輸出
  • 南海/ナンカイ/Nanhai/CNNAH=家具や建材の輸出が盛ん
  • 南通/ナンツウ/Nantong/CNNTG=繊維製品や機械設備
  • 福州/フクシュウ/Fuzhou/CNFOC=農産物や軽工業品の輸出。
  • 無錫/ムシャク/Wuxi/CNWUX=電子機器や繊維製品
  • 洋山深水港/ヨウザンシンスイコウ/Yangshan/CNYAN=国際的なハブとして機能
  • 江陰/コウイン/Jiangyin/CNJIA=鉄鋼製品や機械設備
  • 南京/ナンキン/Nanjing/CNNKG=石油化学品や自動車部品
  • 鼠浪湖 / Shulanghu(寧波舟山港の一部)/CNSLH/CNSHU=鉄鉱石の積み替え拠点
  • 沙田(SHATIAN)/CNSIN または CNSTI=コンテナ貨物に特化

中国主要港の遅延リスク一覧表

大連港冬季の厳しい気候条件や港湾混雑が遅延の原因となることがある。通常はリスクは低めです。天津港や青島港を代替案として検討
厦門港台風シーズンの天候不順や港湾混雑が遅延の要因深圳港や広州港への迂回を検討
深圳港輸出入量の増加や港湾労働者の不足、通関の遅延などが原因で、港湾混雑が発生香港港や厦門港を代替港として検討
広州港季節的な天候不順や輸送需要の増加により、港湾混雑や遅延が発生深圳港や厦門港への変更を検討

香港港高い輸送需要や地域的な物流混雑、通関手続きが遅延の要因深圳港や広州港への迂回を検討
珠海港遅延リスクは低いですが、季節的な天候不順には注意深圳港や広州港を代替案として検討
秦皇島港主に石炭輸送を担っており、季節的な需要変動や天候による影響があるものの、遅延リスクは低めです。天津港や大連港への迂回を検討。
連雲港港湾設備の制約や季節的な天候不順が遅延の原因青島港や上海港への変更を検討。
福州港台風シーズンにおける天候不順が遅延の要因となることがありますが、通常はリスクは低めです。厦門港や寧波港への迂回を検討
珠江口港広州、深圳、香港などの港を含むエリアで、輸送需要の増加や港湾混雑が遅延の原因厦門港や福州港への変更を検討。
営口港季節的な天候不順や港湾設備の制約があるものの、遅延リスクは低め大連港や天津港への迂回を検討。
唐山港主に工業製品や鉱物資源の輸送を担っており、港湾設備の整備が進んでいるため、遅延リスクは低めです。天津港や秦皇島港への変更を検討。
威海港季節的な天候不順やフェリー運航の遅延が稀に発生しますが、全体的なリスクは低めです。青島港や煙台港への迂回を検討。
煙台港港湾インフラの整備が進んでおり、遅延リスクは低いですが、季節的な天候不順には注意が必要青島港や威海港を代替案として検討。
南通港港湾設備の制約や輸送需要の増加により、遅延が発生することがある。上海港や連雲港への変更を検討。

その他、よくある疑問

参考1.ShekouとShenzhenの違い

市の名前が、SHENZHEN=深圳です。深圳には、大きく2つの港があります。

  • SHEKOU=蛇口
  • YANTIAN=塩田(盐田)

香港を挟んで左側がSHEKOU、右側がYANTIANです。両港の違いは….

  • SHEKOU:日本などの東アジア、ASEANなどの近海航路、水深10~12.5m、(一部資料には16mともあり)
  • YANTIAN:主に欧米などの遠方航路、水深15~18m

主に水深で船のサイズが決まり、航路の差が出ています。日本へ入港してくる本船は、ほぼSHEKOU PORTから船積みされます。

参考2.XingangとTianjinの違い

  • TIANJIN=天津の地名を表す言葉
  • XINGANG=港を表します。分解すると….XIN新 GANG港 新港を表す言葉です。

天津市内には、2つの港があります。そして、天津港を表す目的で「通称:新港XINGANG」と言います。

  1. 天津新港 CNTXG(ポートコード)
  2. 天津港 CNTSN(ポートコード)

天津新港は、天津市塘沽区にある新しく建設された、中国最大級の深水港です。鉄道網および交通網も整備されており、内モンゴルなどのカシミヤやソバの実などの輸出港としても使われています。天津は、元々、石炭の輸出港です。そのため、20年前までは、塘沽区の港湾地区の道路は石炭色に染まっていた記憶がございます。(当時のお話)

また、首都の北京市に近いこともあり、中国の港湾の中では比較的規則に縛られ厳格な港です。ただ、2015年の不慮の事故発生からは、化学品の輸出入が難しくなり、自動車メーカーが原材料を輸入する所としては厳しい状況が続いています。

まとめ|港選定は「日数・費用・リスク」の最適化

  • 上海:安定・直行便多いが繁忙期注意
  • 広州:台風期リスク高、費用高め
  • 大連:距離優位だが冬季氷結
  • 青島:コスト効率良好、混載注意
  • 天津:内陸接続◎、政策リスクあり
  • 寧波:上海の代替、コスト優位

📘 次のステップ:輸送ルート・港選定のSLAや費用比較表を導入し、季節・貨物特性別の最適化を進めましょう。

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