一般的に、貿易とは、輸出者と輸入者の二者間で行います。輸出者が売り手、輸入者が買い手となるパターンです。実は、この二者間以外の貿易の形があります。「三国間貿易」です。三国間貿易は、売り手と買い手の間に仲介する人が入ります。この仲介者は、商品の決済や書類の受け渡しのみを行い、実際の商品は、輸出者から輸入者へ直送する仕組みです。
今回、ご紹介するのは、この三国間貿易にも使われる「ドロップシップ」です。ドロップシップとは、商品の在庫を持たない者がネット上で販売をして、実際、商品の発送は、その在庫を持っているメーカーなどが行う仕組みです。海外間でも実現できる仕組であるため、貿易の一つの形として行われています。
そこで、この記事では、ドロップシップの意味、仕組み、メリットなどをご紹介していきます。
ドロップシップの意味
一般的に商品を販売するときは、何らかの商品を仕入れた後、自社の利益をのせて販売します。
例えば、魚屋さんを経営しているとしましょう。一匹500円で魚を仕入れたときは、少なくても500円以上の価格にして販売しないと、商売として成立しませんね。つまり、500円で仕入れた魚に100円や200円の利益を上乗せしてから販売しなければなりません。これが一般的にイメージする商売の形です。
ポイントは、自社で在庫を抱えた後、必要なマージンをのせることです。一方、ドロップシップは、商品を仕入れず、在庫も抱えません。対外的には、在庫を抱えているように見えますが、一切、仕入れなどをしないのが特徴です。このカラクリは、インターネットにおける無人店舗の特性にあります。具体的には、次のような形です。
- 仲介者がネットショップを開きます。
- 仲介者は、ネットショップに掲載するけれど、商品は仕入れません。
- 商品画像と説明、商品価格などを記載しておきます。
- お客さんが商品を購入します。(商品代金は、お客→ネットショップ運営者(仲介者)に支払われます。)
- ネットショップを運営している人(仲介者)は、商品の在庫を持っているメーカーに出荷指示を出します。
- メーカーから購入者に向けて商品が発送されます。
- ネットショップからメーカーに商品代金が支払われます。
- これで取引が完了です。
つまり、商品の在庫を抱えていない人がネットショップ上で「無在庫販売」を行い代金を受け取ります。そして、商品自体は、在庫を抱えているメーカーから、商品を購入した人に対して直接発送されます。これにより….
- ネットショップの経営者(仲介者)は、在庫リスクを抱える必要がない。
- 在庫を抱えているメーカは、販売先を増やせるメリットなどがあります。
そして、これを国際間で行うことが「貿易取引におけるドロップシップ」です。では、このドロップシップの流れをもう少し詳しく確認していきましょう!
ドロップシップの当事者
ドロップシップの当事者は、少なくても三人います。
- 商品の購入者=輸入者
- 商品の在庫を抱えている人=輸出者
- 間に仲介する人(販売する人)
まず、3番に所属する人がネットショップなどを作ります。ネットショップで掲載する商品は、2番の輸出者が抱えている在庫です。この在庫の写真や商品説明などを自社のネットショップに掲載しておきます。このとき、ポイントになるのは、3番は、2番から商品を仕入れない点です。いわゆるネットショップを使って対外的に「空売り」のようなことをしているのです。
そして、3番が開設したネットショップに訪れた1番が商品を購入して、決済を済ませます。すると、1→3番とお金が払われます。ただし、お金をもらった3番は、在庫を抱えていないため、自社から商品を発送はできません。そこで2番に対して商品の発送をお願いします。
物流はどうなる?
3番の人:「○○国の○○さんに対して、○○を発送してください。」
2番の人:「承知しました。では、○○さん(1番)に対して商品を発送します!」
このように3番の人は、1番からお金を受け取っていますが、商品には一切タッチしません。商品は2番→3番へと直送されていきます。無事に発送が終わると、3番は2番に対して、商品代金を支払います。これで、商品の注文者→販売者→在庫を抱えている人(メーカーなど)の流れでお金が動き、取引は完了します。
ドロップシップのフロー
- 3番の人は、在庫を一切抱えず、ネットショップなどで販売をします。
- 商品は、2番から1番へ直送されます。
- 3番の人は、2番に商品代金を支払います
消費税はどうなる?
ドロップシップの形態で消費税を支払う人は、実際に商品を輸入する1番の人のみです。3番は、商品自体の受け渡しが行われていないため、消費税の課税の対象にはなりません。このように貿易をする上での税法的な意味においても、ドロップシップは、一つの形として有効だと思います。
おまけ:アフィリエイトとの違いは?
ドロップシッピングと似ている物に「アフィリエイト」があります。これらの決定的な違いは、販売者(3番)の「価格の決定権の有無」にあります。
アフィリエイトの場合は、その商品を販売する人が価格を決定します。つまり、その商品を紹介することで利益を得ている人(アフィリエイター)は、メーカーが販売する価格で商品を紹介して既定の紹介料を得ることしかできません。仮に3000円のアフィリ、紹介料が10%であれば、300円しか収益は得られないということです。
一方、ドロップシップの場合は、価格の決定権は、商品の販売をする人(アフィリエイターなど)にあります。要は、原価は決まっている。それに、いくらマージンを上乗せして販売しても自由ということです。
例えば、商品の在庫を抱えている所が商品Aを500円で販売しているとします。この商品をネット上で販売する人(3番)は、商品Aを一つ1000円で売ってもいいですし、2000円でもいいわけです。価格は、自身で決められます。
そして、実際、メーカー(在庫を抱えている人)から購入者(ネットショップで購入した人)に対して商品が発送されたら、商品の販売者(ネットショップを運営している人)は、メーカーに対して、決められている原価=500円を支払います。
ドロップシップとアフィリエイトは、商品を売ろう(紹介)する人が価格を自由に決められるのか?に大きなポイントがあります。
まとめ
- ドロップシップは、商品の販売者と管理者が違う商形態
- 販売者は、うまく仕組化すると、無在庫形態での貿易ができます。
輸出入と国際輸送の手引き
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