貿易取引をするときは「インコタームズ」と呼ばれる貿易条件の型を使い交渉します。
例えば、FOBで取引する。CIFで取引をするなどです。仮にあなたが日本から輸出すなら、海外のバイヤーからは「FOB TOKYO はいくら?」「FOB YOKOHAMAは?」などと聞かれれます。そして、このインコタームズと一緒に登場するのが「建値(たてね)」です。
一体、建値とは、何を意味するのでしょうか? インコタームズとの違いは何でしょうか? そこで、この記事では「建値」が意味する2つの点をご紹介していきます。
建値の2つの意味
ウェブの辞書によると、建値とは「売買の基準とするべき値段」とのことです。貿易取引における建値とは、次の2つの意味があります。
- 貿易取引の価格を建てる
- 国際輸送料金の価格を建てる
1.貿易取引の価格を建てる
まずは商品価格を何を基準に決めているのか? つまり、建てている価格の根拠は? の意味で使います。ご存じの通り、貿易取引の価格は、様々な費用が計上された上で決まります。
例えば、商品代金、輸出者の利益、国際輸送代金、保険代金などがあります。それらの諸経費や利益を全て加算したのが商品価格です。
では、この商品価格の内、どこからどこまでを輸出者側がが負担をしているのでしょうか? 逆にどこから輸入者の負担となるのでしょうか? これを明確にするのが「インコタームズ」です。
例えば、FOBは、輸出が輸出国で停泊する本船の積み込みまでの費用を持ち、そこから先は輸入者が手配します。CIFであれば、輸出者が輸入国に到着するまでの輸送代金と保険代金を負担します。採用するインコタームズによって、輸出者と輸入者が負担する範囲が変わります。
貿易取引価格自体の建値とは、インコタームズによって、輸出者と輸入者の取引条件を明確にして「何をもってこの取引価格になっているのか?」を説明する物です。よって、インボイス上には、次のように建値を記載します。
2.国際輸送料金の価格を建てる
実は、貿易の建値には、もう一つの意味があります。それが「国際輸送料金の価格を建てる根拠」です。国際輸送の料金は、貨物の重量や容積の他にも、様々な項目で決まります。この輸送料金を決める「根拠」を建値とも言います。
例えば、重量建て、容積立てなどの「建て」の部分が「建値(計算の根拠)」を意味します。仮に重量建てであれば「貨物の重量を基準に輸送料金を決めた(価格を建てた)」、容積建ての場合は「貨物の容積を基準に価格を建てた」などの意味です。
国際輸送料金の建値には、次の5つがあります。
- 重量建て
- 容積立て
- フレイトトン
- 従価立て
- ボックスレート
1.重量建て
不定期船の運賃を決める基準です。鋼材など、容積に比べ重量が大きい貨物の運賃に適用します。なお、運賃計算の根拠となる重量は、総重量(グロスウェイト)&メトリックトンです。
2.容積建て
貨物の「容積」を運賃計算の基準にする物です。主な基準は、次の2つです。
- 1メジャートン=40CFT(キュービックフィート)
- 1立法メートル=35CFT
- 1CFT=1才
3.フレイトトン(W/M)
貨物の重量(フレイトトン)と容積を比較して、いずれか大きい方を基準に輸送料金を決める方法です。主にLCL(混載貨物)輸送をするときに関係してきます。アライバルノーティスにも多く出現!
4.従価建て
古美術品や宝石など、貨物の容積や重量では、正しく送料を計算できない物に対して適用される基準です。
例えば、宝石などは、重量や容積等は、ともに非常に小さいです。しかし、価格は、一個何十万、何百万円するものがありますね? この場合は「商品価格の何パーセント」を運賃とするなど、商品価格に従って輸送料金を決めるのが「価格に従う=従価」と言います。
5.ボックスレート
主にコンテナ輸送に適用される建値です。輸送料金は、20フィートや40フィート単位で考えて、その中に入る物であれば「定額」で輸送します。しかも、商品の中身は、危険物を除き何でもいいため、現在のコンテナ輸送全盛時代における中心的な建値です。これを「ボックスレート」と言います。
まとめ
- 貿易における建値には、2つの意味がある。
- 2つの根拠とも「何を価格の根拠としているのか?」を示す。
- 一般的な方は、商品価格を示す「建値=インコタームズ」である。
参考書籍:基礎から分かる海運実務マニュアル / オーシャンコマース
この記事をお気に入りに登録